kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

国内のCOVID-19新規陽性者数の増加率減少が頭打ちになり、前週比約1.2倍の指数関数的増加が続くとともに死亡者数が急増/「『首相は何も見えてない』政府表明の“酸素ステーション設置”に発案者から疑問の声」(FNN)

 また4日ぶりの更新になった。4日前(8/14)の更新の時点で仕事の山は既に越えていたが、それまでの半月ほどの疲れが出てネットにアクセスする気力もあまり起きなかった。スマホでニュースサイトを見る程度。その間、国内では季節外れの前線停滞による大雨の被害があり、世界ではタリバンアフガニスタンを征圧して勝利宣言をするなどしたが、今日はいつものように新型コロナウイルス感染症を取り上げる。

 というのは4日ぶりにNHKのデータ*1をダウンロードしてグラフ化したら、感染状況が少し前の予想よりも憂慮すべき度合いを増していることに気づいたからだ。以下に陽性者数と死亡者数の7日間移動平均の対数グラフを示す。

 

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国内のCOVID-19新規陽性者数及び死亡者数 (2020/3-2021/8, 7日間移動平均対数=NHK)

 

 ご覧のように、新規陽性者数の増加を示す曲線の傾きが、8月1日*2に記録した前週比125%増から、一昨日の8月17日の前週比19.3%増まで下がってきていたが、その減少のスピードが目立って落ちてきた。昨日は前週比30.6%に跳ね上がったので一瞬ぎょっとしたが、これは先週火曜日(8/10)が3連休明けの日であり、その前日が東京五輪のためにわざわざずらされた祝日だった影響で新規陽性者が少なく出たせいであることにすぐに気づいた。しかし、前週比増加率が下げ止まってきていることには変わりなく、このところ前週比1.2倍くらいの指数関数的増加が続くようになった。このペースだと1か月で新規陽性者数が2倍以上に増えてしまう。

 さらに問題なのは、昨日はついに死亡者数47人を数えたことだ。政権擁護派や猪瀬直樹らが「少ない死亡者数がすべてを物語っている」などと、接種が十分に進んでいるとはいえないワクチンの効果を課題に宣伝する「安心理論」を振りまいて、というより垂れ流してきたが、彼らの言説が誤りだったことがますますはっきりしてきた。上記の対数グラフにも死亡者数の急増が反映されている。そして、医療崩壊と直接関係する重症者数はもっと増えている。

 ところがこの国ではすっかり人々が「コロナ慣れ」してしまったようだ。昨年は開催されなかった甲子園の高校野球で、チーム内で発生したクラスタによって出場チームが辞退に追い込まれて相手チームが不戦勝しても、大会自体を中断して以後の試合を取り止めるという当然の対応を、高野連朝日新聞社などの主催者はしようともしないし、人々もそれを要求しない。東京五輪の開催が最後まで強行されたことが悪しき惰性力になってしまっている。

 また、首相・菅義偉東京都知事小池百合子らに対する批判もいたって弱い。たとえば弊ブログが日頃から批判の対象としている某「リベラル」あるいは都会保守氏のブログは、それでも菅義偉はそこそこ批判しているとはいえ、都知事小池百合子に対しては大甘もいいところで、今やネオリベ人士たちでさえ「都知事は何もしていない」と指摘しているにもかかわらず、

菅首相よりは深刻な現状が見えているのか、とりあえず、必死さは伝わって来た。

などと「評価」してやがる*3。これには本当に頭にきた。

 

 先週末の共同通信世論調査では、菅義偉内閣の支持率は下がったとはいえ未だに30%代を保っていた。しかしさすがに、現実を知る人たちほど「菅のままではどうしようもない」ことがはっきりわかっているらしく、右翼メディアの一角を占めるフジテレビが下記の報道を行った。

 

www.fnn.jp

 

 以下引用する。

 

「首相は何も見えてない」政府表明の酸素ステーション設置に発案者から疑問の声

2021817 火曜 午後0:16

 

首相「酸素ステーション設置」表明専門家から疑問の声

 

菅首相813日、打ち出したコロナ対策の一手。

 

菅首相
国民の命を守る、これが政府最大の責務であります。
例えば酸素の投与が必要になった場合、酸素ステーションを設置して対処する。そうした体制を、これから速やかに構築するように関係大臣に指示しました。

 

呼吸に異変の生じた自宅療養者に酸素を投与する場所、すなわち「酸素ステーション」を整備することを表明。
しかし、この方針に対しては疑問の声をあげる人がいます。
酸素ステーションを考案した神奈川県の医療危機対策統括官です。
「状況はもう異常です!本来こんなのはあるべきではない。」

酸素が必要な自宅療養の患者に、酸素を投与できる場所を作ることー。
それに対して、いったいなぜ批判の声が上がっているのでしょうか。

神奈川県医療危機対策統括官 阿南英明氏:
あえて批判しますけど、(菅首相)あの発言の中には何も見えてない。酸素ステーションをつくれば解決するなんてとんでもない。

8月7日から神奈川県が独自に稼働を開始した「酸素ステーション」の内部にカメラが入りました。これは16日の様子です。

 

無線:
患者を搬入させていただきたい。

長岡看護統括:
了解です。名前と時間教えてください。

職員:20歳、女性。苦しいところは?

