kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

昨年2月に「日本経済復活の会」定例会で「金を刷れ、皆に配れ」の演題で講演していた山本太郎

 新型コロナウイルス感染症の感染再拡大*1が、ますます深刻になった。大阪府でも89人を数え、しばらく抑えられていた愛知県でも連日二桁の陽性者が出るようになった。

 それでも動かない安倍政権は、歴代自民党政府の悪弊である「アメリカへの追随」の姿勢をとっているのではないかと疑われる。この語数日間さらに手をこまぬき続けて、いよいよどうしようもなくなったところで緊急事態宣言の再発令が云々され、ある日突然再発令されるという展開を私は予想しているのだが、どうなるか。

 さて、山本太郎と「日本経済復活の会」の小野盛司との結びつきについて、実は私はかなり以前から気づいていたのだが、ブログに取り上げても議論になりそうにないので放置してきたのだった。それが、MMT界隈から大西恒樹の暴言が出てきて、気がついたら某元号新選組の支持者の中にひどいネトウヨがウヨウヨいることが明るみに出て、これまで山本太郎応援の旗を振っていたネットの左翼たちがびっくり仰天する事態になったので、ようやく書く機会がめぐってきた次第。

 たとえば、下記のブログ記事がある。

 

hankinsyuku-genzei.blog.jp

 

 「平成31年*22月17日、つまり今から1年半ほど前に、日本経済復活の会は東京の江東区文化センターで山本太郎の講演会を開いた。ブログ記事にはそれが紹介されているが、該記事からさらに「日本復活の会」の公式ブログと思われるURLにリンクが張られている。

 

ajer.cocolog-nifty.com

 

 下記記事は、上記リンクのブログにも全文が引用されているが、小野盛司自身が書いたと思われる。彼らの主張を知る良い見本だと思うので、以下に全文を引用する。

 

山本太郎議員を招いて開かれた第151回日本経済復活の会定例会(No.339)

 

第151回日本経済復活の会定例会は平成31年2月17日、江東区文化センターにて開かれた。講師山本議員の演題は「金を刷れ、皆に配れ。」であったのだが、これに対して少なからず批判的な意見も寄せられた。この演題は筆者が20年前から主張している内容であり、もし政府が20年前からそれに添った政策を実行していたら、今でも日本は世界で最も豊かな国の一つであり続けていただろう。一見すると乱暴そうな意見に思えるかもしれないのだが、これはマクロ計量経済学に基づいたシミュレーションを行って有効性が確認された結論を一般に分かりやすく表現したものだ。ノーベル経済学賞を受賞したサミュエルソン、クライン、スティグリッツ等が主張する経済政策でもある。
では、今の日本でどのくらいお金を刷ればよいのだろうか。2002年、筆者は著名な経済学者である宍戸俊太郎氏と共にシミュレーションによりこの答を求めることにした。そのためには経済データとマクロモデルが必要となるのだが、最も信頼されている日本経済新聞社のNEEDS日本経済モデルを使用することにした。天気予報は気象庁だが、経済予測は日経が定評があるからだ。しかし、日経はお金を刷って国民に配ったらどうなるかという予測は発表しない。その理由は日経は国から各政策の経済効果などの計算などで巨額の受注を受けており、お金を刷って国民に配るというような「不謹慎な」政策の評価に手を貸すようだと今後政府から受注が受けられなくなるかもしれないからである。
そこで筆者は日経にお金を払い、大規模な減税をしたら日本経済はどうなるのか計算してもらった。経済音痴の人はお金を刷って国民に配れば直ぐにハイパーインフレになるから絶対にやってはいけないと言う。お金を配ると言ってもヘリコプターでばら撒くことを提案する人はいない。例えば減税すれば国民にお金を渡すことになる。しかし実際にシミュレーションで計算をしてみると大規模な減税でも簡単にはインフレにならない。5年間、減税を継続的に行った場合の5年間平均のインフレ率の押し上げ効果を計算してみた。結果は予想したよりはるかに小さく、10兆円の場合0.9%、20兆円の場合1.5%、50兆円の場合3.3%だった。ただし、減税による景気押し上げ効果は素晴らしく、消費が押し上げられGDPは実質も名目も大きく増加、民間設備投資は増加、企業利益も雇用者報酬も増加、失業率は減少ということで経済にとってすべてが良い結果となった。
この結果をサミュエルソンに送ったところ彼からの返事は
 大規模な減税が日本経済の著しい回復をもたらすのであればインフレ率が十分高くならないとしても、気にしなくても良い。インフレ率自身は政策の最終目標ではないからだ。重要なことは、流動性のわな等に起因される消費の欠如を取り除くことである。
ということだった。
この試算から明らかなことは、もし10月に予定されている消費税10%への増税を止め、逆に5%に減税して景気を刺激してもまだインフレ目標2%には届かない。要するに景気刺激をするならもっと大規模にしなければ効果は限定的ということだ。米中のように大規模景気刺激が理想的だが、安部さんにそんな勇気がないとしても、小規模刺激策でも国民にとっては可処分所得の増加で物が多く買えるようになるし、企業も利益が増し未来への投資ができるようになり国際競争力を増す。経済力が増せば少子高齢化に耐えられるだけの国力がつくし年金も安定する。こんなによいことはない。

