kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

第26回参院選(2022年)立憲民主党――支持されるとはどういうことか(三春充希氏)

 三春充希氏の立民の得票分析記事がついに公開された。

 

note.com

 

 以下、無料部分の見出しと記事の一部からの引用を行う。

 

  • 一人負けの構造
  • 維新に票を奪われたわけではない
  • 消えた選挙ブースト
  • 無党派層の投票先が激減した
  • 「提案路線」のあやまち

 

 最初の2節は言わずもがなだろう。

 3番目の「消えた選挙ブースト」の節で下記の指摘に注目した。

 

(前略)結党後はじめての選挙であった第48回衆院選(2017年)で、立憲には最大の選挙ブーストが起きています(立憲が結党される直前の民進党の支持率の2倍まで伸びています)。それよりは小さくなりますが、第25回参院選(2019年)と第49回衆院選(2021年)の選挙ブーストの存在も明瞭です。しかし第26回参院選(2022年)ではそれがほとんどなく、普段の変動に埋没する程度しか見られなくなっています。

 

 つまり第26回参院選(2022年)で、立憲は選挙期間中の支持の拡大がほとんどできなかったのです。

 

 直近の参院選で選挙ブーストが起こらなくなった理由を解明し、問題を解決できないならば、従来のような選挙戦はもはやできないということになるわけです。次期衆院選を論じる際に選挙ブーストに期待する意見もみられますが、それは楽観的な態度だといえるでしょう。

 

出典:https://note.com/miraisyakai/n/n56d360ff9853

 

 無料部分最後の「『提案路線』のあやまち」での指摘というか泉健太に対する論難はとりわけ痛烈だ。以下引用する。

 

「立民の泉代表『提案路線』に自信 独自調査では支持率健闘」というのは大したものです。当時すでに関東と関西の形勢が非常に悪かったため、箸にも棒にもかからない調査だと言って即座に否定しましたが、提案型野党を掲げて、ウイングの拡大と言って、いったい何百万票を喪失したのでしょうか。このようなことに振り回された候補者たちが可哀想でなりません。

 

出典:https://note.com/miraisyakai/n/n56d360ff9853

 

 記事中から下記時事通信の記事がリンクされている。

 

www.jiji.com

 

 「武士の情け」で時事通信記事の引用は省略するが、読めば読むほど泉の愚かさに呆れるほかない記事だ。泉という人には変わった特徴があり、それは党内の権力工作に関してはとびきりの高い能力を持つのに、外部に対する発信力を著しく欠くばかりか(この点については蓮舫が指摘する通りだ)、事実を直視するという政治家にとって必要不可欠な能力を欠いている。おそらく昨年立民が独自に行った世論調査とやらは、調査する側が泉に忖度して質問文を作るなどの作為を行ったために誤った結論を出してしまったものに相違ない。泉は立民にとってまさしく「トロイの木馬」だ。

 三春氏は下記のように泉を指弾する。

 

 なぜ支持されたのかということを政党の代表が理解していないというのは、有権者にとっても政党にとっても悲劇以外の何物でもありません。支持者の鼓動を感じられないなら政党の運営などできるわけがない。言うまでもないことです。

 

出典:https://note.com/miraisyakai/n/n56d360ff9853

 

 以下は昨年の参院選での立民惨敗についての三春氏の意見。

 

 大局的に見て、今回の選挙結果には何も不思議なところはないのです。提案路線がいかに埋没するものであるのかは選挙結果が如実に示すところだといえるでしょう。

 

 そもそも政策論議は「あなた方のやり方ではだめであり、このようでなければならないのだ」というように、ある面では「だめだ」という批判や反対の形を、またある面では「こうでなければならない」という提案の形をとるもので、あえて「提案型」などというのは始めからおかしな話でした。泉氏の掲げる「提案型野党」の提案は、結局は自民に実現してもらうための「お願い」になってしまうのであり、実績を積むのは与党側にほかなりません。

 