患者:
ない。

職員:
苦しいところがあったら、おっしゃってください。

パーティションで仕切られた空間には、簡易ベッドに机と椅子のセット、そして酸素投与の装置が置かれています。そこで防護服姿のスタッフが対応します。

 

神奈川県の16日の新たな感染者は、2584人で過去最多を更新。重症病床の使用率は9割を超え、医療崩壊の危機にあります。
そこで、この酸素ステーションでは、医師が入院と酸素吸入が必要と診断したものの入院先が見つからない患者を一時的に受け入れ、24時間体制で酸素投与を行っているのです。

患者の血中酸素飽和度を測るパルスオキシメーターには、「95」の数字が表示されます。重症化の目安となるのが血液中の酸素飽和度です。
酸素量が不足している93%から、正常値の96%以上にするため、ここで酸素投与を続けるといいます。

 

長岡看護統括:
自分が見た患者の中では、すぐに人工呼吸器につなげた方がいいなと思う患者もいたし、今すぐ治療が必要だなと思う患者も入所していました。
こんなに酸素が必要な人が入院できずここにいるということが、私としてはびっくり。
酸素投与しかできないので、とても心配な状況が続いています。

この1週間で、28人がここで酸素の投与を受けました。
しかし病状は回復せず、全員が病院に搬送され、入院することになりました。

 

専門家「酸素ステーション使用は"異常事態

こうした「酸素ステーション」が、「国民の命を守る」大きな一手となるのでしょうか?

 

神奈川県医療危機対策統括官 阿南英明氏:
災害医療の発想です。本当に最低限、点滴をするとか酸素を吸う、こういう応急救護所の医療があるわけです。
それと同じ考え方で とにかく酸素だけがあれば命が繋がる。だから酸素を投与して、命をつないで病院に入院してもらうんだ……命をつなぐための施策です。

こう語るのは、この酸素ステーションを実際に考案した神奈川県の医療危機対策統括官を務める阿南英明氏。 

 

神奈川県医療危機対策統括官 阿南英明氏:
やらなかったら1時間後に死ぬでしょう、という人たちを、酸素を投与することで半日一日、命がつながって、病院につながっていくわけです。
あくまでも入院させたいです。入院して治療すべきだと思っています
だけど、入院がどうしても無理な時に使う、という位置付けで開いてます。酸素ステーションは、あくまでもその人の病床が確保されるまでの時間稼ぎ。最終的なゴールというのは、やはり病床の拡大。ここは肝なので。
ただ、他の医療を止めなければいけないという、我々としてはもう究極の選択をしている。自分で作っておきながら、使うべきではないです。使うような事態は異常です。
でも、その異常なところまで来てしまったからこれを使う。

「酸素ステーションを使う」というのは「異常事態」。阿南氏はそう強調します。
本来ならば、使うべきではない施設。それだけに、政府が打ち出した方針には違和感があると言います。

 

神奈川県医療危機対策統括官 阿南英明氏:
酸素ステーションは解決策でもありません。つなぎです。この視点を持たないとだめです。そこが見えてない。あえて批判しますけど、あの発言の中には何も見えてない。酸素ステーション作れば解決するなんて、とんでもない。

酸素ステーションに頼る必要のない医療状態に早急にもっていくことが今求められています。

 

(「めざまし8817日放送)

 

出典:https://www.fnn.jp/articles/-/225165

 

 上記記事についた「はてなブックマーク」より。

 

「首相は何も見えてない」政府表明の“酸素ステーション設置”に発案者から疑問の声

いわゆる感染症版の心臓マッサージなんだよな。その場では命助かるけど、その先で医療を受けられなければ死ぬということ。本当に首相は何も見えていないんだな。頼むからまともな人に代わってくれ。

2021/08/17 15:43

b.hatena.ne.jp

 

「首相は何も見えてない」政府表明の“酸素ステーション設置”に発案者から疑問の声

マトモに考えれば当然目指すべき「病床増設」というゴールを、何とかして別の方向へ動かしたい政府が苦し紛れに緊急避難策をつまみ食いしてる状況。

2021/08/17 15:53

b.hatena.ne.jp

 

「首相は何も見えてない」政府表明の“酸素ステーション設置”に発案者から疑問の声

与党寄りのフジサンケイ系にこういう記事が載る。ということは

2021/08/17 15:52

b.hatena.ne.jp

 

 そう、与党寄りというよりは自民党べったりのフジサンケイからこういう報道がなされるほど菅政権のコロナ対応はどうしようもなく、このままでは自分の身が危ないという危機感が多くの人に持たれている。しかしそうでない人たちも一定数いるのだ。

 

「首相は何も見えてない」政府表明の“酸素ステーション設置”に発案者から疑問の声

酸素ステーションは、本来なら入院が必要な高リスク者を延命させる、苦肉の対処療法に過ぎないのに、まるで有効な対策かのように語る首相と都知事を見ると暗澹たる思いになる。

2021/08/17 20:20

b.hatena.ne.jp

 

 上記ブコメが「苦肉の対処療法に過ぎないのに、まるで有効な対策かのように語る首相と都知事」と書く通り、能天気なのは何も菅義偉だけに限らない。小池百合子も同罪だ。しかし、そんな小池から「必死さ」が伝わってくると感じておられるらしい「リベラル」あるいは都会保守がいる。おそらく「危機感を持っていてほしい」という願望が妄想に転じたものだろう。かつて小池が民進党と提携する素振りを見せた時に「ワクワクした」ことは未だに覚えていても、「希望の党」騒動などすっかり忘れてしまったのだろうか。

 ネトウヨ高橋洋一猪瀬直樹らばかりではなく、「リベラル」も菅・小池・吉村らを助けて感染状況の悪化の責任を不問に付す。「崩壊の時代」の崩壊はここまで進んでしまった。

*1:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/

*2:7/26〜8/1の7日間の平均値。従って7月29日の値とすべきかもしれない

*3:https://mewrun7.exblog.jp/29627689/