kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

森友学園新理事長・籠池町浪が「旧教育基本法」に立ち返る声明を発表

何やら森友学園が籠池町浪(ちなみ)新理事長の名前で「声明」を出した*1。町浪氏自身も極右人士だと聞いていたのだけれど、なんと「2006年の改正(実態は改悪)教育基本法の理念に基づく前理事長の教育理念と方針及び指導法を批判的に総括」し、1947年の旧教育基本法の理念に立ち返ることが宣言されている。

何やら、敗戦を境に軍国主義者から平和主義者に豹変した1945年の日本人を連想させる。

私はこれまで籠池町浪を含む籠池一族がなした悪行の責任が不問に付されてはならないと思う人間だ。だから菅野完のツイートリツイートした人たちのように手放しで籠池町浪と「新」塚本幼稚園(ってそもそも存続できるのか?)を賛美する気など全く起きないけれども、2009年の政権交代当時と対照的だな、とも思った。

私は当時、2006年に安倍晋三が改悪した教育基本法を元に戻すことを新政権の課題の一つとして挙げ、それをこの日記だったか『きまぐれな日々』だったか忘れたが記事に書いたのだが、それは「現実主義者」を自認していると思しきコメンテーターの冷笑を持って迎えられた。鳩山新政権及び民主党においても、教育基本法の再改正を口にしたのは日教組を支持母体とする輿石東くらいのもので、その輿石でさえ政権交代直後に言ったきりだった。鳩山由紀夫だの小沢一郎だのといった保守政治家はおろか、菅直人や枝野幸夫のような「中道」とみられていた政治家たちも教育基本法の再改正など頭の片隅にもない様子だった。

この時の経験から、政治家の業績は、剛腕を発揮してどれだけ既成事実を積み重ねるかで測られるんだな、と思った。「剛腕」においては、1991年の青森県知事選で核燃サイクル推進派候補を当選に導いたり、1999年に「自自連立」(のち「自自公連立」)を組んで数々の軍事タカ派的悪法を成立させた小沢一郎が思い出されるが、私の評価では、これまでにも何度も書いてきたように、安倍晋三の方が小沢一郎よりよほど「剛腕政治家」の名にふさわしいと思う。2006年の教育基本法「改正」もそうだし、2015年の安保法は小沢一郎の長年の念願を安倍晋三が実現させたものだといえる。

その強引な手法、「法は俺自身」という政治的信念に基づいて、日本会議思想の同志だったはずの籠池泰典を掌返しの技で切り捨てたり、経産省ノンキャリ官僚であるT氏*2に「私人」と閣議決定したところの妻・安倍昭恵がやらかした(というより自身との共謀で行った)悪行の責任を押しつけるなどの悪逆非道の振る舞いに出て恥じることがない。まさに「厚顔無恥」の極致といえる唾棄すべき人間だが、そんな独裁者の政権を日本国民の約半数が支持している。

もちろん籠池一家がこれまでにやらかしてきた悪行も到底許されるものではないが、2月以降展開されたのは、超巨悪による中程度の悪に対するパワー・ハラスメントだったと私は認識している。そして、そのような権力の行使を受けて初めて籠池町浪氏が「旧教育基本法に立ち返る」宣言をしたことはまことに示唆的だと思うのだ。おそらく町浪氏は、一斉に驚くべき掌返しを行った日本会議系列の人士たちの人間性に強い不信を抱き、それが自身を含んで彼らが信奉してきた「保守思想」の否定というドラスティックな転向につながったものだろう。

それと考えると、2009年の「政権交代」が単に風に乗って実現しただけの実に薄っぺらいものだったとしか言いようがない。次に政権交代する時には、旧民主党、現民進党のような「ゆ党」にではなく、最初から2006年の「改正教育基本法」を廃棄して1947年の旧教育基本法に回帰することを公約するような政治勢力に政権を委ねたいものだ。

なお、安倍独裁政権の本質については、下記『広島瀬戸内新聞ニュース』の記事に強く共感する。

前近代の君主としても最低だ : 広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)(2017年3月30日)

安倍晋三総理(安倍ジャパン皇帝)は、前近代の君主だったとしても最低ですね。


「朕や(昭恵)皇后が不正に関わっていたら退位するどころか、皇族(議員)もやめる」
と叫びながら、皇后が不正に関わっていたことが確定的になっても開き直る。


昭恵皇后陛下お付きの女官(T氏)が、陛下のために一生懸命仕事をしたのに、
「朕は知らぬ。女官が勝手にやったこと。」
と言い出す。


両陛下に絶対忠誠を誓っていた儒者(籠池のおっさん)も「しつこい人」だと切り捨てたあげく、「朕を侮辱した」として、朝廷(国会)でつるし上げ、嘘を探し出して処刑(告発)しようとする。


遠方の山賊討伐(南スーダン駆けつけ警護)へ出征していた将軍(自衛隊)に対しても、自分の人気取りのために、出す命令がころころ変わる(最終的には撤退)。


こんなことでは廷臣(官僚)たちも、将軍(自衛隊幹部)たちも言うことを聞かなくなるのではないでしょうか?


