誰のことかと思ったら。
都民ファーストに民主党、民進党出身者が多いのは東京都連内の果てしなき内紛の末にできた一つの結末でした。当選がしやすいからという理由でそちらを選んだという人も多いですが。都民ファースト結党時に代表だった人が今は東京水道の社長。東京都は今年の夏は水道代基本料金は無料です。 pic.twitter.com/rkoZXlsXUy
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年5月23日
誰のことかと思って調べてみたら野田数(かずさ)か。東京維新の会という極右政治団体を立ち上げた人で維新政治塾の出身かつ小池百合子の側近だった。つまり大阪維新と小池百合子の2つのルーツを持つ人だが、この東京維新の会というのは大阪維新の会よりももっとひどい極右新自由主義の政治団体だった。
下記は2012年の日経記事。現在では有料になっていて最初の方しか読めないが、弊ブログの本記事に必要な情報はそれだけで事足りる。
東京にも「維新の会」 都議3人、近く立ち上げ
2012年9月4日 2:00
東京都議会の野田数(かずさ)氏ら3議員が、橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会と連携し、都議会に「東京維新の会(仮称)」を立ち上げることが3日、わかった。野田氏らは近く正式に発表し、都議会に届け出る。
他に会派に参加するのは柳ケ瀬裕文、栗下善行の...
(日本経済新聞より)
URL: https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0304D_T00C12A9CC1000/
柳ケ瀬裕文は維新の参院議員(2019年参院選比例区で当選)。今年の参院選東京選挙区に維新から出馬するのではないかとされる元参院議員の音喜多駿(昨年の衆院選に東京1区から立候補=落選=したため失職)と同じ参院選で当選したことが大いに不愉快だった。
余談だが、現在ではおそらく東京都において民民(国民民主党)の政党支持率が立憲民主党(立民)を上回っていると思われるが、2022年の参院選では多くの選挙区において日本維新の会の比例区得票が立民を上回った。当時維新の新規支持層となっている人たちの多くが現在民民の「新規支持層」になっているであろうことは疑いない。東京では山本新選組の伸びかたはこのところ鈍く、その代わりに全国的に支持を拡大していることは、先日公開された三春充希氏の下記note記事の無料部分に示されている通り。
もっとも上記note記事のうち、実際のデータに基づかない三春氏が推測で書いた部分を閉ブログは下記記事で批判した。
だからといって三春氏の各種世論調査党のデータを収集してそれらを総合する野心的な作業に対する評価まで下げることはしない。かつての朝日新聞のスター記者・本多勝一のルポルタージュと同じで、その手法は超一流だが、本多も雑文ではずいぶんいい加減なことを書く人だった。過去形で書いたのは、本多も最近は高齢なので政治的な意見発信をすることはほとんどなくなっているからだ。本多は結構なナショナリストでもあり、21世紀に入って一番いただけなかったのは小沢一郎と意気投合したことだった。
それと一緒で、政治的な雑文の類についてまで三春氏の意見を崇め奉る態度は問題だ。三春氏のリポストを見ているとそういう人たちが少なくないことがわかるが。
「東京維新の会」の話に戻ると、政治団体としてのこの会は2013年に解散した。しかしその結党時の3都議の一人だった栗下善行はもともとは大田区選出の民主党東京都議だった(2009年当選)。それが2012年夏に「泥船から逃げ出し」、大阪維新的な方向性を目指した。それで「東京維新の会」の立ち上げに参加したわけだ。その後2013年都議選には日本維新の会公認で都議選2期目を目指したが落選。2017年には都ファから返り咲きを目指して当選した。しかし2021年に都ファを離党した。Wikipediaには下記のように書かれている。
2021年2月15日、都民ファーストの会に離党届を提出。離党理由として「会派運営のあり方が極めて不透明」であること、「都水道局の不祥事に関する質疑を用意した際、都庁職員から相談を受けた会派役員から質問を行わないように働きかけられた」としている[14][15]。
