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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「萩生田隠し」も「八王子なら大丈夫」と自民に甘え/江東区でも自民党の山崎一輝陣営には「楽観ムード」が広がっていた(東京新聞, 7/9)

 東京都知事選と同日に投開票が行われた東京都議補選に関して、少し前の東京新聞に興味深い記事が出ていた。記者の座談会の体裁をとっている。

 

www.tokyo-np.co.jp

 

◆「萩生田隠し」も「八王子なら大丈夫」と自民に甘え

 

 ―七夕は都知事選だけではなく、都内9選挙区で都議補選もあった。8選挙区で候補者を擁立した自民党は2勝6敗と大敗した。派閥パーティーの裏金事件の影響はやはり大きかった。

 

L 裏金事件で役職停止処分を受けた自民都連会長の萩生田光一衆院議員のお膝元の八王子市では、自民新人が5万票もの差をつけられた。萩生田氏は「私も先頭に立つ」と言っていたが、告示前の決起集会や、大物国会議員を呼んだ屋内の演説会はマスコミをシャットアウト。陣営は世間への「萩生田隠し」に必死になっていたように思える。

 

 ―大物議員って誰?

 

L 石破茂元幹事長、河野太郎デジタル相、小泉進次郎環境相ら。9月の総裁選候補とも目されている面々だが、票には結びつかなかった。党員向けのアピールだったのでは、とうがった見方もできる。

 

 自民関係者は「ここは萩生田帝国。ついにその牙城も崩れ始めたかもしれない。何とか立て直さなければ」と声をひそめた。萩生田氏が先頭に立っている以上、自民への逆風は募るばかりだが、自民関係者は萩生田氏への忖度(そんたく)ばかり。「いくら自民とは言え、八王子なら大丈夫」という甘えがあったように見えた。

 

 ―9選挙区のうち、足立区だけが自民と立憲民主党の新人候補者による与野党一騎打ちだった。

 

M 立民新人が762票差の激戦を制した。区議選でトップ当選した銀川裕依子さん(38)は突然の擁立だったが、立民都議がゼロだった都東部の「城東エリア」で一矢報いた。自民党都連幹事長を務めた高島直樹都議が亡くなり実施された選挙で、裏金事件の逆風の中で議席死守が最重要課題だった。告示日に応援に駆け付けた小渕優子選対委員長も党への不信感を拭い去ろうと「自民党はしっかり変わる」と強調したが、有権者は「高島さんが長年築いてきたものがあるが、裏金事件が引っかかる」と冷ややかだった。

 

 ―昨春の区長選を巡る公選法違反事件で、区長や岸田政権で法務副大臣だった衆院議員が逮捕された江東区も注目だった。

 

N 都議会自民党の都連幹事長も務めた元職の山崎一輝さん(51)は本命とされ、開票日の夜の事務所では楽観ムードが広がっていた。ところが伝えられたのは、無所属新人の当選確実。「ゼロからの再出発」を掲げて補選で勝ち、次の衆院選で地元の候補者を擁立し、足場を固める計画に一転黄信号が灯った。

 

 支援者や業界団体向けの集会に組織力を動員した一方、「無党派層」の取り込みには消極的だったように思う。山崎さんは「私の力ではどうにもならないことがあった」と裏金問題に触れたが、果たしてそれだけが理由だったろうか。(後略)

 

東京新聞 2024年7月9日 17時30分)

 

URL: https://www.tokyo-np.co.jp/article/338884

 

 

 東京新聞の記事から八王子市、足立区、江東区各選挙区での自民党敗北を取り上げた部分を抜粋した。

 このうち足立区は、期日前投票の動きが悪く、公明党が消極的だったことが推測された。おそらく候補者選定をきっちりやっていたら自民候補が勝てた選挙区だったと思われる。というより、自民党候補の擁立につけ入る隙があると見て、急遽立民がエース区議を立てたものかもしれない。

