下記記事には同意できない。
以下記事の全文を引用する。
大物芸能人4人、大手企業幹部2人(オムロン元会長と毎日放送取締役)が新型コロナウイルス死者の500人あまりの中に入っているのは確率的におかしい。
むしろ、港区の57歳男性のような微熱→突然死で実は感染者という例を見逃している可能性もおおいにあるのでは?
(「広島瀬戸内新聞ニュース 2020年5月2日)
志村けん氏が亡くなった時以来、私がしばしば思い浮かべていたのは1985年8月12日に起きた日航機123便墜落事故だった。昨日(5/2)たまたま、日航機事故の死亡者と新型コロナウイルス感染者による国内の死者がほぼ同数になった。日航機事故では520人が亡くなり、新型コロナでは昨日まで517人が亡くなった。
日航機事故といえば誰もが思い出すのが坂本九の死だろうが、プロ野球ファンにとっては事故が起きた年に初の日本シリーズ優勝を遂げることになる阪神タイガースの球団社長が犠牲になったことも忘れられない。その他、確かあの事故では著名人や財界人が他煤亡くなっていたはずだよなあと思ってWikipediaを見たら、その通りだった。以下引用する。
著名人[編集]
- 坂本九(歌手) - NHK-FM放送で『歌謡スペシャル 秋一番!坂本九』[注釈 43]の収録後、友人の元マネージャーの選挙応援として、翌日の事務所開きに出席するため大阪に向かう途中[90][注釈 44]。
- 北原遥子(女優・元宝塚歌劇団雪組娘役) - 帰省先の横浜の実家から大阪の友人に会いに向かう途中[91]。
- 中埜肇(阪神電気鉄道専務取締役鉄道事業本部長・阪神タイガース球団社長)
- 石田一雄(阪神電気鉄道常務取締役) - 以上2名は12日に都内で開催された日本民営鉄道協会の会議の帰途。
- 石野喜一(神栄石野証券代表取締役社長)
- 浦上郁夫(ハウス食品工業(現・ハウス食品グループ本社)代表取締役社長) - グリコ・森永事件の終息を父の墓前に報告するために大阪に向かう途中。
- 塚原仲晃(医学博士・大阪大学基礎工学部教授) - 1986年から開始予定であった文部省特定研究「脳の可塑性」の責任者として同研究に関する文部省との打ち合わせの帰途。
- 辻昌憲(元自転車競技選手・シマノレーシング監督) - グリーンピア三木で行われるシマノグリーンピアロードレース大会開催のため都内の日本アマチュア自転車競技連盟での打ち合わせを終え、同僚社員とともに帰る途中。
- 竹下元章(元広島カープ捕手、指月電機製作所社員) - 第67回全国高等学校野球選手権大会の群馬県代表となった東京農大二高野球部在籍の高校2年生の父。応援のために甲子園球場へ向かう途中。
- 緋本こりん(同人漫画家) - 11日に都内で開催されていたコミックマーケットにおけるアニメ雑誌『ファンロード』関連のイベントに参加しての帰途。
- 藤島克彦(コピーライター) - 東京出張からの帰途。
- 山本幸男(ミサワホーム専務取締役) - 大阪での会議に向かう途中。
- 和田浩太郎(美容研究家、ミス日本審査員)
搭乗を回避していた著名人[編集]
- 明石家さんま(お笑いタレント) - 事故当日夜の「MBSヤングタウン」(MBSラジオ)に出演するために搭乗予定だったが、「オレたちひょうきん族」(フジテレビ)の番組収録が早めに終わり、一便早い全日空便に振り替えたため[92]。
- 麻実れい(女優) - 当便に搭乗する予定であったが、仕事が予定より早く終わり、一便早い飛行機に振り替えたため[93]。
- 逸見政孝(当時フジテレビアナウンサー)とその家族(晴恵・太郎・愛) - 大阪の実家に帰省するために搭乗予定だったが、妻・晴恵が飛行機嫌いであることに加え、長男・太郎が直前になって「新幹線のほうが安いから」と提案して変更したため[92][94]。
