kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

『鍋パーティーのブログ』の新着記事「今こそ財政の所得再分配機能と自動安定化装置(ビルトイン・スタビライザー)の修復・強化の議論を」(suterakusoさん)

 共用ブログ『鍋パーティーのブログ』に、suterakusoさん執筆の下記記事を公開しました。

 

nabe-party.hatenablog.com

 

【追記】

 最初リンクを張り間違えて、共用ブログではなくsuterakusoさんご自身の記事をリンクしていたのを、上記リンクに修正しました。

枝野氏のリベラル・左派勢力にとっては当然の意見も、コメント欄を見ると消費税が消費税が消費税がで埋め尽くされてしまうわけです。こんなことでは自民党の新自由主義政策に対抗するまっとうな議論空間をつくれるわけがありません。(北守=藤崎剛人氏のXより)

 吉田晴美が立民代表選に無事出られることになったことは本当に良かった。

 しかし吉田氏だけでは頭数がなかなか揃わず、江田憲司一派の助けを借りた(何しろ江田憲司本人が推薦人に名を連ねている)ことで、候補者としてビジョンを明確に示すことができなくなったのじゃ残念だった。何しろ、旧「みんなの党」系が入り込んでしまう一方で菅直人Gからの支援もある。水と油が混じり合うことはない。

 とはいえ吉田氏の当選は最初からあり得ず、出ることに意義があると言える。推薦人の一人である酒井菜摘が昨年末のやり直し江東区長選に出馬したのと似た意味合いがある。その観点からいえば決して悪くない。

 吉田氏に期待することはただ一つ。「分派禁止条項を伴う民主集中主義」が批判される日本共産党と相当程度相通じると私が批判しているところの、現在の立憲民主党のあり方を民主主義化することに寄与することだ。

 この点で、下記さとうしゅういち(id:lifeunion)さんからいただいたコメントに強く共感する。

 

 生存ユニオン広島 (id:lifeunion)

まあ、吉田さんには党のスターリン主義組織体質の改善への議論リードをぜひともお願いしたい。お宅のスターリン主義の国会議員にこちとら迷惑しているんだよと。

 

 さとうさんがいうところの「スターリン主義の国会議員」は、今回の立民代表選で泉健太の推薦人に名を連ねている。森本真治参院議員(広島選挙区選出)だ。

 4人の候補者の推薦人は下記Xで確認できる。

 

 

 この森本が立憲民主党広島県連を独裁し、広島の立民を自民党よりひどい新自由主義体質にしてしまったというのがさとうさんの認識だ。森本は泉Gの幹部だし、2019年の参院広島選挙区再選挙で当選した宮口治子は直諌の会のメンバーだ。この宮口は、参院選再選挙に出馬するまでは無名の人で、新自由主義系の立民県議の配偶者か何かだったらしい。だから当選後も立民右派の政治家として活動している。選管をやってるとかで今回の代表戦では推薦人にはなれない人らしいが、決選投票に野田佳彦が出てくれば(というか野田は確実に出てくるし、下手したら初回の投票だけで野田が勝つとの見方もあるようだが)、当然野田に投票するであろう人だ。そんな宮口も、もし選管をやってなければ吉田晴美の推薦人に名を連ねたかもしれない。

 吉田晴美自身は、前回の代表選で西村智奈美に投票したリベラル系の人だ。その前の衆院選では、手塚仁雄の奸計によって危うく東京8区の総支部長から下ろされるところだったが、支持者たちの強い支援が手塚の奸計を粉砕した。今回も当選1回で立民代表選出馬を実現させたのだから、政治家個人としてはたいへん有望な人だと思う。そんな吉田氏だから、今回の代表選では党運営の民主化の議論をリードしてもらいたい。現状の立民は、共感するところが多いXアカウントの「ぷろもはん」氏が楽観的にいうような「ボトムアップの政党」とは決していえないと私はみていて、その点ではぷろもはん氏とは意見を異にする。