 その他の八王子市と江東区は、ともに昨年末から今年初めにかけて小池百合子が地方選に介入して自公に「恩を売った」選挙区だ。江東区では衆院補選で小池は立民の返り討ちに遭ったが、あれは国政選挙。地方選で立民候補が立たず、共産候補も明らかに来年の都議選本選での代替わりを見据えてエース区議を出したものであって、負けても名前が浸透できれば良いという思惑が最初からミエミエだった。また2人の無所属候補のうち若い方は、木村家の世襲3世で、こちらも来年の都議選本選でもう一度負け覚悟で出て、3年後の区議選で当選を狙うとかその程度だったと思われる。おそらく最初から勝つつもりもなかっただろうし、実際勝てるはずもなかった。だから選挙の構図が山崎一輝と三戸安弥の事実上の「一騎打ち」であることは最初からわかりきっていた。私などは三戸が勝つ以外の結果が想定できなかった対決構図だが、東京新聞記事によると、山崎陣営には「楽勝ムード」が広がっていたという。

 おそらく江東区では公明党が必死に票固めをしており、おそらくそのために期日前投票も多かった。また現区長の大久保朋果は、山崎の言葉を借りれば「ほぼ毎日」山崎の応援に入っていたという(区民としては、もっと真面目に公務をやれよ、と呆れるほかないが)。だから公明党方面も都ファ方面も押さえたし、出直し区長選でも三戸は3位だったから、いくらなんでも勝てるだろうと山崎陣営は高を括っていたのかもしれない。

 しかしそうは問屋が卸さず、「一騎打ち」は「一輝討ち」と化した。つまり私の予測通りの選挙結果になった。

 これは、出直し区長選や衆院15区補選で酒井菜摘に投票した層のかなりの部分が三戸安弥に投票し、衆院補選で酒井に投票した3割のうちおそらく半分以上が三戸に投票したと推測される。中には、共産党と右派無所属の比較なら普通は共産に入れるけれども、山崎を落とすための戦略的投票として三戸に投票した人もいたに違いない。こう断言するのは、もし三戸がもう少しマシな候補であれば、私もその選択肢を考慮したに違いないからだ。しかし現実には三戸は衆院15区補選では飯山陽寄りで、今回の都議補選でも石丸伸二と連携するような「許容範囲を超えた」候補だった。だから私は共産候補に投票した。

 結局山崎一輝は無党派層にアピールできなかったから負けた。都知事選での蓮舫の敗因と同じである。

 現時点では、自民も立民も共産も無党派層にアピールする訴求力はいたって弱い。

 そしてその訴求力は、間違っても右派、左派を問わずポピュリズム路線の追求から得られるものではない。秋の代表選で私が泉健太を全く推さないのは、泉には、特に右派のポピュリスト候補への相乗りなどを簡単にやりかねない危うさがあるからだ。あと、広島みたいな総支部長の右派候補への差し替えをやられまくっても具合が悪い。だから立民の代表選では(出馬するかどうかは知らないが)枝野幸男の出馬と代表復帰を望む次第。

 15区補選で酒井菜摘が無党派層から3割の支持を得たのは、他の候補が揃いも揃って魑魅魍魎ばかりだったからという面が大きい。結局無党派層の支持を得たのは酒井と地元出身の須藤元気で、2人で半分近くか半分以上の無党派層から得票できた。そして、何より右派ネオリベ系に特化したポピュリスト候補がいなかったことが酒井に幸いした。一番それに近かったのは参政党の候補だったが、参政党自体が賞味期限切れしていたので勝負にならなかった。日本保守党の飯山陽のように極右に特化した候補だと得票力はどうしても限られる。その意味で、補選後に極右指向を強めているように見える維新の金沢結衣からは、明らかに維新が選挙の総括を誤った可能性が高いことを示す。もちろんこれは酒井にとっては有利な材料だ。

 とにかく今は非常に大きな変化が起きつつある時代だから、いかに早く良い方向に変わることができるかの政党間競争にならなければ嘘だ。そのような時代認識が求められる。