kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

立川の都議会議員補欠選挙の結果は国政与野党に対する警告だ(「シゲ●もしかしたらその意味において」氏)

 そういえば社民党員のまことん氏はXを再開しただろうかと思って久々にネット検索をかけてみたら、予想通りだった。

 

 

 上記Xには概ね共感できるのだけれど、「税金など安いに越したことが無いですが」という部分だけは、言っては悪いが社民党員としてはちょっと軽率ではないかと思った。もっと「再分配こそ正義」という価値観を大々的にアピールされた方が良いのではないか。再分配の原資である税金を多く払うことが、この社会でたまたま幸運にも億万長者になれた富裕層の責務だという思想だ。これは別に珍しくもなんともない考え方であって、未読だがアメリカのリベラリストだったジョン・ロールズ(1921-2002)の『正義論』(1971)などはこの思想に基づいて書かれたのではないだろうか。

 たとえば、その年の春に死んだ総理大臣のまだ26歳の娘が、同じ年の6月に行われた衆院選にいきなり立候補して、つまり亡父の資産をほぼそっくり受け継いで政治家になれるような状態が「正義」といえるだろうか。そんなことが許されてきたからその人物はその後「ドリル」騒動を引き起こしたのではないだろうか*1。こういう考え方が普通になる必要があると私は力説する。だから私は岸田文雄の「世襲貴族政権」など絶対に支持しない。そのあたりが某都会保守氏のブログとは決定的に異なる。氏は「反『超保守*2』」のためと称して「保守本流」とやら(実は世襲貴族が多数を占める宏池会の人間による僭称に過ぎない)に結構好意的な記事を書き続けている。

 現在はその宏池会に代表される「旧保守」と維新や菅義偉らに代表される「新保守」つまり新自由主義を全面に押し出した政治勢力、それにかつての「革新」に当たるが現在は保守主義の政治思想を名前に冠して「立憲野党」と呼ばれることがある3つの勢力の「三派鼎立」に向かいつつあるのではないだろうか。最近マストドンで接する機会の多いシゲ氏のcodoc(コードク)の下記記事を読んでそう思った。codocは一部を有料化して会員限定の記事にできる仕組みだが、シゲ氏は全文を無料公開し、気に入った人は「サポート」で寄付したり記事に500円を払ったりできるようになっている。

 

codoc.jp

 

 以下引用する。

 

立川の都議会議員補欠選挙の結果は国政与野党に対する警告だ

2023-10-16 12:42

 

『都議補選(立川)、都民ファ・伊藤氏と立憲・鈴木氏初当選 自民落選』

 

【当選】伊藤大輔氏(都民ファーストの会公認) 17499票

【当選】鈴木烈氏(立憲民主党公認)      12141票

【落選】木原宏氏(自民党公認)        12050票

https://www.asahi.com/articles/ASRBH7FQJRBDOXIE02R.html

 

10月15日に投開票された東京都議会立川市選挙区補欠選挙は、上に引用したとおり、3候補が出て獲得票数が都民ファースト→立憲→自民の順となった。定数2なので上位2候補は当選、3位の候補は落選である。

6月に行われた大田区都議会議員補欠選挙とは対照的に今回は都民ファーストが好調だった。地域性、候補者、維新との競合の有無、都知事の応援の力の入れ具合などが作用しただろうか。

立憲候補の鈴木氏は、「立憲の野田佳彦元首相や蓮舫参院議員=同=らとともに支持を訴えたほか、共産党やれいわ新選組、東京・生活者ネットーワークなどからも支援を受ける「野党共闘」で挑んだ」という。それにしてもネットで双方の支持者同士が険悪でも政党組織や地域レベルの協力は可能なのだ。

自民党は支持基盤が弱り、公明党(とその支持基盤)の熱も覚めているのではないか。「実際に自民に投票する層」の減少が見て取れる。

 

さて2位の立憲候補の票数を見ると、「都内では共産党を含めた連携は必要で、れいわも排除すべきではない」ともいえるし、「共産やれいわとの連携を嫌って投票しなかった人がいたからこの程度の票数にとどまったのであり、立憲単独ならもっと伸びていた」とも解釈できる。しかし今の段階でそのうちどちらか一方の解釈のみに決め打ちするのは危険だ。

それよりは、「というかそれ以前に国政与野党双方が敬遠されている」というところに注目し、警告として受け止める必要がある。

なにしろ、2位の立憲候補は1位の都民ファースト候補とは5000票の差がある一方で、3位の自民候補との差は100票ぐらいしかない。立憲野党各党の全体が応援した候補と、自公が応援した候補に対する有権者の評価は、票数の上ではほぼ同じで、都民ファーストに大きく及ばないということなのだ。

 