 その吉田氏は、江田憲司と組んだためか消費税減税を打ち出した。また泉健太も推薦人集めで助けてもらったであろう江田との約束でもあるのか、唐突に食料品の消費税非課税を打ち出して、熱心な泉支持者のnaoko氏に「梯子を外された」と嘆かせた。私の見るところ、泉は政権より世渡りの人だ。今回の推薦人集めの失敗は、前回みごとに大成功した自らの処世術を過信した油断があったのではないかと私は考えている。そんな泉だから、一方で逢坂誠二とともに新立民の綱領を作成したとは言っても、現実の党運営においては「提案型野党」を打ち出したり「『維新八策』に大部分協調できる」などと言って維新代表の無能な馬場伸幸に媚びたりした。政治家は、建前よりも実際に何をやったか、あるいはやろうとしたかで評価しなければならない。その点で泉は失格だし、江田憲司も、たとえ今回の吉田晴美との合意書の文面ではボロを出してなかろうが、過去に維新と合流したことなどから全く信用ならない政治家といえる。

 食料品の軽減税率を含む消費税に関する議論については、今日も北守(藤崎剛人)氏のXを引く。

 

 

 吉田晴美には立民の民主化への議論をリードしてもらえば良いとして、いざ代表選に入るや泉健太がいきなりフラフラし始めたのは本当にどうしようもない。

 これに、はてなの政治議論界隈においてリベラル派の論客として一世を風靡した「地下猫」さんが下記の反応をしている。

 

 

 逆進性のある消費税に、それよりもっと逆進性が強い人頭税を裏返しにした一定以上の還付を組み合わせれば逆進性が弱められて、何より税収を拡大できる。その結果、現金給付よりはるかに効果が高い現物給付(医療や介護など)にお金を使うことができる。最悪なのは、維新のように現物給付を「バサーット切る」(by 橋下徹)ことだ。みんなの党も維新と同じ体質の政党で、現に日本維新の会の橋下・松井一派と組んで「維新の党」を結成した。東京15区の住民として書くと、柿沢未途もその一員だった。

 

 

 

 

 上記Xからリンクされた枝野幸男のXは下記。

 

 

 これは自民党総裁選に出馬する河野太郎(過激な新自由主義者の1人)が打ち出した解雇規制緩和を批判したXだが、確かにコメント欄が「消費税が消費税が消費税が」で埋め尽くされている。

 枝野は上記Xに全文を書ききれなかったらしく、下記Xに続きが書かれている。

 

 

 1件目は埋め込みリンクには最初の方しか表示されないので、以下に全文を引用する。

 

いや。「雇用の流動性」で恩恵を受けることができるのは、一部高額所得者の勤労者か、特殊高度な技術技能等をお持ちの方だけです。

 

非正規が拡大し安定的な雇用が崩れたことが格差、貧困の背景です。このことが消費する力=購買力を弱めて消費不況の原因となり、技術、技能、スキルを弱め、子どもの貧困による教育力の低下や止まらない少子化にもつながっています。まさに、日本の競争力を弱めた背景に、不安定雇用の拡大があります。

 

今必要なのは、#人間中心の経済 で、「希望すれば正規雇用で働ける。希望すればできるだけ安定して働ける。」というまっとうな雇用環境を取り戻すこと。労働規制は緩和でなくむしろ必要な部分についての強化。 自民党と私たちとの明確な違いの一つです。

 

あえて申し上げれば、圧倒的な勤労者のためには、相当な規制強化による権利保護をセットにしなければ「雇用の流動化」はマイナスです。 少なくとも雇用を流動化を主張するなら、どのような労働者保護をセットにするのか、それがどういう効果をもたらすのかを示す必要があります。

 

URL: https://x.com/edanoyukio0531/status/1830422961662357830https://x.com/edanoyukio0531/status/1830426698594283734

 

 確かに北守氏が書く通り「リベラル・左派勢力にとっては当然の意見」だと私も思うが、これが自民党総裁選では全く議論に登場しない「消費税が消費税が消費税が」にかき消されてしまう。吉田晴美は江田一派の助けを借りなければ代表選に出馬できなかったので、ここは(党内少数派としていろいろ不満を持っているであろう)江田一派にも抵抗がないであろう、党運営の民主化の議論を活性化させる役割に期待したい。

