今回の立憲民主党代表選について議論する場合には、2017年の民進党代表選を思い出す必要があろう。
あの時、代表に前原誠司がなっても枝野幸男がなっても、その後の道は大きく変わらないという意見があって、それで小沢一郎一派が前原を推していたことが正当化された。
しかし、現実に起きたのは「希望の党」騒動だった。あれに小沢が関与したかどうかについては意見が割れているかもしれないが、私は小沢は関与した、それも首謀者として深く関与した。しかし、小沢を遠ざけたかった小池百合子が最後に小沢を排除したと考えている。
当時、「野党共闘」陣営に戻ってきた小沢を、岩手県の民進系・共産党・社民党がこぞって支援したことも私は批判したが、それはごく少数派の意見に過ぎなかった。その後も小沢が発案したとされる衆院選大阪12区補選への共産党現職参院議員(当時)を議員辞職させてまで「野党共闘」の統一候補としながら当選どころか供託金没収の惨敗を喫した時にも、小沢の責任が問われる声はほとんど起きなかった。そうした積み重ねが小沢の立民入りと今回の小沢による泉健太推しにつながった。
4年前の民進党代表選では、枝野と前原の間にはっきり線を引き、前原は容認できないとする態度を多くの民進党員や支持者たちがとるべきだったと私は考えている。それと同じように、今回の4人の候補に対しても、どこかで線を引く必要があると考える。
私は、西村智奈美・逢坂誠二と小川淳也・泉健太の間で線を引くよりも(もちろんその区別もされるべきではあるが)、西村・逢坂・小川と泉の間によりはっきりした線を引くべきだと考える。4人は全員良い候補なのだから誰かを排除せよという意見もあるが、私はそれには与しない。そんなことを言い出したら、4年前だって枝野と前原はどちらも良い候補なのだから、前原を絶対に拒絶するという態度はあってはならないとする意見が正当化されてしまう。それは絶対に間違っている。
ただ、この4人に仮に前原誠司が加わったとしたら、泉と前原の間には、小川と前原よりももっとずっと太い線を引かなければならない。前原はそれほどまでにも論外のタカ派ネオリベラリストだと思う。とはいえ現在の4人の候補者の中では泉を選ぶリスクが突出して高いとも思う。程度の問題だ。
前にも二度取り上げたが、私は広島在住のyuuki氏のツイートに共感するところが多い。何より私は小川淳也の7度の衆院選のうち最初の3度は香川1区の有権者であり、2003年は体調不良で棄権して2005年の郵政総選挙では平井卓也と小川の大差が報じられていたので共産党候補に投票したが、2009年に小川が初めて平井を破った時には小川に投票した。だから小川の考え方や民主党内タカ派とされる凌雲会内で小川がどのようなスタンスをとっていたかについては2000年代から調べていたので、それ以来小川に対するある程度の固まった認識を持っている。小川に関するyuuki氏のツイートは、前述の私の認識と非常に近いし、だからこそ私は小川がサンクチュアリに入っていたと知った時にも驚きはしたが「思想信条が合わないじゃないか」みたいな意外感は全く持たなかった。
以下、氏のツイートの長いスレッドを引用する。ほぼ全面的に共感できる。
小川淳也は構造改革、つまり竹中平蔵、みたいなやつは、流石に違うと思うがなぁ
— yuuki (@yuukim) 2021年11月19日
手垢の付き過ぎたワードとしての「構造改革≒新自由主義」のイメージが強すぎて仕方ないとは思うけど。
まず今の日本に構造の改革が必要かどうかって、そりゃ必要に決まってる。
— yuuki (@yuukim) 2021年11月19日
じゃあどういう構造改革が必要かっていうと新自由主義・市場原理主義・自己責任論と正反対を選んでいけば実は正解で。
低成長は前提として、分配・社会保障の強化で自己責任にしない、市場原理だけに任せてはいけないコモン(環境・資源・インフラ等々)を再定義して公的支出を拡大すると共に・民主主義的なガバナンス機能を強化。
— yuuki (@yuukim) 2021年11月19日
小川淳也は明確にこっちだと思うけど。
医療、教育、福祉、介護などあらゆる社会サービスの強化による自己責任からの解放、より直接的な現金給付を含む生活保障。
— yuuki (@yuukim) 2021年11月19日
ただし、全て国債頼みといった立場は取らず(自分はここは反対だが)思考実験としての消費増税も含めて言及しただけでネオリベ呼ばわりは違うだろう。https://t.co/ybBspdoPaR
斎藤幸平との対談動画。