なお、森友学園の声明を文字起こししたブログ記事があったので、以下引用する。

塚本幼稚園新体制の声明:ペガサス・ブログ版:So-netブログ(2017年3月30日)より

 はじめに、本学園小學院建設に伴う国有地売却問題に関しまして、先月来約一か月以上にわたり、世間をお騒がせしていますこと、また、本学園在国幼稚園児及び保護者の皆様、そして小學院入学予定だった児童及び保護者の皆々様方にも大変ご迷惑をおかけしていることを深くお詫び申し上げます。

 まずは今回の一連の騒動やその背景など、我々の反省すべき点や再発防止策の検討内容を公表すべきところではありますが、年度の切り替えとともに我々の運営体制も刷新いたしますので、この際、甚だ恐縮には存じますが、本学園の今後についてご説明申し上げたく存じます。

 本学園が運営しております塚本幼稚園幼児教育学園は、前理事長の教育理念に基づき、子供達一人一人の中に常に脈動し続けている遣しい生命力・無限の可能性・その子にしかない個性を認め、指導者が“明るい表情”“正しい言葉”“賛嘆の言葉”“愛情のこもった態度”で引き出し伸ばす教育を実践してまいりました。しかしながら、この理念を具現化した具体的なカリキュラムについては、マスコミ等の報道やご批判にありますように、ともすると、「愛国教育」、「国粋主義」と捉えられ、具体的には「教育勅語を暗唱させる幼稚園」、「自衛隊行事に参加する幼稚闘」とのご指摘を受け、社会問題化するに至りました。これらは全て、教育基本法が平成18(2006)年に改正された際に新たに設定された「我が国と郷土を愛する態度を養う」との教育目標を、幼児教育の現場で生かそうとした前理事長なりの努力と工夫の結果であると理解しております。

 しかしながら今般、新年度より新体制にて再出発するにあたり、平成18(2006)年改正の教育基本法に基づく前理事長の教育理念と方針及び指導法を批判的に総括し、「幼児教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものである」との基本的な認識に立ち返り、我々の教育内容を再検討いたしました。

 その結果、なによりも生命と人権の尊重を基本におき、その上で幼児の健やかな成長のために、過度の知育偏重とならない、特定の思想、信条に拘束されない、そして幼児に対して、健康、安全で幸福な生活のために必要な基本的な習慣を養いつつ、身体諸機能の調和的発達を図るという、文科省幼稚園教育要領に明示された幼稚園教育の原点に立ち返ることが必要であるとの結論に達しました。今後は、教育基本法が昭和32*3(1947)年に制定された際に示された「われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。」との指針を常に念頭におきつつ、内容・カリキュラムを柔軟に見直して参ります。

 また、前理事長時代に各方面よりご指摘を受けました差別・ヘイトスピーチ問題に関しましでも、なぜそのようなご指摘を受けるに至ったのかを全職員と共に精査し、改善すべき点があれば真塾に反省するとともに、今後、問題の発生を根絶する事をお約点いたします。

 かかる反省内容や改善方針を着実に実地に移していくために、大阪府大阪市をはじめとする行政当局のご指導を常に仰ぐことを改めてお誓い申し上げます。さらには、法曹家・教育専門家などで構成される外部検証委員会を設置し、そのご指導を仰ぎ、常に自分たちの行為を批判的に検証していくことをお約束申し上げます。

 本学園は祖父森友寛創設以来、70年以上にわたり、地域における幼児教育の担い手として、何よりも地域の皆様と共に歩んでまいりたいと努力して参りました。4月から始まる我々の新体制が地域の皆様に受け入れられ、少しでも本幼稚園に通ってよかったと思って頂けるように、職員全員がその職責を全うし、幼児教育の実践に努めてゆく所存です。どうか本表明の意味するところをご理解頂き、更なるご指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

            学校法人 森友学園
            理事長  籠池町浪

*1:http://www.tukamotoyouchien.ed.jp/wp-content/uploads/07216f9fab6acf7d288005900360f996.pdf

*2:昨日週刊文春を立ち読みしたところによると、T氏は東大卒ながらノンキャリの公務員試験(I種以外)を受けた独身女性とのことだった。3年間昭恵の秘書を務めたT氏の公認も独身女性とのこと。仕事は激務らしい。

*3:「昭和22」年の誤記=引用者註。