下記X経由で、7月の東京都議会江東区補選に共産党の大嵩崎(おおつき)かおり区議が立候補することを知った。「大嵩崎」を「おおつき」と読める人はほとんどいないと思われるので(私も読めなかった)、区議会では「大つき」と表記されている。
こちらが恩返しする時がやって来ます。15区立憲協力党員として、私も応援に参ります。#江東区#野党共闘#大つきかおり #共闘しすぎ https://t.co/4eQClPravP
— りっけん学生党員/パートナー@酒井なつみ衆議院議員万歳🌈🍙 (@Rikken_CDP2023) 2024年5月18日
「#共闘しすぎ」とのタグがあるとは、先日から時折リンクしている東京12区の学生立民党員の方は、どうやら私も支持している愛知10区の藤原規眞候補予定者にシンパシーを持つ、立民支持層の中でも最左派に近い方のようだ。
下記は大嵩崎区議のX。
私、大つきかおりは6月28日に告示される江東区の都議補選に立候補することを決意いたしました。
— 大つき かおり@江東区議会議員 (@kaori_moon_jcp) 2024年5月18日
「年金が少なくて暮らしていけない」「子どもの学費の負担が大変」など皆さんから切実な声が寄せられます。
都民の声に耳を傾け暮らしに寄り添う都政実現に全力で頑張ります。https://t.co/Zxg5VFam5y
えっ、共産党は区議会江東区選挙区に議席を持ってるはずなのにどうして、と一瞬思ったが、前回2021年の都議選と2023年の区議選の結果を参照し、それに高野勇斗氏1人しか立民の区議がいない区議会の構成を思い出して、事情を説明できる仮説に至った。
下記は2021年の都議会江東区選挙区の結果へのリンク。
リンク先を見ればわかる通り、共産党の畔上三和子氏(当選時65歳)が当選している。私は江東区の有権者として迎えた3度の都議選では毎回この人に投票しているので、江東区での都議選の成績は過去3勝0敗だ。定数4の江東区の選挙結果は公明1位、自民2位、共産3位、都ファ4位で、この選挙区での公明と共産の強さをよく物語っている。
今回補選が行われるのは、いうまでもなく2位で当選した山崎一輝が昨年春の1回目の区長選に出馬するために都議を辞任したからである。今回の衆院補選で名を挙げた立民の高野勇斗都議は6位で敗れている。でもそれよりも区民として波乱だと思ったのは、4位に都ファの白戸太朗が入って当線が有力視されていた自民党元区議(区議3期)の高橋恵海(めぐみ)が落選したことだった。この人は2017年の都議選にも敗れていたが、この時は都ファの大ブームに押されただけで、21年の選挙には自民の2人目として当選するだろうとみられていた。結局都ファの支持が根強かったわけだが、自民と都ファなんてどっちもどっちだよなあとしか私には思えなかった。現に白戸は都議会で都知事の小池百合子を批判した立民と共産の都議の発言を削除する動議に名を連ねたどうしようもない人物である。
下記は2023年の区議選の結果へのリンク。
もう何度か目のリンクになると思うが、トップが三戸安弥で酒井菜摘が3位。そして大嵩崎かおり氏が共産党の候補者の中では最高位の9位で当選している。区議会の共産党のエースはどうやらこの人らしい。大嵩崎氏は当選時55歳。畔上氏とは12歳違いになる。
つまり、共産党は来年の都議選では、どうやら畔上氏から大嵩崎氏への代替わりを考えているらしいと推測される。
そして、おそらく立民からは候補者が出ないのだろう。出すとしたら前述の高野区議しか考えられないが、彼が出馬したら立民の区議は誰もいなくなってしまう。
そうした理由で、共産党が既に1議席を持っている江東区の都議補選にあえて大嵩崎区議を出すことにしたのだろう。これはおそらく今回の補選で酒井菜摘氏に勝利をもたらした「市民と野党の共闘」陣営の総意であろうと推測される。そうとでも考えなければ、立民の党籍を持つ方があのようなXをポストするとは思えないからだ。
