kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「高プロ」法案の問題点への理解が全然浸透しない理由

なぜ「高プロ」への反対論が全然盛り上がらないのか。私は見なかったが(最近その番組が放送されている時間に帰宅できることはほとんどない)、NHK竹中平蔵高プロ推進論をブチ上げまくり、対象範囲を拡大すべきだとの本音も平然と吐き散らかしていたと、ネットの一部では悪評紛々だ。だが、そんな竹中とタッグを組んだ小泉純一郎新潟県知事選で「野党共闘」候補を応援するからと言って志位和夫辻元清美がそれを大歓迎し、共産党立憲民主党の支持者らが党幹部たちのそんな姿に何も言えないのを見て、10年前のリーマンショックの頃に一瞬だけ燃え上がった「新自由主義批判」とはいったい何だったのだろうかと思わずにはいられない。

思えば小泉政権末期から麻生政権にかけて、ネットの反自公政権人士たちの間に「『右』も『左』もない、オレは『下』や!」という標語が浸透したことがあったが、この標語が端的に示すように、このネット言論には極右には甘いが新自由主義には厳しい傾向があった。それは、過激な新自由主義者の小泉が長期間政権を担っていたからだろう。私は当時、標語を掲げた者自身が率先して極右の平沼赳夫城内実らを応援する旗を振ったことを再三批判し、ブログの本文やコメント欄などで彼と激しく喧嘩したものだ*1

今はその頃とは違って、「ネトウヨ」(実態は「安倍信者」に過ぎない)には厳しいが新自由主義者には極端に甘くなっている。それは「極右」*2安倍晋三が長期政権を担っていることと関係があるだろう。小泉の時と同じ「敵味方思考」によって「敵の敵は味方」の論法から、10年前には極右、今は新自由主義者を仲間に引き入れてしまっている。

その結果の一つが「高プロ」反対論の「あんまりな」盛り上がらなさだ。先ほど、検索語「世論調査 高プロ」でGoogle検索をかけてみて表示された結果に愕然とした。

まず、昨年(2017年)9月の共同通信世論調査を伝える毎日新聞記事へのリンクが残っていて、それが筆頭で表示された。

https://mainichi.jp/articles/20170905/k00/00m/010/115000c

共同通信世論調査
高プロ制度」導入反対59%

 共同通信社が2、3両日に実施した全国電世論調査によると、安倍内閣の支持率は44.5%で、前回8月調査から0.1ポイント増の横ばいだった。不支持率は2.9ポイント増の46.1%だった。

 政府が進める「働き方改革」で、一部専門職を残業代支払いなど労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」の導入には59.2%が反対で、賛成は23.3%にとどまった。

 全国の有権者を対象にコンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかける方法で実施した。(共同)

毎日新聞 2017年9月4日 23時48分(最終更新 9月5日 01時15分)


ところが、先月20,21日に行われたNNNの世論調査では、前記共同通信の昨年9月の世論調査よりも内閣支持率はずっと低いのに、高プロ反対論は37%しかなかった。


上記サイトから、質問の文章と回答結果を下記に示す。

働き方改革についてお伺いします。専門職で年収1,075万円以上の労働者に対して、労働時間制限の規制を外す「高度プロフェッショナル制度」を導入する働き方改革関連法案が、国会で審議されています。あなたは、この「高度プロフェッショナル制度」の導入に賛成ですか、反対ですか?


賛成 22.8%
反対 37.0%
わからない、答えない 40.3%


賛成は昨年9月の共同通信世論調査(23.3%)とほぼ同じだが、反対が22ポイントも少ない37.0%で、「わからない、答えない」が40.3%もいる。

まず法案の問題点が全然理解されていない。これは野党や労組、それに「市民連合」に代表される「野党共闘」勢力の怠慢の反映、というか努力不足だとしか言いようがない。

そもそも「野党共闘」勢力における二大政党である共産党志位和夫立憲民主党辻元清美が、ともに新潟県知事選の「野党共闘」候補を小泉純一郎が応援してくれた、と感謝感激やら狂喜やらをした。小泉が前述の竹中平蔵と組んでやらかした過激な新自由主義の数々の悪政(その中には派遣法の製造業への対象拡大を含む労働の規制緩和もあった)などきれいさっぱり忘れてしまったかのような呆れた振る舞いだ。

また、「野党共闘」の理論的支柱ではないかと疑われる小沢一郎は果たして「高プロ」について何か言ってるだろうかと思って検索語「小沢一郎 高プロ」でググったが、みごとなまでに何も出てこなかった。おそらく小沢は、権力抗争には異様な執念を燃やす一方、労働問題にはさしたる関心もないのだろう。ちなみに、2番目に引っかかったのは下記のどうでも良いとしか言いようのないツイートだった。

https://twitter.com/I_hate_camp/status/813565760672935936

インドア派キャンパー 高プロは廃案
@I_hate_camp

"自由党小沢一郎共同代表は「共産党の大転換は生半可な気持ちではできない。私は深く深く評価する」と強調"

18:02 - 2016年12月26日


そもそも最近は、反安倍政権の人たちが、昨年あからさまな「排除」を言い出す直前まで過激な新自由主義者である小池百合子に「ワクワク」していたくらいだからもう本当にどうしようもないのだが、小沢はその直前の民進党代表選では手下たちを使って前原誠司を思いっ切り支援させたし、その後の「希望の党」設立にも関与しようとした。小沢を煙たく思う小池百合子によって、その後立民に移った民進党の一部政治家に先立って小沢は「排除」されてしまったが、前原誠司に「小池さんと組めばいいじゃないか」と言って背中を押した小沢の罪はどんなに厳しく批判しても厳し過ぎることはないほど重い。しかし、そんな小沢を志位和夫小池晃らの共産党枝野幸男辻元清美らの立憲民主党も批判できない。結局、昨年秋の民進党代表選から衆院選にかけての小沢の妄動は、何ら批判・総括を受けることなく今に至っている。

こんなざまだから、「働かせ方改革」法案を衆院で通過させてしまったのだ。

現状の延長線では参院での可決成立も遠くないが、「高プロ」の非を鳴らし、経団連竹中平蔵が涙を流して喜ぶ「高プロ」法案を提出した安倍政権を批判することを怠ってはならない。

*1:彼は、自分が運営するブログはコメント欄を受け付けなかったのに人が運営するブログにはコメントしてきて、出入り禁止にされたらそれを喚き立てるという、とんでもないダブスタ野郎だった。

*2:実際には単なる母方の祖父の「信者」であるに過ぎないが。