兵庫県知事選は最悪の結果となった。
斎藤元彦が111万3911票、得票率45.2%。
稲村和美が97万6637票、得票率39.6%。
清水貴之が25万8388票、得票率10.5%。
大澤芳清が7万3862票、得票率3.0%。以下略。
私はこの選挙は斎藤元彦と稲村和美のどちらが勝ってもゼロ打ちだろうと思っていた。そして、地元のサンテレビ(神戸)及び多くのメディアは斎藤のゼロ打ち(20時での当確)を出したが、NHKは23時にようやく斎藤の当確を打った。
結果は、多くのメディアがゼロ打ち下にしては差が開いていないが、決して接戦とはいえない程度の差がついた。
昨夜は外出していたが、20時に地元在住のぷろもはん氏のXをチェックした。地元に住むこの人の情報が早いと思ったからだ。覚悟はしていたが、下記のXが目に入ってがっくりきてしまった。
ゼロ打ち…
— ぷろもはん#投票行ってパワハラなくそう🕊🌈💙💛 (@promoterno26) 2024年11月17日
しかし23時頃にくろかわしげる氏のXを開くと、まだNHKが斎藤の当確を打っていないとのこと。一縷の期待を託したがやはり無駄で、ブログに記事を公開している間にNHKが斎藤の当確を打った。
NHKのサイトには開票所別の得票率が出ている。それを見ると、斎藤の得票率がもっとも高かったのが神戸市中央区で、次いで同兵庫区、同東灘区、同灘区。予想通り芦屋市も斎藤の得票率が高かった。西宮市もかなり高いが芦屋市よりは低い。これが武庫川を越えると逆転し、尼崎市では稲村が斎藤に勝った。まあ元市長だからではあるのだろうけれども。
斎藤を押し上げた動きの震源地はどうやら神戸市の中心部であって、そこから東側の神戸市東部及び阪神間へと広がっていったと推測される。西側への広がりは東側には及ばない。たとえば、最初の知事選で自民党側から斎藤を押し上げた首謀者である「いかがわしい」西村康稔の地元・明石市ではむしろ稲村和美が善戦している。
とはいえ、得票率を見ると日本海側でも斎藤の得票率が稲村を上回る自治体が多いから、今回の「斎藤元彦現象」は投票日にはすっかり県全体に波及してしまったといえる。
しかしその中でも、特に富裕層の多い地域で斎藤が強かったことは押さえておかなければならない。東京都でも、自民だの維新だの民民だのが特に強いのは、千代田区、港区、中央区の都心3区である。
それから、年齢別及び支持政党別のデータは絶対に把握する必要がある。
年齢別では若年層ほど強く、支持政党別でもっとも斎藤への投票志向が強かったのは民民支持層だった。他に自民、維新、新選組などの支持層が斎藤を強く支持した。中でも最悪だったのが民民支持層で、7割近くが斎藤に投票した。
れいわ支持層の
— P.W.みこる🌈 (@356mikoru) 2024年11月17日
斎藤支持率の高さにびっくりした😇 https://t.co/cQnYWX5lvr
最近新たになだれ込んできた民民の新規支持層(いわゆる「玉キッズ」)はもう論外だけれど、新選組支持層は玉キッズや斎藤と響き合うような人たちが主流であることが再確認された。新選組はやはり支持するに値しない政党だ。さとうしゅういちさんには悪いがその確信を新たにした。
このあたりのデータについては、本記事の末尾にリンクする朝日新聞デジタルの記事を参照されたいが、それではあまりにもそっけないので、維新支持のアカによる下記X を挙げておく。
NHK出口調査
— おちゃ 🇯🇵 #シゲは勝つ (@ocha_itk) 2024年11月17日
兵庫県知事選 政党支持率と支持政党毎の投票先 pic.twitter.com/zMIIx85X89
民民に次いで、維新と新選組が同じくらい斎藤への傾斜が強い。自民支持層は前記3政党の支持層よりはよほど稲村寄りだが、それでも斎藤への投票の方が多い。立民は7割近くが稲村だが、4分の1ほどが斎藤に流れており、この比率は民民とほぼ逆だ。公明支持層はNHKと朝日でやや傾向が違うが、平均すると立民支持層と同様の割合で稲村への支持が強い。共産支持層は自前の候補である大澤の歩留まりは4割ほどで、戦略的投票行動によってかなり稲村に流れたが(このあたりは衆院選東京15区などと似ている)、中には他党支持層よりは少ない比率ながら斎藤に投票した人もいる。いずれにしても稲村と大澤の得票を足しても斎藤に及ばなかったことは厳然たる事実だ。
