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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「偽証で告発、思惑外れ?=検察幹部『現時点で困難』−籠池氏証人喚問」(時事通信)

取り上げるのがやや遅れたが記録しておく。籠池泰典の証人喚問があった23日夜の時事通信の記事。

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017032301356&g=soc

偽証で告発、思惑外れ?=検察幹部「現時点で困難」−籠池氏証人喚問

 「森友学園」の籠池泰典氏の証人喚問では、与党議員を中心に証言の信ぴょう性を追及する場面が目立ったが、検察幹部は「現時点で偽証罪に問うのは難しい」と慎重だ。識者は「与党側は『籠池氏の発言は信用できない』と印象付ける狙いだったかもしれないが失敗だった」と指摘する。
 元検事の郷原信郎弁護士は「真偽は何とも言えないが、証人喚問の前後で籠池氏への印象が変わってもおかしくない」と言う。証言は詳細で、安倍晋三首相夫人の昭恵氏が小学校建設に深く関わっていたとの疑念を残す半面、「偽証罪に問えそうな証言はなかった。国民の関心が高まっただけで、与党側が告発を考えていたなら戦略ミス」と語る。
 衆参両院によると、証言に虚偽が疑われたなどとして過去に24件(衆院20件、参院4件)が議院証言法違反で告発された。最近では、汚職事件で元防衛事務次官耐震偽装事件で元建築士がそれぞれ告発され、有罪判決を受けた。
 いずれも捜査が先行し、国会側は法務省などの説明を基に「偽証の疑いが濃厚」として告発した。今回の問題で捜査の着手は見られず、国会が独自に証拠を集めなければならない。郷原氏は「証言内容を否定し、偽証で告発を検討するなら、昭恵氏や同行職員らも同じ土俵で語らせる必要がある」と話す。
 検察幹部は「国権の最高機関が私人を告発する意味は重い。不起訴は許されず、それなりの証拠が必要だ」と指摘した。
 双方の主張が食い違う昭恵氏の寄付について、別の幹部は「過去に偽証罪が問われたケースでは、違法行為に関する証言が問題となった」と説明。その上で、寄付自体は違法と言えず、授受に関する証言を立件対象とするのは難しいとの見方も示した。

時事通信 2017/03/23-22:25)

既に何度か言及した通り、籠池泰典の証人喚問は安倍晋三の「鶴の一声」で決まったとされる。従って、この証人喚問に関して与党の国会議員に課せられた課題は、籠池を偽証罪で告発するために誘導する質問を発することだった。しかし、誰だったか名前を忘れたが某公明党の女性議員に端的に見られたように誘導があまりにも露骨だったので、その意図は成功しなかった。しかし、時事通信の記事を参照すると、「今回の問題(森友学園事件)で捜査の着手は見られず、国会が独自に証拠を集めなければならない」のだからもともとハードルが高かったわけで、各議員の無能に責任を帰するわけにはいかないだろう。

むしろ問題は独裁者・安倍晋三の浅はかな認識にあった。週刊誌の記事やネット情報がソースではあるが、安倍晋三は籠池の偽証の根拠となるのは安倍晋三自身と安倍昭恵の言い分であって、「官邸は嘘をつかない」「妻は嘘をつかない」ことを前提として、籠池の証言は「絶対に嘘をつかない」安倍夫妻の言い分と異なるから偽証だ、という驚くべきロジックを考えていた気配がある(下村博文を含む何人かの自民党や維新の議員の発言やツイートはその推測を裏付けるものだ)。信じ難いまでの独裁権力者の傲慢さというべきか、それとも独善というべきか、いずれにせよ呆気にとられるばかりだ。もちろんそんな理屈は1945年の敗戦以降現在までの日本では通らなかった。その手の理屈が通用するばかりか、独裁者が気に食わない異母兄を暗殺する権限までをも有する国が日本の近くに存在するが、安倍晋三の考える理屈が通って今後籠池泰典偽証罪の疑いで逮捕されることがあるなら、それは日本がその国に大きく近づいたことを示すだろう。

もっともそうなる可能性はほとんどなかろう。籠池泰典を逮捕するなら、偽証罪以外の容疑がいくらでも考えられそうなものだから、偽証罪以外の容疑での籠池逮捕による籠池の口封じを権力はたくらんでいるのではないか。