 2009年8月から2012年12月まで自民が野党だったとき、自民はそのような迎合的な態度はとりませんでした。当時の自民は審議拒否をし、議会でプラカードを振りかざし、内閣不信任決議案や問責決議案を乱発し、政権奪還に向かっていくのです。与党が絶対安定多数を持っているなかでは、野党はあらゆる手を尽くして民意の残余を体現するのです。今の立憲は野党第一党としてお行儀がよすぎます。不正が行われ、慣例が破られ、法が棄損されているなかで、まるで小突かれてヘラヘラ笑っているいじめられっ子のように見えてきます。それでちょっと批判されるとビクビクする。維新を横目でうかがっている。そのような勢力が、必死になって選挙運動を支え、闘う価値を見出されるでしょうか。それを見出されなかったから、先の参院選でこのように敗北したのではないですか。

 

 また、「ウイングを広げる」と言っても、意図する中道保守層はすでに他の政党が競合し、限られたパイを食い合っているレッドオーシャン(熾烈な競争の行われている領域)です。立憲の結党初期に期待したような人たちを開拓することをなぜ軽んじるのでしょうか。そここそがブルーオーシャンであることがなぜわからないのでしょうか。立憲は近年でほとんど唯一、その層に大きく波及した政党であるのに、目を向けないのはまったく理解に苦しみます。

 

出典:https://note.com/miraisyakai/n/n56d360ff9853

 

 最後の段落は、確か橋本健二氏が無党派層のうち右翼が1割、保守中道が4割、リベラルが5割と分析していたことを思えばもっともな指摘だと思われる。2017年衆院選での旧立民の躍進は、その5割の人たちの心をつかんだからこそ起きた。しかるに泉はその人たちの神経を逆撫でするようなことばかりやってきたとしか思われない。ただ、泉の悪運が強いことには、参院選の最中に銃殺された安倍晋三統一教会との関わりで自民党がダメージを受け、最近は下記まことん氏(社民党員)のツイートにある通り共産党が自壊しつつある。

 

 

 「(続)」以降のツイートはリンクしないので、興味のある方はまことん氏のツイートを直接参照されたい。私としては「ボーナスタイム」をみすみす無駄にした立民の泉体制が延命しつつあることが大いに気に食わないが、結局立民の泉路線に対する審判は次の衆院選を待つしかないのかもしれない。

 三春氏の記事についたはてなブックマークのコメントでは、人気第一位の下記ブコメは良かったが、他のブコメの大半には全く感心しない。

 

【特集】第26回参院選(2022年)立憲民主党――支持されるとはどういうことか|三春充希(はる) ⭐未来社会プロジェクト|note

国民民主みたいなことをやりたいなら国民民主でやりゃいいのにと、立憲に合流してきた一部の議員を見ると思う。そしてそういう人間がやたら党首になりたがる。

2023/02/15 22:24

b.hatena.ne.jp

 

 本当にその通りであって、その道を貫いてきた民民は政党支持率を上げてきている。しかし泉はその道を選ばず、より大きな政党での組織内権力工作によって成り上がる道を選んだ。昨年の立民代表選に泉が勝った時に、民民代表の玉木雄一郎が憮然とした表情をしていたことが思い出される。私はその玉木も大嫌いではあるが、泉と比べれば玉木の方が支持層の意をくんだ党運営をしているだけまだマシだとしか思えないのである。今後も泉立民には苛立たされる機会が多そうだ。

 下記引用文以降は有料記事になる。

 

 また立憲と維新のすみ分け(選挙区調整)が愚行であり、それを行った場合にどのようなことになるのかも指摘します。立憲民主党参院選総括にも要約と検討を行い、再起するための提案を示しました。

 

出典:https://note.com/miraisyakai/n/n56d360ff9853

 

 次の衆院選で泉は維新との選挙区調整なんて本当にやるつもりなのだろうか。そういえば維新にすり寄る泉を評価する人たちの間に「野党第二党と連携しないなんて損だ」という意見をよく見るのだが、維新の政策が良いから連携すべきだとの意見を目にすることは全くない。異常なことだ。

 そんな私には、「立憲と維新のすみ分け(選挙区調整)が愚行であ」ることが示されているという有料部分も興味津々だ。いよいよ年貢を納めて三春氏のnoteの有料読者になろうかと思う今日この頃。なお新聞では月額料金が安い毎日新聞についに登録した。朝日もいずれ登録しようと考えている。両紙ともスタンダードコースであれば、2社を合計してもかつて朝日を宅配で購読していた頃よりも少し安く上がる。但し朝日は毎日のほぼ倍額だ。