 ところで、春の衆院東京15区補選が、泉健太信者が集合した立民右派支持層(その代表格が「駅前は朝の七時」)に目をつけるきっかけになったが、今回の立民代表選で新たに目につくようになったのが「ノダシン」のアカウントだ。中でも特に凶悪なのが下記。

 

 

 「野田・オザー連合で政権交代待ったなし!」と謳うこのアカは、それにもかかわらず衆院選政権交代があるとは予想していない。また泉健太にも相当好意的である点が、野田への徹底的な攻撃を強めてきた「駅前は朝の七時」らとは大いに違う。

 それにしてもまあ、ネットに活発に意見発信をする立民支持層には右派が多いんだなあと、春の補選以来ずっと呆れるばかり。

 ところが実際には、旧立憲民主党は唯一「分派が本家に勝った」例なんだよな。なお、この表現は私のオリジナルではなく、「改革市民」を名乗る立民右派支持系アカウント(とはいえ「駅前は朝の七時」などよりはかなり理性的)がXで使っていた表現をここに借用する次第。

 余計なことを書くと、日本共産党にも「分派が本家に勝った唯一の例」がある。それが宮本顕治だ。だからミヤケンには功罪の両面があり、その「功」の面が日本共産党を今まで生き永らえさせてきた。しかし残念ながら伊里一智の「分派狩り」で出世した志位和夫にはミヤケンのような「功」はなかった。だから2021年の衆院選敗北を総括しなかったことをきっかけに、その矛盾が一気に噴出し始めて今に至る。その問題点とは、本記事で述べたように立民にも見られる「権威主義」(スターリン主義)をさらに極限にまで強めた性格のものだ。

 だから両党への支持率は若い年齢層ほど低く、両党とも重大な危機に面していると私は認識している。今回、枝野幸男があえて出馬した最大の理由は、泉現体制への不満以上にそのことがあるのではないだろうか。

 立民代表選の論戦を前に、野田佳彦は「政権交代前夜」などと抜かしていたが、こんな大甘な現状認識は、熱烈に野田を支持しているとみられるこたつぬこ(木下ちがや)から本来出てきてしかるべきではないだろうか。だが発言の主が野田だと、こたつぬこ氏から野田を批判するXは出てこない。ダブルスタンダードもいいところだと思う。

立憲代表選、吉田晴美衆院議員が立候補表明 告示当日に候補者が出そろう異例の展開(TBS)

 吉田晴美は結局江田憲司と組んで、消費税減税を含む合意のもと立候補に漕ぎつけたようだ。

 立候補できたのは良かったが、ゴリゴリのネオリベ勢力である江田一派と組まざるを得なかったのはかなり大きなマイナスの要素になる。

 吉田の推薦人の一人が衆院東京15区の酒井菜摘だが、私など江田憲司と聞くと、かつて当地にのさばっていた柿沢未途を思い出さずにはいられない。両者とも元「みんなの党」の新自由主義者たちだ。

 まあ仕方ないか。とりあえず出馬できただけでも良かったとするほかない。

 

 

 

 私には選挙権がないが、最後に吉田が江田と組んだことによって、仮に選挙権があったら枝野に入れるしかないという結論になった。

党全体のことを考えて転区を受け入れた経験者として、直前の転区が物心両面でどれだけの負担をもたらすのか、また選挙戦や選挙後のケアが十分だったのかを、しっかり検証してほしいと思う。(民民・井戸まさえ氏のXより)

 なんと、あの憎むべき嘘八百の拡散人士にして泉健太信者の「駅前は朝の七時」が井戸まさえ氏(民民、前立民)の下記Xをリポストしていた。

 

 

 これは、野ダメ(野田佳彦)が、同じ選挙区に他の野党の有力候補がいる場合、立民の候補者を取り下げることがあると発言したことを受けて、枝野幸男が発した下記Xに反応したものだ。

 

 

 全文は下記。

 