この補選は、山崎一輝と三戸安弥の2人が強力なので、大嵩崎氏の当選はなかなか難しいと思われる。昨年の区長選でも立民支持層右派の一部は酒井氏よりも三戸氏を「内心支持していた」とのことだから*1、7月でも彼らの票は三戸氏に乗っかるに違いない。しかし立候補して知名度を得るだけでも来年の本選にプラスになることは酒井氏の例にはっきり見られる通りだ。
それに、そうした事情なら高野区議が下記Xをポストした理由がよくわかるのである。下記は、欠員1の他の区より一足早く行われる欠員2の都議会目黒区補選に関する高野区議のX。
【目立たない場所でも力を発揮できるかどうか】東京都議会議員補欠選挙。選挙に参加するには3通りある。1つは立候補する。2つ目は投票する。最後は、候補者を応援する。この最後の「候補者を応援する」は実際やってみると非常に奥が深い。選挙というとどうしても演説や車上街宣ばかりが注目されるが、… pic.twitter.com/YI6p5j4pcy
— 高野はやと 江東区議会議員|東京15区 (@takano_hayato38) 2024年5月17日
以下に、上記Xのうち候補者を宣伝する最後の文章を除いて引用する。
【目立たない場所でも力を発揮できるかどうか】東京都議会議員補欠選挙。選挙に参加するには3通りある。1つは立候補する。2つ目は投票する。最後は、候補者を応援する。この最後の「候補者を応援する」は実際やってみると非常に奥が深い。選挙というとどうしても演説や車上街宣ばかりが注目されるが、私は選挙の時こそ、人からは見えない裏方の仕事こそ大事だと考えるようになった。選挙は決して1人ではできないと身をもって感じられるからだ。
選挙では、外からはわからないさまざまな業務が生じる。中には気の遠くなるような作業があり、やる気と根気がいる。町中に貼られているポスターの貼り替え、チラシの折り込み作業、電話かけ、発送作業、それに付随する多くの業務がある。せっかく応援するなら、候補者の近くでマイクを持ちたい、手を振りたい、チラシを配りたい、写真に映りたい、活躍した証を残したいし、みんなに知ってほしいと思うだろう。もちろん大事だ。政治家にとって、人に知ってもらうことが仕組みの上でも最も重要だが、人からはまったく見えない場所でも一所懸命やれるか。ひたむきになれるか。敢えてその役を買って出られるか。その大事さを改めて感じた。
先月の区長選から、そんなことにも目もくれず、裏方業務をこなすのが細貝悠目黒区議。テキパキとなんでも仕事を捌く姿は頼もしい。細貝区議は古くから知る大学の後輩だが、会うたびに頼もしさが増す男だ。尊敬する西崎つばさ候補を輝かせる、当選に導いてみせる、ただただその目標のために、連続の選挙でも決して手を抜かない。疲れを見せない。その姿を見て、まだまだ自分は甘いな。見習わないとなぁと思わされた。
人からは見えない場所でどれだけ汗をかけるか。政治家には必要な自己顕示欲というリヴァイアサンを飼い慣らすことができるか。選挙はとても良い場所だと考える。(後略)
URL: https://x.com/takano_hayato38/status/1791411145368293409
こんな文章を書くからには高野区議は都議補選には出ないつもりなんだろうなと思った。
来年行われる都議選本選でどうするのかは知らないが。
引用文中最後に書かれた「政治家には必要な自己顕示欲というリヴァイアサンを飼い慣らすことができるか」というくだりは特に印象に残る。
おそらく高野区議も人並外れて自己顕示欲が強い人であり、それを自覚しているのであろう。もちろん酒井菜摘衆院議員も自己顕示欲が強いだろうし、山本太郎参院議員に至っては自己顕示欲の権化みたいな人だ。
だからこそ、われわれ市井の人間はそういう政治家という範疇に属する人たちに対する批判的な姿勢を、それがたとえ自らが支持する人に対してであっても、常に持ち続けなければならない。間違っても「信者」になどなってはならないのである。
改めて強くそう思った。
*1:三戸氏を「極右」と決めつけた弊ブログの記事にも、その根拠を示せ(意訳)とのコメントをいただいた。