未成の「高市早苗政権」だが、そもそも「連立なんて組めるのか?」というのが私の最大の疑問だ。
まず公明党だが、これは総裁選前には「高市とは組めない」といわんばかりの大見得を切っていたけれども、ほぼ確実に組むと思う。本当はいい加減に連立を離脱した方があらゆる意味で良いと思うのだが、惰性力がそれを許さないというのが私の見立てだ。公明党の連立離脱は、自民党政権の本当の終焉の時に起きることだと確信している。
そうそう、高市政権が長期化する可能性があるとの見方をする人が結構いるようだが、私は高市早苗のみならず誰が総理大臣になろうが、自民党政権そのものがそんなに長く続くことはないと考えている。自民党が弱体したからこそ、先の参院選で立民が「受け皿」とはみなされずに惨敗したのである。物事には必ず終わりがある。1955年に始まった自民党を中心とした政治体制にも終わりが確実に近づいている。だが次の政治体制がどのようなものになるかはまだわからない。だからこそ私は、最近はすっかり低調になってしまった自由討論会の共用ブログのタイトルに「混沌の時代」という言葉を入れた。
本当は安倍晋三政権なんかを復活させたうえ、それをあんなに長続きさせてはいけなかったのだ。政治がすっかり民意とかけ離れてしまったばかりか、その間に日本国の国力が他国と比べて相対的に大きく立ち遅れてしまった。それをもっともよく表す指標の一つが、気候変動(地球温暖化)への人々の問題意識が、日本では安倍政権が続いている間に徐々に低下していったことだ。これは現実に気候変動の脅威が増していることが日に日に明らかになりつつある現在、他国では見られない現象だ。
その気候変動の脅威を否定する大国の政治家がいる。いうまでもなくトランプである。日本のいわゆる「岩盤保守」(その正体は「新自由主義右翼」)はトランプを支持し、高市早苗に対してはトランプに隷従する路線をとることを期待している。その彼らの期待を裏切る政策をとれるかどうかが高市には問われる。仮にそれができるのであれば、高市にも少しは見所があることになるが、果たしてどうなるか。
連立の話に戻るが、自公だけでは少数与党のままなので、他の野党から連立相手を選ぶことになるが、参政党は予想通りネガティブな動きをみせた。このくらいは、いかに政局勘が絶望的に悪い木下ちがや(こたつぬこ)氏でもわかるようだ。
入ったら溶けるから。国民民主党はどうするのかな。麻生体制だから確実に引きはありますよ。
— こたつぬこ🌾ネオ構改派 (@sangituyama) 2025年10月5日
連合は、与野党に分かれたら深刻ですよ。
国民民主党の議員の皆さん、各地域のみなさん、どうなるかよーく考える時ですよ。 https://t.co/1q9gJMD0ly
その通り、「入ったら溶けるから」である。民民も入ったら溶ける。しかも入ったら連合との関係が最悪になる。玉木雄一郎がいかに麻生太郎から誘われようが、民民は動くに動けないのではないか。
そう思ったから私は昨日だか一昨日だかの記事に「維新」を選んだのだが、その維新には高市とのパイプが全然ないらしい。このあたりに詳しいのはさすがに読売だ。以下読売の記事を引用する。
日本維新の会、小泉氏敗北に落胆「今後は不安しかない」「高市氏と両てんびんにかけるべきだった」
2025/10/05 08:45
結党から約70年。自民党の再生を託されたのは、高市早苗・前経済安全保障相(64)だった。4日に投開票された総裁選では、党員らからの幅広い支持を追い風にトップの座に就いた。地元の奈良を中心に「初の女性首相」への期待が高まる一方、保守色の強い言動を不安視する声も根強い。少数与党で迎える船出では早速、手腕が問われることになる。
◇
看板政策の「副首都構想」を推進するため、小泉進次郎農相(44)の勝利に期待していた日本維新の会の国会議員らからは落胆する声が上がった。
「維新は高市氏陣営と接点がほぼない。今後については不安しかない」。大阪選出の維新国会議員はそう漏らした。
維新の吉村洋文代表(大阪府知事)は、高市氏に決選投票で敗れた小泉氏を「改革派」と持ち上げ、秋波を送ってきた。小泉氏が8月に大阪・関西万博の会場を視察した際には、小泉氏からの要請を受けて自ら案内し、一緒に大屋根リングにも上がった。
維新内では、吉村氏と近い小泉氏が総裁になれば、維新が連立政権に入り、大阪などの大都市を副首都に位置付ける「副首都構想」の検討が加速するとの期待があった。
一方、高市氏は総裁選で「首都機能のバックアップ体制の構築」を掲げたものの、総務相だった2016年の衆院総務委員会では、副首都を定めるための法整備について「特に必要性を感じていない」と答弁。23年の奈良県知事選では、自民県連の会長として擁立を主導した新人が維新公認の山下真氏に敗北した。
維新府議は「高市氏は維新にアレルギーがあると思う」と推測。維新大阪市議は「小泉氏だけでなく、高市氏と両てんびんにかけるべきだった」と振り返った。
維新と対立してきた自民大阪府連の地方議員からは 安堵あんど の声が聞かれた。維新が副首都構想の推進をテコに、3度目の大阪都構想に挑戦するという警戒感が強まっていたからだ。
自民大阪市議は「小泉氏が総裁になれば、間違いなく維新とくっついていた。これで維新が副首都構想について積極的に要求してくることはないだろう」と語った。
(読売新聞オンラインより)
URL: https://www.yomiuri.co.jp/politics/20251005-OYT1T50027/
私も総裁選には小泉進次郎が勝って、自公維連立政権になるだろうと思っていた。総裁選前から維新がそのような動きをしていたことは「公然の秘密」であって、小泉自公維連立政権を予想していなかった人の方が少ないのではないだろうか。
でも高市と維新とのパイプがないために(公明以外の)連立相手がどこも残らないとなると、と思って書いた少し触れたのが、立民が「給付付き税額控除」の一点で高市自民と連立を組むという案だった。これは立民代表が枝野幸男だったら絶対にあり得ないが、政局勘が前述の木下ちがや氏と同じくらい絶望的に悪い野田佳彦だったらあり得ると思ったのだ。あるいはXなどを見ていると、泉健太でもやりかねないとも思った。歴史的にも1994年の「自社さ政権」というのがあって、あれが社会党崩壊の大きな引き金になった。
むろん立民の支持層と高市との相性は最悪である。弊ブログには取り上げなかったが、「次の自民党総裁は誰が良いか」という問いの政党支持層別の回答で、参政党や民民の支持層では高市早苗がトップだったのに、立民支持層で高市を選んだ人はわずか5%しかいなかった。立民支持層が選んだ最多は林芳正で、それに僅差で小泉進次郎が続いていた。万一立民が高市自民と組んだりしたら、立民は支持者を大幅に失って選挙には惨敗確実、それどころか党分裂の可能性も高まる。しかしそういうことさえやりかねないのが野田や泉らではないかとの偏見を私は持っている。
でもまあ自立連立政権の可能性もほとんどないだろうとは思う。
いや高市が連立をどうするか、公明を含めた他党はどうするかは、ほぼ公明が連立にとどまるであろうことを除いて私は全く想像がつかない。
本当にいったいどうなるのだろうか。