同じ2021年に立憲民主党(立民)入りしたが都議選には立候補しなかった。立民はよくこんな人間の入党を認めたものだと呆れる。栗下は2022年参院選に立民公認で比例区に立候補したが落選した。
以上の経緯は今回調べて初めて知ったが、しばしば「表自戦士」として名前が上がり、立民支持層の中でも一部のリベラル系の人たちから激しく忌み嫌われている栗下とはそういう人間だったのか、そりゃ嫌われて当然だよなあと思った。もっとも弊ブログにもコメント欄に「栗下善行氏をを支持しています」と書いてきた人がいたことを覚えている。
練馬区、杉並区、世田谷区、江東区、町田市はすでに都民ファーストと国民民主党のかつての親会社と子会社対決の注目選挙区です。元々日本社会党も東京都本部の内紛がエスカレートし、民主社会党、新民主連合など新しい潮流を産みました。いい加減仲良くできなくても、少しはお互い譲れとは思いますが。 pic.twitter.com/IvYj90yuvE
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年5月23日
私は選挙権を持つ江東区以外の候補者の顔ぶれや情勢は全然知らなかったのだが、昨日たまたまお隣の江戸川区について「選挙ドットコム」の動画が公開されていたので視聴した。
ここは三戸安弥のボスである上田令子が議席を持っている定数5の選挙区だが、元都ファの無所属候補を立民が推している。民民も候補を出しているが、江東区と同じように山本新選組は出していない。それどころかこの政党からの立候補は世田谷、杉並、練馬という東京西部からしか名前が上がってこない。理由は知らないし知りたくもないが。
で、上記YouTubeの動画で新選組支持層がどこに投票するかなどと言っている。新選組の候補が出ないことが共産候補に有利なのではないかと言っているが、今の同党の支持層を見ると必ずしもそんなこともいえないのではないか。なにしろ日本国憲法を「よい憲法」と思う人たちが3分の1ほどしかいないらしい集団だ。
ここには石丸新党「再生の道」から候補が出ていて、YouTubeのコメント欄には期待の声も見られる。しかし江東区選挙区を取り上げた回にも同様のコメントはあった。江東区の候補予定者が2人とも降りたのは、本当に候補者の個人的な理由によるのかどうか。疑い始めたらきりがない。
江戸川区で一番驚いたのは、前回の都議選で落選した自民党の大西英男の次男・大西洋平が昨年の衆院選東京16区で当選していたことだ。水野素子の参院転出の伴って擁立された立民の対立候補を破った。江東区も自民が強く民主系が弱いが、独特の「江東三国志」があるために自民支持層が一枚岩になることは常にないため、その間隙を縫って酒井菜摘が任期2期目に入ることができた。江戸川区にも南北対立などはあるようだが小選挙区では自民党支持層がまとまるのでそのような結果になったのだろう。前回の都議選で大西に勝った自民党都議は江東区の未途と同様に裏金問題で無所属になり、それが選挙にどう影響するかなどと動画では言われていた。
練馬区、杉並区、世田谷区、江東区、町田市はすでに都民ファーストと国民民主党のかつての親会社と子会社対決の注目選挙区です。元々日本社会党も東京都本部の内紛がエスカレートし、民主社会党、新民主連合など新しい潮流を産みました。いい加減仲良くできなくても、少しはお互い譲れとは思いますが。 pic.twitter.com/IvYj90yuvE
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年5月23日
江東区が都ファ・民民の競合区の一つだから、そんな選挙区ばかりかとなんとなく思っていたが、そうではないらしいことを朝日新聞デジタルの政局に関する有料記事を読んで知った。本記事の末尾で今月最後のプレゼント枠を使ってリンクする。
その前に、朝日の都議選報道をめぐって共産党系の人たちからクレームがついていたことを思い出したのでそれを紹介する。
朝日新聞都議選特集で〝都議選・参院選をめぐる主な政党幹部の発言〟一覧。昨年の総選挙以降、日本共産党に関わる報道が激減したのは議席減によるものかと歯痒く思っていたけれど、都議会で共産党は野党第一党であり、田村智子委員長は様々な場で発言している。報道の公平性からあまりに逸脱している。 pic.twitter.com/KvgZ6GgWIL
