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秋篠宮「大嘗祭支出に疑義」発言に思うこと

秋篠宮のあからさまな「政治的発言」が話題になっている。

秋篠宮さま、大嘗祭支出に疑義「宮内庁、聞く耳持たず」:朝日新聞デジタル

秋篠宮さま、大嘗祭支出に疑義「宮内庁聞く耳持たず」
多田晃子、中田絢子
2018年11月30日00時00分

 秋篠宮さまが30日の53歳の誕生日を前に紀子さまと記者会見し、天皇の代替わりに伴う皇室行事「大嘗祭(だいじょうさい)」について、「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」と述べ、政府は公費を支出するべきではないとの考えを示した。この考えを宮内庁長官らに伝えたが「聞く耳を持たなかった」といい、「非常に残念なことだった」と述べた。

 記者会見は誕生日当日の30日に報道されることを前提に、22日に行われた。政府が決定した方針に、皇族が公の場で疑義を呈することは異例。秋篠宮さまは来年5月の代替わり後、皇位継承順位第1位で皇太子待遇の「皇嗣(こうし)」となる。

 大嘗祭は、新天皇が新穀を神々に供えて世の安寧や五穀豊穣(ごこくほうじょう)などを祈る儀式。1990(平成2)年に行われた前回の大嘗祭では、国から皇室の公的活動に支出される公費「宮廷費」約22億5千万円が使われ、「政教分離に反する」という批判は当時から根強くあった。政府は今回も、儀式に宗教的性格があると認めつつ、「極めて重要な伝統的皇位継承儀式で公的性格がある」として宮廷費を支出する方針を決めた。前回を踏襲して同規模の儀式を想定しているが、人件費や資材の高騰で費用が増す可能性もある。

 これに対し、秋篠宮さまは天皇家の「私費」にあたる「内廷会計」で賄うべきだと述べた。遺産や国から支出されている内廷費などだが、使途は天皇家の裁量で、通常の宮中祭祀(さいし)にも使われている。

 秋篠宮さまは「身の丈にあった儀式」にすることが本来の姿、とも述べた。前回の代替わりでも同様の意見を述べていたといい、今回も宮内庁の山本信一郎長官らに「かなり言った」というが、考えてもらえなかったという。

 山本長官は直後の会見で「聞く耳を持たなかったと言われるとつらいが、そのようにお受け止めになったのであれば申し訳ない」と話した。一方、天皇陛下からは即位関係の諸儀式などは皇太子さまとよく相談して進めるよう伝えられているといい、「ご理解を頂いて進めている」としている。(多田晃子、中田絢子)

     ◇

 〈大嘗祭〉 新たに即位した天皇が1代に1度限り行う重要な儀式。稲作農業を中心とした古代社会の収穫儀礼に根ざしたもので、7世紀の天武天皇大嘗祭が最初とされる。中核の「大嘗宮(だいじょうきゅう)の儀」では、新天皇がその年に収穫された米などを神々に供え、自身も食し、五穀豊穣(ほうじょう)や国家安寧を祈る。今回は来年11月14〜15日に予定。このために皇居・東御苑に大嘗宮(前回は建設費約14億円)が新設され、儀式後に解体・撤去される。

朝日新聞デジタルより)


この報道に最初接した時、そりゃ秋篠宮が言う通りだけど、こんな政治的発言を皇族がやっていいのかよ、と思った。

それと同時に、「内廷会計」と言ったって結局は税金なんだろ、との疑問も持った。

右翼はこの秋篠宮発言に強く反発しているらしい。

また、内閣官房長官菅義偉秋篠宮発言に取り合わないコメントを発したと報じられた。

一方、「リベラル」と思われる人間のツイートを見ると、皇太子が尊敬する人物は明治天皇だけれど、秋篠宮は皇太子よりリベラルなんだ、としたり顔で呟いていた者がいた。

しかし、私が不審に思ったのは、日頃からネトウヨに標的されているのは、むしろ来年5月に皇后になるであろう雅子皇太子妃であって、彼女は宮中祭祀にどうしても馴染めず、強い拒絶反応を示した結果心を病んでしまったと伝えられている。

