石破茂の安倍派残党との党内抗争は早々と腰砕けになった。
これは反政権側の選挙にとっては悪い材料でない。
一番具合が悪いのは、2005年の小泉純一郎の郵政総選挙みたいに、自民党内の対立構図にばかり注目が集まることだ。あの選挙で自民党は地滑り的大勝を収めたが、今回はそんな結果にはなりようがない。
立民の最大の懸念は、衆院選で小沢一郎がかなりの権力を手にしてしまったことだ。これによって小沢が維新との「共闘」を進める恐れが強まった。野田佳彦なんかを立民代表に選ぶからこんなことになる。泉健太の維新へのすり寄りは馬場伸之に足蹴にされて終わったが、現在は維新が弱り切っているので維新の方から立民にすり寄ってきている。もっとも馬場はあくまでも「立民を叩き潰す」ことにご執心のようなので最終的にはどう転ぶはわからないが。
前原誠司は仲間の一部を切り捨ててついに維新に走ることになった。
その前に名古屋市長の河村たかしが日本保守党公認で愛知1区から出ると発表したが、河村については下記「レバ子」氏(連合左派の人)の批評が的を射ていると思う。
元々河村たかしは民主党時代に「民主党に自由主義者はいなくなった」と嘆くぐらい強固な新自由主義者。小沢一郎の「グランドキャニオンには柵がない」と言うスローガンで、民主党のネオリベラル路線を推進し、やりすぎて党内から居場所がなくなりつつありました。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月1日
超新自由主義者(超ネオリベ)。それが河村たかしの正体だ。しかも河村は超極右政党ともいうべき日本保守党の「チャーターメンバー」でもある。
その河村が民主党をおん出てか追い出されてかはわからないが設立したのが「減税日本」だった。今は日本の経済論壇がすっかりおかしくなってしまっているが、河村がこの地域政党を設立した頃は「減税」こそ「緊縮」政策の代表だった。なぜかというと、減税をすると歳入が減るから財政出動ができなくなるからだ。それをアクロバティックに回避して、オリジナルのアメリカでは左派の理論(仮説)である現代貨幣理論(MMT)を日本の右派やネオリベにも受け入れられるようにモディファイしたいのが日本版MMTだというと偏見にすぎるだろうか。とにかく私はあの界隈には近づかないことにしているので直感的に言うだけだが、そんなところではないかとずっと疑っている。元号新選組の経済政策のブレーンらしい長谷川羽衣子も、心情的には「保守」ではないかと思わせるXをポストしていた。記録しておかなかったのでリンクできないが。
レバ子氏は愛知県の、おそらく東部の田舎の人のようだが、河村について他に下記のポストをしている。
河村たかし後援会「ハトの会」は、名古屋市長の時代も北部は強くて南部は微妙だと言われ続けてきました。「ハトの会」は河村のファンクラブのようなもので、春日一幸の元支援者はいないでもないですが、その支援基盤は一代限り。世襲でもしなければ維持は不可能です。 https://t.co/P1Jiaxarg2
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月1日
河村の票田は東区です。なので2009年に地盤を引き継いだのは東区選出県議の佐藤夕子でした。佐藤は河村が日本保守党に入党後、真っ先に追従した広沢一郎と違いまだ地域政党「減税ナゴヤ」にとどまっています。河村との関係はまだ切れてはいませんが、かつてほど密接でもないです。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月1日
河村たかしの後継者である広沢一郎は瑞穂区出身。河村たかしの地盤とは大きくかけ離れた場所が本拠地です。大塚耕平の本拠地は千種区。古川元久と同じ地盤です。古川と河村の代理戦争。旧民主党時代を思い出す人もいるでしょう。2012年河村は愛知2区から出馬するつもりだったんです。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月1日
古川元久と河村たかしは地盤が重なる部分があります。真の春日一幸の継承者は古川でしょうか?河村でしょうか?春日一幸を知る労組の元活動家もめっきり減った2024年です。その決着はつくのかどうか分かりませんが、名古屋民主党は今後も揺れるでしょう。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月1日
私は愛知県の民主・民進系というと「右」のイメージしか持っていなかった。そんな愛知10区に藤原規眞氏が立ったので応援していたが、原口一博と意気投合したり立民代表選で泉健太を応援したりしたので、現在はペンディングにしている。でも藤原氏のおかげで、2021年の立民代表選で泉を応援した愛知の立民国会議員たちが一斉に野田佳彦に乗り換えたらしいことがよくわかった。
ただ、いくら野田が論外だからと言って、立民党内で枝野幸男は泉と共闘せよなどという一部立民支持層の意見には全く賛成できない。泉の応援団の中には「旧立民は枝野の『私党』だった」などと言い募る連中が少なからずいるからだ。
その代表格の一人である「駅前は朝の七時」とか、野田支持者にして自らのXに載せた衆院選の当落予想一覧表で、枝野幸男が石破内閣の大臣になった牧原某に負けると予想した上、東京15区の自民党候補が決まらないうちから自民党候補の当選を予想していた「アエニキ」とかいう奴とか、ゴリゴリのネオリベラリストである「ななしさん」とか、ああいう連中のポストを、これまで立民リベラル系支持層あるいは「立憲野党」支持者だと思っていた人までもが平気でリポストしているのを見て、政治関係のXをヲチし続ける気力が相当減退している今日この頃だ。
彼らにはリベラルの「矜持」というものの持ち合わせがないのだろうか。