kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

新潟県知事選で「野党共闘」候補が敗北

やはり恐れていた結果になってしまった。

http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20180610398947.html

新潟県知事選、花角氏が競り勝つ
池田氏と3万7千票差

 米山隆一前知事の辞職に伴う第21回知事選は10日、投開票され、無所属新人で自民、公明両党が支持する元副知事で前海上保安庁次長の花角英世氏(60)が、無所属新人で立憲民主、国民民主、共産など野党5党が推薦する前県議の池田千賀子氏(57)に、約3万7千票差で競り勝ち、初当選した。

 与野党対決となった今知事選。花角氏は自民、公明両党のほか、大半の市町村長や各種業界団体などから幅広い支持を受け、分厚い組織戦を展開。保守層を徹底して固めた上で、無党派層東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に批判的な層にも一定程度浸透した。

 花角氏は原発について「県民の納得が得られない限り、再稼働はしない」と主張。経済活性化や交通網の強化、観光振興などをアピールした。

 野党系知事の辞職で県政が揺らぐ中、官僚として培った行政手腕や国とのパイプに期待が集まった格好。花角氏は10日夜、新潟市中央区のホテルで支持者らと万歳し、「ふるさと新潟を元気な、暮らしやすい新潟にすることを、あらためてみなさんにお約束したい」と決意を述べた。

 池田氏は立民、国民、共産、自由、社民の野党5党と連合新潟が推薦し、知事選では初となる「オール野党共闘態勢」を敷いた。原発再稼働への否定的な姿勢を強調、安倍政権を批判して無党派層の取り込みを図ったが、及ばなかった。

 無所属新人で前五泉市議の安中聡氏(40)は浸透しなかった。

 投票率は58・25%で、前回2016年よりも5・20ポイント上昇した。


 ◇県知事選開票結果(選管最終)
当546、670 花角 英世60 前海上保安庁次長 無新(1)
 509、568 池田千賀子57 前県議 無新
 (立民、国民、共産、自由、社民推薦)
  45、628 安中  聡40 前五泉市議 無新

当日有権者数 190万9379▽投票者数 111万2142▽投票率 58・25%▽無効 1万246▽持ち帰り 23▽不在者投票不受理 7

(『新潟日報モア』 2018/06/11 00:26)


昨夜はNHKの開票速報とはる氏のツイートを追っていたのだが、郡部であまり差がつかなかった。だから、これはもしかしたら池田千賀子候補の勝ちもあるかも、と思ってみていたら、開票が50%近く進んだ段階でNHKが花角英世の当選確実を出した。なぜ?と思ったが、なんと新潟市内、特に同市中央区などで花角が圧勝したのだった。

最終的な両候補の得票差は3万7千票あまりで、これは「惜敗」というには差が大きすぎ、「惨敗」というには小さすぎる。だが、「完敗」だったとくらいにはいえるだろう。

なお、選挙戦中あるいは開票速報の最中、一部で「自公の票田」とされた長岡市の票の出方に注目する向きが多かったが、長岡市では僅差ながら池田候補が勝った。長岡市は前回の知事選では自公候補・森民夫の票田となったが、森民夫は長岡市出身で長年長岡市長を務めた人だった。つまり氏の「地盤」だったから長岡で圧勝しただけだった。今回は長岡市期日前投票が前回より際立って増えたので、これは期日前を締め付ける自公の戦術なのではないかと言われた。それはもしかしたらその通りだったのかもしれないが、長岡市自体は自公が特に強い自治体ではないようだ。選挙戦中には何も書かなかったが、実は私は「長岡=自公の票田」説をずっと疑っていたので、やはりそうだったかと納得した。

それより何より、新潟市で花角英世の圧勝を許したことを「野党共闘」側は重く受け止める必要があるだろう。

たとえばこんなツイートがある。
https://twitter.com/kyoneshige/status/1005812058917560321

米重 克洋
@kyoneshige

争点別で補足すると、原発再稼働争点重視の層で池田氏が米山氏よりも食い込まれていることは当初指摘の通り。ただ、それだけではなく最終の態度決定者の重視する争点が「景気・雇用」にウェートが移った。池田氏の最後の敗因は多分、無党派で逃げ切れなかったことだと思う。