候補者調整で決まっている候補を降ろすことの是非を、メディアなどから問われています。今日、泉代表も否定的なコメントをしていますが、私も昨夜のテレビ番組で問われ「一度決めて頑張ってきた候補者を、選挙直前になって党本部の都合で降りてもらうというようなことはすべきでない」との趣旨の発言をしました。同じ事情は他の党も同じでしょう。 一騎打ち構造を作れるところは最大限努力すべきですが、それぞれの地区にはそれまでのキャリアを投げうって頑張る仲間がいます。無理をすることは、人間中心の経済を掲げ、「人」を大切にする党の姿勢を疑われます。 前回総選挙では党代表として一部の方に無理をお願いしました。そのことも私にとっての大切な教訓の一つです。

 

URL: https://x.com/edanoyukio0531/status/1831984349077713050

 

 これに対して、枝野が「党代表として一部の方に無理をお願いし」た対象である井戸氏が反応したわけだ。井戸氏は東京4区から私が住む東京15区に落下傘候補としてやってきて立候補した。私も井戸氏に投票したが、井戸氏の選挙事務所(同じ場所を今年4月の補選で酒井菜摘氏も使った。かつて「甲浦漁港 産地直送」を謳っていた居酒屋の跡地だ)前で井戸氏に声がけされたこともある。

 2021年の衆院選に、私は共産党の小堤東氏に投票するつもりだったが、井戸氏の転区に伴って小堤氏が降りた(それが今年の補選でも繰り返された)。その後調べたところ、小堤氏もまた転区の経験者だった(2017年衆院選では東京11区から出馬)。小堤氏が降りたことについて、私は最初、立民と共産の所業に怒り、両党には絶対に投票しないと息巻いていたが、sutesakusoさんに井戸さんは良い候補だと教えてもらって調べたところ、確かに支持できそうな人だったから井戸氏に投票した。しかし2021年衆院選に落選した後、井戸氏は総支部長に再任されず、事実上立民を石もて追われる形となった。私はこの人事の主犯は野田Gの重鎮・手塚仁雄だったが、党代表の泉健太の責任も免れないと現在では考えている。

 井戸氏は

直前の転区が物心両面でどれだけの負担をもたらすのか、また選挙戦や選挙後のケアが十分だったのか(私の場合は少なくとも約束は守って欲しかった→都連)を、しっかり検証してほしい

と書いている。

 ここで赤字ボールドにした「→都連」というのがミソで、井戸氏自身も主犯は手塚だったと考えていることはほぼ間違いない(だから泉信者の「駅前は朝の七時」がこのXをリポストしたのだろう)。井戸氏の著書に書かれていた、2021年衆院選の転区の際に党から井戸氏にかかってきた電話の主も、ほぼ間違いなく手塚だろう。井戸氏の著書に描かれた電話の主の口調は横柄そのものだったが、あれが手塚の本性をよく表していると思った。

 私自身も、転区ならぬ転勤をするしないで組織の権力者に振り回された苦い経験がある。その時の「物心両面でどれだけの負担をもたらすのか、また(その後の)ケアが十分だったのか」についても同様で、私は結局転職することにした。転勤を拒否しようとしたことで組織の権力者に逆恨みされたことが大きく影響したと考えている。

 この種のことは多くの組織で起き得る話だ。特に企業は事実上一種の治外法権みたいになっていて、組織内民主主義などないも等しく、業務命令が絶対の世界だ。現在しばしば問題視される共産党の党内ハラスメントについて、批判される側の共産党の人士がしばしば自党(共産党)を「会社」にたとえることがあるが、それに対して、それでも共産主義者かと怒る人がいる。実は私も同感で、治外法権はまかり通っているに等しい企業内社会のあり方をタテにして党幹部が直接やらかしたり地方の支部で起きているパワハラ案件を放置したりハラスメントをやった側についたりする所業を正当化するようでは全く支持するに値しない政党だと考えるに至っている。それでも地方選(都議選)では地元の人たちのために活動している共産党候補に投票することもあるが、それは都議や都議候補個人を支持しているだけで、共産党は支持していない。

 しかるに、井戸氏のXにこんな反応をする人がいる。

 

 