今回の立川の都議会議員補欠選挙は実際の票数を見ると「僅差で野党共闘の勝利!やっぱり野党共闘しかない!」と手放しで喜ぶわけにもいかない。「都議会を自公都ファ維新に占有されてたまるか」という勢力が結集してもこの程度の票数か、とも読めるからだ。喜べているのは今回の選挙が定数2の選挙だったからだ。

国政与野党双方への信頼度の低さが見て取れる。都民ファーストの候補者が獲得した約1万7千票も、立川市内の全有権者数を考えれば決して多いとは言えないが、立憲候補と自民候補がお互い約1万2千票なのはそれよりもさらに少ない。大阪府内の選挙でみられるような、「今さら国政与野党に投票したくない」という空気感に近付いているようにすら感じる。

 

https://www.asahi.com/articles/ASRBH7FQJRBDOXIE02R.html

 

かつて石原都知事橋下徹大阪府知事(2011年末からは大阪市長)が組んでいたことを考えると、昨今の状況を見て現在の都民ファーストの会と維新の会がさらなる連携に乗り出すのは決してあり得ないことではない。そうした方が、次の衆議院選挙で獲得できる議席は2017年の衆議院選挙で希望の党が獲得した議席を上回る可能性がある。また「ぐだくだ」「腰砕け」「尻すぼみ」と呼ばれる展開に陥りかねない新たな国政新党を立ち上げるようなことをしないで済むなら、その方が「エコ」である。

 

留意点は、都府県選挙や市区選挙で勝ち抜くために必要な基盤と、衆議院選挙区で勝ち抜くために必要な基盤は同じではないということで、立憲民主党を含む野党が今回の都議補選の警告を読み取って戦略を整理することで、自民+公明、維新+都ファ、立憲野党各党の三者鼎立の構図になった場合でも、立憲野党側が1位で競り勝てるようにしなければいけない。

 

いずれにしても、「とにかく野党共闘政権交代だ!」というのがあまり前面に出てくるようだと伸び悩むだろう。野党もまた(あるいはまだ)国民の信頼を得ていないことを認識しておくべきだ。それに舞台のからくりを見せてもっと好きになってもらおうというのはファンサービスであって、政治はファンでない人にも幅広く訴えかけないとならない。ファンサービスに徹すればファンの数に応じた票数が出る。それ以上でもそれ以下でもない。

 

URL: https://codoc.jp/sites/Du1eAMOTYA/entries/sdedc7aLeA

 

 引用文中、赤字及び青字のボールドは引用者による。上記の引用文はたいへん示唆に富んだ論考だと思う。

 ところで、この立川での都議補選は、先ほど私が批判したばかりの都会保守氏のブログ記事にも取り上げられている。こういう地方選挙の結果にも目配りを書いていないところがこのブログの大きな長所の一つだ。

 

mewrun7.exblog.jp

 

 ただ、都民ファーストは一時ほどの勢いはなくなったものの、まだ都内では根強い人気がある。(・・)

 

 東京では立川市の都議補選が行われ、定員2名のところに3名が立候補。昨日、投開票が行われたのだが、都民ファースト後任の伊藤大輔氏(48)と立民党公認の鈴木烈氏(49)が勝利。自民党公認の木原宏氏(47)が落選した。(++)

 

投票率が27・39%しかなかった。これが驚き、その2.5かな。^^;> 

 

 たかが都議補選と思うかも知れないが、応援態勢は国会議員の選挙並みだった。

 

『9月の市長選にも立候補した伊藤氏は、告示後に繰り返し応援に入った都民ファ特別顧問の小池百合子知事とともに支援を呼びかけた。

 鈴木氏は、立憲の野田佳彦元首相や蓮舫参院議員=同=らとともに支持を訴えたほか、共産党やれいわ新選組、東京・生活者ネットーワークなどからも支援を受ける「野党共闘」で挑んだ。

 木原氏は、立川市議を5期務めた経験から都と市のつなぎ役を務めるとアピール。高市早苗経済安保相や生稲晃子・自民参院議員=東京選挙区=らの応援を受けた。(朝日新聞23年10月15日)』

 

 ちなみに9月4日の行われた立川市長選でも、自民の推薦を受けた前都議の清水孝治氏(57)が、立民党の有志が支援した前都議の酒井大史氏(55)に敗れているので、

自民党は2連敗したことになる。(・o・)odoroki dewa nai

 

 また、立民党候補は共産党やれいわ新選組、東京・生活者ネットーワークなどからも支援を受ける「野党共闘」で挑んだとのこと。このような共闘の形を、衆参院選でも作って欲しいと願う。(**)

 

URL: https://mewrun7.exblog.jp/30469253/

 

 上記引用文の冒頭に「ただ、」とあるのは、その直前の部分で東京都知事小池百合子が定例記者会見で「反日集団」なる極右用語を平然と口にしたことを批判しているからだ。とはいえこのブログも2017年の「希望の党」騒動直前まで小池を応援する旗を大々的に振っていたことを私は忘れていないが。

