『日本がアブナイ!』も憲法記念日の記事を公開している。
記事中で玉木雄一郎の旧悪を蒸し返していたことが痛快だったので、該当部分を以下に引用する。
国民党の玉木雄一郎代表や維新の馬場伸幸代表(当時)らは、22年以降、国会や会見その他機会あるごとに、岸田文雄首相に「24年秋の総裁任期までに憲法改正実現を」としつこいほどに訴えていおり、マジでうざかった。(ーー)
さらに 憲法審査会でも、改憲推進派は調子に乗って、改憲に慎重、反対の政党は抜きにして、改憲条項を決めようと言い始めていた。
彼らは24年の通常国会、遅くとも秋の臨時国会で改憲発議を行ない、できれば24年中にも改憲の国民投票を行なうことを計画していたのである。_(。。)_
これは、23年11月16日の朝日新聞の記事なのだが。憲法審査会の審議が終わった後、国民の玉木代表が改憲の計画が進まないことに対して「やるやる詐欺」だと怒ってた。
『岸田(文雄)首相が、(自民党総裁の)任期中に憲法改正するとの意向を示された。発議から国民投票まで最低でも60日間必要なので、発議は来年の通常国会の末にはしないと(来年9月の党総裁任期満了に)間に合わない。そうなると、改正原案は今臨時国会でまとめないと間に合わない。これまでに論点が整理されてきた緊急事態条項、とりわけ議員任期の延長規定に絞って議論を進め、原案作りを行うべきだ。
しかし、今日(の衆院憲法審査会)も言いっ放しの会になっているし、論点の整理も議論の積み上げもなされない。自民のやる気と熱意を全く感じない。本当に首相を支えて、おっしゃることを実現しようとしているのか。疑問を感じる。「やるやる詐欺」みたいな、一部保守派の票をつなぎとめるために「憲法改正やったふり」という感じになってしまっているとしたら、極めて残念だ。(憲法審後、記者団に)』
<3月25日の『玉木「うちが最も保守」。参院比例に超保守系候補で、保守票集めに走る国民党・・・』にも載せたけど、玉木氏は日本最大の超保守団体「日本会議」で、講演を行なったり、超保守の母・櫻井よしこ氏と対談を行なうなど、かなり超保守・改憲系の活動をしているのだ。(ーー)>
しかし下記の石破茂評はやや甘いと思った。
考えたら、自民党の石破茂氏と言えば、30年前から憲法改正推進派(特に9条改正)の先頭に立っていた人。<ただし、安倍氏らのような戦前志向の改憲派ではない。>
その石破氏が首相に就任したとなれば、何だか「今こそ、改憲」と警戒したくなりそうなのだけど。自民党は「政治とカネ」、経済対策の問題で、今はそんな余裕がない感じが・・・。(~_~;)
いやいや、石破は2012年の第2次自民党改憲草案に心酔していて、それへの思い入れが強い人だから十分過ぎるほど危険だと思うけど。「個人」を「人」にしたと言ってあの舛添要一が激怒していた2012年草案だよ。石破はともども舛添なんかよりよっぽど安倍晋三に近いと私は思う。現都知事の小池百合子も石破同様のすさまじい極右だ。
それはともかく。
記事はこのあと、毎日新聞の世論調査結果の紹介へと続くが、これについては毎日新聞記事(無料記事)から直接引用する。
2025/5/2 16:00(最終更新 5/2 18:32)
毎日新聞が4月12、13の両日に実施した全国世論調査では、石破茂首相の在任中に憲法改正を行うことについて尋ねたところ、「賛成」との回答は21%で、「反対」の39%を下回った。「わからない」は39%だった。
2024年10月の衆院選で自民、公明両党が大敗し、憲法改正に前向きな自民、公明、日本維新の会、国民民主の4党は、国会での改憲発議に必要な3分の2を衆院で割り込んだ。改憲に向けた道筋が見えない中、世論の機運は停滞している。
調査方法が異なるため単純に比較はできないが、岸田文雄前首相の在任中に憲法改正を行うことについて尋ねた24年の調査でも、「賛成」27%、「反対」52%だった。岸田前政権では発足翌年の22年調査は「賛成」が44%あったが、年を経るごとに低下していた。
今年の調査では、全ての年代で「反対」が「賛成」を上回った。「反対」が最も多かったのは18~29歳で、45%だった。
支持政党別に見ると、自民支持層でも「賛成」が34%にとどまり、「反対」も25%あった。公明支持層は「賛成」「反対」のいずれも2割強。野党では、国民民主支持層で「反対」が48%、立憲民主党支持層も「反対」が59%と、「賛成」を上回った。「支持政党はない」でも「反対」が33%、「賛成」は15%だった。
また、「賛成」「反対」を問わず憲法改正を巡り関心があるテーマを複数回答で聞いたところ、「自衛隊の明記」が42%と最多で、「大学などの無償化」「同性による結婚」「2院制のあり方など国会改革」がいずれも2割強で続いた。【野口武則】
URL: https://mainichi.jp/articles/20250501/k00/00m/010/244000c
これは憲法記念日に合わせて実施した特別の世論調査ではなく、先月行った月例の世論調査から憲法に関する結果を抜き出した記事のようだ。