 こういう人たちが「権威主義国ニッポン」を支えているんだろうなとつくづく思う。

 最後に、野田佳彦のコメントを批判したらしい泉健太にもひとこと言っておく。

 衆院広島選挙区では2区、3区、5区で前回落選した総支部長が退任に追い込まれた。うち2区と3区は市民連合が推したリベラル系候補だった。それに対して立民広島県連を独裁する森本真治参院議員は泉Gの幹部だという(確か新政研究会だかの会計責任者だったと記憶する)。その広島で、東京でさえ井戸氏1人しか(手塚仁雄が)総支部長退任に追い込まなかったのに、3人もの総支部長が退任させられているのはいったいどういうことなのだろうか。

 泉Gの体質も、野田Gの手塚仁雄と全く変わらない(か、またはさらにひどい)のではないかと私は疑っている。

給付付き税額控除は新自由主義色がついた政策ですが、給付付き税額控除(ベーシック・インカムの場合もあり)に一本化するのが新自由主義、給付付き税額控除「も」行うのが再分配的な政策の違いだと考えています。(北守=藤崎剛人氏のXより)

 北守(藤崎剛人)氏のXについて、もう少し紹介しておく。

 

 

 これは弊ブログでも昔さんざんやった話で、負の所得税ベーシック・インカム(給付付き税額控除)とは数学的に同値で、負の所得税の言い出しっぺは確かにミルトン・フリードマンだ。確か維新が国政選挙(衆院選だったと記憶する)の公約にベーシック・インカムを入れたんだったよね。で、維新の場合は現物給付を「バサーット*1」切ってベーシック・インカムに一本化するとして、それを「再分配」と称していた。その一方で、昨年亡くなった宇野弘蔵マルクス経済学者の伊藤誠(1936-2023)もベーシック・インカムを唱えていた。

 なお枝野幸男は今春の衆院東京15区補選での酒井菜摘の応援演説でも「小さな政府」を批判していた。

 

 

 そうなんだよね。本当に「敵味方の区別がグチャグチャになっている」。山本太郎江田憲司を「評価」するなんて、山本は柿沢未途(元みんなの党)の同類だと自ら認めているようなものであり、論外だ。

 「消費税減税真理教」は本当に百害あって一利なし。

*1:橋下徹はなぜかひらがなの「と」すべきところをカタカナの「ト」とタイプしていた。

私は消費税に関しては消費税還付法案を支持しておりまして、リベラル・左派系の政治言論が消費税減税にこだわりすぎていることについては非常に問題があると思っています。(北守=藤崎剛人氏のXより))

 まことん氏のXより。

 

 

 これには賛成。それを主張した河野太郎は大嫌いだし、軽蔑すべき政治家だとさえ思っているが、それとこの件の是非とは全く違う話だ。

 

 

 これもその通りだ。本当の「人気取り」は小泉進次郎の言説のようなものを指す。

 まことん氏は、返す刀で元号新選組(の支持層)も一刀両断にしている。

 

 

 まことん氏に批判されたXを再掲する。

 

 

 「おまけに年末調整まで個人でやれ!なんて言い出してますが本当にそれで良いのでしょうか?」という言葉が何の疑問もなく出てくる人たち。「支持層に内在するパターナリズム」と言われても仕方ないだろうと私も思う。

 そういえば何年か前に山本太郎の「著書」(どうせ聞き書きだろうが)であるちくま文庫を読んだことがあるが、特異な芸能の才能を持つこの人が、普通の人とは違うという芸能人としてのプライドというか、一種の階級意識をあけすけに語っていると思わせる箇所があった。だから自らが独裁権力を振るい、支持者たちがついてくるのは当たり前だと思っているのだろう。そして支持者(信者を少なからず含む)は山本に唯唯諾諾と従う。

 山本が呪文のように唱える「消費税減税」もその一つで、それが野党支持者や反自公政権無党派層のみならず、多くの野党の政治家たちにまで強い影響力を持つに至っている。その範囲は広く、純粋なネオリベラリスト、「日本版MMT」論者ないし信奉者、直接税だけで良いとする論者などさまざまな勢力がカバーできるので、権力者(政治家)である山本にとっては使い勝手の良い言葉になっている。しかしその弊害も大きい。

