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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

毎日新聞の孫引き記事「プーチン氏は『血液のがん』か オリガルヒ発言の録音を引用 英紙報道」がよくわからない

 英タイムズをソースとする毎日新聞の記事だが、よくわからない。

 

mainichi.jp

 

プーチン氏は「血液のがん」か オリガルヒ発言の録音を引用 英紙報道

毎日新聞 2022/5/14 18:52(最終更新 5/14 18:52

 

 英紙タイムズ(電子版)は14日、ロシアのプーチン大統領が「血液のがん」にかかっている可能性があると報じた。ウクライナ侵攻後の3月中旬、プーチン氏に近いロシア新興財閥「オリガルヒ」の男性が西側投資家に話した内容の録音ファイルを米誌ニューラインズが入手し、タイムズ紙が引用する形で伝えた。

 

 この男性は、プーチン氏が侵攻を指示する直前に「血液のがんに関連する腰の手術」を受けたと証言。今回の侵攻でプーチン氏がロシア経済を完全に破壊したと指摘し、「我々は全員、プーチンの死を願っている」と述べた。

 

 プーチン氏の健康状態について多くの臆測が流れる中、タイムズ紙はさらにロシア独立系メディアの分析として、プーチン氏ががん専門医を含む3人の医師を常に同行させていると報じた。【ロンドン篠田航一】

 

出典:https://mainichi.jp/articles/20220514/k00/00m/030/186000c

 

 何がわからないかというと、記事中にある

「血液のがんに関連する腰の手術」を受けた

というくだりだ。

 

 血液は全身をめぐるから、手術ではなく化学療法、つまり抗がん剤を用いた治療法が中心のはずである。白血病の場合は骨髄移植を行う場合があるが、それを「腰の手術」とは言わないだろう。がん研有明病院のサイトより以下に引用する。

 

手術療法とは、手術によりがんの治療を行うことであり、化学療法と放射線療法と共にがんに対する三大療法の一つです。がんを周囲の組織やリンパ節を含めて切除することが最も一般的です。血液のがん(白血病やリンパ腫など)をのぞいて手術療法はがんの治療法の中心とされており、第一に選択する治療法です。しかしすべてのがんに対して手術を行うわけではなく、その病期 (ステージ)に応じて治療法を選択します。

 

出典:https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/treatment/operation.html

 

 ただ、悪性リンパ腫の場合は診断のために手術でリンパ腫を採取することがあるようだ。下記は国立成育医療研究センターのサイトからの引用。

 

リンパ腫の細胞は体中を循環していますので、稀な場合を除き、手術ではなく薬を使った治療(=化学療法)をします。ただし、リンパ腫の治療にあたっては、大きくなったリンパ節の中にリンパ腫の細胞がいることを顕微鏡で確認し、診断を確定するとともに、どのようなリンパ腫なのか分類することが重要ですので、診断のために手術などでリンパ節を一部採取します(生検:せいけん)。骨髄や胸水・腹水を採取することで診断が確定できることもあります。

 

出典:https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/lymphoma_qa.html

 

 上記のように、あくまでも診断のための手術なので、治療自体は化学療法になる。

 白血病でも悪性リンパ腫でも、何バッチかの抗がん剤投与が行われる間、患者はずっと入院しているはずだから、仮にオリガルヒのコメントの録音 → 米誌ニューラインズ → 英タイムズ紙 → 毎日新聞という経路の孫引き報道が正しいとしたら、プーチンはこのあと公式の場から姿を消すことになるだろう。

 ガセネタではないかとの疑いを強く持たずにはいられないけれども。