プロ野球のセントラルリーグが再来年(2027年)からのDH制導入を決めた。
下記はNHKニュースへのリンク。
以下に上記記事の冒頭部分を引用する。
プロ野球 セ・リーグでも指名打者制導入へ 2027年シーズンから
2025年8月4日 22時12分
プロ野球、セ・リーグは4日の理事会で再来年、2027年のシーズンから指名打者制を導入することを決定しました。
セ・リーグの6球団は、4日の理事会で▼主要なアマチュアの連盟が指名打者制を採用することや▼WBC=ワールド・ベースボール・クラシックなどの国際大会への関心が高まり、その潮流も意識したことなどを総合的に判断し、指名打者制について全会一致で導入することを決めました。
選手のスカウト活動などチーム編成を考慮して来年を「猶予期間」とした上で再来年、2027年のシーズンから導入するということです。
指名打者制は、パ・リーグでは1975年に導入されていますが、セ・リーグではたびたび導入に向けた提案があったものの「チームを強くするためにはそれ以外のことを考えるべきではないか」などとして見送られていました。
一方、来年から、東京六大学野球連盟や高野連=日本高校野球連盟など日本の主要なアマチュアの連盟が導入することを決めていて、指名打者制の採用が大きな流れとなっていました。
セ・リーグの理事長を務める広島の鈴木清明球団本部長は会見で「新たなセ・リーグの野球に挑戦する時期に来たと判断した。長年にわたってセ・リーグの野球を支持するファンがいることも承知している。今後もリーグの発展にまい進していく所存だ」と話していました。
(NHKニュースより)
URL: https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250804/k10014884201000.html
やっとそうなるのかというのが正直な感想。パ・リーグに遅れること実に半世紀以上だが、アメリカでも似たようなものだった。ナショナルリーグはDH制の導入がアメリカンリーグよりも半世紀近く遅れた。
プロ野球にはこだわりの強い人が私を含む中高年には多い。今回のNHKニュースもその例だろう。以下、もう少しNHKニュースから引用する。
セ・リーグ 打撃得意とする投手も
プロ野球の歴史をみるとバッティングを得意とするピッチャーもいて指名打者制を取り入れていないからこその記憶に残るシーンもありました。
巨人の堀内恒夫さんは、1967年の10月10日に後楽園球場で行われた広島戦で自らがノーヒットノーランを達成しただけなく3打席連続でホームランを打って周囲を驚かせました。
現在、巨人の2軍監督の桑田真澄さんは、巨人でプレーした21年間の通算で、890打数192安打で打率2割1分6厘、ホームラン7本を打ちました。中でも2002年のシーズンは51打数15安打で打率2割9分4厘をマークして、このうち7本は長打と“野手顔負け”のバッティングをみせました。
大リーグ、カブスで活躍する今永昇太投手は、DeNAに在籍した8年間で、276打数51安打、打率1割8分5厘の成績を残しました。
今シーズンでは、4日までに巨人の赤星優志投手が28打数7安打で打率2割5分をマークしています。
また、3日のヤクルト対阪神の試合では、ヤクルトの先発の奥川恭伸投手が5回に先頭バッターとしてツーベースヒットを打って追加点につなげました。
試合後には、この回にホームランを打った4番の村上宗隆選手がヒーローインタビューで「ピッチャーが打てて僕が打てないわけがないだろうと、奥川投手に力をもらいました」とコメントも残しました。
URL: https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250804/k10014884201000.html
なぜ読売の例ばかり多く挙げるのかと訝ったが、最後に今回の発表前日にあったスワローズの例が挙がっていた。
私が覚えているのは、近鉄の鈴木啓示(その後私が特に嫌う野球人になったが)がDHが導入される前によく打っていたことや、阪神の江夏が延長戦でノーヒットノーラン継続中だった試合で自らサヨナラホームランを打ったことや、西武の工藤公康がパ・リーグの主催戦で最後に打席に立った試合でサヨナラ二塁打を打ったこと、それに日本では打席に立つことがなかった野茂英雄がMLBで通算4本のホームランを打ったことなどだ。その昔は国鉄スワローズ時代の金田正一が代打に立つこともあったという。
山梨の悪太郎がノーヒットノーランを達成した試合で自ら3本塁打を打った試合など単なる消化試合であって、広島がろくな選手を出さなかったおかげに過ぎない。それと引き比べると江夏のサヨナラホームランは首位攻防戦の中日戦だった。価値が全然違う。とはいえその年の優勝も読売だったというのがプロ野球の残念な歴史なのだが。
野球界全体に広がるDH
「指名打者制」は高野連=日本高校野球連盟が2026年春の公式戦からの導入を決めるなど野球界全体に広がっています。
「指名打者制」は、1973年に大リーグのアメリカンリーグで始まり、日本では1975年からプロ野球のパ・リーグで採用されました。
大リーグでは、2022年からナショナルリーグも含めたすべての試合で導入されていて、ピッチャーとバッターの“二刀流”でプレーする大谷翔平選手の活躍によって新たなルールも登場しました。
かつて先発投手が打席に立とうとした場合、指名打者を使わずに出場する必要がありましたが、いわゆる「大谷ルール」により先発投手が指名打者を兼ねることができ、マウンドをおりた後もバッターとしてそのまま試合に出場することができるようになりました。
セ・リーグの指名打者制の導入をめぐっては、2020年12月のセ・リーグの理事会で巨人がコロナ禍でのピッチャーの負担軽減や、野手の出場機会の増加によるチームの強化などを理由によくとしのシーズンからの暫定的な導入を提案しましたが、ほかの球団から賛同を得られず見送られました。
さらに、よくとし1月の理事会でも巨人が再び暫定的な導入を提案しましたが、その際も見送られていました。