 上記記事で注目したのは、この都議補選の投票率が27.39%しかなかったことだ。とはいえ、それが逆に現在の立川市における「旧保守:新保守:立憲野党」の地力の比を表していると見ることができる。計算すると、旧保守29%、新保守42%、立憲野党29%となる。もっと大雑把に書けば、およそ2:3:2。これが現在の立川での新旧保守と立憲野党の比率になる。立憲野党支持層は概ねリベラルと表現される層を表すから、リベラルにはほぼ3割のシェアがあるといえる。なお立民支持層に限定すれば、旧保守は非常に少ないことは間違いなく、おそらく潜在的には旧保守:新保守:リベラルの比率は1:4:5くらいではないかと私は推測している。ただし問題は、おそらく半数程度はいるであろうリベラルのうち一定数が泉健太を支持していることだ。現在はそれに加えて、昨年の参院選結果がはっきり示している通り、リベラル層の一定数が寝てしまっているために、ネットなどで見る限り立民支持層内では泉支持者が非常に目立っている。

 そうしたリベラル層の潜在力が選挙結果に反映されたのが2017年の衆院選だったと私は考えている。あの選挙で立憲民主党(旧)が希望の党議席を上回ったことは、旧民主・民進支持層のおそらく半数をわずかに超えるくらい(ざっと55%くらいだろうか)がリベラルといえる考え方の持ち主だったように私には思われるのである。

 ただ、有権者全体から見ればリベラル層は3割くらいしかいない。そんな社会で2012年から「自民一強」時代が続いてきたが、2021年に新保守と相性の悪い宏池会政権が誕生したことによって旧保守と新保守の間に亀裂が入り始めた。新保守は名前こそ「新」がつくけれども実は保守層の中でもタカ派が多く、彼らには復古主義的極右である清和会と結びつく傾向が以前から強かった。思い出していただきたいのは、安倍晋三が政権に返り咲く直前の2012年8月に、橋下徹松井一郎自民党から安倍を引き抜こうとして失敗したことだ。そして安倍・菅政権時代(2012〜21年)には維新は安倍や菅義偉に大いに優遇された。逆にそのことが維新の国政選挙での低迷につながったともいえる。

 2021年の衆院選以降、維新が国政選挙で急伸したのも、一つにはコロナ禍下で維新が大阪府知事の吉村洋文の「やってる感」をアピールする狡猾な戦術が奏功し(やがっ)た側面もあるけれども、最大の要因は清和会から宏池会への政権交代だろう。

 一方「立憲野党」側には、それまで旧保守と新保守とが事実上一体となっていて恐ろしいまでに難攻不落だった「安倍菅」に代わって宏池会政権になったからには、本当は対旧保守と対新保守という「二正面作戦」に切り替えなければならないところだった。

 しかし、それを妨害したい新旧の両保守は、立憲野党に「立憲共産党」批判を繰り出してきた。その流れに乗って生まれたのが現在の立憲民主党泉健太執行部だったと私は位置づけている。

 このように執行部が誕生した経緯から、泉立民は旧保守と新保守のどちらを選ぶかという不毛の選択をする羽目になった。泉が最初に目指したのが「提案型野党」路線による旧保守、つまり岸田政権へのすり寄りだったが、立民は参院選に惨敗し、党内から「『提案型野党』路線が敗因」との総括を突きつけられた。それで泉が次に選んだのが新保守たる維新へのすり寄りであり、泉は「『維新八策』に大部分協調できる」とまで言って馬場伸幸に激しくすり寄った。その結果いともあっさりと維新に足蹴にされたのだった(呆)。

 以上が2021年秋から現在に至るまでの野党の政局に関する私の見立てである。そんな流れだったのに、昨年秋から今年初めにかけて泉は潜在的には明らかに旧保守以上に手強い新保守である維新にすり寄り、それを「軍師」氏や立民支持者たちが後押しした。とんでもない一大錯誤だったと総括するほかない。

 立川市の都議補選は、たまたま定数が「2」だったから、2位争いで自公を蹴落として議席を得た「立憲野党」が結果を出した形になった。朝日の記事から推測して候補者は野田佳彦系の人だったようだが、この野田系には手塚仁雄がいることを思えば、それなりに新選組に親和的で、そのつながりからか共産党系との関係も悪くないのかもしれない。野田佳彦自身はバリバリの財政均衡論者である経済右派の人だが、野田系の人脈は良くも悪くも*3一風変わっており、蓮舫など党内でも突出した泉健太批判を行なっている*4。しかしそういう野田系の特徴もあるかもしれないが、ことに新選組支持者など、支持者が党首を完全に超えているといえる。将来的にはあんな党首は早くお払い箱にして、党名からも元号だの「組」だのを消してもらいたい。