 

出典:http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/no339-f6c7.html

 

 私が期待したいのは、上記小野盛司の言説の妥当性を経済学界隈の人に議論していただくことだ。MMT界隈の人たちの間でも意見が分かれるのではないかと思うが、宗教的熱狂ではない真面目な議論を目にすれば、私を含む世間一般の人々がMMTに向ける目も変わってくるのではないかと思う。

 私は、誰かが山本太郎を小野盛司に引き合わせ、山本は小野からみっちり講義を受けたのではないかと想像している。つまり、前述の講演会で山本が話した内容は、小野の持論の受け売りではないかと疑われる(というかほぼ確実にそうだろう)。山本界隈というかヤマシンの世界では、「カリスマ教祖」の山本を無批判に持ち上げる傾向がきわめて強いから、それに小野盛司一派が目をつけたのだろう。その頃から、山本がリフレにかぶれていた頃には行われなかったプロパガンダが始まり、政敵を「緊縮」と決めつけるレッテル張りがヤマシンたちの間で急激に広がっていったと思われる。この論法だと、立憲民主党のみならず、その枠にとどまらない(たとえば)宇都宮健児氏や、果てには共産党に対しても「緊縮」とレッテルを貼って貶めることが容易にできるし、それは現に先の東京都知事選で一部のヤマシンがやっていたことだ。

 ところで、なぜ上記2番目の日本経済復活の会へのリンクを張る前に、それを転載した最初のブログにリンクを張ったかといえば、そこには怪しげな記事、つまり大西恒樹だの三橋貴明だのを宣伝する記事が多数掲載されているからだ。下記に例を示す。

 

hankinsyuku-genzei.blog.jp

 

hankinsyuku-genzei.blog.jp

 

hankinsyuku-genzei.blog.jp

 

 おそらく、某新選組の経済政策には「日本経済復活の会」に依存するところがきわめて大きかったのだろう。大西恒樹とこの会とのかかわりははっきりしないが、仮に会員でなかったとしても「同志」的存在であったと思われる。そして「日本経済復活の会」には極右色が強い。

 党名に元号を冠した新選組に、ネトウヨの支持層がわらわら集まってきたのは当然の帰結だった。

 最近では、山本太郎の支持層は、脱原発運動の頃からの支持者と、2014年末に山本が小沢一派に加わったことによるオザシンからの流れ*3と、山本が「日本経済復活の会」に傾斜したことによる右翼からの流れの3派が存在した。その外側に無党派系の「ふわっとした」支持層もあり、昨年の参院選ではこの層が新選組に2議席をもたらしたし、この支持層が縮小したとはいえ今なお残っていることは都知事選でも示されたが、これは、いくら数が多くても「コアな支持層」とはいえない。「コアな支持層」はあくまでも前述の3派だ。

 今回の大西騒動は、このうち最後の1派を山本が切り捨てざるを得なくなったことを示すし、それと同時に山本と新選組の経済政策の軸も失われる危機に瀕したともいえる。一部から指摘された通り、山本太郎と大西恒樹との結びつきは相当に強かった。だから山本は大西を簡単には切れなかったのだ。間違いなく山本は今回の騒動で大きなダメージを受けた。

 しかし、経済学や経済政策の議論が「宗教的熱狂」に支えられるものであってはならないことは当然だ。ようやく該界隈のあり方が正常化される「チャンス」を迎えたともいえる。

*1:私は第何波という言い方を好まない。対策を緩めたことによるぶり返しではないかと疑っている。

*2:あえて元号表記を用いたのは、主宰者がいつも元号を用いているのに倣ったもの。

*3:もっとも、山本太郎は本人がオザシンだったと疑われるため、2012年の脱原発運動の頃から山本を支持するオザシンは少なくなかったが。