— yuuki (@yuukim) 2021年11月19日
正直、小川淳也の足らないところは、思想的・歴史的な文脈は勉強不足だし、政策の具体論にしても「徹底的な議論が必要」と濁す事が多い、という印象で。https://t.co/IJwpLsUoJT
以前もツイートしたけど、小川淳也はいちいち大企業や金持ちも含めて納得させるにはどうしたらいいか、を気にするんだよな。
— yuuki (@yuukim) 2021年11月19日
格差の小さい社会の方が高所得者の幸福度も高い、といった研究を引用し、説得を試みるという。
そんなんじゃ累進強化で金持ちが逃げるといった定番の詭弁に抗えるはずもなく
一方で斎藤幸平は明確に大企業金持ちに敵対的だ。
— yuuki (@yuukim) 2021年11月19日
今の格差は許されない不正義であり、庶民の生活なら数十年分の温暖化ガスを出して宇宙旅行する金持ちに気を使う必要などないと言い切る。そのとおりです。
小川淳也に対する警戒として野党共闘・共産党から離れる、右翼に迎合する、ようなのがあるようだけど(多少は自分もあるが)、むしろ理屈上の必然としてイデオロギー論争をすっ飛ばしてしてしまうトンデモ反緊縮論の方が、その危険性は高いだろうね。
— yuuki (@yuukim) 2021年11月20日
私の言葉で言えば、「『右』も『左』もない『反緊縮』」(具体的に言えば、積極財政論者というだけで所得税率のフラットタックス化をぬけぬけと主張する髙市早苗までをも仲間扱いするような連中)の方が小川淳也なんかよりよっぽど危険ということだ。現に極右の高市にすり寄ってるんだから、本当に「理屈上の必然」。「イデオロギー論争をすっ飛ばしてしまう」=「『右』も「左」もない」という等式が成り立つ。
日銀が金融政策でインフレ率をコントロールできるし、適度に調節すれば景気回復、みたいなトンデモ理論を展開していたリフレ派の大半が、今はデフレ下の財政万能論を主張しその制約はインフレのみなんてこれまたトンデモ論に乗っかっていて、ため息しか出ないわ
— yuuki (@yuukim) 2021年11月20日
リフレ派が一斉にMMTにシフトしたあの現象は本当に摩訶不思議だった。経済理論の議論も俗流化すると強い同調圧力が働くということだろうと直感した私は、以来あの界隈に近づかないことにした。どこでどういう理論の歪曲が起きたのかはわからないが。まあ歴史の審判を待つしかないかな。
これがわりと拡散されて小川淳也への警戒が広がった気がするのに、なぜか自分は擁護に回らざるを得ない状況に、なっちゃっててツライわhttps://t.co/TDH4DQRI9B
— yuuki (@yuukim) 2021年11月20日
自分もよくやるし、必要だとは思うものの、野党支持者の気に入らない特定野党批判、立民支持者の気に入らない代表選候補者批判、が行き過ぎるというか、あまりに現実離れしたレッテル貼りとしか思えないものが多すぎないか。誰得だよそれ。。。
— yuuki (@yuukim) 2021年11月20日
これは前述の通り程度の問題で、全く批判がなければ「希望の党」騒動の種を受け入れた例になってしまうし、批判が「現実離れしたレッテル貼り」になってもいけないといったところか。適度の批判が必要だということだろう。
こんだけ言ってなんだけど、昨日ツイートしたとおりで、自分はいまんとこ西村ちなみさんが一番印象良いかな。
— yuuki (@yuukim) 2021年11月20日
西村・逢坂・小川・泉の順。
ただ西村ちなみさんはそもそもあまり知らなかったので、今日からの討論次第、他にもそういう支持者は多い気がしている。
小川淳也を小泉進次郎に重ねる人が多くて、やっぱそれ、あるよな。
— yuuki (@yuukim) 2021年11月20日
言葉の選択・表現方法や質疑での誤魔化しに見える薄っぺらさ・浅さというか。
自分は本質・深淵が見えてるかのような、結局徹底した議論が必要と逃げてばかりだったり、どこまでちゃんと考えてんのかそれと、ちょいちょい感じる。
何度も書くが、この点については2008年8月31日に高松市市民センターで行われた「反貧困キャラバン2008香川県高松集会」で小川淳也のスピーチを初めて聴いた時に私が受けた「上滑り」感が、その後13年経った今も全然変わってないんだよね。これが改善されない限り、野党第一党の代表は務まらないんじゃないかな。
そういえば斎藤幸平の本はまだ読んでいない。そろそろ読むことにしようか。