kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

雇用情勢が良いなかでは、赤字国債に頼る安易な道は取るべきではない。雇用がひどくなり、ほんとうに赤字国債を出さざるを得ないときのために備えるべき。(黒川滋氏のXより)

 弊ブログは消費税の話はあまり書かないことにしている。それは税制全体の議論をしないで消費税の話だけをするようなあり方は有害無益だと考えているからだが、現在山本太郎衆院補選の東京15区で最後に須藤元気が2位に滑り込んだことで調子にでも乗ったか、消費税減税を武器に論戦を仕掛けようとしている気配が見られることから(宮武嶺さんのブログ記事のコメント欄にもその手のコメントがあった。コメント主はオザシン=小沢一郎信者=系の人と思われる)、少しだけ書くことにした。

 

 

 上記Xに「(不況時においては)国債発行も主な財源」とあるが、私は不況時であればそれで良いと思う。問題は不況時でもない時の赤字国債発行にある。

 それを指摘しているのがくろかわしげる(黒川滋)氏のXだ。

 

 

 上記Xに書かれた

雇用情勢が良いなかでは、赤字国債に頼る安易な道は取るべきではない。雇用がひどくなり、ほんとうに赤字国債を出さざるを得ないときのために備えるべき。

というのが普通の考え方だと思う。

 私は日本版MMTの議論が宗教じみているが嫌なので近寄らないことにしている。だから全然知らないのだけれど、不況時であろうが好況時であろうが赤字国債をどしどし発行しまくれ、というのが日本版MMTの教義の一つなのだろうか?

 好況時には財政再建を行い、不況時には赤字国債を「出さざるを得ない」というか出すことを辞さないというのが普通の政策だと思うのだが*1、どうも新選組はそれとは違う理論に基づいていて、それを消費税減税のワンフレーズポリティクスにすり替える詐術を使って「野党共闘」のイニシアチブを取ろうとしているのではないかと疑われる。

 これが「くにもり」や日本第一党に近いという倉辻さんの指摘はその通りであって、少し前に紹介した古谷経衡氏の記事にも「くにもり」と新選組の親和性に言及があった。

 

news.yahoo.co.jp

 

 以下引用する。

 

 また2020年に設立された政治団体『新党くにもり』は、反グローバリズム反自民党を鮮明にし、日本保守党関係者と緊張状態にある。従来「くにもり」は岩盤保守の中でも少数勢力とされていたが、近年では政治的進歩派(れいわ新選組など一部の野党)の支持層の一部に食い込んでいることから、こちらも無視できる数ではなく、巨視的に言えば反百田派に分類されてよい。

 

URL: https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/2968cce475c2c18b5435e61e3ec8053da9ef3b49

 

 くにもりの安藤裕は自民党時代には安倍派の政治家だった。山本太郎は以前からこの安藤を高く評価していて、総理大臣になってほしいなどと言っていた。くにもりは日本保守党に対しては敵対しているらしいが、安藤裕が自民党安倍派出身であることから明らかなように、安倍晋三を崇め奉る側に属している。そして自民党において親安倍かつ積極財政派の政治家として、高市早苗がいる。つまり、山本太郎高市早苗との距離は、さほど遠く隔たってはいない。

 左派の間にこんな説を唱えた人がいる。

 

三宅芳夫

 

衆院補選自民全敗か、やれやれ

 

 江東区は関係者からも「ぎりぎり」と言われて少し焦ったが、得票率30%だから、一応「勝利」とは言える。

 ただし、極右候補が三人、格闘家が一人出ての、「勝利」ではあるし、投票率の異常な低さを考えると、自公や維新へのオルタナティヴが可視化された、とは言い難い。基本は相手が「勝手に転んでくれた」。

 さて、国政レベルでは岸田で総選挙ができるのか、について自民の党内闘争がさらに激化するだろう。

 一つの悪いパターンは、連合をバックに、国民・立憲右派(場合によっては全体)、維新、自民を割れた安部派の「共闘」が成立すること。実際、経済安保法案などは与党の公明、立憲全体との「共闘」が成立している。

