kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「ジャパンイズチープ」に落ちぶれてしまった日本経済

時々、日本を訪れる外国人が増えたと報じられる。

このことについて、日本に来る人が増えた理由は日本の物価が安いからだが、「日本スゴイ」の人はそれをあまり言いたがらない、というツイートを見かけた。Twitterはなかなかネット検索に引っかかりにくいので、URLは見つからなかった。そんなことが頭にあるところで、『広島瀬戸内新聞ニュース』の下記記事に接した。

https://hiroseto.exblog.jp/27598197/

移民推進の政府も排斥のヘイトスピーチの人たちも間違っている【備忘録】


日本の場合は、そもそも、日本人も、今来ている外国人労働者もきちんと労働基準法が守られていないのが大問題である。表面上の労働条件だけでなく、パワハラもひどい。
このままだと、日本人も過労死で日本は衰退一途。外国人の中には日本に失望して反日に回る人も出るだろう。

「ジャパンイズチープ」は有名で、日本は海外旅行先としては安いと人気の一方、優秀な外国人は既に日本は避けて、中国やシンガポール、マレーシアなどに流れている有り様だ。
移民推進の安倍政府も、ヘイトスピーチの人たちも全く議論すべき論点を避けている。
このままだと日本は自滅だ。

(『広島瀬戸内新聞ニュース』2018年10月15日)


検索語「ジャパンイズチープ」でググると、同じ『広島瀬戸内新聞ニュース』の今年に入ってからの記事がいくつか引っかかる。

https://hiroseto.exblog.jp/27358019/

「japan is cheap」路線で暴走の果てに「現代の本土決戦」高プロ&五輪ボランティア


海外の企業では「ジャパンイズチープ」というのが合言葉らしい。
日本はもはやいわゆる欧米先進国はもちろん、中国や韓国、マレーシアなどの都市部と比べても安い給料で人が雇えるというのだ。
日本では人手不足というけど、その実態は、外国企業より安い給料しか日本企業が出さないから、ということになる。
日本人がおとなしすぎるのに漬け込んで給料を出し渋った結果、少子化と海外の優秀な労働者の日本敬遠が合わさって今の状況になっている。
そこで、じゃあ無制限に人間を働かせちゃえ、というのが高プロの狙いである。
ここまでくると市場経済ではなく「一定の支払いで無制限に労働を徴発する」統制経済である。
成果に応じて払う?バカをいいたまえ。今の日本企業の体質では、早く終わったらさらに仕事を押し付けるだけだ。だが、次々と現場では人が倒れ回らなくなっていくだけだ。企業よりえぐいのが恐らく安倍晋三&偽野党小池による東京五輪ボランティア徴発だろう。
特に学生を内申書を餌に強制徴用しかねない。酷暑のなか少年少女がこきつかわれる。まさに本土決戦だ。
日本経済の現状を見れば、いまはもはや1945年状態だが五輪まで降伏しなければ経済版の本土決戦である。

「ジャパンイズチープ」といわれておかしいと思わない日本人がおかしいと思う。

ちなみに日本の建て直しはこのままだと現代版進駐軍=日本企業よりは高い給料を出せる中国や韓国や場合によってはマレーシア企業の日本進出などが契機になると見ている。

(『広島瀬戸内新聞ニュース』2018年6月24日)


https://hiroseto.exblog.jp/27555182/

【備忘録】外貨ベースでは「ジャパンイズチープ」が背景 地価上昇


地価が27年ぶりに上昇した。広島市などは東京など三大都市圏より地価が上がっている。特に商業地や土砂災害リスクが低い平坦な住宅地だ。
ただ、ここ数年、ドルやユーロベースで見ると日本は地価が低くなりすぎていたと思う。
「ジャパンイズチープ」だ。
割安感からの外国人による買いは結構あるし、日本人も追随して買う動きはあったと思う。

日本は確かに風光明媚ではあるし、人口減で土地は余るが外国人にはチャンスということはあるだろう。
日本人若者の減少で中国や韓国より受験や就職は簡単(ジャパンイズイージー)ということで若者人気もそこそこある。

就職氷河期以来、日本の特に若者に冷飯を食わせて来た結果、今、ひどい人手不足になった。その恩恵を中国や韓国での受験や就職を回避した若者が受けるという構図になるだろう。

そういうことで、ひょっとすると日本の地盤沈下に一定の歯止めがかかる可能性も見えてきたと思う。ただ、主役が外国出身の若者や外国企業という可能性が高い。それは頭においておいた方が良さそうな時代だ。

ただ、地盤沈下に歯止めがかかっても、中国を抜き返すとかそういうところまでは難しいだろう。日本が教育費削減などを続ける限りは。

(『広島瀬戸内新聞ニュース』2018年9月18日)


