kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

暴言を吐いた自衛隊「3佐」への軽すぎる処分に激怒した

おそらく再来週の月曜日まではずっと時間がないので、タイムリーな記事がなかなか書けない。この件も、本来昨日(5/9)の朝までには書くべきだった。

東京新聞:議員に暴言 3佐を訓戒 防衛省、懲戒処分とせず:社会(TOKYO Web)

議員に暴言 3佐を訓戒 防衛省、懲戒処分とせず

 防衛省統合幕僚監部の三等空佐が、小西洋之参院議員に「ばかなのか」などと暴言を吐いた問題で、防衛省は八日、最終報告を公表し、三佐を訓戒処分とした。一連の暴言はシビリアンコントロール文民統制)を損なうとの批判が出ていたが、同省は「私的な言動」などとして文民統制への影響を否定。自衛隊法の「品位を保つ義務」に反したとしながらも、双方の主張が食い違っていることなどを踏まえ、昇任に影響する懲戒処分は見送った。 

 同省は、小西氏が訴えていた「おまえは国民の敵だ」との発言について、三佐が一貫して否定していることから、「事実として認定できなかった」と説明した。

 また、発言は偶発的なものだったとした上で、「職務上ではなく私的な言動。文民統制を否定するものではない。政治的目的もなかった」として、隊員の政治活動を制限した自衛隊法の規定には抵触しないと結論付けた。処分の重さについては、過去の事例や本人が反省していることなどを「総合的に勘案した」としている。

 小西氏は最終報告に対し、本紙の取材に「十分な調査が行われたとは言えない。『国民の敵』発言は間違いなくあった。あったものをなかったことにするのは許されない」と批判。「処分も軽い。文民統制の重さを、防衛省は十分に理解していないのではないか」と強調した。

 三佐は先月十六日夜、東京・永田町の参院議員会館付近の路上をジョギング中に小西氏と遭遇し暴言を吐いた。

東京新聞 2018年5月9日 朝刊)


この件については、下記『広島瀬戸内新聞ニュース』の記事と同じ感想を持った。もっとも私は2012年に坂野潤治の『日本近代史』(ちくま新書)を読んだ頃からようやく明治維新以降の日本近代史に関する知識を仕入れる向学心を起こした程度の人間に過ぎないが。

三佐暴言への甘い処分、226事件の教訓無視だ : 広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)(2018年5月8日)

統幕の空自三佐が小西ひろゆき議員(当時民進党、現在無所属)に暴言を浴びせた事件。

訓戒処分でした。下から三番目に軽い処分です。要は、以後気をつけるように、と訓戒するだけ。本人は痛くも痒くもない。

自衛官がそもそも国会議員に向かって国益云々を言うのがおかしい。自衛官は国会で決まったことに従って仕事をするしかないのである。

国会議員にたいしてあれこれ指図をするものではない。やりたければ自衛官を辞めて武器(戦車や戦闘機)を捨ててからやりたまえ。
戦前でさえも、「政治運動は軍服を脱いでからやれ」と言われたものであった。

ただ、やはり、515事件の処分が甘かったことが、226事件を誘発したのは戦前日本の誤りである。

今回の甘い処分で、自衛官の行動がエスカレートする恐れがある。今度は暴言から暴力へ、さらに威嚇の対象も野党から与党へ広がることも考えられる。

515では犬養毅という政党政治家が狙われたが、226では政党政治家の高橋蔵相はもちろん、軍部の統制派の渡辺教育総監や元老の牧野伸顕、官僚出身の後藤内務大臣まで狙われた。

今回の甘い処分は本当に洒落になっていない。


まさに「歴史は繰り返す」。安倍政権には歴史から学ぶ姿勢など欠片ほどの持ち合わせもないようだ。

また、「3佐」氏はその実名すらマスメディアによってが伏せられている。なんたることか。これでは、この処分のあと政権の寵愛を受けて焼け太りで出世しかねない。

ただ、5.15事件当時にはテロリストたちへの同情論はあまねく庶民に行き渡っていたのに対し、今回の大甘な処分には安倍晋三を御輿に戴く自民党政府の「ネトウヨ趣味」とでもいったものが反映されているようにも思われる。つまり5.15事件当時(1932年=昭和7年)には「土台」が大きく揺らいでいたのに対し、今は「上部構造」が勝手に暴走しているように見える。もちろんネトウヨ層は私がブログを始めた頃とは比較にならないほど分厚くなっているので過小評価は禁物だが、それでもまだ戦前と比較すれば、「戦後民主主義の(良い意味での)惰性」も残っていよう。

だからこそ、今のうちに安倍政権を倒しておかなければならない。当面、自民党内の後継者に安倍の尻ぬぐいをやってもらうほかないとは思うが。

そのためには、第2次以降5年半の安倍政権の惰性にも流されつつある世論を動かさなければならない。それがなければ、議会で圧倒敵多数の議席を有する自民党内に、自派や味方の派閥を多く抱える安倍晋三自民党総裁選で易々と3選されてしまう。現状の延長線だとそうなる。「リベラル・左派」は身内でしか通用しない言葉遊びにいつまでもかまけている暇はないはずだ。