いうまでもないが、菅義偉が「高齢者へのワクチン接種を7月末までに終える」と息巻く期限が「7月末」なのは、東京五輪の開催が予定されている時期だからだ。
新型コロナの第4波は、大阪や兵庫ではピークを大きく過ぎた。昨日(5/26)の大阪府の新規陽性者数は331人(死亡者27人)だった。昨日の見かけの致死率は8.2%で、これはむろん死亡者数のピークが新規感染者数のピークより遅れて出るためだ。昨年初めから通算した大阪府での新型コロナ感染症の致死率は2.25%となり、2月末の時点での致死率2.37%というとんでもない数字に戻りつつある。大阪府が第4波の期間としている3月以降に限っても、ほんの10日前(5/17)に吉村洋文が「第4波の致死率は1.5%で、第3波の2.5%より低い」と言ったばかりなのに、その後のわずかの期間で大阪での第4波の致死率は2.14%にまで跳ね上がった。大阪では第4波の死亡者はまだ出続けているから、今後致死率はさらに上がるだろう。なおこれらの数字は下記ツイートに示された5月25日までの値に、昨日の大阪府発表の数字を足して計算した。
5月25日発表からコロナで亡くなった方の月別数大阪・東京比較をグラフに。同発表で大阪は27名の死亡、東京は9名。累計で大阪2190名,東京2026名。大阪は5月の25日間累計734名,東京は135名。死亡率、累計いずれも全国一継続中。連日二桁死亡で医療の惨状なお続く。 pic.twitter.com/815AZfw3su
— Jun K (@JK42779153) 2021年5月25日
呆れたことに大阪の民放テレビ局は「みんなが吉村知事の言うことを聞いて行動を抑えたから大阪の感染が収まってきた」などと言って吉村を翼賛しているらしいが(呆)、現段階で早くも第4波の致死率が2%を超え、通算でも全国最悪レベルの酷い数字を叩き出している大阪の現状が冷静に批判される日が一日も早く訪れることを願う。
ついつい吉村(維新府政)の悪口に逸れたが、大阪で新規陽性者数が331人まで減ったのに対し、東京都では昨日の新規陽性者数が743人を数え、高止まりの状態にある。東京では第4波の感染拡大と緊急事態宣言の効果のせめぎ合いで、なんとか数字を保っている状態だと思われる。東京は、先に感染のピークを迎えた愛知や広島よりも遅れてピークに見舞われるだろうとずっと思っていたが、このような高原状態になっているのは、東京では従来株やE484Kの感染の規模が思いのほか大きかったためかもしれない。東京都では第4波による死亡者数もようやく増え始めた段階に過ぎず、大阪より1か月以上遅れている。つまり東京都の今後はなお予断を許さない。
この事態に焦っているのが、五輪開催のことしか頭にない菅政権だ。政権は財界にも強い圧力をかけ始めた。下記は産経の記事へのリンク。
経済界、事前打診なき政府の「無茶ぶり」に困惑
5/26(水) 18:55配信
新型コロナウイルス感染拡大の抑制に向けた取り組みをめぐり、経済界が政府からの突然の要求に困惑している。政府は今月に入り、在宅勤務などのテレワークの企業ごとの実施水準の公表や、企業の診療所を使った地域住民へのワクチン接種を経済界に要請。しかし経済界は企業活動の実態を踏まえれば、満額回答での実施は難しいとの立場だ。これらの要請は担当大臣が経済界との会談の場で事前の打診もなしに打ち出したという経緯もあり、政府の調整力不足への不満も出ている。
「特に上場企業はテレワークの状況、出勤者数の状況を公表していただく」
西村康稔経済再生担当相は11日の記者会見で、経済界に対してテレワークに関する情報開示を求めた。
5月の連休が明けて企業活動が再開する中、出勤者数の7割減を達成するため、企業がより積極的にテレワークに取り組むよう促すのが狙い。テレワークの実施率は全国では約2割、首都圏の1都3県では約3割での横ばい傾向が続いており、西村氏はテレワーク情報の開示は学生が就職先を選ぶ際の参考にもなると意義を強調した。
しかしこの後に西村氏とテレビ会議を行った経済界のトップらからは厳しい反応が相次いだ。小売業や建設業などテレワークが難しい企業も多く、実施水準の低い企業のイメージを悪くするような仕組みは容認できないためだ。
日本商工会議所の三村明夫会頭は「主要企業に協力を要請するが、対応が難しい業種への配慮を求めたい」と苦言を呈した。また経団連の古賀信行審議員会議長は「企業ごとの実施状況のパーセンテージ(比率)が独り歩きすることがないように配慮を求めたい」とした。
経済産業省は18日から企業がテレワーク情報を提供しているホームページのリンクをまとめる形で各社の取り組みを公表している。しかし企業数は25日時点でも573社にとどまる。
一方、河野太郎行政改革担当相は経済界に対し、企業が所有する社内の診療所や病院を活用し、社員だけでなく、地域住民も対象にしたワクチン接種への協力を要請した。経団連の冨田哲郎副会長は13日の河野氏との会談後、ほぼ全面的に協力する考えを示した。
だが、経済同友会からは、企業内診療所での地域住民接種はセキュリティー面で課題があり、難しいとの声も上がる。日商の三村会頭は「中小企業では産業医は掛け持ちのケースが多く、(職場での)職域接種自体が難しい」と指摘する。
昨年来、経済界は政府の在宅勤務要請など、さまざまなコロナ対策に全面的に応じてきた。しかしこうした要請では、政府側が内容を事前に打診するなどして実現可能性を把握したうえで、公にしてきたのが実情だ。
ある経済界の関係者は「会談の日程だけ決められて、その場で大臣にこれをやってほしいといわれても、現実問題としてできないこともある」と強調。結果として経済界が応じられなかった場合、「コロナ対策に非協力的なように見えてしまう」と困惑する。
コロナ対策では今後も官民の連携が欠かせないが、「いきなりの指示や要請は困る」(関係者)というのが経済界の本音だ。(平尾孝)
(産経新聞より)
出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/89a4fb15043f3744b09b08db1324d2d0b90b659d
今になって政権は「企業はテレワークがどの程度進んでいるか実態を報告せよ」とか「企業内診療室で地域住民にワクチンを打てるようにせよ」などと新型コロナ対策にしゃかりきになっているわけだ。昨年秋から初冬にかけて「経済を回す」一本槍で「GoToキャンペーン」に固執するなどして頑として新型コロナ対策をとろうとしなかった同じ政権とは思えない。
しかし、「なぜ今になって急に」と考えると、「五輪開催にこぎ着けるために」という理由しか思い浮かばない。つまり政権にとっては「人命よりも五輪が大事」なのだ。
だから、イギリス在住の方にこんなツイートを発されてしまう。
五輪は中止した方が良いと思うけど、冬までにワクチン接種しなければとはならないけど、五輪のためなら焦る自民党政権は五輪がないとワクチン接種に本気を出さないっぽいので、ワクチン接種目標のためだけにオリパラを延期しても安いものだとも思ってしまう。
— kazukazu88 (@kazukazu881) 2021年5月26日
本当は延期ではなく中止が望ましいけれども「五輪のためなら焦る自民党政権は五輪がないとワクチン接種に本気を出さない」から延期の方が良いのではないかとのツイートだ。
「五輪がないとワクチン接種に本気を出さない」菅政権を、一日も早く引きずり下ろすべきだ。