日本経済のデフレが始まったのは、バブル経済が頂点を極めた1989年から5年が経った1994年である。時々Twitterで、日本のデフレが始まったのは消費税が創設された1989年だと書いているのを見かけるが、これは誤りだ。

私は1993年秋に2か月間アメリカ西海岸に滞在していた。その当時、シアーズで買える食料品はなんて安いんだと思った。そのシアーズの破産法申請が昨日報じられた。

米小売り大手シアーズ、破産法申請 事業継続探る (写真=ロイター) :日本経済新聞

米小売り大手シアーズ、破産法申請 事業継続探る

【ニューヨーク=平野麻理子】米小売り大手シアーズは15日、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。アマゾン・ドット・コムなどネット通販の台頭で来店客数が減少し、業績が悪化していた。破産申請で裁判所の管理下に入り、負債削減やリストラに取り組みながら事業継続の道を探る。一部店舗では、年末商戦に営業を続けるもよう。

複数の米メディアによると、シアーズエドワード・ランパート最高経営責任者(CEO)は、事業の継続を強く望んでいる。2017年に同じく破産申請した玩具量販のトイザラスも当初は事業継続を模索したが、債権者との交渉が難航。買い手も見つからず、最終的に米国事業の清算に追い込まれた。

シアーズは全米で百貨店「シアーズ」とディスカウントストア「Kマート」を現在約700店を運営している。

かつてシアーズウォルマートと並んで米国を代表する小売りチェーンだったが、ネット通販の広がりや激安店の増加で、経営不振に陥った。ここ数年、店舗閉鎖や人員削減を進めたが、17年度まで7年連続で最終赤字を計上していた。

日本経済新聞 2018/10/15 14:55)


まさに今昔の感だが、25年前にアメリカのディスカウントストアではなく「百貨店」で買い物をしても「安い」と思えたのが、今では「ジャパンイズチープ」になってしまった理由に、四半世紀も続くデフレがあることは想像に難くない。

そして、そのデフレの一因に、新自由主義理論に基づく労働政策があることは間違いないと思っている。先日、労災認定された5人のうちの3人が裁量労働の社員だった三菱電機裁量労働制を全廃したことが報じられたが、同社は「長時間労働を是正するために」廃止したと言っていた。しかしこれは名目上のことであって、実際には、裁量労働制の採用が企業収益の改善をもたらさず、過労死した社員を出してしまっただけなので止めたのだろう。

以前にも書いたが、私は2か月間アメリカに滞在したのと同じ1993年に、半年間だけ裁量労働制下で働いたことがある。1993年*1といえば、あの悪名高い日経連の「新時代の日本的経営」が発表される2年前だが、1993年当時には既に従業員の賃金を下げる経営者の策動は始まっていたのだった。いうまでもなく、この策動はバブルの崩壊を受けたものだ。

今年、裁量労働制の法案提出は見送られたが、「高プロ」は法案が成立してしまった。これらは、バブル崩壊時代、まだ日本の物価も賃金も外貨ベースで高かった頃の「経営者の反攻」が、すっかり「ジャパンイズチープ」になってしまった現在でも「惰性力」で続いているだけの「トンデモ労働政策」以外の何物でもないが、裁量労働制の法案が敵失で潰れただけで、「高プロ」はたいした抵抗も受けずに通ってしまった。

こんなトンデモ反動政策は、当たり前だが持続不可能なものであって、このような政策を続ける政権はいずれ打倒されてしかるべきであることはいうまでもないが、本当は成立させること自体あってはならなかった安倍晋三の政権が、もう6年も続いている。なるほど安倍政権には金融緩和というウリがあったが、政権はこれと緊縮財政やトンデモ労働政策を組み合わせることによって、金融緩和の効果を打ち消してしまったどころか、政権の経済政策はトータルとしてみればマイナスにしかなっていない。

一部の「りふれは」経済学者やエコノミスト、及びその尻馬に乗る菊池誠ら御用人士は、そんな安倍政権を「経済政策はリベラル」などと僭称するが、寝言は寝てから言えとしかいいようがあるまい。しかし、安倍政権の「経済政策はリベラル」なる間違ったラベリングは、ブレイディみかこ北田暁大松尾匡の鼎談本の見出しにまで出てきて、嘆かわしいことこの上ない。これは鼎談に参加した3人の責任というより編集者の責任が重いのだろうとは思うが。

心あるリベラル派は、間違っても「安倍政権の『経済政策はリベラル』」なる大嘘を広めてはなるまい。

*1:1993年は、一昨日読売の菅野にノーヒットノーランを食らった(怒)ヤクルトスワローズが2年連続リーグ制覇と15年ぶり日本シリーズ制覇をなしとげた年だ。