kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

宮沢孝幸を重用し、「K値」を宣伝していた「日刊ゲンダイ」(呆)

 これは知らなかった。

 あのイエローペーパー「日刊ゲンダイ」が「8割おじさん」西浦博をこき下ろしていることは、2,3日前の見出しにも出ていたしそれ以前から知っていたが、ゲンダイは中野貴志・阪大教授の「K値」を宣伝していたのだった。下記は6月19日付の「日刊ゲンダイヘルスケア」の記事だが、書いているのはあの京大准教授・宮沢孝幸だ。

 

hc.nikkan-gendai.com

 

 まことに不快きわまりないが、以下に引用する。

 

K値が示す驚愕の事実と日本が感染爆発を起こさない新仮説

 

 公開日:2020年06月19日
 更新日:2020年06月24日

 

宮沢孝幸京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授)

 



 私は今月12日に大阪府新型コロナウイルス対策本部専門家会議に出席した。そこでは大阪大学核物理研究センターのセンター長である中野貴志教授と私が専門家会議のオブザーバーとして呼ばれた。中野教授は、感染指標として新たに「K値」という指標を発案した先生である。私はその会議で中野教授の説明を聞き大きな衝撃を受けた。それはなぜか。





■3月中旬までの行動変容で事足りていた?





 会議では「ピークアウトの時期」が大きな議題となっていた。実はこれは既に明らかになっていて、3月28日ごろである。しかし、「K値」は驚くべきことを我々に示したのである。



 3月初旬から下旬にかけて感染者は急増していた。これは実は欧州からの帰国者による「第2波」によるものであった。この第2波は、K値を見る限り、3月15日の時点で既に収束へ向かう兆候は見られていたのだ。第2波の流行と収束は、感染拡大の初期段階で規定されていたというわけである。



 今回の新型コロナウイルスは、国内においては、自然に収束するようになっている。K値の推移については、まるで金太郎飴のごとく全国一律である。大都会でも地方都市でも同じなのである。混んだ通勤電車などの大都会の特殊事情の影響も見られない。

 このK値の発見は物理学者ならではの成果であったが、新型コロナウイルスに関する限り、大きな武器となる。感染の流行が始まってしばらくして、データが集積すれば、大まかなピークと収束までの時間が見えてしまうのだ。野球に例えると、まるで打った瞬間にボールが到達する地点を即座に察知し移動する優秀な外野手のような存在だ。



 今回、大阪府の専門家会議の論点は、緊急事態宣言後の追加の自粛要請は有効であったかである。北海道大学大学院の西浦博教授のデータを読み取る限り、私もそれは否定せざるを得ない。3月中旬以降、自粛要請による行動変容はあったように思えるが、その効果も見られない。これはつまり、3月中旬時点での自粛で事は足りていたということを意味する。ただし、私は自粛の効果がないと主張しているわけではない。マスクなしで近距離で会話したり、歌を歌ったりするのは、大きな感染リスクを伴うので、その自粛は必要である。しかし、それ以上はあまり意味がないということなのだ。

 



■自然免疫で勝てる



 

 なぜ日本では感染者が爆発的に増加せずに収束するのか? これを解くカギは、私は「感染成立ウイルス量」と「自然免疫」だと思っている。



 まず、知って欲しいことは感染に必要なウイルス量である。全ウイルス粒子の一部が感染性を持っており、個体に感染するには、一定量以上の「感染性ウイルス」が必要なのである。



 一言で「感染」というが、定義は難しい。今回の場合、鼻咽頭のサンプルを採取して、そこにウイルスのRNA(遺伝物質)が検出されれば、ウイルスに感染したと見なされる。



 新型コロナの侵入門戸は粘膜である。少量のウイルスが粘膜について、多少増殖しても局所でウイルス増殖が鎮圧されれば、「感染はしなかった」ということになる。むろん、抗体も誘導されない。しかし、実はこの時でも、生体は免疫反応を起こしている。それは自然免疫である。



 自然免疫は、さまざまな病原体を「パターン認識」して、抗ウイルス物質を誘導して、生体を抗ウイルス状態に導く。抗ウイルス状態は、ウイルスが体から完全にいなくなってもしばらく続く。



