下記ツイートからリンクを張られている「根戸ウヨ子」って、いわゆる「ネトウヨ」(実体は「安倍信者」)をバカにするTwitterアカウントだとしか思えないのだが、それはともかく。
元号以上に広く庶民に普及していた尺貫法を廃し、世界標準の理念の下にそれらをメートルやグラムに置き換えた時、伝統の破壊だとかいう論争は起きたんですかね。 https://t.co/y0knG5GhHG
— 吟味するスタンス (@outdated22) March 3, 2019
尺貫法は1950年代に書かれた松本清張の初期作品に頻出するし、同じ頃(1950年代後半)に書かれた城山三郎作品でも見かけた。尺貫法が廃止されたのは1959年だった。
昔の小説で尺貫法に遭遇するたび、メートル法に換算するとどのくらいかわからず、面倒だなあと思ってしまうのだが、尺貫法の起源は元号と同様に中国だ。つまり「脱亜入欧」だった。今の「保守」の大勢は「脱亜入米」だから元号を廃止したって全然構わないじゃん。秋篠宮家の眞子氏も安倍晋三も西暦を使ってるし、安倍昭恵に至っては官僚に代筆させたツイート以外には元号を使うことはまずないと言われている。
しかも日本における元号の歴史はせいぜい西暦645年(これもかなり怪しい)にしか遡れないし、元号法に至っては施行されてからまだ40年しか経っていない。「根戸ウヨ子」は大馬鹿そのものなのだが、だからこそ私は「根戸ウヨ子」がネトウヨ(「安倍信者」)を嗤うためのアカウントに違いないと推測するわけだ。なお、元号法制定の原動力が今の「日本会議」の前身だったことは最近有名になった。
元号法制化が議論されていた頃、私は既に政治に関心を持つ高校生だったのでよく覚えているが、当時元号法の施行に伴って馬鹿馬鹿しい変化があった。たとえば記念切手にはそれまで西暦だけが表記されていたのが、西暦と元号が併記されるようになった。また、1968年から78年までの間は気象庁が命名する地震の名称に西暦の年数が付されていたが、元号法制定以降、「元号(西暦)」の年数が付されるようになった。そして、これは今ネット検索をかけて知ったことなのだが、昨年(2018年)北海道で起きた地震は「平成30年北海道胆振東部地震」と命名された。つまり括弧内の西暦表記を取っ払ってしまったのだ。これには呆れ返った。以下にWikipediaからコピペして地震の名称の変遷を示す。
気象庁が命名した自然現象の一覧 - Wikipedia より
地震・火山現象
それでTBSが募金を呼びかける時に「平成30年北海道胆振東部地震」なんて言ってたんだ、と今頃になって気づいた。私はこのアナウンスを耳にするたびに「なんで平成なんか使うんだよ、耳障りだな」と思っていたのだった。戒厳もとい改元を目前に控えて、右翼的な官僚が「なんで西暦を併記するんだ」と言い出したのか、それとも単に事務的な手違いで西暦が抜け落ちたのかはわからない。
しかし、上記のような主に権力側による反動が見られる一方、日本社会ではこの40年間で西暦が急速に普及、浸透した。その最大のきっかけは昭和天皇の死去に伴う昭和から平成への改元であって、あれで不便さを痛感した人たちが一斉に西暦表記に切り替えた。
今回の時期をあらかじめ決めた上での改元は、「何月何日に元号が切り替わるかわからない」不便さ故に「元号離れ」が一層進むことを食い止めるための、天皇及び宮内庁の側からの反動的な試みだったと私はみている。
それに抵抗したのが安倍晋三だったり日本会議に代表される(自称)「保守」だったりしたことは歴史の皮肉だが、それでも30というキリの良い数字で前の元号と換算できてしまう点では、天皇と宮内庁の悪知恵はある程度奏功してしまう。
四月馬鹿の日に新元号が発表されてから*1当分、新旧元号をめぐる馬鹿騒ぎがテレビを中心に繰り広げられるだろうが、今からうんざりしている。
*1:残念ながらたぶん「安」の字は用いられないだろうと私は予想している。