kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

共産党が朝日新聞による「民主集中制批判」に対抗するために担ぎ出した小林節氏の反批判を醍醐聰氏がさらに批判した

 共産党が自党の主張を補強するイデオローグとして、なんとあの保守系憲法学者である小林節を担ぎ出した。醍醐聰氏のツイートにて知った。醍醐氏は財政学者で、長年の共産党支持系文化人として知られてきたが*1、2021年衆院選のあとくらいから共産党批判を強めるようになった。まずそのことを示すツイートから。珍しくも平河エリ氏のツイートにコメントしている。

 

 

 私の見るところ、一昨年の衆院選のあとの記者会見で敗因について聞かれた志位氏が総括を拒否した頃から、それまで共産党を支持してきたと思われる文化人たちが共産党から離反する傾向が顕著になったように思う。それは一口で言って志位氏が衆院選のあとに権威主義を剥き出しにし始めたためだろうと私は考えている。権威主義と社会思想軸上で自由主義(リベラル、リベラリズム)の反対の極に当たる。つまり簡潔にいえば「リベラルが共産党から離反する」現象が2021年末ごろから明確になった。共産党がカリスマ独裁者の山本太郎が取り仕切る元号政党である×××新選組と同じような政党になりつつ(戻りつつ)あるともいえる。実は左派の権威主義的な支持層のうち40代以下の層は共産党ではなく新選組を選ぶ傾向が強いという調査結果が秦正樹の『陰謀論 - 民主主義を揺るがすメカニズム』(講談社現代新書)に紹介されているのだが、共産党権威主義化することによって新選組からこの層を奪い返せるかどうかはわからない、というより無理だろうと私は考えている。

 その共産党朝日新聞(や毎日新聞)の「民主集中制批判」に対抗するために引っ張り出してきたのが、保守系、つまり権威主義的傾向の強い*2憲法学者である小林節だった。

 以下、再び醍醐氏のツイートより。

 

 

 

 

 上記3番目のツイートに私は強く共感した。ここで醍醐氏は「共産党は言論・報道の自由に関する理解を欠いている」と指摘している。私はここ数年では新聞の購読さえしていなかった人間だが、少年時代からジャーナリズムに強い関心を持っていたので、特に強くこのツイートに共感する次第。

 

 

 このツイートも興味深い。醍醐氏は「たしかに、結社から任意に脱退する自由は構成員にとって死活的な自由である。しかし、だからと言って、党の規約や規律を守れないなら出ていけばよい、と片づけるのは憲法学者として粗雑であり、飛躍である。」と書いている。

 私はこの醍醐氏の意見に強く共感する。

 ポリティカルコンパスの縦軸が定義する「権威主義」とは政治権力に対する姿勢であろう。この定義のままなら共産党も某新選組も「リベラル左派」の象限に入るだろうが、これを「組織内統治における権威主義」対「組織内統治における立憲主義」に置き換えると共産党新選組も「保守左派」になる。また立民支持層のうち党執行部に従いたがる傾向の強い人たちも「保守左派」または「保守右派」(立民支持層のうち新自由主義な傾向の強い人たちはこちらになる)だろう。これに対し、党内でも党執行部を疑う気風を持ち、党内での議論をいとわない人は「リベラル左派」または「リベラル右派」になるだろう。新選組の独裁者・山本太郎ですらかつて「山本太郎を疑え」と言ったことがあった。本当はその方が望ましいことを山本太郎自身も自覚しているといえる。ただ山本の場合は自らの理性と感情(欲望)とが整合しないだけの話だ。

 無党派層の場合は政党の執行部なんか当然ながらどうでも良いので「リベラル」が「保守」を圧倒するのは当然だ。ネトウヨは「保守右派」に属するが、それは無党派層の1割程度であり、「穏健保守」つまり「リベラル右派」が4割、「リベラル左派」が5割というのが無党派層の傾向だろう。これは橋本健二氏の調査結果をもとに私が推測する比率だ。組織内統治に対する態度を縦軸にした時の「保守左派」などほとんど存在しないだろうと私は推測する。なぜならそれに対して「保守」の立場に立つなら無党派層になどとどまらずに特定政党の支持者になるであろうからだ。

 泉健太執行部の立民がその5割の「ブルーオーシャン」を離反させているというのが三春充希氏のnoteでの結論だろうと私は思うが、この結論はネットでは評判があまり良くないようだ。しかしそれはネットで政治論議をしようとする人たちの多くが何らかの党派性を帯びているからではなかろうか。

 私は三春氏の分析に強い説得力を感じた。

*1:弊ブログはしばしば氏のツイートをリンクした記事を公開してきた。

*2:もっとも本来の保守主義は権威をも疑う懐疑主義を一つの柱としていて、小林節も依拠している立憲主義はそのような良質な保守思想の産物だと思うのだが、ここではポリティカル・コンパス的な権威主義を保守の特質とした。