kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

参政党は資本主義を強く批判する「右からの革命政党」だ

 権力者の死や逮捕などで「権力の空白」が生じると、その空白を埋めるための権力闘争が必ず起きる。その動きが早いか遅いかは、空白が生じる前の権力の強さをはじめとしていろんな要因がある。

 動きが早かったのが、区長と衆院議員が相次いでその座を去った東京都江東区であり、動きが遅かかったが権力構造の崩壊の規模がずっと大きいのが日本の国政だ。

 そういう時に向いているのが起業家精神のある人間であり、もっとも不向きなのが組織内での権力工作を得意とする調整型のリーダーである。立憲民主党(立民)でいえば現在のような乱世に最も不向きなのが泉健太であり、それに次いでダメなのが野田佳彦だといえる。「駅前は朝の七時」は野田を批判するまでは良いが、泉に心酔しているのが致命的にダメなところだ。

 あと、西欧もそうだけれど特に日本では国際的な地位の低下という大きな問題があり、さらには今や完全に限界が明らかになった資本主義というイデオロギーをどう捉えるかが問題になる。その資本主義が一因となって人為的な気候変動が全地球的な問題になっている。そんな時代に「もっと東京への一極集中を進めよ」と唱える竹中平蔵は、完全に時代遅れの論者になった。

 今の日本の政治状況をどう見るかについて、いくつかのブログ記事があった。

 たとえば宮武嶺さんの下記記事。

 

raymiyatake09.hatenablog.com

 

 残念ながら上記記事に挙げられている得票率の数字が正しくないと思われる。宮武さんの記事では下記のように書かれている。

 

 参政党があまりにも極端な右翼政党なので、参政党が伸びたことで戦前のナチスの台頭を思い出すというような良心的な市民が多かったと思うのですが、2022年2025年の参院選での比例区得票数の変化を見てみます。

 

2022年参院選比例区得票数(主な政党):

自由民主党:約1959万票(得票率31.07%)→約1,280万票(21.6%)で比例区12議席獲得

立憲民主党:約794万票(得票率12.61%)→約740万票(12.5%)で7議席

公明党:約629万票(得票率9.98%)→約521万票(8.8%)で4議席

日本維新の会:約873万票(得票率13.85%)→約438万票(7.4%)で4議席

国民民主党:約415万票(得票率6.6%)→約762万票(12.9%)で7議席

日本共産党:約589万票(得票率9.35%)→約268万票(4.8%)で2議席

参政党:約212万票(得票率3.36%)→約742万票(12.5%)で7議席

れいわ新選組:約398万票(得票率6.32%)→約388万票(7.5%)で3議席

社民党:約105万票(得票率2.37%)→約122万票(2.1%)で1議席

日本保守党 前回選挙では存在せず→約298万票(5.0%)で2議席

 

  右翼系で言うと自公両党と維新あわせて17%の得票率を失った分、国民民主党が6%、参政党が9%、日本保守党が5%で合計で20%増やしたというに過ぎないんですね。 

 右派的な有権者は3%増えただけで激増したわけでもなく、あんまり心配いらないんじゃないでしょうか。

 

URL: https://raymiyatake09.hatenablog.com/entry/2025/08/27/074852

 

 私は数字を見て、それだと今年の参院選の方が3年前より投票率が低かったことになってしまっておかしいんじゃないかと思った。それに上記の数字だと共産の得票率が半減したことになるが、さすがにそこまでは減っていないはずだとも思った。それでNHKのサイトを参照して調べてみたら、下記の数字になった。

 

自由民主党:約1826万票(得票率36.6%)→約1,280万票(21.6%)で比例区12議席獲得

立憲民主党:約677万票(得票率12.6%)→約740万票(12.5%)で7議席

公明党:約618万票(得票率11.7%)→約521万票(8.8%)で4議席

日本維新の会:約785万票(得票率14.8%)→約438万票(7.4%)で4議席

国民民主党:約316万票(得票率6.0%)→約762万票(12.9%)で7議席

日本共産党:約362万票(得票率6.8%)→約268万票(4.8%)で2議席

参政党:約177万票(得票率3.3%)→約742万票(12.5%)で7議席

れいわ新選組:約232万票(得票率4.4%)→約388万票(7.5%)で3議席

社民党:約126万票(得票率2.4%)→約122万票(2.1%)で1議席

日本保守党 前回選挙では存在せず→約298万票(5.0%)で2議席

 

URL: https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/sangiin/2022/00/hsm12.html

https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/sangiin/00/hsm12.html

 

 2025年参院選の数字は正しかったが2022年参院選の数字が変だった。宮武さんが何と取り違えられたのかまでは確認していない。

 自公維とそれ以外という切り口だと、自公維は25.3ポイント減らしていて、民民、参政、保守が増えた分は21.1ポイントだから、これらの政党を仮に「オール右翼」として括るなら、それはむしろ4.2ポイント減っている。

