長谷川羽衣子のXに某軍師が噛みつくなどしているが、長谷川自身が書いて最近リポストした下記Xの全文を読めばわかる通り、高橋是清は積極財政をやって業績を後世に評価されている人だけど、生涯の最後に財政引き締めをやろうとして青年将校たちに暗殺されたんだよね。
「積極財政はファシストの大好物」「減税と積極財政のために全体主義に堕する」というのは典型的な日本リベラル・左派の認識ですが、原因と結果が逆です。世界恐慌下、日本やドイツで断行された緊縮策が、軍国主義やナチスを台頭させた。つまり不況下の緊縮こそファシストや全体主義の土壌なのです。… pic.twitter.com/ffNyPdxdqC
— 長谷川ういこ Uiko Hasegawa (@uikohasegawa) 2024年9月4日
以下に全文を示す。
「積極財政はファシストの大好物」「減税と積極財政のために全体主義に堕する」というのは典型的な日本リベラル・左派の認識ですが、原因と結果が逆です。世界恐慌下、日本やドイツで断行された緊縮策が、軍国主義やナチスを台頭させた。つまり不況下の緊縮こそファシストや全体主義の土壌なのです。
スタックラ―他著、朴勝俊訳(2020)「緊縮財政とナチスの台頭」
1930年から1933年までの間、いずれのドイツ総選挙においても、大幅な歳出カットと増税が行われた地方自治体では、ナチス党への投票率が高かった。…ワイマール・ドイツの終焉とナチス・ファシズムの台頭は、あまりにも過酷な緊縮財政が、社会不安と意図せざる政治的結果を引き起こしかねないことを示した。人々が政府の助けを最も必要としていた時期に、政府は彼らを失望させた。その結果、人々は急進的ポピュリスト政党の誘惑の声に引き寄せられたのである。
https://parkseungjoon.hatenadiary.com/entry/2021/01/05/010559…
長谷川ういこ(2020)「高橋是清はMMT的ーケインズ以前に世界恐慌から日本を救った蔵相」
日本は井上蔵相が昭和恐慌下で超緊縮策を断行したため農村は窮乏し、娘の身売りが相次ぎました。次に蔵相となった高橋是清は反緊縮策を実施し、劇的な経済回復を実現。しかし、緊縮政策による故郷の窮状を見た農村出身の青年将校たちは、既に政治への強い不信を抱いていました。1936年、彼らは決起し軍事予算の縮小を主張した高橋もその凶弾に倒れました。その後、軍部の暴走と予算に歯止めが効かなくなり、日本は戦争へと突入していくのです。危機下での政府の誤った緊縮策は、人々を窮乏させ、テロと軍国化、戦争を招くというのが、私たちが知るべき歴史の教訓なのです。
https://note.com/uikohasegawa/n/n9d153a6fe998
高橋是清と長谷川の2人には大きな相違点がある。
それは、高橋は経済状況に応じて財政出動(いわゆる「積極財政」)も財政引き締め(いわゆる「緊縮財政」)もやる人だったが、長谷川はいついかなる場合にも「積極財政」しか求めない人だということだ。一方にいついかなる場合にも「財政再建」「財政健全化」を求める人たちもいる。一見好対照に見えるが、実は同じ穴の狢といえるのではないか。
長谷川をはじめとする自称「積極財政派」は、MMT派も自公政府も認めないけれども四半世紀以上ぶりに本格化したインフレでも税率を下げたり税目を廃止したりせよという。しかしそんなことをしたらインフレが加速するのではないかと反対派は思う。
彼ら自称「積極財政派」に対する反対派にもいろいろあって、単純な「財政規律原理主義者」もいて、前記二派の対立構造こそ00年代の自民党における「上げ潮派」対「増税派」の論争と同型だが、それ以外にその時々の経済状況に応じて財政出動なり財政引き締めなりを行うべきだとする立場からの反対もある。私もその一人だが、そんなことは高校の教科書にも書いてあるような話ではないかと思う。
数年前までの日本では四半世紀以上にも及ぶデフレが続いていたから「MMT」陣営に属するであろう長谷川(夫君の朴勝俊は「自分はMMT派ではない」と言っているようだが)らに追い風が吹いていたが、コロナ禍下での積極財政によってデフレは終焉したとみるべきではないか。
高橋是清には経済状態に応じた政策の切り替えができたが、長谷川にはそれはできそうにもない。このあたりが、歴史に名を残した人物とそうではない人物の違いではないだろうか。こんなことを間違っても歴史に名を残さない私が書いても説得力はないかもしれないが、「長谷川さん、あんたは私らと同じだよ」ということだ。
思い出せば、バブルの頃には株や不動産が未来永劫値上がりし続けるかのような妄論がはびこっていた。2000年のITバブルの時に生じた「ニューエコノミー」論も似たようなものだった。バブルは比較的短気に弾けるが、デフレは延々と続く。そのことを思い知らされたのが1990年代半ばから2020年代初めまで四半世紀以上にも及んで続いた日本経済だった。
しかしそのような時期は去った。長谷川らには「退場」が求められている。いや実際、直近の新選組の政党支持率にはやや翳りが見られるようだ。支持率が高止まりしている民民とは対照的だ。これは「減税主義者」たちが暴走して、純減税でなければ認めないという大阪大学名誉教授(物理学)の菊池誠みたいな人が増えたからかもしれない。菊池は新選組に対しては批判的なのだそうだ。なお菊池は昨年大阪大学を定年退職していたらしいが今頃知った。
結局そうなってしまうんだよね。山本太郎はもともと「純減税」など決して求めていなかったけれども、党勢を拡大させたい下心のために、最初は言っていた大企業や富裕層への増税をあまり言わなくなった。そこに玉木雄一郎が「手取りを増やします」で大減税路線を打ち出して人気が沸騰し、新選組はかすみつつある。おそらく、民民や参政党に支持を吸い取られているのではないだろうか。