kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

田中角栄は手錠を掛けられたし、「逮捕即呼び捨て」だった

 失礼ながら、id:hkawai69さんも「世間」の住人でいらっしゃるようですね。

 

 下記記事のコメント欄より。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

hkawai69

 

 社会的地位が高いとされる人が特別扱いされることはよくあると思います。橋下徹がホンの少しの熱でPCR検査をしてもらえたとか。
 古いところでは田中角栄は逮捕される際に手錠を掛けられなかったとか。「逮捕即呼び捨て」がなくなったのもこのときからかと。
 エライ人に対しては「氏」、そうでない人に対しては「さん」なんて。

 

 まず、田中角栄に関しては二点とも誤りです。

 

 田中角栄は逮捕された時に手錠を掛けられました。

 

kobaalbum.blog.fc2.com

 

 また、角栄は「逮捕即呼び捨て」でした。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 以下引用する。

 

36年前の今日、1976年7月27日に、当時の「前首相」田中角栄が逮捕された。あの日も関西はくそ暑かった。中学生の私は夏休みで家にいた。たまたまその日に電気工事に来たおっちゃんが、田中が逮捕されたと言っていたので、正午のNHKニュースを見たら、本当に逮捕されていた。当時は逮捕された人間は呼び捨てで報道された。「田中は」「田中は」とテレビのアナウンサーは言っていたものだ。

 

出典:https://kojitaken.hatenablog.com/entry/20120727/1343399953

 

 1976年当時、私の家では毎日新聞をとっていましたが、毎日新聞夕刊は見出しこそ「田中前首相を逮捕」だったものの、1面記事のリードに「金権政治の象徴、前首相田中角栄がついに逮捕された」と書いていました。

 嘘だと思うなら、国会図書館ででも毎日新聞縮刷版を当たってみて下さい。

 なお、逮捕された人に「容疑者」をつけるようになったのは1989年です。その直前にリクルート事件で財界人の大物らが多数逮捕されましたが、当時の朝日新聞は「呼び捨てできる今のうちに」とばかりに、1面トップの大見出しでも容疑者を呼び捨てにしていました。私は全く感心しませんでしたが。

 

 「田中角栄が逮捕された時手錠を掛けられなかった」と、「『逮捕即呼び捨て』がなくなったのも田中角栄逮捕の時から」という2つの言説をファクトチェックするなら、2件とも「誤り」です。

 こういうフェイクが事実であるかのように流布するあたりも、典型的な「世間」のあり方だと私は考えます。

 それにそもそも、今朝公開した最初のリンクの記事のテーマは、「社会的地位が高いとされる人が特別扱いされることがあるかどうか」ではありません。

 その程度のことさえおわかりいただけませんか。残念至極です。