kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

権力者は誰しも心を鬼にして非情な人事権発動を含む権力行使をする。そうしなければ自分が足下をすくわれてしまうからだ(泉健太の立民党内での強権発動に思うこと)

 井戸まさえ氏のツイートの続き。

 

 

 

 

 

 

 

 これで一段落だが、私なんかはこういう生々しい話に関心があるのだ。だから最後のツイートに反応した下記のツイートには強い反発を感じる。

 

 

 何を言うか。ブラックボックスの政党なんて百害あって一利なしだよ。

 

 この連ツイのうち、立民が井戸氏の東京15区への転区後も支部長につけるという口約束を違えた件についてnaoko氏が引用ツイートし、それが小さな議論になった。

 

 

 このあとの下記ツイートに対して反論があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 この論争は「匿名希望の蝸牛(まいまい)」氏が全面的に正しい。naoko氏は権力というものを全く理解していないと酷評するほかない。

 人事権こそ権力の要諦(ようてい=肝心かなめの点)だ。私は30代の末の頃に、会社の中で理不尽な人事を受けて多大な苦難を強いられたことがある。内定していた人事を覆され、全く希望しない部署に移されたのだ。それを首謀した側の人間が、人事権の行使こそ部長の最大の権限だとかなんとかほざいていた。それ以来、権力のあり方や権力構造に強い関心を抱くようになった。

 井戸まさえ氏が枝野幸男の旧執行部と交わした「転区後も総支部長につける」という口約束を反故にしたのは間違いなく泉健太の新執行部による人事権不行使のせいだ。井戸氏ばかりではなく、大阪府などではほとんどの選挙区で総支部長不在になってしまった。岐阜県でも騒動の今井氏以外は総支部長不在だ。昨日もリンクした立憲ナビのツイートを再びリンクする。

 

 

 

 これと、やはり昨日もリンクした同じ立憲ナビの下記の表を参照すると、泉の狙いはあまりにも明らかだ。

 

 

 上記ツイートの表で、青色が旧立民、黄色とピンク色が旧民民/希望系だ。なお立憲ナビは広島の佐藤公治を旧民民/希望系に入れておらず、元号新選組を連想させるピンク色の背景色にしているが、佐藤には希望の党の在籍歴があるらしいので本当は黄色にすべきところだったと思われる。

 枝野時代には都道府県連代表はほぼ全都道府県で旧立民勢で占められていたのが、泉対制になって21対19で旧民民・希望勢が多数を占めるようになった。これが泉による人事権の行使だ。多くの総支部長が空位になっていることにも、泉の意図が強く反映されていると考えるしかない。泉はいつもニヤニヤ顔をしているので騙されている人が多いと推測するが、間違いなく権力闘争を十八番とする人間だ。そうでなければ党内少数派から出て代表選に圧勝するなどという離れ業は演じられない。そういう人だから権力を握ったあとにこういう強権の発動をやるのは当然だ。その反面、泉は外部にアピールすることを非常に苦手としている。それどころか元旦早々の乃木神社初詣ツイートに典型的に見られる通りの無用な挑発まで行う始末だから国政選挙での比例票が激減してしまう。とぶとかげズ氏は下記ツイートで泉を「トロイの木馬」と評したが、言い得て妙だと思った。

 

 

 naoko氏と蝸牛氏の論争の言及に戻ると、人事権が枝野幸男から泉健太に移動し、泉執行部が人事権を持つ以上、枝野時代の口約束を履行するか否かの権限を持つのは泉執行部であり、井戸まさえ氏との口約束不履行の責任も泉執行部に帰すしかない。これが常識というものだ。

 引き継ぎ云々に関しては、かつて第1次安倍晋三内閣から福田康夫内閣に権力が移った時、福田が安倍から申し送りされた政策を次々と棚上げしたことを私は思い出す。あれもまた権力の行使だ。権力者をいただく組織を肯定する者は権力の行使自体を否定することはできない。残るのは道義的な問題だけだ。泉がやったことも、権力者としては普通のことでしかない。それなのに、naoko氏などは「泉さんは無慈悲なことをする人ではない」という根拠のない思い込みにとらわれているようにお見受けする。せっかく多数による同調圧力に容易に流されない長所をお持ちの方なのに、まことにもったいないことである。権力者は誰しも心を鬼にして非情な人事権の発動を含む権力行使をしなければならない。そうしなければ自分が足下をすくわれてしまうからである。これは権力者を目指す者の宿命だ。

 だから、ある権力者がいくら普段は「いい人」だからといって、それだけの理由で権力者を盲信してはならないのである。常に権力(者)を疑わなければならない。これがこの記事で私が一番言いたいことだ。それは何も泉健太に対してだけではなく、枝野幸男に対しても同じことだ。もちろん志位和夫に対しても同じである。「山本太郎を疑え」と、あの独裁者でさえ言っているではないか。もっとも山本の場合は言行不一致もいいところだが。

