高市早苗の解散話だが、報道は読売のみが突出していた。毎日だけが後追いしたが、高市が「慎重に判断する」などと書かれていて、裏が取れていないことを自白する記事だった。一方読売は1面から4面までを通常国会の冒頭解散の記事で埋め尽くしていたらしい。共同通信は遅くなって後追いの記事を出した。朝日は下記の記事をネットに出した。
「23日に衆院解散」報道 自民幹部も寝耳に水 「本当にできるか」
2026年1月10日 18時10分
高市早苗首相(自民党総裁)が23日召集予定の通常国会冒頭で衆院を解散する検討に入ったとの読売新聞の報道を受け、与野党に驚きと衝撃が広がった。「寝耳に水」とこぼす自民幹部もいるなか、野党は衆院選に向けた準備を進める構えだ。
自民内には「報道が出て解散しなかったら首相の求心力が下がるから、解散するのでは」という見方がある一方で、「首相が解散したいと思っても本当にできるのか」といぶかる声も上がった。
自民と連立を組む日本維新の会の藤田文武共同代表は10日、記者団の取材に、首相から解散についての連絡はないと説明。「首相が解散するというのであれば、それは専権事項だから、いつでも戦える準備はしておく」と語った。別の維新幹部は「解散について連立パートナーに何の連絡もないのは不義理だ」と不満をぶちまけた。
立憲民主党の野田佳彦代表は千葉市で記者団に、「もし解散ならば、しっかり覚悟を決めて受け止めたい」と強調。保守色の強い高市政権を意識し、「中道政権をつくるという目標を掲げ、準備を加速したい」とした。また、公明党を名指ししつつ「限りなく小選挙区で候補者を一本に絞っていく作業を加速していきたい」とも述べた。公明や国民民主党などとの連立による政権交代を掲げている。
「総員配置につけ 候補者擁立を急ぐ」。国民民主の玉木雄一郎代表はX(旧ツイッター)にこう投稿し、衆院選に向けた準備を加速させることを宣言した。
国民民主は内閣不信任決議案などを単独提出できる51議席以上の確保を目指し、100人規模の擁立を掲げる。党幹部は「(冒頭解散なら)擁立が間に合わない」と話す。
共産党の田村智子委員長も記者団に「候補者擁立を進め、万全の態勢をつくっていきたい」と述べた。
総務省「できる準備を」
「至急の連絡です」
総務省の自治行政局選挙部管理課は10日、各都道府県の選挙管理委員会に宛てて事務連絡を出した。「解散」報道を受けて、衆院選が行われることも想定して準備を進めるよう求める内容だ。
朝日新聞が入手した文書によると、「報道以上の情報はない」とした上で、「報道の中で最速の日程となることも念頭に置き、各種スケジュールの確認や業者との調整を含めできる準備を進めておく必要がある」としている。また、この連絡を市区町村の選管にも周知するよう求めた。
選挙部管理課の担当者は10日、朝日新聞の取材に、「衆院選が報道の通りに行われる場合、かなり時間が限られた中での準備になるため、至急の連絡をした」と話した。
(朝日新聞デジタルより)
URL: https://www.asahi.com/articles/ASV1B2T9JV1BUTFK006M.html
しかし、過去の例を思い出せば、突然の解散は安倍晋三が好んだ手法だった。立民の有田芳生衆院議員はXで下記のように書いた。
〈高市首相が衆院解散を検討、23日通常国会の冒頭に…2月上中旬に投開票の公算〉「読売新聞」の大々的な解散・総選挙報道だ。「毎日新聞」も一面で報じたが、具体性はない。NHK、「朝日新聞」、「産経新聞」、「日本経済新聞」も沈黙のままで、官邸による観測気球との見方もある。2014年に安倍晋三…
— 有田芳生 (@aritayoshifu) 2026年1月10日
以下が全文。
〈高市首相が衆院解散を検討、23日通常国会の冒頭に…2月上中旬に投開票の公算〉「読売新聞」の大々的な解散・総選挙報道だ。「毎日新聞」も一面で報じたが、具体性はない。NHK、「朝日新聞」、「産経新聞」、「日本経済新聞」も沈黙のままで、官邸による観測気球との見方もある。2014年に安倍晋三総理が外遊中に「読売新聞」が解散報道を打って、その通りになったことがある。その情報源は官邸幹部だった。「読売新聞」の強気報道の背景は、高市総理本人による示唆なら理解できると識者は見る。「読売新聞」も今回は「検討」という表現だから、もし解散しなくても誤報にはならない。
読売という「政治も野球も邪悪」な企業集団は現代日本を悪くしている元凶の一つだが、昨年死んだナベツネ(渡邉恒雄)は「政府と一体となった新聞」を目指していた。2014年には安倍晋三に深く食い込んだ記者がいて、現在は高市に深く食い込んだ記者がいるということかもしれない。いずれにしても最高権力者の独裁権力の行使をサポートする人間が社内にいることを意味するが、そんな人間はまともなジャーナリストとはいえないだろう。また読売新聞自体もまともなジャーナリズムとはいえない。なお読売は昨年7月に石破退陣の誤報をやったが、あれは読売が石破を退陣に追い込むためにやった謀略報道のようなものであって、それは7月の時点では誤報だったが石破は9月に退陣に追い込まれた。