石破政権下での改憲について、自民党支持層で賛成34%、反対25%とのことだが、朝日の憲法に関する郵送の世論調査は、日本国憲法が「よい憲法か」どうかの調査だから、設問も違えば調査方法も違う。後者については、郵送の世論調査に答えるような面倒なことはしないという「弱い支持層」も電話やインターネットの調査には答えるかもしれない。バリアの高さが全然違うからだ。だから自民支持層の回答の傾向も朝日と毎日で違うと思われる。
毎日の記事には新選組支持層については載っていないが、高い料金のコースを選択している読者にならその結果もアクセスできるのかもしれない。その場合、新選組の「弱い支持層」には朝日の調査結果に反映された「強い支持層」とはまた違う傾向が表れても不思議はない。
ところで、『日本がアブナイ!』にはその朝日の調査結果についても最後に少し載っている。調べてみると、それは下記朝日新聞デジタル有料記事の無料部分の引用だった。
君島浩 2025年5月2日 6時01分
朝日新聞社が実施した全国世論調査(郵送)で、国民の間で憲法を変える機運がどの程度高まっているか、と尋ねたところ、「大いに高まっている」は3%(2024年調査は4%)、「ある程度高まっている」は28%(同24%)で、「あまり高まっていない」は56%(同55%)、「まったく高まっていない」は9%(同15%)だった。「高まっている」は計31%(同28%)にとどまり、「高まっていない」は計65%(同70%)と、その倍以上を占めた。
朝日新聞社が実施した全国世論調査(郵送)で、国民の間で憲法を変える機運がどの程度高まっているか、と尋ねたところ、「大いに高まっている」は3%(2024年調査は4%)、「ある程度高まっている」は28%(同24%)で、「あまり高まっていない」は56%(同55%)、「まったく高まっていない」は9%(同15%)だった。「高まっている」は計31%(同28%)にとどまり、「高まっていない」は計65%(同70%)と、その倍以上を占めた。
同じ質問は19~21年、24年にしている。第2次安倍晋三政権から菅義偉政権、岸田文雄政権に移行した19~21年は「高まっている」は2割前後だったが、24年と今回は3割前後を占めている。
今回の調査について支持政党別にみると、自民支持層は「高まっている」は33%(同35%)、「高まっていない」は63%(同64%)で、全体の傾向とあまり変わらない。公明支持層は「高まっている」が昨年は3割近くで、今回は2割に満たない。
立憲支持層も「高まっている…
(朝日新聞デジタルより)
URL: https://www.asahi.com/articles/AST4R1PKXT4RUZPS005M.html
これは同じ世論調査の「よい憲法」かどうかという問いとは違って、回答者に政局観を問う設問になっている。
興味深いのは記事についているグラフだ。これも無料で参照できる。だからスクリーンショットは行わずに以下にリンクを示す。クリックしていただければグラフがご覧いただけるはずだ。
私が注目したのはいうまでもなくグラフの一番下にある山本新選組支持層の政局観であって、憲法改正の機運が「大いに高まっている」という回答が10%もあって、他党の支持層と比較して飛び抜けて多い。また「ある程度高まっている」も34%で最多だ。しかしこの2つを合わせても44%であり、半数に満たない。
面白いのは、憲法改正の機運が「まったく高まっていない」とする回答も12%あって、民民支持層と並んで最多であることだ。両極の合計は22%で、もちろん飛び抜けて多い。両極の合計が一番少ないのは立民支持層で、「大いに高まっている」は0%(おそらく四捨五入しているはずなので実際には0.5%未満ということだろう)、「まったく高まっていない」の5%を合わせると5%で、新選組支持層の4分の1ほどだ。なお両極合計が立民支持層についで少ないのは自民支持層で8%、3番目に少ないのが維新支持層で11%である。全体では12%で、民民支持層は新選組支持層に次いで15%だった。なお公明支持層と共産支持層のグラフは示されていない。
このグラフを見て、「極端さを好むのが新選組と民民のコア支持層で、極端さを嫌うのが立民と自民のコア支持層ではないか」という仮説が新たに思い浮かんだ。
それが合っているかどうかはわからない。
たとえば先刻公開した下記記事に、新選組系のさとうしゅういちさんからコメントをいただいた。
新選組支持層と民民支持層の傾向が似ているのも、上記の説で説明できるかもしれない。とはいえ「右」方面からの影響は、民民支持層よりもむしろ新選組支持層の方が強いように見えますけど。少なくとも朝日の世論調査のグラフからは。
まあ新選組支持者は経済重視なんですよね。そこまで確信的に憲法観があるように思えない。どっちかと言えばあまり関心がない。そうなると身近な権威に引っ張られる。と言うところでしょう。だからこそ勉強してようと口うるさくいっているほどだが。