7:00 - 2018年6月10日


このツイートなどを見ていると、選挙戦中に小泉純一郎が池田候補の応援に新潟入りし、それを志位和夫辻元清美らが熱烈に歓迎したことが改めて苦々しく思い出されるのだ。小泉といえば、派遣労働の対象を製造業に拡大した2003年の派遣法改悪を初めとして数々の「規制緩和」によって日本社会の格差を拡大させ、貧困と「過労デフレ」を生み出した戦犯の新自由主義者だ。自公候補を支持せず野党候補に親和性の高い人たちの中にも、小泉の応援やそれを大歓迎する「野党共闘」における二大政党の党首や幹部の姿を知って「疎外された」と感じた人は少なくなかったのではなかろうか。

今回の選挙戦中には、上記の小泉・志位・辻元らの問題の他にも、「野党共闘」をめぐって、新潟県知事選とは直接の関係はないものの不可解な出来事があった。

それは、「野党共闘」の軍師であり、そのツイートが多くの野党政治家に参照されリツイートされていた木下ちがやTwitterでは「こたつぬこ」)氏が突如ツイートを事実上停止したのだ。

これには、いわゆる「しばき隊」界隈をめぐって木下氏がオフレコの場で行った性差別的発言が公にされた一件が端を発しているらしい。

しかし、それらは当事者に近い人たちその他を除いて触れられないし、その件に関する個々人の立場が表明されないことが多い(もちろん立場を表明する人たちも少なからずいるが)。これまで「しばき隊」界隈にはほとんどかかわりがなかった私から見ると、不透明極まりないように思われる。

一部の人たちは木下氏が「失脚」したという表現を使っていた。私は当初、まさかオフレコ発言で「失脚」なんて、と思っていたが、本当にそうなりそうだ。

こういう不透明さが「野党共闘」界隈にはある。

加えて、「野党共闘」では小選挙区制批判が事実上封じられている(時折話を出す人がいるけれども決して大きな議論にはならない)等の問題点がある。これについて、野党共闘を支える「市民連合」が事実上小沢一郎を理論的支柱としているからだとの指摘があり、その指摘がどうやら当たっているのではないかと思っているとは、少し前に書いたばかりだ。「野党共闘」はその小沢一郎共産党(党内において「民主集中制」を原則としている)のコラボであり、両者の結節点にいたのが前記木下氏ではないかと私はにらんでいる。

「信者体質」の強い小沢一郎一派と「民主集中制」を組織の原則とする共産党とが組むと、今の「野党共闘」のような、「下からの議論」を許さず、自らにまつろわぬ者には容赦ない罵詈雑言を浴びせかける体質が生まれてしまうのかと思うようになっている。昨年の衆院選で「下からの民主主義」を唱えて躍進した立憲民主党もしっかり上記「野党共闘」の体質に組み込まれている。もともと同党は衆院の比例定数80減を唱えていた民主党から分かれた政党であって、党内には右翼や新自由主義者も多く(後者については「みんなの党」出身議員を多く抱えている)、小沢一派と共産党とのコラボに容易に組み込まれる体質を持っているように私には思われる。

そんな「野党共闘」の一方の主役である小沢一郎は、昨年の衆院選でも小池百合子と野合しようと画策したことからも明らかなように、新自由主義者や右翼と組むのは平気の平左だ(そもそも小沢自身が新自由主義的な傾向や右翼的傾向を持っている)。そんな指導者たちが有権者(特に労働者)を疎外しているのが昨今の「野党共闘」なのではなかろうか。今回の新潟県知事選は、悪天のせいもあったが投票率が上がらなかった。自公の候補にも、小泉純一郎に応援される野党候補にも投票する気にならなかったと思った人は少なくなかったに違いない。

やはり「野党共闘」への支持は人々に全然浸透していない。現状の延長線上では、今後も同じような負け方を繰り返していくだけだとしか私には思えないが、各党や会派の責任者たちが発したコメントを見る限り、その反省は全く感じられない。

覚悟はしていたが、前途に光明が見出せない新潟県知事選だった。