兵庫は6歳の幼稚園時代から高校卒業までを過ごした地だが、最初が阪神間、のち神戸市にいた。しかし今回の選挙はほとんど追っていなくて、中盤戦で斎藤が「猛追」と報じられた時に少し記事にした程度だったと思う。街宣での聴衆については、蓮舫が惨敗した今年の都知事選でもそれなりに多数の聴衆を集めていたことから、斎藤がどこまで県民全体に浸透しているかは半信半疑だった。何しろ今の関西のことは全然わからない。2000年代に中国・四国に10年間住んだ頃も、大阪の電波は岡山や香川には届かないので、在阪局の番組は準キー局からネットを受けた探偵ナイトスクープやたかじんの極右番組は時々見ていたけれども多くは知らない。「関西は近くて遠い」というのが、岡山県民時代及び香川県民時代に私がよく思ったことだ。ましてや橋下徹や維新が本格的にのし上がってきた頃には既に東京に移住していた。橋下知事の最初の頃だけは四国に住んでいたけれども。
その私が事態がただならぬことを本当に悟ったのは、現在の地元である東京都江東区の立民区議である高野勇斗氏が兵庫県知事選選挙戦終了直後の21時過ぎに発したX及びnoteによってだった。それを以下に紹介する。なお、高野区議はかなりの早業で記事を書いたと見え、noteにほぼ同じ内容の記事が2本あり、ゲッベルスが文章の途中から「ゲッペルス」に誤記されていたりするが、ここでは最終形態と思われる2本目のnoteを無修正で以下に引用する。
高野はやと@江東区
2024年11月16日 21:22
兵庫県知事選挙の最終日。私から一つ警告をしておきたい。皆さんはナチスの「ゲッベルス」をご存知だろうか。アイヒマン、ヒムラー、メンゲレは過去紹介したが、ゲッベルスに関してはまだかもしれない。私は、実はゲッペルスこそがドイツの悲劇の元凶だと考えている。ユダヤ人を唯一の悪と設定し、ありとあらやるメディアを駆使してプロパガンダを行った。「宣伝省」などという国家の行政機関を聞いたことはないだろう。宣伝省の大臣がゲッベルスである。他の幹部と異なり、ヒトラーに従ったというより、ヒトラーを巧みに利用することで自分の想いを成就させたといってもいいかもしれない。ゲッべルス自身も演説の天才と言われている。マーケティングの才も際立っている。
『ニーメラーの詩』にあるとおり、彼の最初のターゲットは共産党だった。次は社会主義者、次は教育者、次はマスコミ、次は聖職者と標的を変えて行った。ジプシーも犯罪者も障害者も同性愛者も標的となる。また、ありとあらゆる世俗的な既得権益層にも、国民の矛先を向かわせることを正当化した。デマを何度も何度も吹聴する。「嘘も100回言えば、真実になる」は、ヒトラーではなく、実はゲッペルスの言葉である。これ以降は、皆さんがご存知のとおりである。”Final Solution”としてユダヤ人が大量虐殺され、ドイツは滅んだ。
最近似たような不安を抱いている。11月20日に初公判の日を迎えるつばさの党による選挙妨害、都知事選、米大統領選、そして特に今回の兵庫県知事選挙でその不安は決定的となった。あの時、私は生きていなかったが、書物を読み、映像を見て、アウシュビッツや米ホロコースト資料館を実際に訪れ、目を閉じ、耳を研ぎ澄ませ、想像を張り巡らせ、目を見開き、その惨劇を直視することで追体験してきた。あの時の空気を感じるのである。
ある人が今回の一連の流れを右傾化のように論じているが、それは明らかに本質を見誤る。今回の矛先も、兵庫県知事選挙の構図上、そう見えているだけで、イデオロギーは関係ないのである。共産党でも、社会主義でも、権威主義者でも、王でも、90年代の通貨危機の時の華僑でも、マスコミなどの既得権益でも、他の民族でもなんでもいいのである。何か日頃から不満を感じ、ブラックボックスになっているものであれば、どこでも、ある日何かの引き金で爆発する。米大統領選でも見られるが、私は局地においては、日本のそれの方がより深刻だと感じた。兵庫県知事選が、沸点を超えた。群衆がいったいなんなのか分析しきれず理解不能に陥った時点で、沸点を超えた。誰が先導し扇動しているかはわかるが、あの群衆がいったいその何に火がついたのか、振り子の論理がなぜ働いたのか、働いていないのか、それさえもわからない。