 前の記事に続いて、宮武嶺さんのブログ記事を取り上げる。下記記事で宮武さんは、立民代表選に立候補した枝野幸男野田佳彦の政策を比較している。

 

blog.goo.ne.jp

 

 その中から、消費税に関係する部分を以下に引用する。

 

さて、野田氏が9月5日に発表した政策集を一読して失笑したのは、『2. 「分厚い中間層の復活」、豊かな暮らしに向けた政策総動員』の減税の部分。

 

『消費税の半額相当を所得税の額から控除し、控除しきれない分は給付することにより消費税の逆進性を緩和する「消費税還付法案」に基づき、「給付付き税額控除」の本格的な導⼊を図る。』

となっていて、先に枝野氏が発表した「枝野vision2024」

「消費税5%分の戻し減税策として、無収入層から中間層までの幅広い国民を対象に、給付と控除を組み合わせた還付制度(給付付き税額控除)を創設する。」

の丸パクリだったことです(笑)。

 

 私も枝野氏のこの公約は、単純に消費税を5%下げるよりも消費税の逆進性を正す効果が高いので感心したのですが、元首相の野田氏も感心したらしくそのままいただくことにしたようですwww

 

 まあ、リベラル左派の方々など有権者に対するインパクトとしては「消費税5%削減」と銘打った方がわかりやすいでしょうから、ここは二人とも叩かれるんでしょうね。

 

URL: https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/ed9cfb233cd79b610012ce0af3cdad3a

 

 引用者(古寺)が赤字ボールドにした引用部分の末尾は結構皮肉が強烈に効いていて、「消費税減税」を錦の御旗にする「リベラル左派」たちは、枝野(や野田)をネオリベと決めつけて叩いているのだろうけれども、実際には枝野(や野田)の政策の方が再分配の効果が高いと言っている。

 枝野が掲げる消費税還付について解説しているのが下記北守(藤崎剛人)氏のXだ。

 

 

 埋め込みリンクだと最初の方しか表示されないので、以下に上記Xの全文を引用する。

 

私は消費税に関しては消費税還付法案を支持しておりまして、リベラル・左派系の政治言論が消費税減税にこだわりすぎていることについては非常に問題があると思っています。

 

 立憲の代表選に関しても、消費税減税と言わないヤツはとにかくだめだといった短絡的な議論が多い。普段まともなことを言っている左派系言論人でも、こと消費税になると原理主義になるのは理解できないです。

 

 なるほど経団連等の圧力により、90年代に消費税の増税所得税法人税増税が事実上のセットで行われたのは大きな問題だったとは思いますが、所得再分配の手法としては消費税減税より効果的な分配方法はいくらでもあります。

 

 たとえば消費税を5%減税するとおよそ10兆円分が返ってくるわけですが、その恩恵は当然たくさん消費した人、つまりお金持ちほどあるわけです。100万消費する人は5万円分の恩恵、1000万消費する人は50万円の恩恵です。それなら同じ財源で単純に一人当たり10万円給付したほうが再分配効果があるということになります。税と分配はトータルで考えないと意味がありません。

 

URL: https://x.com/hokusyu1982/status/1831766996800987216

 

 上記の説明が非常にわかりやすい。

 消費税には確かに逆進性があるが、世の中にはそれよりももっと逆進性の強い税がある。それが人頭税(等額課税)であって、等率課税である消費税よりもさらに低所得層に厳しい。ならば、その逆の等額給付をやれば、所得に応じて等率で給付するよりも再分配効果が高いのは当たり前という話だ。

 しかしそれらを全部すっ飛ばして、「消費税減税に賛成か反対か」で踏み絵を踏ませ、反対ならネオリベ、というより最近時々聞く(実は少し前からあるかなり古びた言い回しだと思うが)「ザイム真理教」信者だと決めつけるのが、一部の括弧付き「リベラル・左派」のあり方だということだ。