 そういえば、昨日公開した下記記事に奇妙奇天烈な陰謀論のコメントをいただいたのだった。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 とおりすがり改めカーマインスパイダー

Kojitakenさんの昨日の記事へのコメントを纏めてさせていただきますね。

支部長の件ですが、泉健太はかなり強権的ですね。
後ろ盾と何らかの密約でもない限り、彼ほどの小物は強権発動できないと思います。
恐らくは日本会議財務省、そして陰謀論と叱られそうですがアメリカ様が後ろ盾ではないでしょうか?(以下略)

 

 コメント主には悪いが開いた口がふさがらなかったので、下記の返答をした。

 

 kojitaken

カーマインスパイダーさん>

何言ってんですか。アメリカはそんな暇じゃありませんよ。ほっといても勝手に壊れていく野党第一党の党内抗争に手を突っ込んだって時間のムダですよ。

あなた、日本という国を巨大にとらえすぎなんじゃありませんか? だから思考がすぐに陰謀論に走るんです。はっきり言わせてもらいますが、ネトウヨやQアノンと思考様式がそっくりですよ。

今の日本はもうアメリカが陰謀工作を行うのも面倒なくらいの衰退国に過ぎません。

泉健太が強権を振りかざすのは単なる権力者の性(さが)です。安倍晋三やトランプやプーチン習近平の性と同じですよ。

それだけの話。アメリカなんか関係ありません。

 

 このコメント主も一野党の党首がそんな強権の発動をするなんて信じられないという思いがあり、そこから陰謀論に走るのかもしれない。しかし、私自身の例を考え合わせても、世の中には非情な強権の発動などありふれている。それを考えると、コメント主はあまりにもお人好しに過ぎるとしか言いようがない。この国の人々に一番必要なのは、身近な存在を含めて「権力(者)を疑う」ことではないだろうか。

 

 以下はnaoko氏と蝸牛氏の小論争における細かい点へのコメント。

 

 「割に蓮舫さんには辛口」な井戸氏が枝野執行部に近かったどうかだが、これは間違いなく泉健太よりは枝野幸男にずっと近かったといえる。

 なぜなら2012年の衆院選で落選後、2014年の衆院選には出馬しなかった井戸氏が次に衆院選に出馬したのは、あの「希望の党」騒動があった2017年衆院選であって、その選挙では東京4区希望の党の公認候補と戦っているからだ。つまりあの選挙では泉健太は井戸氏の敵方だった。

 また、井戸氏のツイートを見ると、おすすめのツイートの筆頭にはいつも尾辻かな子氏が表示される。尾辻氏はしばしば泉を批判するし、弊ブログでも下記記事で紹介した井戸氏自身の連ツイから泉に対する批判を読み取れない人はまずいないだろう。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 なお蓮舫については、確かに井戸氏は著書『日本の無国籍者』(岩波新書,2007) でも蓮舫を手厳しく批判しているが、蓮舫はもともと枝野幸男とはグループが違う。蓮舫野田佳彦系の保守派であり、希望の党騒動では立民に行った方が有利だと判断して立民入りしたに過ぎない人だ。立ち位置からいえば希望の党の方が蓮舫に近かったこともあり、弊ブログは蓮舫の立民入りを枝野が認めたことを批判した記事を公開したことがある。

 それから、naoko氏が「泉執行部は枝野路線継続を掲げた西村さんを幹事長に起用したし、冷遇するような人ではないと思うのですがね」というに至ってはあまりにも無邪気に過ぎる。西村智奈美を取り込まずに野に放ったままだと党内で権力抗争が起きてしまうではないか。自民党の歴代内閣だって権力闘争のあとに政敵を閣内に取り込むなど当たり前のことで、これもまた権力の要諦の一つだ。だから、「西村さんを幹事長に起用した」ことから「(井戸氏を)冷遇するような人ではない」ことを導くことはできない。そんなのは当たり前のことだろう。

 なお、井戸氏のツイートで興味深かったのは、井戸氏の転区で「野党共闘」が成立して当選した人たちがいたという示唆だ。井戸氏の転区で東京4区では共産党候補が野党統一候補となり、東京15区の共産党の候補予定者は下ろされたのだが、野党間の交渉で共産党東京4区大田区)の共産党候補を野党統一候補とすることを強く要求し、それを野党共闘成立の条件としていた事情が井戸氏のツイートによって確信できた(この話自体は以前にもネットのどこかで見た覚えがある)。当該の共産党候補は谷川智行医師で、谷川氏は比例復活もできなかったから、野党共闘の恩恵を受けたのは前記陰謀論コメント主のコメントで引用を省略した箇所にも出てきた東京8区その他で「野党共闘」が成立した立民の候補者たちを指すことは間違いない。naoko氏も書く通り井戸氏の転区は無慈悲きわまりないものだったが、立民の衆院選敗北後に行われた代表選で泉が勝ってしまったことも井戸氏には不運だったかもしれない。

 この記事も長くなった。本記事からリンクした連ツイのあとにも井戸氏は多数のツイートを発信しているが、ひとまずここで一段落とする。