つばさの党の時はまだ良かった。ネットとリアルがつながりきっていなかったからだ。4月の東京15区衆院補欠選挙は、あくまでリアルに存在する演者は、つばさの党であり、彼らが配信する先に多くの視聴者がいた。あのリアルの場に来てしまったわずかな聴衆でも私が体験し、供述し、新聞のインタビューでも語った暴動が、わずかな着火点ですら爆発した。ただあの時は多くが傍観者であり、見物人だった。兵庫県知事選挙では、ネットで騒いでいた人間がリアルまで飛び出てきてしまった。それは、Youtubeで儲かるからという資本主義の仕組みがわかる人々が起こした石丸現象とは全く異質な何かである。有象無象の何かである。その何かがまだわからない。「ハイルヒトラー!」と熱狂したドイツ国民への事後のインタビューでもそれは「空気」と答えていた。その空気が何なのかまだわからない。ただ、その何かがわかった時には手遅れかもしれないという恐怖感がある。
もう一度いうがこれはイデオロギーの問題ではない。イデオロギーの問題だと考えれば必ず先を誤る。なんとも言えない全国の人々の不安、不満が兵庫に向かわせているのかもしれない。排斥主義なのか、反ワクチンなのか、反マスコミなのか、そしてその根本にあるものがまだわからない。
一つ確かなことは、これは兵庫県知事選挙の結果がどうなろうと終わりそうにない。あくまで人々の見えない不安や不満の発露の先として、たまたま兵庫県知事選が存在したということでしかない。ミュンヘン一揆も、アルトナ血の日曜日も、クリスタルナハトも発露の先でしかないからだ。それらは、必然のための偶然であった。
ただ、終わりの始まりになることは防がなければならない。政治の役目である。ネットにだけ存在していた住人が大挙して押しかけたのか。はたまた別の群衆なのか。わからない。
高野はやと@江東区
「つばさの党」の脅威を体感したはずの高野区議が「つばさの党の時はまだ良かった」、また「Youtubeで儲かるからという資本主義の仕組みがわかる人々が起こした石丸現象とは全く異質な何か」と言い、「兵庫県知事選が、沸点を超えた」と断言したのだから、上記の文章を読んで戦慄が走った。
ブログで紹介しようかと一瞬思ったが、上記の文章を読んだ時には日付が既に投票日に17日に入っていたので、今日に延ばした。
ただ、高野区議が「終わりの始まりになることは防がなければならない」と書いている通り、今回の選挙結果について、一部で言われているらしい「民意は常に正しい」というテーゼは強く否定しなければならない。
その点では「北守さん」(藤崎剛人氏)の下記Xが指摘する通りだと思う。
兵庫知事選の結果で唯一良かったところは、洗練された広告屋の手法で臆面もなく嘘とデマと陰謀論で大衆を煽れば、インターネット時代では選挙に勝てるのだ、ということを言い訳できないかたちで突きつけられたというところでは。見捨てられた労働者がー、も、高慢なリベラル左翼がー、も、今回の選挙に…
— 北守さん (@hokusyu1982) 2024年11月17日
たとえば、裏金や統一教会があっても地元に尽くしてくれた議員さんを応援したいから萩生田というのは、それ自体は事実に基づいた判断なので、そういう政治はダメなんだと粘り強く訴えていくしかない。でもトランプや斎藤はポスト真実をバラまくことで当選しているわけだから、入れたやつは端的に間違い… https://t.co/mim8T3CVZA
— 北守さん (@hokusyu1982) 2024年11月17日
そう、斎藤元彦に入れたやつらは端的に間違いを犯した。この一点は絶対に譲れない。なお上記埋め込みリンクは文章が途中で切れているが、以下にその部分を補う。
でもトランプや斎藤はポスト真実をバラまくことで当選しているわけだから、入れたやつは端的に間違い。勝利や敗北の原因を分析するよりも、きちんと間違った選択だったと述べてほしい。特にメディア。
