選挙戦中ににわかに「排外主義」の問題が選挙の争点になりつつある。
もともと、自民党安倍派を支持するような人たちには排外主義の傾向が強かったが、彼らが参政党に流れ始めるや、従来そんな傾向がなかった人たちまでつられて、参政党の一大ブームが起きようとしたところ、さすがにそうした排外主義を批判する主張も出てきた。ここでもTBSの『報道特集』に見るべき報道があった。
初めに、少し搦手から攻めてみる。
元号新選組についてである。この党(組)は、選挙前から経済政策のブレーンである長谷川羽衣子が「移民反対」を強調したり、かつて山本太郎が「総理大臣にしたい人」と絶賛した安藤裕が参政党公認で比例区から出馬しているなど、排外主義の傾向が強いのではないかとの疑念が持たれている。
たとえば下記「ロジャー鱒男」氏のX。
れいわ新選組さん
— ロジャー鱒男 (@notnotsuccess) 2025年7月12日
反国家主義と排外主義の融合という意味不明領域に突入。
ここまで極端な数値が出るとは。https://t.co/5iZrSdYrvC
リンク先は下記毎日新聞の有料記事。
有料記事なので引用はしないが、無料部分からでもグラフは読める。それがロジャー鱒男氏のXに貼り付けられている。新選組は候補者の6分の5が外国人労働者の受け入れに「より抑制的に接するべきだ」としている。これが参政党だと98%にのぼる。
「より抑制的に接するべきだ」を選んだ候補者の比率は、全体で50%。党派別に見ると、自民27%、公明0%、立民8%、維新75%、共産6%、民民66%である。この選択肢を選んだ政党を少ない順に並べると、公明、共産、立民、自民、民民、維新、新選組、参政党となる。社民党と保守党は候補者が少ないためか表示されていないが、参政党と同じくらい排外主義が強いことは疑う余地がない。
こう並べると、参政、新選組、維新、民民に保守党を加えた5党が「排外5党」と括れる。例の「減税4党」に維新を加えた5党からなる。「減税」にしても、本来過激な新自由主義政党である維新を加えても良さそうなものだが、「減税真理教」信者の立場からはそんな維新でさえ「増税政党」に見えてしまうだけの話だ。
ただ、ブコメ(はてなブックマーク)のコメントを見ると、新選組支持者が必死に防戦している様子がうかがわれる。
外国人労働者受け入れ、各党の主張明確に 自民は賛否 参院選アンケ | 毎日新聞
れいわの「抑制」は技能実習生制度の廃止を人権的見地から求めるもので、基本は多文化共生推進。参政党とはベクトルが真逆。まぜるな危険案件
2025/07/12 02:43
本当にそうだろうか? それならばなぜ、山本太郎が安藤裕を「総理大臣にしたい人」などと絶賛したのだろうか。
現に、この記事を書いている最中での最新コメントは下記だ。
外国人労働者受け入れ、各党の主張明確に 自民は賛否 参院選アンケ | 毎日新聞
れいわか参政に入れるか。労働力不足は移民入れなきゃ賃金上がって日本人がやるようになるから。人手不足ではなく奴隷不足。移民入れて喜ぶのは大企業とリベラル思想でマウント取れる左翼だけってことやね。
2025/07/12 21:50
この人は、参院選で新選組に入れるか参政党に入れるか迷っている。
こんなブコメもある。
外国人労働者受け入れ、各党の主張明確に 自民は賛否 参院選アンケ | 毎日新聞
れいわは、2012年に山本太郎が最初の選挙に望む記者会見の時に「嫌なら辞めてもらって構わない。外国人を雇うから」そういう世の中はあまりにおかしいと言ってる。移民反対は昨日今日言い出したことじゃない。
2025/07/12 12:56
上記はややわかりにくいが、山本太郎が下記のように発言したということだろう。
「嫌なら辞めてもらって構わない。外国人を雇うから」そういう世の中はあまりにおかしい。
だから、新選組の排外主義は昨日今日に始まったものではないということだ。それは2012年の発言だそうだが、山本は翌年、自らを「保守ど真ん中」と規定する発言もしている。山本のいう「保守」には排外主義も含まれるに違いない。
別の人気ブコメより。
外国人労働者受け入れ、各党の主張明確に 自民は賛否 参院選アンケ | 毎日新聞
嫁は外国人だがJLPT N1どころかほぼネイティブレベルの日本語でも直近5年くらいで就活200社落ちたし、相手は面接呼んでおいて「外人いらん」とか言うのだ。現状でも氷河期追体験レベルなのに「抑制」とかいんの?
