自民党総裁選、どうやら本命にのし上がったらしい小泉進次郎が、親父の小泉純一郎ばりの過激な新自由主義政策をぶち上げるという最悪の展開になりつつある。それに大々的に警鐘を鳴らしているのが宮武嶺さんのブログ記事だ。
以下引用する。
小泉進次郎元環境相が2024年9月6日に東京都内で記者会見を開き、自民党総裁選への立候補を正式に表明しました。
この会見で小泉氏は
「政治に期待しない声が多い中、自民党が真に変わるには改革を唱えるリーダーではなく、改革を圧倒的に加速できるリーダーを選ぶことだ」
と訴えて、できるだけ早期に衆院を解散して、国民の信を問う考えを示したのですが、その改革の中で一番時間を割いて説明したのが、企業が労働者の解雇を自由にできるようにする解雇規制の緩和だったのにはのけぞりました。
しかも、河野ブロック太郎デジタル担当大臣よりもさらにその内容が酷い弱肉強食ぶりで、さすが竹中平蔵総務大臣の下で副大臣を務めた菅義偉元首相が河野氏を捨てて選んだだけのことはあります。
(中略)
さて、驚いたのは冒頭でも申し上げたように、小泉進次郎氏が「政治改革」「聖域なき規制改革」「人生の選択肢の拡大」「憲法改正」の4つの政策について、2番目と3番目のそれぞれで解雇規制の緩和・自由化について述べた部分です。
『また、人生の選択肢が増え、自分らしい生き方ができるようになる。そんな未来を作るため、聖域なき規制改革の断行と、1人1人の人生の選択肢の拡大の2つをスピードを上げて取り組む。まず、聖域なき規制改革だ。今、日本全国で深刻な人手不足が起きている。その一つの原因は、大企業にヒト・モノ・カネが集中し、スタートアップや中小・小規模事業者に流れなくなっていること。大企業に眠る豊富な資金・人材・技術を解放し、スタートアップや中小企業に流れ、スタートアップが既存企業と公平に競争できる環境を整備しなければならない。』
もう一つは労働市場改革だ。テクノロジーの進化の加速で、これだけ変化が激しい時代に、新卒で入社した企業で定年まで働く昭和の終身雇用モデルは通用しなくなっている。働く人の賃金が上がらない根本的な理由も、優秀な人材が成長分野に流れていかないことにある。出番さえあれば、能力や個性を発揮できる人をベンチで座らせておく、試合に使わない、今の日本に1人の人材もおろそかにする余裕はない。社会全体で新しい分野のスタートアップや中小企業に人材が流れていく仕組みを作ることこそ、究極の成長戦略。』
などと人生の選択肢の拡大というおためごかしで、大企業から中小企業への人材の移動というあり得ない話を餌にして、解雇自由の話に持っていきます。
労働市場を流動化したら、力の弱い中小零細企業が大企業から人材を取れる、だなんて話があるわけがないので、これは進次郎氏は相当頭が悪いか性格が悪いです。
URL: https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/e122e1dbd2d0d0931caaecec84d16e9b
引用文中最後の部分を赤字ボールドの大文字にしたのは引用者(私)によるが、日本社会について何も知らない世襲権力者ならではのお花畑人間である小泉進次郎の特徴を実に的確に表現していると感心した。
しかし、そのお花畑の花からは猛毒が撒き散らされる。こんな人が総理大臣になったら日本はとんでもないことになるとしか私には思えないのだが、現在の自民党の長老の中で私がもっとも悪質だと考えている菅義偉が強く推しているのがこの小泉何世だか知らない*1人間だ。
野党の政局に関しては私と全く意見が合わないこたつぬこ(木下ちがや)氏も、小泉に対する認識だけは正しい。
小泉進次郎、「聖域なき規制改革」の新自由主義路線を全面に打ちだしました。これは岸田政権の修正資本主義路線から大転換ですよ。野党は反規制改革、反新自由主義路線で結束すればおおいに闘えますよ!
— こたつぬこ🌾野党系政治クラスタ (@sangituyama) 2024年9月6日
あ、吉田晴美についてもまともなことを言ってる。
朝までに吉田はるみの推薦人がそろうかどうか、議員諸君、党を救いたいならなりましょう。
— こたつぬこ🌾野党系政治クラスタ (@sangituyama) 2024年9月6日
それにしても杉尾秀哉には心底失望した。せっかく菅直人が率先垂範したのに何を泉の推薦人なんかになってるんだよ。馬淵澄夫が「予定通り」出馬を断念したんだから、泉の推薦人になれる人なんか他に何人もいたはずじゃないか。泉からしたら、馬淵の出馬断念で馬淵一派から助けを借りる形になったら「やっぱり泉は右に偏っている」という印象を強烈に与えてしまう。それではリベラル層から完全に見放されて勝ち目がなくなるから、泉は是が非でもリベラル系から推薦人が欲しかったということだ。だからぎりぎりまで粘ったんだよ。推薦人が誰でも良ければもっとずっと早くに出馬表明できたはずだが、泉としては誰でも良いというわけにはいかなかった。それが最後の最後まで出馬表明が遅れた最大の理由だ。そういう動機を持っていたから執拗に西村智奈美にアプローチしてたんだよ。泉は(野田佳彦や枝野幸男も同じだが)権力志向がきわめて強い人間だからそのくらいのことは考える。泉が出馬できたことに感激して目をウルウルさせていたらしいなどと報じられたので、泉に感情移入した人も少なくなかったようだが*2、私はどうしても権力者が本当に考えるのはどういうことかということを想像する。権力に対しては徹底的に懐疑的な人間なのだ。
立民は、党内民主主義を育てる観点からいえば吉田晴美を絶対に立候補させなければならないし、小泉進次郎の極悪かつ強烈な新自由主義に本気で対抗するなら代表には枝野幸男を選ばなければならない。枝野に関しては不十分な点も少なくないが*3、立民代表選の候補者の中で一番小泉に対抗できるのは枝野幸男だ。最悪はいまや野田佳彦だが*4、一昨年末に「『維新八策』に大部分協調できる」と抜かした泉健太も限りなく野田に近い。
しかし、自民党総裁選と立民代表選は、どうやらともに最悪の結末へと向かいつつあるようだ。