昨日(12日)、職場に置いてあった日経を見て安倍内閣の支持率低下を知った。
内閣支持率37%、不支持率は48% 日経世論調査 :日本経済新聞
内閣支持率37%、不支持率は48% 日経世論調査
日本経済新聞 電子版
2017/10/11 20:46
日本経済新聞社の世論調査では、衆院選の公示直後の序盤情勢とともに、安倍晋三内閣を支持するかどうかについても質問した。内閣支持率は37%、不支持率は48%で、不支持率が支持率を上回った。日本経済新聞社とテレビ東京による9月の定例の世論調査では、内閣支持率は50%、不支持率は42%だった。今回は定例調査とは調査方法が異なるた…
同じ日経の下記記事は書き出ししか読めないが、問題の核心を突く記事にはなっていないだろうことは疑いない。
内閣不支持多いのになぜ与党優位? 野党競合で票分散 :日本経済新聞
内閣不支持多いのになぜ与党優位? 野党競合で票分散
2017/10/12 21:00
日本経済新聞 電子版
22日投開票の衆院選について日本経済新聞社が10〜11日に実施した序盤情勢調査によると、自民、公明両党が300議席に迫る勢いとなった。同調査では安倍内閣の支持率は37%。不支持率の方が48%と高い。政権批判の声が強いのになぜ与党は優位なのか――。序盤情勢調査の結果をもとに各選挙区を分析すると、3つの要因が浮かび上がってくる。都市部などで目に付くのは、野党候補が複数出馬して政権批判票が割れ、与党…
「野党候補が複数出馬して政権批判票が割れ」ているのはその通りだが、もともと民意とは多様なものなので、さまざまな主義主張や思想信条を持つ候補が複数出馬すること自体は自然な「あるべき姿」だろう。問題は、その民意が反映されない選挙制度にある。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20171012/1507765772#c1507833762
id:savage_garden 2017/10/13 03:42
日経での支持率が37%で自公圧勝の議席。選挙制度について議論がなされないと困りますね。
それに尽きますね。
ところで、下記のコメントに紹介された枝野幸男のインタビューを私は知りませんでした。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20171012/1507765772#c1507786617
kemou 2017/10/12 14:36
枝野は二大政党制や単純小選挙区制には批判的な面もあるようですね。それだけに選挙後の選挙制度のあり方に一石を投じる存在になってほしいです。民主党/民進党という二大政党制の申し子みたいな政党は事実上解体されたわけですし。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/09/edano-san-interview_a_23236977/
―立憲民主党は二大政党制を目指すのでしょうか。
二大政党制では(略)そこでは捉えきれない層、世論というものは間違いなくある。
2つに収斂されるべきだという意味での二大政党制は違う。
2つの大きな勢力が政権を競い合うけども、それ以外の、収斂できない声を受け止めるいくつかの政党があり、そうした政党の影響も受けながら政権を競い合う。それが正しい姿なのかなと。
単純小選挙区制にすれば2つに収斂せざるを得ない。
それは、この20数年の経験で「そうしなくて良かったよね」「そこまで極端にしなくて良かった」と僕は思っています。
―日本では強い二大政党制が実現できますか。
僕はそれがいいことだとは思わない。
―なぜでしょうか?
価値観が多様化しているので、2つでは収斂しきれない。
―意見をすくえない?