- 稲川淳二(タレント) - 事故当日、東京で健康番組「稲川淳二のためになる話」の収録を終えたあとに大阪入りするため搭乗予定だったが、体調不良のため翌朝の東海道新幹線で移動することにしたため[92]。
- 久万俊二郎(阪神電気鉄道社長・阪神タイガースオーナー) - 前述の日本民営鉄道協会の会議に出席し終了後に当便で帰阪する予定だったが、私用で出席できなくなったため、前述の中埜・石田の両名が代理で出席した。
- 佐々木正(電子工学技術者、シャープ副社長) - 大阪の実家に帰省するために搭乗予定だったが、急遽、フィリップス本社社長と会食することになり搭乗をキャンセルした[94]。
- 勝谷誠彦(コラムニスト) - 搭乗予定だったが、友人に会いに京都市へ向かうために東海道新幹線で移動することにしたため[95]。
- 当時の笑点メンバー(五代目三遊亭圓楽、桂歌丸、林家木久蔵(現:林家木久扇)、林家こん平、三遊亭小遊三、三遊亭楽太郎(現:六代目三遊亭圓楽)、古今亭朝次(現:桂才賀)、山田隆夫)- 翌日の徳島での阿波踊りに参加するために当初予約した便が悪天候により遅延。ひとつ後の当便に搭乗する案が出たが、こん平の提案で結局予約した便に搭乗し難を逃れた。しかし、同行予定だった広告代理店の数名は当便に搭乗し犠牲になった[96]。
- ジャニー喜多川(芸能プロモーター・音楽プロデューサー・ジャニーズ事務所代表取締役)
- 少年隊(ジャニーズ事務所所属ユニット)のメンバー(錦織一清、植草克秀、東山紀之) - 以上4名は事故前日に大阪の新歌舞伎座で幕を開けた舞台「森の石松」主演の近藤真彦の応援のために搭乗予定だったが、初日に近藤が記者会見を開くので来て欲しいと要請を受けたジャニーは前日に大阪入りし、少年隊は東京に残った[97]。
- 深田恭子(女優) - 甲子園球場に応援に行くのと、父の実家に帰省する目的で搭乗予定だったが、東京モノレールの遅延により当便に乗り遅れ、後の全日空に振り替えたため[要出典]。
- 船木正人(気象予報士) - 帰阪するため当便に搭乗予定だったが、東亜国内航空便に変更したため[要出典]。
ご覧の通り、大勢の著名人が命を落としている。また氏に損ねた人間として、のちに酒で若死にすることになった勝谷誠彦がいる。
なぜ日航機事故で多くの著名人が犠牲になったかといえば、それはこの123号機が東京と大阪とを結ぶ便だからだ。東京-大阪間を飛行機で移動する人は限られている。私も数えきれないくらい東京-大阪間を移動したが、飛行機を使ったことがあっただろうか。記憶にない。まあ私の場合は岡山-東京間の移動であっても飛行機は使わなかったが。岡山空港はJR岡山駅から遠くて不便だったからだ*1。
しかし、新型コロナウイルス感染症にも、東京や大阪に在住し、かつ移動する機会の多い人がかかりやすい特徴が、特に市中感染が広まる前の段階にはある*2。大阪府や阪神間に在住するプロ野球選手や元監督が罹患した例や、東京都内の罹患者の分布を見ても、誰もが平等にリスクを負っていたわけではないことがわかる。誰のおかげだか知らないが、陽性が確認された人がまだ1人も出ていない県もある。
東京や大阪の著名人は、そもそも新型コロナウイルス感染症にかかりやすい環境にいたのだ。この点で日航機事故と奇妙な共通点がある。
こう考えると、「大物芸能人4人、大手企業幹部2人(オムロン元会長と毎日放送取締役)が新型コロナウイルス死者の500人あまりの中に入っているのは確率的におかしい」とは言い切れないのではないか。
むろん、「港区の57歳男性のような微熱→突然死で実は感染者という例を見逃している可能性」がないとは言わない。
しかし、現に東京都港区在住の57歳男性は突然死の死因が調べられて感染が確認され、新型コロナウイルス感染症による死亡例に加えられた。
肺炎による死亡者が不自然に増えているとの指摘が日本でもアメリカでもなされていることは承知しているが、「見逃されたコロナ死」の検証は今後なされるべきことであって、喫緊に議論すべき問題だとは思われない。