つまり、大嘗祭などにもっとも強い抵抗を持っているのは、現天皇・皇后などではなく、雅子皇太子妃とその夫である徳仁皇太子に違いないのだ。むしろ、秋篠宮は「宮中祭祀重視派」であるらしい天皇・皇后(これは原武史氏の説だ)に近い立場の人だとの印象を私は持っていた。

そこで、前記原武史氏のツイートを開いてみると、下記の呟きがあった。

https://twitter.com/haratetchan/status/1068488965123014663

大嘗祭に関する秋篠宮の発言に関して、「政治的な発言とはいえない」「政治的な発言といえる」という二つの解釈が対立しあっているように見えるが、必ずしもそうとはいえない。なぜなら、「政治的な問題になることを避けるために政治的な発言をした」といえるからだ。

4:56 - 2018年11月30日


謎かけのようなツイートだ。どういう意味なんだろうかと頭をひねった。

それと同時に、「内廷会計」だって税金だろ、という素朴な疑問から、これについて調べてみた。

すると、この内廷会計は年間3億2千万円程度だと知った。つまり、秋篠宮はこの枠の予算の中で大嘗祭の費用を賄うべきだと言っているわけだ。そうすると、多くとも数千万円程度の予算になる。上記朝日新聞記事によると

1990(平成2)年に行われた前回の大嘗祭では、国から皇室の公的活動に支出される公費「宮廷費」約22億5千万円が使われ

たとのことだから、それより二桁小さい金額で宮中祭祀として簡素に行えという意味になる。

この秋篠宮の提案が実現すれば、新天皇夫妻にとっては大助かりだろう。

つまり秋篠宮は、巨額の費用をかけて、「皇室の公的な行事」として行われる大嘗祭に対して新皇后が強い拒絶反応を示し、新天皇も皇后を支持する立場に立つことを明言したりしたら、それこそ大きな「政治的な問題になる」ので、それを避けるために秋篠宮は代替わり前の今のうちに「政治的な発言をした」と解釈される。原氏の言わんとしているのはそういうことではないかと勝手に解釈した。この想像が当たっているかどうかについては全く自信がないが、この意図があったとすれば、それは秋篠宮なりに天皇家及び天皇制の存続を願っての発言だったともいえる。

なお、大嘗祭って国事行為なんだろうかと疑問を持ったので調べたところ、Wikipediaという安易な手段に頼ってしまったが、下記の情報を得た。

今上天皇では、平成2年(1990年)11月12日に即位の礼が、11月22日から23日に大嘗祭が行われている。

即位礼に関わる儀式が国の行事とされたのに対し、大嘗祭に関わる儀式は皇室の行事とされた。しばしば誤解されているが、ここで「皇室の行事」というのは、「皇室の私的な行事」という意味ではなく、「皇室の公的な行事」という意味である。大嘗祭の予算は通常の内廷費以外の臨時のものが組まれている。当時の政府発表(最終回答)によれば、大嘗祭が「国事行為」とされなかった理由は、憲法上の天皇の「国事行為」とは「内閣の助言と承認」を必要とするものであり、皇室の伝統祭祀である大嘗祭は「国事行為」に当たらないためである。

大嘗祭 - Wikipedia より)


つまり大嘗祭は建前上「国事行為」ではないが、さりとて「宮中祭祀」にとどまるものでもなく、1990年の大嘗祭は「皇室の公的な行事」という位置づけだったらしい。これは詭弁あるいは強弁であって、宗教色の強い大嘗祭を「公的な行事」として行うことは憲法違反に決まっていると私は思うが、秋篠宮大嘗祭宮中祭祀の枠内に収めよ、つまり「政府は日本国憲法を守れ」と事実上言っているわけだ。

もちろん、この秋篠宮の発言自体があからさまに政治的発言であり、日本国憲法に抵触していることはいうまでもない。

だからリベラル・左派は秋篠宮の発言とは無関係に大嘗祭について批判的に論じなければならない。このことはおさえておきたい。


[追記]
今朝(12/2)のサンデーモーニングで知ったが、秋篠宮は長女の眞子氏の婚約破棄を望むかのような発言もしていた。あれも(皇族でなければ?)憲法24条違反ではないかと思った。