 ただ、この切り口だと「オール右翼」もそうではない側も党や派閥によってさまざまである資本主義に対するスタンスが測れない。私は今の日本においてはそれが最大のファクターになっていると思う。そこをいつも鋭く突くのがレバ子氏で、特に参政党に関する議論においてその特徴がめざましい。

 

laborkounion.hatenablog.jp

 

 以下一部を引用する。

 

(前略)欧州極右と似たような運営をし、似たような主張をしているのはその戦略戦術をそのまま輸入しているようにも今なら感じられます。元々独占資本の批判は、右翼は擁護し左翼陣営は批判的でした。欧州極右にしろ参政党にしろ少なくとも資本に対する主張自体はかつての新左翼運動に近しいものです。だからハマったのでしょう。参政党は保守層を切り崩した部分もゼロではないですが、多くはある日を境に政治に目覚めた人達の組織政党でした。だから彼らに従来型の戦略では通じないです。保守というより極右日和見主義と言った方が近いのかもしれません。ただ一点明確なのは、資本主義に対する攻撃は日本共産党よりも激しいものがあります。カール•マルクスは資本主義は単なる経済システムだけではなく、社会システムそのものであると言いました。そこから社会主義革命が起こるのは歴史的な必然であるという主張で、当然マルクスの死後確立されたマルクスレーニン主義国家は彼の主張そのものであるとは言えないです。ただマルクスの死後150年で資本主義を批判する革命組織が共産党から極右に移行しつつある現代において左翼の戦略が資本主義を絶対擁護するものなら、「革命組織」に手も足も出ないでしょう。現場に対する新しい社会像が求められている状況で単なる現状維持を目指すなら、左翼陣営であろうと保守陣営であろうと消えてなくなるのもまた歴史の必然です。その資本主義をさらに歪ませた新自由主義を容認するリベラルや保守派なら、真っ当な左翼運動は極右と共に彼らにレッドカードを突きつけるのも歴史的な使命です。

 

君が代を歌わない右翼政党

 

 日本には自民党より右の右翼政党が生まれて消え、生まれては自民党に吸収されての繰り返しでした。ただ彼ら右翼政党は共通のイデオロギーというより決まりがあり、党員の結束を促す党大会や集会などでは必ず日の丸が掲げられて、君が代を全員で斉唱するものですが、参政党はその点においてかつての右派政党と性格が異なります。(続)

 

URL: https://laborkounion.hatenablog.jp/entry/2025/08/28/092939

 

 こういう文章を読むと、レバ子氏は「直感(直観)の人」だなあとつくづく思う。私など、上記の文章は実にいえてるなあと思うのである。

 私が今年春以降の参政党の急伸で思ったのは、昔、「右」も「左」もない。オレは「下」や!、とネット(主にブログ)で言い募っていた人たちに一番フィットしそうな政党だなあということだ。その当時には参政党はなかったから、彼らはレバ子氏が「帝政派」と呼んだ(この用語にも私は大いにウケた)平沼赳夫城内実を応援した。だから私は「平沼なんて初代の経産相になって小泉政権などで新自由主義の経済政策を推進し張本人じゃないか」などと馬鹿にしていたが、そんなことを言い続けていたらそのうちに彼らに「パージ」されたのだった。

 彼らのうちかなりの部分はその後山本新選組を応援したと思われるが、最近になってごっそり新選組支持層から離れて参政党支持に回ったと思われる。そんな彼らを新選組系の生活ユニオン広島(さとうしゅういち)さんは「青年将校」と言い表している。言い得て妙である。いうまでもなく2.26事件に関与した軍人たちに代表される極右の革命家たちを指す。

 参政党にはそんな性格があるということだ。また参政党には(日本版)MMT系の論者や、彼らに持ち上げられた元自民党安倍派の安藤裕参院議員もいる。この人はかつて山本太郎に「総理大臣にしたい人」と絶賛されたことがあった。その参政党が新選組の票をごっそり奪っていった。そのような事実も無視してはならない。

 こんなXがあった。

 

 

 昨年の衆院選自民党に投票した人のうち他党に流れた先の最多が参政党である一方、「帝政派」の末裔といえるかもしれない日本保守党は、自民から立民への流出の半分にも満たない、わずか1.4%に過ぎなかった。日本保守党には特に反資本主義の革命的な主張はない。昔ながらのネトウヨ政党であって、そんな政党がヤフコメなどでもてはやされた昨年の衆院東京15区補選など今は昔。あの選挙では参政党からも候補者が出ていて、彼らの選挙事務所には夜遅くまで煌々と灯りがついていたことは以前高野勇斗区議が書いていたし、それを受けて弊ブログにも書いた。実際私はそれを目撃している。補選で泡沫候補として敗れた候補者は、昨年の衆院選九州ブロックから立候補して当選した。

 

 

 今や日本共産党よりも過激な極右革命政党となった参政党への支持が一過的なものといえるかどうか。仮に参政党自体はピークアウトしたとしても、資本主義を厳しく批判して「右からの革命」を目指す政治勢力自体は、強まる可能性の方がそうならない可能性よりもずっと強い。