また、ことしに入ってからは12球団の監督会議で、セ・リーグでの導入の是非について意見が交わされるなど導入に向けた空気が醸成されていました。
また、来年からは、東京六大学野球連盟や高野連など、日本の主要な野球の連盟が導入することを決めていて、指名打者制を採用することが野球界全体に広がっています。
DH導入に向けたセ・リーグの経緯
セ・リーグは、これまで指名打者制の導入を見送ってきた背景について、「野球発祥時からの“9人野球”の重みと伝統、プロ野球の発展に貢献してきたセ・リーグの歴史や役割、パ・リーグとは異なる野球のだいご味や価値などを向上すべきとの考えから“9人野球”を続けてきた」としています。
一方で、指名打者制については、これまで複数回にわたって導入に向けた議論が行われてきました。
2020年12月には、巨人がセ・リーグの理事会で、新型コロナや東京オリンピックによる過密日程を踏まえて、翌シーズンに制度を暫定的に導入することを提案しましたが議論の末、見送られました。このときは、メリットとして、ピッチャーの負担軽減を第1の理由にあげたうえで、▼当時はピッチャーの故障がパ・リーグと比べてセ・リーグの方が多く、打撃や走塁の負担が関係している可能性があるという意見や、▼1人でも多くの野手に出場機会を与えることがチームの強化につながるのではという意見があがりました。
しかし、▼「急いで導入を決める必要はない」とか、▼「チームの強化にはそれ以外のことを考えるべきではないか」といった意見が出され、賛同を得られませんでした。巨人は翌月の2021年1月にも理事会で再び導入を提案しましたが、このときも賛同は得られませんでした。
セ・リーグの別のチームの幹部は「リーグの価値向上は永続的な話なので、各球団から意見を持ち寄って、腰を入れて話し合っていく」としていました。
URL: https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250804/k10014884201000.html
このあたりの経緯は、独断専行が嫌われたかつての「盟主」よりも、その追随者であるリーグの他球団の方が頑迷固陋な保守派だったという話で、これはどの世界にもありがちなことだ。
2005年に導入された交流戦が当初ホーム&アウェー(プロ野球の場合は「ロード」)方式で各カード6試合だったのが、2007年には4試合、2015年には3試合にそれぞれ縮小されたこともその一例だ。しかし本場のMLBでは各リーグの球団数が奇数なので、シーズン中ずっとインターリーグの試合が行われている。
そしてそれは日本にも近未来に影響を与えると思われる。既に二軍戦が来年度から1リーグ3地区制に再編成されることが決まっていて、スワローズは読売とも阪神とも別の地区にめでたく配置されることになったが、これは一軍のエクスパンションを念頭に置いた動きだといわれている。
その際に、再編成によっていきなりDH制で試合をすることを避けるために、ルールを統一した。今回のセ・リーグのDH制導入には、間違いなくその側面もあると思う。
以下は上記NHKニュースについたはてなブックマークのコメント(ブコメ)より。
プロ野球 セ・リーグでも指名打者制導入へ 2027年シーズンから | NHK
やっぱり交流戦でメタメタにやられたのがショックやったんやろな。毎年のこととはいえ、今年は特にひどかったんで
2025/08/04 19:13
これはアメリカでもそうだった。昔はオールスター戦ではナショナルリーグばかりが勝っていたが、アメリカンリーグがDH制を導入したらその逆になった。
プロ野球 セ・リーグでも指名打者制導入へ 2027年シーズンから | NHK
- [スポラン1]
- [世代]
- [🙂]
大リーグの客にも反DH派って根強かった中、日本から現れた「アホみたいに打てる投手」の存在がそのシステムを突き崩し、それが逆輸入的に波及して大凡競技全体から「9人野球」が消滅した、という時代の流れの面白さ。
2025/08/04 18:54
そもそも野球という球技は投手に異常なまでの負担がかかる上、近年は研究が進んで球速を出すための投球方法を身につければ球速を速くできる時代になった。元読売の江川卓の頃までは、球速や江川のような「ホップするように見える球」は天才にしか投げられないと思われていたが、その常識が崩れ、近年相次いで亡くなった北別府学やかつての阪神の大投手・小山正明のような「針の穴を通すコントロール」の方がむしろ天性のもので、努力してもなかなか身につかないとも言われるようになった*1。しかし速球を投げるメカニックは人体に多大な負担を強いるために、投手は故障しやすくなった。大谷翔平もその一人である。
しかしそんな故障に見舞われても最初から「二刀流」を目指していれば、投手として働けない時期にも打者として活躍できることを実証したのが大谷だった。大谷が奥川恭伸のように投手一本の選手だったらこんなことはできなかったわけで、大谷が子ども時代から二刀流を目指していたことがアメリカのメジャーリーグのルールを変え、それが日本に(逆)輸入されることになったといえる。
プロ野球 セ・リーグでも指名打者制導入へ 2027年シーズンから | NHK
DHにすればパに勝てると夢想しての推進なんだろうけど、里崎はセパの強さの差はDHの問題じゃないって言ってたな。球場の広さだと。/交代減るから出場選手増えないよ減るよ
2025/08/04 20:05
その里崎智也の意見は間違っている。球場の広さとチームの強さは比例関係にはない。阪神は今は強いけれどもかつてラッキーゾーンを撤廃してからも暗黒時代が延々と続いた。また来年から狭くするらしい中日は落合博満が監督を去ってからもずっと広い球場を使っていたのに暗黒時代に入って久しい(立浪和義が去った今年は少し上向く兆しも見せているが)。
プロ野球 セ・リーグでも指名打者制導入へ 2027年シーズンから | NHK
投手の打順で続投か代打かというのが無くなるのは寂しい。
2025/08/04 21:34
そういうつまらない駆け引きには私はとっくの昔に飽きてしまった。