・稲村氏自身は保守系でなんなら維新的な要素もあること。
— 北守さん (@hokusyu1982) 2024年11月17日
・共産党は別候補をたてて稲村氏を攻撃。
・自民系が大半を占める市町村長が稲村氏を支援。
したがって稲村候補が「リベラル左翼」一派であるという認識自体がデマの一部を構成していました。 https://t.co/vhkV3Hm9kJ
これもその通りで、今回の兵庫県知事選に私が身が入らなかった理由の一つが、過去に稲村和美氏にあまり良くない印象を持っていた記憶が頭の片隅に引っかかっていたことだった。昨日ブログ内検索をかけて確認したが、稲村氏は尼崎市長選当時に受けた朝日新聞のインタビューで、橋下徹に肯定的な言及をしたことがあったのだった。だから次の日曜日の名古屋市長選と同様、仮に私が兵庫県民だったら稲村和美候補に投票しただろうが、それは手放しの支持ではなく「より少なく悪い候補を選ぶ」とか「鼻を摘んで投票する」などの範疇に属する候補ではあった。昨日言及した名古屋市長選における大塚耕平候補と同様に。
従って共産党が独自候補を出したのを責めることは間違っている。
この情勢で立憲民主が支持層をかろうじてまとめたのは良識の党として誇っていい。逆に自民と維新は危機感を持たないとポピュリズムに食われ放題になるでしょう。…
— 北守さん (@hokusyu1982) 2024年11月17日
これも肝心な後半部分が埋め込みリンクでは表示されないので、以下に全文を引用する。
この情勢で立憲民主が支持層をかろうじてまとめたのは良識の党として誇っていい。逆に自民と維新は危機感を持たないとポピュリズムに食われ放題になるでしょう。
さらにタマキッズじゃない国民民主議員さん。あなたたちの新支持層、2人の職員が命を落とすきっかけをつくったパワハラ知事に嬉々として票をいれるようなバカです。勤労者のための政党として、そろそろ毅然と対峙してください。
少なくとも醜聞を起こした玉木雄一郎を辞めさせなければ話が始まらない。それさえできないようでは国民民主党(民民)は終わりだ。
自民と維新もひどくて、知事選に転出しなければ今頃は衆議院議員だったかもしれない維新の清水貴之など、供託金没収寸前まで追い込まれて今頃憮然としているのではないだろうか。この人、たしか元ABCのアナウンサーだったと記憶するが、これを機に維新を見切って他の職業に転身した方が良いと思う。また自民では反乱元がいかがわしい西村康稔の地元・明石の県議だったとの話だが、人望が薄いらしい西村にはもはや配下の県議も接戦だった地元の民意もグリップできていないのではなかろうか。しかもかつて自民党内にあって維新系の斎藤の兵庫県知事選転出に加担した非常に大きな責任もある。しかるに、事態はもはや西村程度の小物政治家の手には負えない段階に達してしまった。西村は今回の衆院選では当選しやがったが、議員辞職して責任をとるべき人物だと私は考えている。
そもそも県議会全ての会派が斎藤氏のパワハラを重くみて不信任を突き付けているわけで、そりゃ右とも連携すれば一部のリベラルや左翼とも連携するでしょう。共産党は別候補をたてていましたが。そういう右も左もな構図であることをみずに、リベラル左翼との連携だけクローズアップして忌避するのは右翼… https://t.co/1f3JYTjKbz
— 北守さん (@hokusyu1982) 2024年11月17日
これも以下に全文を示す。
そもそも県議会全ての会派が斎藤氏のパワハラを重くみて不信任を突き付けているわけで、そりゃ右とも連携すれば一部のリベラルや左翼とも連携するでしょう。共産党は別候補をたてていましたが。そういう右も左もな構図であることをみずに、リベラル左翼との連携だけクローズアップして忌避するのは右翼以前にバカでしょ。バカの勝利なんです。
最後に朝日新聞デジタルの出口調査の有料記事へのリンクを以下に張る。有料部分に支持政党別及び年齢別の投票先のグラフが出ている。ただ、共産党支持層、新選組支持層などは数が少ないためかネグレクトされている。
リンクの有効期限は11月19日8時11分。