 今回のウイルスは、ぎりぎりのところで人から人へと飛び移りながら、生きながらえている。ウイルスが体外に一定量以上出ていかないと次の個体に乗り移ることができない。私が「100分の1作戦」を提唱するのも長年ウイルスを研究し、その弱点を知っているからだ。



 感染が流行している時、ウイルスは市中に拡散しているのであろう。私たちは検出感度外での見えない感染によっても、体は抗ウイルス状態になり、感染に必要なウイルス量の閾値も上がる可能性がある。新型コロナウイルスは、マスクや手洗いの励行によって、次の人に感染しにくくなっている。自然免疫により閾値も上がるとなると、ウイルスもお手上げなのである。



 これはあくまで仮説であるが、自然免疫により、新型コロナの感染拡大が抑えられるのだとしたら、新たな戦略が生まれる。自然免疫を人為的に高めればいいのだ。

 



 ◇  ◇  ◇



 

※「K値」とは…大阪大学の中野貴志教授と九州大学の池田陽一准教授が提唱している新型コロナウイルス感染症の感染動向を予測するための新たな指標。その値は、直近1週間の新規感染者数を累計感染者数で割ることで得られるという。西村康稔・新型コロナ対策担当大臣が先月17日の会見で「参考にしたい」と述べ、注目された。K値を求めることで日々の感染者数の増減に惑わされずに感染傾向を捉えることができるとされている。

 

(「日刊ゲンダイヘルスケア」2020年6月19日)

 

出典:https://hc.nikkan-gendai.com/articles/274802

 

 赤字ボールドにした部分には笑ってしまった。

 実際には、「K値」とは打者が打った瞬間、いかなる打球であっても必ずホーム方向へと走り始める外野手のようなものだ。今回の大阪では、外野手が前進してきたのに打球がぐんぐん伸びて野手の頭を大きく越えたようなものだろう。きちんとバックしていたら捕球できたかもしれない打球が飛んできたのに、こともあろうに外野手が前進してきたらどうなるか。長打、それも三塁打か、下手をしたらランニングホームランになるのではないか。今の大阪府新型コロナウイルス対応はこんな感じだ。

 いや、安倍政権だって同じだ。吉村大阪府政の前進守備が「K値」なら、安倍政権のそれは「GoToキャンペーン」だろう。

 ヘボな外野手がこんな守備をしたら、スタンドの観客は呆れて帰るだろうが、府民や国民にはそんなことはできない。外国に行こうにも、観戦者ならぬ感染者が激増している日本から来る客など受け入れられない。

 ところが、日刊ゲンダイの上記記事ときたらどうだ。まるで阪神応援で知られるデイリースポーツの記事で、読売OBの野球評論家が「阪神の外野手は、打球が飛んできたらいかなる場合でも必ず前進しろ」と主張しているようなものではないか。

 しかし、世の「リベラル・左派」には「日刊ゲンダイ」の愛読者が多い。例の「リベラル」こと「都会保守」氏(小池百合子民進党の連携に「ワクワク」した御仁)なども確かそうだった。

 こんなところに、「K値」批判が「リベラル・左派」の間にいまいち浸透しない理由があるのかもしれない。

 私は約40年前というか、正確には39年前の日本シリーズ第4戦で日本ハムが読売に負けた翌日の「日刊ゲンダイ」最終面にデカデカと「日本ハムに 八百長の 疑い強まる」とかいう見出しの文字が踊っているのを見た時*1以来、一貫してずっとアンチ「日刊ゲンダイ」だが、この姿勢は正しかったと改めて思った。

 なお、「日刊ゲンダイ」には今なお宮沢孝幸のコラムが掲載されているようだ。不快なのでリンクは張らないが。

 「日刊ゲンダイ」に「大阪維新の 回し者の 疑い強まる」といったところだろうか。

*1:日本ハムは第4戦に、当時のセオリーだった第1戦と同じ先発投手ではなく、4人目の先発投手を持ってきたため、当時読売のエースだった江川卓との対決を避けて「捨てゲーム」にした、つまり日本ハム八百長をやった、と当時の日刊ゲンダイが主張したとみられる。「とみられる」というのは、私は見出ししか見ていないからだ。