再び社民党について。
本論に入る前に、2月9日に社民党の大椿裕子副代表が発したXを、当日に醍醐聰氏が批判するXを発信していたことに気づいたのでそれから紹介する。
#日曜討論 れいわ新選組の伊勢崎さんが、「みなさんは中国が 1979 年以降、どこかの国と何回戦争したかご存知でしょう…
— 🌺大椿ゆうこ 社民党副党首 /参議院議員(全国比例)🌺 (@ohtsubakiyuko) 2025年2月9日
大椿さんの日頃のぶれない見識には敬意を持っているが、この書き込みは比較の基準がずれている。チベット自治区、香港、台湾など周辺地域の自治、自国民の自由と人権に対する歴代の中国政府の傍若無人な弾圧の歴史をわきにおいて、「どこかの国と何回戦争したか」を問うのは的はずれである。 https://t.co/kfiRe2wrMe
— 醍醐 聰 (@shichoshacommu2) 2025年2月9日
私など、大椿氏が問題のXを発信する直前にTBSの『報道特集』で習近平がモンゴル自治区からモンゴル文字やモンゴル語を奪おうとしている報道を見たので、大椿氏はなんてことを書くのか、だから社民党の支持が伸びないんだよと思った。しかも引き合いに出している伊勢崎賢治は新選組の外交・安全保障政策のブレーンだ。
以下が本論だが、昨日公開した下記記事に、社民党の党員で社会民主主義者なんて60代以上にしか残ってないんじゃないかという意味のことを書いた。
今朝レバ子氏のXを見ると、その主旨に対する反論かどうかはわからないが、そうともとれる連投の発信があったので取り上げる。ポストの数は多い。
イギリス労働党の前回選挙の公約を見れば分かりますが日本の社会民主党のように家庭の支援のために消費税を減税するなんて政策は言いませんよ。家庭のために消費税はあげないという公約は掲げますが。イギリス私立学校がエリート校なので、私立の学費に付加価値税(消費税)を導入する事は言いますが。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年3月8日
ドイツ社会民主党にしろ、イギリス労働党にしろ所得税はあげないという事は言いますが、基本的に課税を強化するのが西欧式社会民主主義です。たまに減税を公約に上げる事はありますよ。その代わり何かを課税する事を引き換えですが。課税の強化を主張しないから福島瑞穂はもう限界だと思いますよ。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年3月8日
社会民主党も10年ほど前は税額欄のある請求書を導入するという事は主張していましたよ。富裕税について、この時代から触れていたのは社民党です。だけど急に、リバタリアンになりました。党の分裂を繰り返せば繰り返すほどです。福島瑞穂しか残っていない現在の社民党で富裕税はどこに消えましたか?
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年3月8日
つまり、社民党は10年ほど前にはまだ社民主義を掲げていたけれども、その後急速に経済軸上において右傾化したとの指摘だ。
10年ほど前は唯一高らかに国際連帯課税や富裕税を主張していた社会民主党のホームページには政策資料集が掲載されていますが、なぜ2010年代はいつまで経っても公開されないのでしょうか?当時は民主党よりはっきりと再分配を訴えていたのに、皮肉にも野党共闘以降社会民主党は没個性となりました。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年3月8日
しかし福島瑞穂の経歴を調べてみると、党首を務めていたのは2003年から2013年までと2020年以降になっていて、その間に吉田忠智(2018年2月まで)と又市征治の2人が挟まっているので、社民党の右傾化は吉田忠智(現立民、浪人中)に主因があるのではないとの仮説を立てることができる。
イギリス保守党が労働党の批判キャンペーンは「TAX!TAX!」を連呼するものでした。あくまで西欧社会民主主義政党の場合は、基本的の課税を主張する事に恐れはしない。増税と批判される事に恐れはしない。課税で得た税源をこういった政策に使うと主張しているのだから。財源を示すのは基本。 pic.twitter.com/XMZbtXPaKE
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年3月8日
民自公の3党合意の際、私は福島瑞穂の発言を覚えています。「どんどん新自由主義になる!」「増税は無駄を削減してから!」今、自民党で権力闘争を繰り広げている自称「積極財政派」と同じような主張です。彼女は入る党を間違えました。皮肉でなく本気で小沢自由党の方が念願叶いましたよ。 pic.twitter.com/ofsyfvLo1b
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年3月8日
社民党の連立離脱は2010年3月で、普天間基地移設問題で当時首相だった鳩山由紀夫に閣僚を罷免されたことに対する行動だった。
上記記事には「どんどん新自由主義になる!」という言葉はもちろん出てこない。ネット検索において15年前のファクトチェックを行うことは難しいことは十分承知しているけれども、とはいえここはソースが欲しいところ。