— 朝岡晶子 (@asaoka_akiko) 2025年5月23日
東京都議会議席数
— 宮本徹 (@miyamototooru) 2025年5月23日
自民 30
都民ファ 26
公明 23
共産 19
立憲 12
維新 1
国民
都議会の構成を無視して、日本共産党をはぶくのは、いったい、どういう力が朝日社内で働いているのでしょう? https://t.co/dch06nIznf
「どういう力」って、それは朝日の記者に共産党を支持したり共産党に関心を持ったりする記者がほとんどいなくなって、記事からつい共産党を抜かしてしまったということではないかと思う。かつて有名だった高給が今どうなのかは知らないが、朝日も就職戦線では人気企業の一つだからその世代世代の志向が記事に反映される。2010年代初頭には民主党びいきで、当時の民主党反主流派だった小沢一郎を信奉するオザシンたちからは目の敵にされていたが、その後朝日の記者も世代交代して今の世代では共産はもちろん立民よりも維新や民民寄りの記者が少なくないらしく、よくXで立民支持者が朝日を維新寄りだの民民寄りだのと言って叩いている。でもそれも共産支持層と同じで立民支持層の高齢化が大きな理由だと思う。つまり朝日の社内からは立民の支持層や立民に関心を持つ人たちも減少の傾向にあるとみられる。
とはいえ都議会で共産が野党第一党であるのに不当に小さく扱われているという協賛支持層や元国会議員の指摘は正当ではあろう。ここは朝日が「一本とられた」形になっている。
その朝日新聞デジタルの有料記事を最後に紹介する。共産党系の人たちが問題にした記事の前日に公開された記事で、当該記事を書いた山岸玲記者のほか計4人の連名になっている。そのため内容には一部重複するところがある。「共産党」の文字列は1箇所にのみ出てくるが、それは定数の少ない選挙区において立民が都議選で候補を一本化した対象として、新選組とともに挙げられているだけだ。立民は民民とは候補の一本化は行わなかったと書かれている。
最初に記事の無料部分へのリンクと引用を行う。
逆風強まる自民、状況が一変した国民民主 政権左右する都議選の行方
松田果穂 浅沼愛 中山直樹 山岸玲 2025年5月22日 10時00分
6月22日の東京都議選(定数127)の投開票まであと1カ月となり、選挙戦に向けた準備が本格化している。参院選と同じ年にあるのは12年に1度で、各党は参院選の「前哨戦」と位置づけて積極的に候補者を擁立する方針だ。都議選の結果は参院選だけでなく、その後の政権運営も左右することになる。
「まずは、おわびからスタートさせていただきたい」。4月上旬、東京都内のホテルで開かれた自民党都議の政治資金パーティー。主催した都議はマイクを握ってすぐにそう切り出し、裏金問題について謝罪した。
昨秋の衆院選は自民党派閥の裏金問題への批判が高まり、与党で過半数割れに追い込まれた。さらに年末には、都議会自民党でも政治資金パーティーの裏金問題が発覚。逆風は収まるどころか、強まる一方だ。
自民は現在30議席で都議会の第1党だが、都連関係者によると、今年1~2月に都連が都内の4選挙区で公募を実施したところ、どの選挙区にも応募者がいなかったという。自民の不人気ぶりが浮き彫りになり、「この逆風下でリスクを負って自民から立候補したいと思う人はいない」(都議)との声が漏れる。
頼りは小池百合子知事?首相側近が抱える懸念
都連は裏金問題に関与した都…
(朝日新聞デジタルより)
URL: https://www.asahi.com/articles/AST5P0G8VT5POXIE05BM.html
なるほどねえ。だから小池系の江東区長・大久保朋果と無所属裏金人士・山崎一輝の2連ポスターなんかが出現するわけだ。だが記事の核心部は上記無料部分ではない。
有料部分には、民民が都ファと選挙協力している選挙区もあることが書かれている。つまり江東区や世田谷、杉並、練馬、町田各区のような「民民 vs. 都ファ」の選曲ばかりではないということだ。もっともその他に江戸川区、葛飾区、大田区などなど多くの選挙区で民民と都ファは競合するし自民党とも競合している。つまり都ファは自民党と一体になって民民とは縁が切れたわけでもない。ただ民民と都ファとの関係はこれまでよりは弱くなったとは間違いなくいえる。それだけ「玉木党」が大きくなったということだろう。