 立民代表選に関していうと、「消費税減税」を言ったのは、告示日当日なのにともにまだ出馬表明していない江田憲司と吉田晴美だ。江田は元みんなの党ネオリベだから「小さな政府」志向と消費税減税の相性は抜群に良い(だから日本維新の会も消費税減税を主張している)ので当然だ。だが吉田晴美の場合は経済政策にはかなり不安が大きいと言わざるを得ない。それでもなんとか立候補にこぎつけてもらいたいが。

 前記宮武嶺さんのブログでは野田佳彦が批判されているが、立民中間派系の泉健太支持者であるnaoko氏のXを見ると、野田よりさらにあやふやなのが、氏自身が支持する泉らしい。

 

 

 

 

 

 支持者が認める通り、泉はあるいは野田以上にネオリベに弱い可能性がある。上記のやり取りで名前が出てきた馬淵澄夫山本太郎の「消費税減税仲間」だ。山本は本心では「小さな政府」論者ではなく、単に政局の都合によって「消費税減税」を叫んでいるものと思われるが、馬淵は極悪な極右とネオリベの二刀流である可能性が高い。

 まだ経験が浅い吉田については「今後の課題」とみてとりあえず評価から外すと、ネオリベからの距離では「枝野>>野田 ≒ 泉>江田」ということになりそうだ。野田もダメだがやはり泉もダメで、江田は論外といったところか。もっとも過去に枝野が掲げた時限的消費減税の公約を決めたのは江田だったらしいから、枝野自身の過去の立民の統治に問題があったとの批判はしないわけにはいかない。

 また、その江田が立民では唯一良いと言ったらしい山本太郎は、自身がミイラ取りがミイラになりかかっているのではないかと懸念される。

労働市場を流動化したら、力の弱い中小零細企業が大企業から人材を取れる、だなんて話があるわけがないので、これは進次郎氏は相当頭が悪いか性格が悪いです。(宮武嶺氏)

 自民党総裁選、どうやら本命にのし上がったらしい小泉進次郎が、親父の小泉純一郎ばりの過激な新自由主義政策をぶち上げるという最悪の展開になりつつある。それに大々的に警鐘を鳴らしているのが宮武嶺さんのブログ記事だ。

 

blog.goo.ne.jp

 

 以下引用する。

 

 小泉進次郎環境相が2024年9月6日に東京都内で記者会見を開き、自民党総裁選への立候補を正式に表明しました。

 

 この会見で小泉氏は

 

「政治に期待しない声が多い中、自民党が真に変わるには改革を唱えるリーダーではなく、改革を圧倒的に加速できるリーダーを選ぶことだ」

 

と訴えて、できるだけ早期に衆院を解散して、国民の信を問う考えを示したのですが、その改革の中で一番時間を割いて説明したのが、企業が労働者の解雇を自由にできるようにする解雇規制の緩和だったのにはのけぞりました。

 

 しかも、河野ブロック太郎デジタル担当大臣よりもさらにその内容が酷い弱肉強食ぶりで、さすが竹中平蔵総務大臣の下で副大臣を務めた菅義偉元首相が河野氏を捨てて選んだだけのことはあります。

 

(中略)

 

 さて、驚いたのは冒頭でも申し上げたように、小泉進次郎氏が「政治改革」「聖域なき規制改革」「人生の選択肢の拡大」憲法改正の4つの政策について、2番目と3番目のそれぞれで解雇規制の緩和・自由化について述べた部分です。

 

『また、人生の選択肢が増え、自分らしい生き方ができるようになる。そんな未来を作るため、聖域なき規制改革の断行と、1人1人の人生の選択肢の拡大の2つをスピードを上げて取り組む。まず、聖域なき規制改革だ。今、日本全国で深刻な人手不足が起きている。その一つの原因は、大企業にヒト・モノ・カネが集中し、スタートアップや中小・小規模事業者に流れなくなっていること。大企業に眠る豊富な資金・人材・技術を解放し、スタートアップや中小企業に流れ、スタートアップが既存企業と公平に競争できる環境を整備しなければならない。』

 