そうだと思います。その2つ以外のところの方がマジョリティーになっちゃう。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20171012/1507765772#c1507792625
id:redkitty 2017/10/12 16:17
上記引用記事中の枝野さんの言葉「その2つ以外のところの方がマジョリティーになっちゃう」って面白い。そうだ!と目を開かれました。私が知らなかっただけで、こう言われてきたのかとも思いますが。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20171012/1507765772#c1507800799
id:nessko 2017/10/12 18:33
とにかく二大政党制を! という発想自体がワナビーアメリカンでしかないんでは。
米国も英国も、それぞれの国の事情があってそのうえでやってるうちにああいう形態になってるわけで、社会背景が異なる日本で、二大政党制それ自体を目的化するのはおかしいんですよ。
そうしたほうが都合がいい人たちが一部にいるのかもしれないですがね。
二大政党制原理主義=ワナビー(want to be)アメリカン。ああ、そういやそうですね。なんでもかんでも「アメリカの陰謀」にしたがり、直近では矢部宏治の「誰が首相になっても、総選挙後に必ず起こる『2つの重大な出来事』」などというどうしようもない妄論に心惹かれる人たち*1は、いい加減現実を直視して選挙制度について真面目に考えるべきでしょう。
kemouさんにご紹介いただいたハフィントンポスト日本版の枝野幸男インタビューからもう少し引用する。
――希望の党への「合流」を決めた前原誠司さんは二大政党制への期待をまだ捨てていないと思いますか。
長く一緒にやっていたとしても、二人として同じ理念政策の人はいませんよね。細かく詰めていけば、(民主党時代の同僚議員の)長妻昭さんや福山哲郎さんとも、私は違います。
その違いが、今回は決定的な意味をもつ状況だった。政治の見通しも違っていた。前原さんは「政権交代可能な二大政党の一角を、どう維持拡大していくか」を考えている——そこは信じたい。
枝野幸男は前原誠司批判ととられないような曖昧な答えをしているが、このインタビューから読み取れるのは、枝野は必ずしも「二大政党制論者」ではないが(明らかに二大政党制への懐疑を持っている)、前原は明確な「二大政党制論者」とみなされることだ。
このあたりがこの二人と小沢一郎との距離の遠近の違いになったのだろう。周知の通り、小沢こそゴリゴリの「二大政党制原理主義者」だ。今回の「野党共闘」の破綻は、市民連合や共産党が小沢一郎や民進党(ともに二大政党制の本家本丸のような政治家と政党)と妥協して、「小選挙区制批判」を事実上棚上げしてしまったことに最大の原因がある。
「野党共闘」のブレーンの学者の中に山口二郎がいるが、彼はかつて「政治改革」で衆議院の選挙制度を小選挙区制へと導くのに大きな役割を果たした。そして政界で山口氏らに呼応して「剛腕」を発揮したのが小沢だった。
山口氏はのち小選挙区制の問題点を口にするようになったが、小沢が小選挙区制に対する反省を口にしたとは寡聞にして知らない。小沢が現在の政界においてもっとも頑迷固陋な小選挙区制原理主義者であろうことに疑う余地はない。
「小池新党から共産党までを全部ひっくるめた『野党共闘』が小沢一郎の理想だったことは明らかだが、その理想がどこからきていたかといえば、それは小沢自身の「二大政党制原理主義」「小選挙区制原理主義」だろう。つまり小選挙区制に勝つためには、思想信条や主義主張のかけ離れた政党や政治家同士でも野合しなければならないというわけだ。
小沢が2006年に民主党代表に就任して早々、共産党までを含めた野党間の連携を口にしたことを私は覚えている。その当時の共産党は「たしかな野党」路線だったから小沢の思う通りにはことは運ばなかったが、9年後の2015年の安保法成立直後にSEALDsだったかを介して市民連合や共産党の側から民主党(当時)や小沢一郎に「野党共闘」のアプローチがあり今に至る。「小沢信者」の妄想もとい信仰によれば、「小沢さんの力を持ってすれば小池新党(希望の党)から共産党までの『野党共闘』は可能だ」ということだったのだろうし、小沢としては「俺には共産党とのパイプがあるから、前原、お前は小池さんのところと一緒にやれ。最後には俺が左右双方をくっつける」といった思惑があったのではないかと想像するが、そんなことは最初から実現不可能に決まっていた。小池百合子や前原誠司・細野豪志らによる「民進党リベラル派の『排除』」は小沢構想の破綻をはっきりと示した。
選挙後に絶対に欠かせないのは、小選挙区制の見直しを含む選挙制度に関する本格的な国民的議論だろう。
私は、今は亡き「みんなの党」の比例代表を中心とした選挙制度の案が、それに含まれていたドラスティックな定数削減という大きな欠陥を除いて、制度設計としてはよくできていると思う。ここでその概要を改めて紹介しようとは思わないので、興味のおありの方はネット検索ででも調べていただきたい。