2025/07/12 08:32
外国人労働者受け入れ、各党の主張明確に 自民は賛否 参院選アンケ | 毎日新聞
- [政治]
- [選挙]
立憲、公明、共産が想定する外国人労働者は工場や土木、医療の現場で働く人間だろうし、日本人の職を奪う高度人材はそもそも望み薄だろう。国民民主、維新、れいわは経済を真面目に考えてるとは思えない。
2025/07/12 06:48
外国人労働者受け入れ、各党の主張明確に 自民は賛否 参院選アンケ | 毎日新聞
受け入れ反対、れいわと参政が際立っているけれど、国民民主党もだいぶ多い。ネット動画やSNSの影響を受けやすい層と被る。陰謀論と親和性の高い層でもある。この3党には投票したくないかな。
2025/07/12 01:24
参政党、新選組、民民は「陰謀論3党」と一括りにしても間違いではない。
参政党と新選組に関しては、下記東京新聞の有料記事などもある。
有料記事なので引用しないが、下記のブコメを取り上げる。
「参政党か、れいわに入れます」なぜ?その2択を口にする人が増えている…悩める「ロスジェネ」の判断材料:東京新聞デジタル
この記事と直接関係ないけど、れいわベッタリだった一部の限界リベラルが参政党支持に回ってるケースをXあたりでよく見かけるんですよね。国民民主から参政党への流れも見かけるけど。
2025/07/13 09:24
あと下記のブコメだが。
「参政党か、れいわに入れます」なぜ?その2択を口にする人が増えている…悩める「ロスジェネ」の判断材料:東京新聞デジタル
- [東京新聞]
07/13「政治的な立ち位置について、一般的には『右』の政党と思われている参政党と、『左』のイメージが強いれいわ新選組。この2党で揺れているのはなぜなのか」なぜなのか、と言いながら、答えありきで書く東京新聞。
2025/07/13 07:41
似たようなことは都議選の時の「選挙ドットコム」で元都ファの都議だったという鈴木邦和氏も言っていた。昨年の衆院選後から都議選前までの間に、新選組から参政党への票の移動がみられるが、イデオロギーでは説明できないと。しかし私は、両党はイデオロギー的にもほとんど差がないのではないかと思っている。いや両党のブレーンは知りませんよ。少なくとも山本太郎と安藤裕と違いは安倍晋三に対する評価だけではないかと思う。山本と神谷宗幣との差は知りませんが。
下記は政治おじいちゃんお化け氏のX。
大局での選挙情勢とはやや異なるのですが、
— おじいちゃんお化け (@micha_soso) 2025年7月11日
これまでれいわ推しだった人の熱が著しく低くなっている気がする。
これで、本当に情勢どおり3〜4議席目狙えるんだろうかという感触。
自分が見えていないところのでの広がりもあるのかもしれないが、、、。…
ブログをやっている人間としての感触を書くと、「信者」の熱はもう数年前から目立って落ちていると思います。最初の曲がり角は2020年の東京都知事選だったでしょうか。最近は新選組をメインで取り上げた記事はアクセス数が他の記事よりも少なくなります。それだけ人々の新選組に対する関心が薄れてきているのではないでしょうか。
その代わり、新選組は地域に根を張り始めてきていると思います。新選組は地方での組織化に不熱心だとはよく指摘されますが、それにもかかわらず「草の根」の力は、立民などよりもよほど根強いものがあるのではないでしょうか。なので、三春充希氏の「リアルタイム議席数予測」通り、比例区ではしっかり3議席を確保すると思います。4議席目以降は微妙かと思いますが。
しかし今回の東京選挙区のように、定数が7あっても、山本太郎自身が出馬するのではない限り、候補者の質はそれなりに高くても(今回の東京選挙区の候補にもそれは該当します)、当選圏には手が届かない程度の浸透でしかありません。ましてや今回の京都選挙区のように候補者の質にも大きな問題があった場合、手も足も出ない完敗になります。
これは、山本太郎の煽動路線が壁にぶち当たっていることを意味します。これは、山本にとっては非常に面白くない状況ではないかと思います。
山本は、今回の参院選の開票速報の番組には出演せず、「岩戸隠れ」をやるらしいですが、それも上記のような状況が不本意だからではないでしょうか。
新選組の比例区当選者は、「特定枠」の伊勢崎賢治は動かしようがありませんが、他に長谷川羽衣子が入ってくるようなら、新選組の性格も「山本太郎独裁」から伊勢崎・長谷川の3文字姓の2人を中心としたイデオロギー政党へと大きく変貌する可能性があると私はみています。
このうち伊勢崎については、かつて社会党の「非武装中立」よりも共産党の「中立・自衛」路線に惹かれて共産党入りしたという松竹伸幸氏が強く支持していることが示唆する通り、そのような路線を取る可能性が高いと思います。それは(私は支持しませんが)時宜に適っている面もあると思いますが、アキレス腱はおよそ経済学の重鎮とも思われない長谷川羽衣子の「積極財政一本足」打法でしょうね。この路線は必ずや破綻するでしょう。現時点で既に時流に合わなくなっています。この党の先行きも明るくはありますまい。大きな曲がり角に差し掛かっていると思います。
半ば覚悟はしていたが、本丸の「参政党」論に入る前に、元号新選組論だけで記事が終わってしまった。しかし新選組については書きたいことはほぼ書いたと思うので、次からは参政党論に移れると思う。