kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

ドラフト会議、奥川恭伸はヤクルト、佐々木朗希はロッテが交渉権獲得/気合いが入らないソフトバンクと読売の日本シリーズ予想

 先日のドラフト会議で、注目された佐々木朗希はパ4球団の競合の末ロッテに、奥川恭伸はセ3球団の競合の末ヤクルトにそれぞれ指名された。ヤクルトが競合で注目選手の当たりクジを引くケースはあまり記憶にないので、読売と阪神にたとえクジ引きではあれ勝ったことは、散々だった今年のプロ野球にせめてもの最後っ屁をかまして溜飲のほんの一部を下げたというところか。

 しかし12球団最弱の投手陣であることが数字にもはっきり表れているヤクルト*1だけに、来春高校卒の奥川を1年目から酷使することは避けたい。また古い話だが、故武上四郎監督がやったような、エース・尾花を救援させて荒木大輔に初白星をつけたり(1983年)、故高野光をいきなり開幕投手に起用するなどの気を衒った起用はしないでほしい。名リリーフ投手だった新監督の高津臣吾は、武上や野村克也*2のような馬鹿な真似はしないだろうとは思うが。監督が小川淳司から高津に代わったことで、奥川にとって良い目が出るのではないかと期待している。

 ところで今日から日本シリーズだが、今年くらい気合いが入らない日本シリーズも記憶にない。私は日本シリーズに読売が出る場合、普段なら読売負けろと強く念じるのだが、相手がソフトバンクでは半分どうでも良いと思ってしまう。最近は毎年のようにソフトバンクが出てくるが、このチームが出てくると私はいつもセ・リーグのチームを応援して見ているのだ。ことにヤクルトがソフトバンクの巨大戦力に歯が立たなかった2015年の日本シリーズ以降、ソフトバンクに対する忌避感はいやが上にも高まった。だから、読売には負けて欲しいけれどもその相手がソフトバンクとあってはどうしても気合いが入らないのだ。読売の相手が故星野仙一率いる楽天だった2013年も気合いが入らなかったが、あの年はまだ楽天田中将大というリーグ戦無敗の投手がいて、彼がどんな投球をするかという興味があった*3。今年はそれもなく、せいぜい読売のドスコイ(山口俊)とソフトバンク千賀滉大の投げ合いくらいであって、両者とも良い投手には違いなかろうが、突出した大エースだとまでは思えない。

 しかもホークスという球団は、過去18度も日本シリーズに出場して9勝9敗だが、こと読売戦に関しては1勝9敗であり、故杉浦忠の4連勝で唯一読売を破った1959年のシリーズからもう60年も経っている。幸か不幸か、過去半世紀の間にはホークス対読売は2年か対戦がなく、一度は1973年の読売V9の年であり、二度目が史上最悪の日本シリーズだった2000年の「ON対決」だった。あんなつまらない日本シリーズはなかった。第2期長嶋茂雄監督時代の読売は、監督采配の不要な「巨大戦力」を擁していたのだった。そして当時の読売のような巨大戦力を擁するようになったのが近年のソフトバンクであって、2011年中日、14年阪神、15年ヤクルト、17年DeNA、19年広島を次々と撃破して行った。最後に残った読売と今回対戦するというわけだ。

 しかしさしものソフトバンクの巨大戦力にもかげりが見えており、昨年と今年は2季連続のリーグ2位に終わった。それでもクライマックスシリーズでひっくり返せたのは、いつの間にか西武が重篤な「ホークス恐怖症」にかかってしまったせいであって、その象徴がプロ入りからソフトバンクにだけはなかなか勝てずに13連敗した菊池雄星だった。菊池は昨年のリーグ戦の終わり頃にようやくソフトバンクに勝ったが、クライマックスシリーズ第1戦では無惨に打ち込まれ、そこから西武の2年連続クライマックスシリーズ敗退の惨劇が始まった。その程度の投手がメジャーで活躍できるのかと疑っていたら、案の定マリナーズで打ち込まれて二桁敗戦を喫した。

 それでも、投手力は弱くとも、浅村を楽天に強奪されてもなおリーグ一の強力打線を誇る西武が日本シリーズに出た方が読売に勝つ可能性は高かったのではないか。西鉄時代を含めてライオンズは過去20度の日本シリーズに出場して13勝7敗だが、読売戦7勝3敗、他の5球団とは6勝4敗(対中日3勝、対広島2勝、対ヤクルト1勝2敗、対阪神1敗、対横浜1敗)という結果が残っている。

 蛇足だが、今世紀に入ってからの読売のリーグ戦及びポストシーズンの成績を、リーグ戦2位以下を×、リーグ戦優勝でCS敗退を△、リーグ戦優勝で日本シリーズ敗退を○、日本シリーズ優勝を◎で表記すると、×◎××××△○◎××◎○△××××となる。これは2001年以降の結果だが、2003年以降に限ると、2010年と2011年の間を対称軸とする左右対称になる。そして2002年に読売は西武を4タテして日本一になっているから、今年もこのシンメトリーが続くなら、読売がソフトバンクを破ることになる。

 こんな(今年に限っては)ジンクスもあることだし、日本シリーズは読売が勝つのではないかと恐れている。いや、こんな馬鹿げたジンクスは別にしても、ソフトバンクの戦力に見えるかげりや、ちょっと劣勢になるとシュンとしてしまうソフトバンク監督・工藤公康を、丸を広島から強奪して厚みを増した読売の打線や、今年復帰した監督の原辰徳の安定した采配と比較した時、やはり読売が勝ってしまうのではないかと恐れる今日この頃なのだ。

*1:今年のヤクルトのチーム防御率は12球団でも突出して悪い4.78で、セ・リーグチーム防御率5位のDeNAの3.93に大きく水を開けられ、パ・リーグチーム防御率最下位の西武の4.35と比較しても0.43もの差がある。

*2:野村は1年目の伊藤智仁(1993年)や3年目の岡林洋一(1992年)を酷使して潰した。

*3:もっとも田中は星野に酷使されていたせいか、第2戦で勝利投手になったもののそれほど抜群の投球ではなかったし、第6戦ではついに菅野智之に投げ負けた。しかし星野はこの試合で田中に160球以上の投球数で完投させた上、翌日の第7戦でも救援を命じるという、いかにも星野らしい投手酷使をやらかしたのだった。