共産党の宮本徹前衆院議員が書いた通り、都議会では現在維新は定数7の大田区の1議席しかなく、民民はゼロだ。今年初め頃には、私も民民は都議選では都ファに乗っかるくらいしかないのではないかと思っていたが、それはあまりにも大甘で、民民は勢いに乗って大量の候補を出してきた。今後もまだ民民から新たな候補予定者が発表される可能性もある、というより発表されるだろう。
その他に記事で私が注目したのは、都議選の結果と同じ年のその後に行われた国政選挙との結果との関係だ。都議選は4年おき、参院選は3年おきのいずれも夏に行われるので12年おきには必ずそうなるが、参院選とは重ならなかった過去4回はいずれも同じ年に衆院選があった。そのうち2005年などは、その2年前の2003年11月に衆院選が行われたために不要不急のタイミングだったのに、小泉純一郎が「郵政解散」を仕掛けた。また2017年にも参院選後に行われた民進党代表選後の民進党内政局(山尾志桜里が起こした)につけ込んだ安倍晋三が秋の解散総選挙を仕掛けた。
その2度は、衆院選の結果は都議選の結果とは傾向が全く異なる自民党の勝利だった。特に2005年は歴史的圧勝。しかしその後に大きな落とし穴があって、2009年の政権交代につながった。この年は都議選の結果と衆院選の結果は傾向が同じだった。その頃の私は香川県民だったので、都議選の情勢などまともに追ってはいなかった。
今年は投票日にして中4週間、都議選の投票日から参院選の公示日までの間に至ってはわずか11日しかないので、都議選と同じような傾向の結果が参院選でも出ると思われる。つまり自民が退潮し、民民が躍進する。民民の勢いは止まったと朝日はみているようだが、それはあくまで伸びが止まったか「やや下落」に転じた程度のレベルであって、昨年10月の衆院選当時と比較すると、民民の人気はまだまだ高い状態にとどまり続けているし、自民の不人気は続いている。参院選が行われる年の自民党の党勢としては第1次安倍晋三内閣が倒れた2007年と同じくらいか、あるいは2007年より悪いとの見方もある。あの年の参院選では自民党が四国の4選挙区を全部落とした。現在は民主党系の野党が立民と民民の2つに大きく分かれているが、当時と同様の結果になっても不思議はない。たとえば私の大嫌いな「アエニキ」が下記Xで予想するような結果だ。
参院選最新予想!2025年5月20日時点
— アエニキ (@aenk2025) 2025年5月20日
変更点
東京で自民が鈴木大地擁立で結構変更
石川で荒井敦志?→ハマケンに変更 https://t.co/UHxNFK388h pic.twitter.com/YYYlkf40Mv
仮にこんな結果になったら石破政権はほぼ確実に倒れるだろう。2007年に福田康夫と麻生太郎の間で争われたような総裁選になることが予想される。だがそれは総裁公選規定によって3年おきに行われるフル規格の選挙ではなく、2007年にそうだったような両院議員総会による臨時の選挙になる。何が言いたいかというと、昨年の衆院選で安倍派が削られまくっている以上、石破茂の後任が高市早苗になる可能性は非常に低いということだ。もっともそのさらに1年後には福田康夫も政権を投げ出し、結局麻生太郎が総理総裁になった。これも両院議員総会による臨時の選挙だった。2009年にはフル企画の選挙があって谷垣禎一が勝ったが、自民党では4年連続で総裁選が行われた。2009年以降は2020年に安倍が再びの政権投げ出しを行うまでの間、臨時の総裁選は行われなかった。2012年末から安倍が射殺された2022年までが「安倍一強」の時代だった。2021年に総裁になった岸田文雄にせよ、安倍の靴を舐め続けたからこそつかめた勝利だった。
しかしそんな時代は安倍の死で終わった。戦国時代が当分の間続く。その間にこの国を焼け野原にしないことが求められる。
話はすっかり飛んだが、前記朝日新聞デジタルの政局記事を以下に無料プレゼントする。
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