kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

株式投資で儲ける富裕層に対する課税強化が議論にもならない理由とは

北海道新聞の15日付社説より。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/151334

(前略)
 理解に苦しむのは、株などへの投資で億単位の年収を得ている人に対する課税強化が、議論にすらなっていない点だ。

 株の配当や売却益など金融所得にかかる税率は一律20%で、所得税最高税率45%に比べて低い。給与所得よりも金融所得が多い富裕層ほど税負担が軽くなるといういびつな構造がある。

 金融所得課税の税率は欧米と比べても低水準で、引き上げの余地は十分にある。課税強化を真剣に検討すべきだ。
(後略)

北海道新聞 2017年12月15日付社説「税制改正大綱税制改正大綱 再分配機能が不十分だ」より)


これこそ「(超)富裕層優遇の逆進課税」の元凶だが、「株などへの投資で億単位の年収を得ている人に対する課税強化が、議論にすらなっていない」最大の原因は世論の圧力が弱いことだ。

昔からの「減税=善」という馬鹿げた感覚は、今でも政権批判層の間に根強いと思われる。

「株の配当や売却益など金融所得にかかる税率は一律20%」とあるが、小泉政権の頃にこれを10%とする軽減税率が時限的に決められたことがある。これは毎回のように期限が延長された。民主党政権時代にも期限を延長するか打ち切るかを判断する時期が来たことがあり、財務大臣野田佳彦は軽減税率打ち切りを主張したが、金融担当大臣の自見庄三郎(当時国民新党)は延長を主張し、判断は総理大臣だった菅直人(現立憲民主党)に委ねられたが、あろうことか菅は自見に軍配を上げて軽減税率を延長しやがった。あの時私はつくづく「菅というのはダメな総理大臣だなあ」と思ったものだ。

結局この軽減税率を打ち切ったのは安倍政権だった。しかし、税率の20%を欧州並みの30%に上げよとの声はあまりにも小さい。だから安倍政権も反応しない。こういう政策に関しては、母方の祖父への崇拝から凝り固まっている憲法問題と違って、世論が強まれば安倍晋三も反応するはずだと思うのだがそうはならない。ひとえに世論の圧力が小さすぎるのが問題だ。