三春充希氏が選挙における自民党の消長に関するnote記事を公開した。有料記事だが、無料部分が非常に長くて記事全体の半分を少し超えるくらいもある。
無料部分で、「自民の敗北は『裏金以前の問題』」と指摘されているが、これは本当にその通りだ。
すぐ下に円/ドルのレートと自民党支持率のグラフがあるが、これはもっと長いタイムスパンで見れば相関は全くないことはグラフを書くまでもなくわかる。第2次安倍内閣成立以前の円高の時代に自民党の支持率は全然高くなかった。
しかしその下にある物価と自民党支持率のグラフについては、これは大いに相関がありそうだ。2021年を底にして日本の物価は上がり始め、最近は加速度がついている。最近、2年ぶりに営業を再開した飲食店に入ると、値段が5割くらい高くなっているのに驚いた。このために「手取りを増やします」というワンフレーズで減税を訴えた国民民主党(民民)が選挙に躍進したとみられる。これは実は富裕層有利の政策でしかないのだが、玉木雄一郎・榛葉賀津也一派が主導するポピュリズム的宣伝工作が奏功した。
無料部分を含めた全文に関して、三春氏自身がリポストしたXを紹介する。
はるさんの見立てとして、一見は敗北に見えた石破自民党について、蓄積していた党勢のダメージを考慮すると、むしろ(与党を維持したという面で)運が良かった結果のように評価しているっぽいのが興味深いです。
— pin (@pin_heta) 2024年12月19日
これは前回衆院選での、枝野立憲の結果とある意味、興味深い対比になってるような...? https://t.co/nz4XSP3B5m
同じ方は以下のように続けている。
ただし、経済情勢が、円安、物価高、必ずしも好況ではなく、結果として実質的な日本の貧困化が更に進むのなら、時間は与党の自公に味方しない感ですね。
— pin (@pin_heta) 2024年12月19日
庶民は貧困、与党はお手盛り/裏金では、石破氏が何とかしようとしたとて、いずれ二進も三進も行かなくなるのが目に見えているワケですし...。
これもその通りだ。
無料部分で三春氏は、仮に来年(2025年)に衆参同日選挙をやっても1980年や1986年のような自民党圧勝の結果は出せないのではないかと示唆しているが、私も同意見だ。
1980年代の日本政治のトレンドは、自民党が衆院選で敗北した1976年を底にして、自民党の党勢が上向く基調で推移した。その最初の選挙が1977年参院選での自民党の与野党逆転阻止だった。1979年衆院選では大平正芳の失策によってそれは活かせなかったが、1980年の同日選は選挙中に急死した大平のチョンボを自民党が取り返した上にさらに上積みしたものだった。また1983年衆院選も同年の参院選に勝利した自民党の思わぬ敗北だったが、自民党のポテンシャル自体は高かったため、中曽根康弘と先日死んだナベツネ(渡邉恒雄)が共謀して国民を騙した「死んだふり解散」で行われた1986年の同日選で自民党は1980年をも上回る圧勝をした。
しかし現在は、自民党の党勢は長期低落がトレンドで、しかも政権と自公には打つ手もない。今年の衆院選での自民党敗北には、確かに1979年の大平正芳と同じように発言がブレた石破茂の失策が一因になったのは確かだが、一方で石破政権発足の「御祝儀効果」も一定あったはずで、仮に来年同日選挙をやったとしたら、その両方の効果が消えて、自民党の党勢の長期低落の効果が加わる。だから、1980年や1986年と同様の結果が得られるとは考えにくい。
自民党がめっちゃ敗けたのは裏金だけじゃなく、暮らしが苦しいーー物価高と景況、42年間で一番貧しいとも見える生活実感ーーそのメンタル面がある説をリアルのデータで見せてくれてる
— kumago🐦️ (@kumago_qoo) 2024年12月19日
あと共産の党勢って急には伸びないんだよねいつも思うんだけど。これはプロパガンダの被害なのかな… https://t.co/nkyTVQ2zmU
共産党の党勢低下は、何かというと分派狩りを行いたがる党の権威主義的体質が嫌われた影響が大きい。ことに今年8月に目立って共産党支持率が下がったタイミングがあったが、あれはネットで人気の高い紙屋高雪(神谷貴行)氏の除籍が影響したのではないか。もうネットがリアルの選挙に与える影響も馬鹿にならない時代になっている。
“共産との距離をとった野田氏でも、特に保守票を取り込んだようにはみられないのが現実です。より正確を期して言うならば、比例代表では新たに取り込んだ分とほぼ同じだけが出ていって、小選挙区では取り込んだ以上に出ていったほうが多かったわけです”
— 森田文弥 MORITA Humiya (@moritaespera) 2024年12月20日
【特集】 #note https://t.co/UJvFdZIsMa
「共産との距離をとった」といえば立民前代表の泉健太も同じであって、泉代表時代に立民は「提案型野党」路線をとって2022年の参院選に大惨敗した。その路線は泉時代に既に放棄されていた。今年の衆院選では「提案型野党」路線で立民から離れた票が2021年衆院選レベルに戻っただけとみるべきだろう。小選挙区で立民が減らしているのは「野党共闘」を止めた選挙区(東京15区*1もその一つ)で共産党候補に流れたりした票だろう。
解散を先延ばしにしていたら、色々な問題が巻き起こり、自民党が191議席よりさらに下回ってた可能性もあったと言うことかな。 https://t.co/WI6nsv87zv
— 青森のじゅん (@aomorikara) 2024年12月20日
衆院選を来年に先送りしていたらそうなった可能性があるだろうけれども、石破が自らの前言に反して「即解散」などやらずに年末解散(つまりたとえば明日あたりの当開票日の選挙)をやったら自民党は191議席よりは議席を獲ってたんじゃないかな。それくらい、石破の発言のブレは大きく影響したとは思う。
有料部分"自民の票はどこへ消えたか?"の考察がすごい
— 機械 (@timeformachine_) 2024年12月20日
物凄く大雑把に言うと
"自民が減らした分の相当量が国民に流れた 原因は裏金問題より根本的な暮らしの悪化にあるのではないか"
【特集】第50回衆院選(2024年)自民党――過半数割れのリアル|三春充希(はる) #note https://t.co/b7nllaIHiv
これは間違いない。
そして民民は「根本的な暮らしの悪化」に不安を持つ有権者を、富裕層や大企業にダメージを与えない「手取りを増やします」というフレーズで巧妙に引きつけた。
今現在もう一回同じ選挙をやったら、民民は10月の選挙結果以上に票を増やして、比例ブロックでの得票率は立民を上回る可能性があるのではないかとさえ思えてしまう。