 立川は中央線沿線ではあるが基地の街でもあるので、同じ中央沿線でも武蔵野市のようなリベラルの牙城ではなく結構保守的だといえるだろう。しかしそれでもリベラルが立民だろうが新選組だろうが極端に弱い東京東部(現在の私の居住地域でもある)とは全く違う。旧保守:新保守:リベラルがほぼ2:3:2という立川市の比率は結構典型的な数字なのではないか。

 他の政治勢力を見ると、民民(国民民主党)は旧保守に大接近しているが、これは玉木雄一郎が故大平正芳を強く意識する香川県出身の人間であることと明らかに強く関係している。同じ民民でも京都の前原誠司は維新寄りだが代表選で玉木に惨敗した。政局に関しては民民よりも連合の方が問題で、連合など旧保守である宏池会政権側に行っててしまえば良いなどという態度は立憲野党支持者であれば決してとるべきではない。ただ、極端な反共思想の信者にして、口先では矢田稚子と袂を分かったとは言いながら内心では今なお矢田の同志であることは絶対に間違いない芳野友子に対する攻撃の手を緩めてはならない。連合に関しては芳野一派に的を絞ってピンポイント的に集中攻撃すべきだ。

 シゲ氏は他の記事やマストドンなどで、現在のような岸田(自公)政権(=旧保守)の不人気では維新が自民とくっつくデメリットが大きいために、立憲野党の少数政権ができる可能性があるとも指摘している。確かに立川市の都議補選でも三派鼎立に占める新保守の得票率は42%、およそ7分の3に過ぎないから、そんなに遠くない未来に立憲野党による少数政権が成立する可能性は十分ある。

 その時に必要なのは少数政権が打ち出すビジョンだ。既に自民にも維新にもすり寄ったあげくに失敗した泉には、党内での権力工作の才能については十分過ぎるほど認めるけれども、自民にも維新にもすり寄ったこと自体が泉自身のビジョンの欠如を何よりも雄弁に物語っている。ビジョンがなければ固定支持層を除く新たな人々の心を掴むことなどできないことはあまりにも当然だ。

 今日投開票が行われる衆参補選で野党が2敗する可能性はほとんどなく、1勝1敗か場合によっては野党の2勝もあり得る情勢のようだが、それでも衆院選を見据えれば立民は代表を交代させるべきだろう。既に2年やって提案型野党路線と維新八策絶賛という2度の大失敗をやらかした泉は、プロ野球にたとえれば2年連続最下位になった中日ドラゴンズ立浪和義監督のようなものだろう。中日球団はさっそくコーチの首を切りまくったのに「覚えめでたい」立浪は残すという信じがたい人事をやらかした(呆)。一方、パ・リーグソフトバンクは、昨年のレギュラーシーズン最終戦で2点リードした場面に泉という姓の実績を欠く中継ぎ投手を救援に送ったところ、その泉が打たれて逆転負けしたためにリーグ優勝を逃したが、その泉は今季はほとんど試合に出てこなかったらしい。泉は藤本監督に潰されたようなものかもしれない。しかしその藤本監督は今年も懲りずに千葉ロッテとのクライマックスシリーズ第3戦で延長10回に3点を挙げたのに、その裏にロッテ戦の防御率だけが極端に悪い投手をわざわざリリーフに送ったところ、レギュラーシーズンでは1本しか本塁打を打っていなかった打者に同点3ランを浴び、後続の投手も打たれてサヨナラ負けして敗退した。さすがにこの敗戦の直後に藤本監督が退任を表明した点だけは中日と比較すればまだ救いがあるとはいえ、ダメな監督は同じような失敗を繰り返す典型例だと思う。

 今日もいつもと同じような記事の締めになってしまうが、立民はやはりビジョンを持ったリベラル系の政治家に党首を代えるべきだ。なぜリベラル系に限定するかといえば、保守系は旧保守を自公に、新保守を維新などにそれぞれしっかり押さえられているからだ。

 この場合、「枝野ビジョン2023」の枝野幸男よりも次代を担う新しいリーダーへの交代を望みたい。本質的に保守政治家である枝野幸男にはやはり「過渡期のリーダー」との印象が拭えないからだ。枝野が復帰すべき局面があるとすれば、それは立民が存亡の危機に立たされた場合に限られると思う。

*1:しかも当該人物はその総括もろくすっぽしていないばかりか、記者会見では「ドリル騒動に言及してくれるな」と質問者に圧力をかけているらしい。本当にとんでもない奴だ。

*2:実は保守でもなんでもない極右を指す。

*3:2021年衆院選東京8区騒動で山本太郎と「握った」手塚仁雄はもちろん悪い例だ。

*4:ただし私は蓮舫を全く買っていない。