土井たか子は派閥争いにも中立を保ち、日本社会党を立て直すべく努力しましたが、憲法学者としての土井のイメージが強くなってしまいました。社会主義者土井たか子なら福島瑞穂を後継にしなかったでしょう。ある意味雇用のミスマッチも起こらなかったはずです。根は小さな政府論なのだから。 pic.twitter.com/WFYLTw43Tp
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年3月8日
富裕税、金融取引税、国際連帯税は2012年以降の社会民主党は民主党以上に高らかに訴えていました。日本ではそういう主張をする政党はほとんどなかったのですが、いち早く取り入れた。私はあの頃が社会民主党が最後の逆転のチャンスだったと思います。ただ結局、福島瑞穂主義が最後に残ってしまった。 pic.twitter.com/dVlQF3ucdo
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年3月8日
「富裕税、金融取引税、国際連帯税は2012年以降の社会民主党は民主党以上に高らかに訴えていた」というのは社民党の党名からいっても当然だと思いますが、この頃には、弊ブログが依拠している「支持者の意向に反することは言えない」という、これは晩年のガルブレイスの著書にあった言葉だけれども、それに照らし合わせれば2012〜13年当時の社民党はまだ社会民主主義政党だったといえることになります。従って弊ブログが昨日、社民党の党員で社会民主主義者なんて60代以上にしか残ってないんじゃないかという意味のことを書いたことは誤りだったようです。これについては訂正します。
今や新社会党の方が「社会民主主義」に近いています。それは随分と皮肉ですね。社民という言葉が禁句だった労農派マルクス主義の政党が余程社会民主党と名乗る方が相応しいかもしれないのだから。そういう意味では新社会党との合併はあり得ないでしょうね。福島が大将でいたいから。明日も頑張ります。 pic.twitter.com/LvB06eB57R
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年3月8日
ちょっと話がそれますが、昔、新潮社が講座派系、つまり共産党系を外したマルクス・エンゲルス全集を刊行したことがあったらしくて、当然労農派の学者が中心になって編集したんでしょうけど、彼らは講座派と違ってマルクスやエンゲルスを「神聖侵スヘカラス」扱いにはせず、等身大のマルクス像やエンゲルス像を描こうとしたとの批評をそこかで読みました(佐藤優ではありません)。彼らには「変わり得る」ところがあったのかもしれません。
2013年の参院選の東京選挙区では山本太郎を社民党公認で出馬するという動きはありましたが、結果として無所属で出馬。社民党は支援に回りました。その後は日本共産党の躍進で票を喰われた面もあります。そしてあの時まだ単なる俳優だった山本太郎が社民党も共産党も呑み込もうとしている。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年3月8日
両党ともこれは痛恨事でした。
福島瑞穂は人権弁護士で議会活動を重視したいという自身の議員としての在り方は尊重します。それならば党首はやってはいけなかった。持つべき地元と有権者をを持たない人が、なぜ1人1人の生活に根差した政策ができるのか?福島瑞穂から私は社会民主主義者としての目指すべき未来を一切聞いたことがない
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年3月8日
10年ほど前の緑の党は様々な考えを持つ党員が多く、彼らとのミーティングは非常に楽しい思い出でした。尾形慶子さんもその時代は柔軟な人でした。ポピュリズムに対して、同じように熱狂した人が増えたときに、後の祭りです。追い詰められてから人は本性が出ると言いますが福島はいつでも風に流される。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年3月8日
アベノミクスの批判が多かったとは言え、社会民主党はその時代はちゃんと社会民主主義の政策を訴えていましたよ。安全保障関連法案の熱狂によって社会民主党が社会民主主義を捨て去った。あの時代は一定の野党共闘、選挙共闘も必要だったと思います。いけなかったのは独自性を失ったこと。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年3月8日
繰り返しますが安保法案の時期の社民党党首は吉田忠智でした。もちろん福島瑞穂もずっと社民党にいましたし2020年2月以降はまた党首を務めているので責任重大ではありますが。
どこの国の社会民主主義者が減税ばかりを唱えるのか?どこの国の社会民主主義者が富裕税に対して及び腰になるのか?福島瑞穂はリベラル派であっても、社会民主主義者ではないです。軍事政策がタカ派だったバラク・オバマも富裕税の導入は訴えていました。福島が今政治家でなければ新撰組を支持している
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年3月8日
最後の毒は例によって強烈ですし、ありそうな話だと思います。私も福島瑞穂を全然買っていないのは同じですし。
ただ、党首を務めた時期から言って吉田忠智の責任も無視できません。それどころか、福島瑞穂と同じくらい吉田忠智の責任も重いのではないでしょうか。