 これは選挙前でもあるいは選挙後でもあり得るシナリオ。もし、このブロックが政権を獲るような事態になれば、いよいよ破局への最終段階は「秒読み」になる。

 対する側は維新・安倍派排除を最低条件に、短期・中期で戦略を組み立てておくべきだろう。

 しかし、今は地平社「挙兵」に合わせた衆院自民全敗は、「幸先がよいこと」(山木攻略というところか)ということにする。

 

URL: https://www.facebook.com/miyakej/posts/1487754602173820

 

 この方は、連合をブリッジにして、自民党を追われた安倍派と民民・立民右派(あるいは立民全体)・維新が「共闘」する場合を想定し、それに警戒せよと言っているようだ。

 しかし、申し訳ないがその想定はリアリティを全く欠く。懸念するとしたら、自民が分裂した時に、宏池会と民民と立民が組むことだ。この場合には安倍派と維新は連携のの埒外になる。そして、新選組は参政党などと一緒に安倍派や維新と連携する可能性がある。

 昨日遅く、ブログ記事の下書きをしながら、自民党の立場に立った場合、どうやったら東京15区で酒井菜摘を倒すことができるだろうかというケーススタディをしていた。私はもちろろん酒井氏を応援する側に立つ人間だが、敵だったらどういうことを考えるだろうかと思いを巡らせたのだった。そうしたら、今回の補選で2位に食い込んだ須藤元気を自公が担げば酒井氏に勝てることに気づいた。その場合に、新選組と参政党が自公と組む可能性が出てくる。もちろんそうなったら櫛渕万里新選組を離れて立民に加わるだろうけれども。須藤氏は特にリベラルでないばかりかむしろ保守派に近いので、自民党との相性は決して悪くないはずだ。

 宏池会と民主系との共闘については、ブログ『日本がアブナイ!』がよく待望論を書いている。民民の玉木雄一郎は同郷(香川県)の大平正芳を敬愛しているし、立民の枝野幸男も「保守本流」と言いたがる。保守本流宏池会の人たちが形成する集団を指すことは常識だ。そして立民支持層には宏池会流の財政再建志向が強すぎる人たちが多い(私はそれには批判的だ)。以上、どう考えても民主系と距離が近いのは宏池会の方だ。

 これに対して維新や新選組や参政党が近いのは安倍派の方だ。だから、三宅芳夫氏が「維新・安倍派排除を最低条件に」と仰るなら、より強く警戒すべきは民民や立民ではなく元号新選組(や参政党)だということになる。

 古谷経衡氏は新選組を「進歩派」と評しているが、山本太郎の自己認識は「保守ど真ん中」だから右翼の側面もある。党(組)に左寄りの部分が目立つのは、支持層に新左翼を多く含む左側の人士が多いからに過ぎず、山本自身の志向は2013年の天皇直訴に典型的に見られた通り、極右的な傾向すら含んでいる。政治勢力全体として見ても、新選組民族主義的なあり方は相当に危険である。また外交や安全保障政策では新選組は日本で唯一の親露・反宇の政党だが、これに至っては致命的なまでに危険なありようだ。

 最近、しんぶん赤旗新選組の経済政策を批判する記事を紙面に掲載したが、これは最近の共産党には珍しく良い傾向だと私は評価している。

 なお、私は維新や安倍派を含むあり方は最低最悪だと思うけれども、それと同時に宏池会と民民と立民の連携が生じたとしたら、それも十分すぎるくらい有害だと考えている。

*1:不況時でも国債発行をケチって財政支出を抑えようとする流儀が本来「緊縮派」として批判されるべき対象だと私は理解している。現在の山本一派による「緊縮派」のレッテルは、それとは用法が違っているとしか私には思えない。