もう一つは労働市場改革だ。テクノロジーの進化の加速で、これだけ変化が激しい時代に、新卒で入社した企業で定年まで働く昭和の終身雇用モデルは通用しなくなっている。働く人の賃金が上がらない根本的な理由も、優秀な人材が成長分野に流れていかないことにある。出番さえあれば、能力や個性を発揮できる人をベンチで座らせておく、試合に使わない、今の日本に1人の人材もおろそかにする余裕はない。社会全体で新しい分野のスタートアップや中小企業に人材が流れていく仕組みを作ることこそ、究極の成長戦略。』

 

などと人生の選択肢の拡大というおためごかしで、大企業から中小企業への人材の移動というあり得ない話を餌にして、解雇自由の話に持っていきます。

 

 労働市場を流動化したら、力の弱い中小零細企業が大企業から人材を取れる、だなんて話があるわけがないので、これは進次郎氏は相当頭が悪いか性格が悪いです。

 

URL: https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/e122e1dbd2d0d0931caaecec84d16e9b

 

 引用文中最後の部分を赤字ボールドの大文字にしたのは引用者(私)によるが、日本社会について何も知らない世襲権力者ならではのお花畑人間である小泉進次郎の特徴を実に的確に表現していると感心した。

 しかし、そのお花畑の花からは猛毒が撒き散らされる。こんな人が総理大臣になったら日本はとんでもないことになるとしか私には思えないのだが、現在の自民党の長老の中で私がもっとも悪質だと考えている菅義偉が強く推しているのがこの小泉何世だか知らない*1人間だ。

 野党の政局に関しては私と全く意見が合わないこたつぬこ(木下ちがや)氏も、小泉に対する認識だけは正しい。

 

 

 あ、吉田晴美についてもまともなことを言ってる。

 

 

 それにしても杉尾秀哉には心底失望した。せっかく菅直人が率先垂範したのに何を泉の推薦人なんかになってるんだよ。馬淵澄夫が「予定通り」出馬を断念したんだから、泉の推薦人になれる人なんか他に何人もいたはずじゃないか。泉からしたら、馬淵の出馬断念で馬淵一派から助けを借りる形になったら「やっぱり泉は右に偏っている」という印象を強烈に与えてしまう。それではリベラル層から完全に見放されて勝ち目がなくなるから、泉は是が非でもリベラル系から推薦人が欲しかったということだ。だからぎりぎりまで粘ったんだよ。推薦人が誰でも良ければもっとずっと早くに出馬表明できたはずだが、泉としては誰でも良いというわけにはいかなかった。それが最後の最後まで出馬表明が遅れた最大の理由だ。そういう動機を持っていたから執拗に西村智奈美にアプローチしてたんだよ。泉は(野田佳彦枝野幸男も同じだが)権力志向がきわめて強い人間だからそのくらいのことは考える。泉が出馬できたことに感激して目をウルウルさせていたらしいなどと報じられたので、泉に感情移入した人も少なくなかったようだが*2、私はどうしても権力者が本当に考えるのはどういうことかということを想像する。権力に対しては徹底的に懐疑的な人間なのだ。

 立民は、党内民主主義を育てる観点からいえば吉田晴美を絶対に立候補させなければならないし、小泉進次郎の極悪かつ強烈な新自由主義に本気で対抗するなら代表には枝野幸男を選ばなければならない。枝野に関しては不十分な点も少なくないが*3、立民代表選の候補者の中で一番小泉に対抗できるのは枝野幸男だ。最悪はいまや野田佳彦だが*4、一昨年末に「『維新八策』に大部分協調できる」と抜かした泉健太も限りなく野田に近い。

 しかし、自民党総裁選と立民代表選は、どうやらともに最悪の結末へと向かいつつあるようだ。

*1:(2世ではない。小泉家は自民党の政治家によくある代々の世襲だ。)

*2:藤原規眞氏など典型例だろう。氏はどうやら本気で泉を応援するらしいが、そういえば氏には極右陰謀論者の原口一博と意気投合するような不可解なところがあるのだった。

*3:なにしろ枝野の出発点はバリバリの右派ネオリベ政党だった日本新党だし、枝野の反ネオリベへの転向も私の見るところ2006〜07年であって、決して早くはない。

*4:野田はとにかく小沢一郎の力を借りたのが最悪だった。