昨日(4/2)東京都で新たに確認された新型コロナウイルス(COVID-19)陽性患者は97人だった。また昨日確認された陽性患者66人に対し検査実施人数は164人で、陽性率は40%。10日続けて陽性率が20%以上となった結果、4/1までの累計は検査実施人数3336人に対して陽性患者597人となり、陽性率は17.6%となった。これは全国平均の約6%と比べておよそ3倍の値であり、このところ毎日のように書くが、少なくとも東京都においてはPCR検査が間に合っていないことを強く示唆するデータだといえる。以上書いたデータは、下記東京都のサイトに掲載されているグラフから読み取ることができる。なお陽性率を計算する時には、陽性患者数の累計から最新の1日分を引き算する必要がある(検査実施人数の公開が陽性患者数の公開よりも1日遅いため)。
現在広く見られるのは「正常性バイアス」だ。これは社会心理学や災害心理学で用いられる言葉であり、自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価したりしてしまう心理のことだ。ついつい平時の感覚でものごとを都合よく考えてしまうことともいえる。昨日、安倍を批判したさるツイートに枝野幸男が反応した下記ツイートは、この観点から間接的に安倍を批判したものといえるだろう。
正常性バイアスに陥ると「最悪を想定して備える」という危機管理の基本から大きく外れていきます。東日本大震災と原発事故では正常性バイアスに陥りようがないほど次々と事態が悪化しましたが、そんな中でも「正常性バイアスに陥っていないか」を強く意識していました。 https://t.co/mpEnqFBNPg
— 枝野幸男 りっけん 立憲民主党 (@edanoyukio0531) 2020年4月2日
枝野については、もともと改憲論者だし、立憲民主党を立ち上げたばかりの頃に蓮舫と山尾志桜里の入党を認めたことや、一時期自らが引き入れた山尾に引きずられるかのように小林よしのりに接近したことから一定の距離を置いているが、上記の指摘は正しい。このあたりの感覚は、ことに東電原発事故に対応した経験がものを言っている。
一方、安倍晋三は論外だ。例の「安倍のマスク」は、この日記では現元号とプロ野球・読売球団の日本語の愛称と並んで「3大NGワード」にしているカタカナ6文字をもじった呼び名なので面白くないが、海外でも冷笑をもって報じられたという。
アベノマスク、海外デビュー。 pic.twitter.com/zHqVWaSSaH
— TrinityNYC (@TrinityNYC) 2020年4月2日
貼り付けられている画像は、アメリカのブルームバーグの記事だ。
見出しにある "with Derision" は「冷笑をもって」という意味。露骨に馬鹿にされているのである。
この「安倍のマスク」の政策には、多くの人が「経済産業省の匂いがプンプンする発想」だと思っただろう。実際、日本でCOVID-19感染者がみつかるようになった初期の頃に、北海道の自治体でマスクを各家庭に配るとかいう話があって、それが実施されたかどうかは知らないのだが、これなどおそらく今井尚哉の入れ知恵だろうと思っていた。
そんなことを思っていたところに、タイムリーに朝日新聞の報道があった。
布マスクで「不安パッと消えます」 官僚案に乗って炎上https://t.co/5ihzJSIuUF
— 朝日新聞デジタル編集部 (@asahicom) 2020年4月2日
マスク配布の構想は、実は1カ月以上前から首相官邸内で浮上していました。「全国民に布マスクを配れば、不安はパッと消えますから」。首相にそう発案したのは、経済官庁出身の官邸官僚でした。 #新型コロナウイルス pic.twitter.com/wqhhBvnCpt
やはり今井尚哉だ。間違いない。
安倍晋三に対する今井尚哉は、山本太郎に対する斎藤まさし(や中田安彦)と並んで、独裁志向の強い指導者を放恣に操る人間であって、独裁制においてもっとも警戒しなければならないのはこういう人たちだと私は考えている。
しかしタイミングが悪かった。「安倍のマスク」構想を安倍が国会で口走ったのは四月馬鹿の日。安倍は世界中から馬鹿にされることになった。安倍には危機管理など全くできないことを、世界中の多くの人々に印象づけた。
正常性バイアスでいえば、人々の移動がCOVID-19感染に悪影響を与えることは明らかなのに、観光で景気を刺激しようなどと言い出した菅義偉や石川県知事・谷本正憲などもその例に挙げられる。そんなことはCOVID-19の感染拡大に終息の兆しが見えてから議論すべきなのだ。何を悠長なことを言っているのかと腹が立つ。
同じことは現在某「ゆ党」支持者及び「信者」の一部、それに自民党の中でも極右に属する一部の政治家とその支持者、さらには彼らを応援する産経新聞など、ごく一部でしか話題になっていない消費税減税についてもいえる。これも即時には実施できない政策だ。日本共産党などは、実施まで半年かかる消費税減税は、現在必要な補償などの話とは分けて考えるべきだ、現在喫緊の課題は後者だ、などと正しく主張しているが、下記産経の報道を見る限り、山本太郎は「正常性バイアス」に強くとらわれているようだ。
上記リンクで表示が切れている部分を下記に示す。下記引用文にもこの日記のNGワードが含まれているが仕方ない。
れいわ新選組の山本太郎代表は1日のインターネット番組で、共産党から呼びかけられた志位和夫委員長との会談を断ったと明らかにした。理由について、消費税率5%への減税で野党各党が一致しなくても、次期衆院選の共闘に加わるよう説得されることを警戒したと説明した。(後略)
出典:https://www.sankei.com/politics/news/200401/plt2004010057-n1.html
はあ? 何言ってんだこいつ。
悪いが、この山本の言葉に対しては、「小っちぇ!」という、少し前に山本が長妻昭を評して発した言葉しか思い浮かばなかった。
聞けば、最近立憲民主党を離党した山尾志桜里が山本太郎に急接近しているという。枝野幸男は2017年末に山尾を仲間に引き入れた自らの判断の誤りをようやく思い知っていることだろうと想像するが、呆れたことにこの2人に国民民主党代表の玉木雄一郎が加わって「集会」が開かれる*1という。「希望の党」に民進党が「合流」すると決まった時の玉木の浮かれぶりが苦々しく思い出される。この玉木も、「希望の党」が失速した時には一転してシュンとしてしまった。典型的な「逆境に弱い」政治家の一人だろう。
最後に、最近よく思い浮かぶのに、この日記に書くのをついつい忘れていた言葉を今思い出したので、その言葉を安倍晋三・今井尚哉・菅義偉・谷本正憲・山本太郎・山尾志桜里・玉木雄一郎の7人の馬鹿に贈ることにしたい。
「バッカじゃなかろか、ルンバ♪」
2008年5月29日のプロ野球交流戦、読売対楽天1回戦の試合後に、今は亡き楽天監督・野村克也が発した言葉だ*2。
四月馬鹿に「2枚のマスク」を言い出す馬鹿、その馬鹿に入れ知恵する馬鹿、新型コロナ感染機器の時節に旅行振興を言い出す2人の馬鹿、突如職を失う人が多発している時期に実施に半年かかる消費税減税にばかりこだわる野心家の馬鹿、それにすり寄る2人の右翼政治家の馬鹿。
今こそ、野村克也が読売ベンチを嘲笑したコメントが思い出される。