まあ解散衆院選は間違いなくやるのだろう。読売が紙面を4ページも割いて大々的に報じたらしい、つまり大本営がそこまでやるのだから間違いなかろうと私は思う。
高市に勝算があるかどうかだが、「財界さっぽろ」のXが興味深かった。「財界さっぽろ」というからには自民党側の立場からの発信のはずだが、こんなことを書いている。
冬の衆院選、北海道の投票率が上がるとは思えない。今回の自民党はいつもと逆で、投票率が高ければ高いほど有利だ。北海道12選挙区は7区以外、自民候補が負ける可能性大。しかも札幌の5つの選挙区は勝負にもならないだろう。もはや北国は捨てたということか、、
— 月刊「財界さっぽろ」/編集長 (@mae011521) 2026年1月10日
なるほど、真冬*1だと北国の投票率は上がらない。高市に「ふわっとした支持」をしているだけの人たちが選挙に来なければ自民党は負けるというわけだ。そういえば2024年の衆院選でも投票率が上がると自民党に有利になるのではないかとの話も出ていた。冬の北国だけではなく全国的かつ全天候的な話かもしれない。
コメンテーターとのやりとりがまた面白い。
単独過半数を奪回すれば、維新も国民もお払い箱でしょう。しかし、公明の組織票がどこに流れるかで流れは変わると思います。サナエ人気だけでは難しいでしょう。
— ワントゥー (@IrutonKazu) 2026年1月10日
今までのように80%以上、自民候補に入ることはないかなと。立憲候補が30.40%公明票をおさえた時点で、7区以外は勝負ありです
— 月刊「財界さっぽろ」/編集長 (@mae011521) 2026年1月10日
立憲ももっとシャキッとしてもらわないといけません。1人1人は魅力的な人がいますが、組織になると疑問符がついてしまいます。
— ワントゥー (@IrutonKazu) 2026年1月10日
立憲もパッとしないですね。
— 月刊「財界さっぽろ」/編集長 (@mae011521) 2026年1月10日
権力への執着が足りないと思っています。
北海道に関しては、そんな立憲にすら勝てない自民党の絶望感です
上記最後のXには笑ってしまった。
書いたのは「財界さっぽろ」の編集長だから自民党の応援団の人である。
そんな「敵方」の人に「権力への執着が足りない」と言われているのが今の立民である。本当にどうしようもない。
そういえば弊ブログの記事にGl17さんから下記のブコメをいただいたのだった。
予算があるのに解散の噂が出てくる時点で慎重に判断する余地皆無だろ。今選挙やらないともう勝つ可能性が一切なくなるくらいのレベルで経済状況が厳しくなるという前提なんだろうな。国を沈めているという意識はあるんだ。(kazukazu氏のXより) - kojitakenの日記
野田はやたら敵方に甘く味方に冷淡。素手トイレ掃除や議員定数削減など、恐らく「自ら辛い道を選ぶ」倫理を気取っている風だが、概ねそこからの行状は彼の右派性の追認としてしか機能してない感。
2026/01/10 18:35
本当にその通りで、「ふざけるな、野ダメ」としか私には思えないのだが、なぜそんな野田佳彦に立民支持層の人たちはあんなに優しいのだろうか。不思議でならない。
いずれにせよ自民党応援団の「財界さっぽろ」編集長氏も自民が勝てるとは思っていないどころか、北海道では惨敗しかねないと心配している。もっともこれには陣営引き締めの意図もある可能性があるから字面通りには受け止められないけれど。
上記やり取りにもあった通り、鍵を握るのは公明票である。
公明党の支持層は階級構造のエスタブリッシュメント層(自民党の最大の顧客)では全くなく、中間層にも不人気で、それより下の階級が主な支持層だ。
そういう人たちが、支持政党が連立を離脱して自由投票になった場合に、どれだけこれまでのような「自民党候補への投票」を続けるだろうか。
そこが鍵なのだが、私のようなもともとの考え方が理系の人間は、そんなものは選挙をやって結果が出てみなければわからないと考えるのが基本だ。おそらく大学で物理学を研究したという三春充希氏も同様だろう。だから私は、氏の政治的な発信には必ずしも賛成できない部分もあるけれども、氏のネットでの業績を高く評価している。
政党の支持層は将棋やチェスの駒ではなく、生身の人間なのである。そんな一人一人の人間が判断して投票先を決める。政治家は基本的に支持層の意向に逆らった政策や行動はできない。それを無理にやろうとすると、どっかの政党のように平時では政党支持率の低下を招くし、それが我慢できない段階に達した場合には、2017年に「希望の党」騒動で立憲民主党(旧)が発足したような政変が起きる。あの「枝野立て」という言葉が象徴的だ。あれこそ支持層の「草の根」からの意思表示だった。残念ながら枝野幸男は一日で「立つ」ことを即決できず、結党が一日遅れた。そのあたりの腰の重さを私はずっと懸念していたが、やはり悪い方の目が出ていると今は思う。野田佳彦(や泉健太)に至っては論外としか思えない。