kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「次期衆院選が間近に迫る、維新から袖にされて進退窮まった立憲泉代表はどうする」(『広原盛明のつれづれ日記』)

 政局が風雲急を告げている。

 傍目には唐突に見える、立民代表・泉健太の「150議席とれなければ辞任」発言は、立民党内で「泉では衆院選を戦えない」との声が高まってきたために、岡田克也ら長老を押さえる党内権力工作の巧みさによって「内弁慶」を誇ってきた泉がいよいよ持ちこたえられなくなりつつある表れだと私はみた。

 弊ブログにいただいた下記コメントは私の実感に極めて近い。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 shinonome0000

この泉発言の前後に立憲内でかなり大きな動きがあったようで、結局維新との「共闘」は終焉したらしい。どんなに維新に媚びてすり寄っても足蹴にされあしらわれ、それでもなお維新に抱きつきを続ける構図の異様さに気づく議員が増えたのなら結構だが、ここまで混乱させた執行部は本来なら総退陣すべきと思う。

しかし執行部より更に不快だったのは(こちらのブログでも再三指摘されていたように)、維新との「共闘」が始まって以来、かつて罵倒していた維新への批判をぴったり止めるばかりか、維新との共闘がいかに画期的で巧みな政治的ウルトラCなのか、みたいな解説を延々やっていた立憲「執行部」支持者(とでも言うほかないだろう)たちだ。彼らの主張を要約するとこんな感じ(昨年11月頃)。

「立維共闘の主導権は立憲が握っている。立憲がすり寄っているように見えるのは戦略的にやっているのだ。維新への抱きつき作戦で困惑しているのは維新側。共闘を続けると維新は東京と大阪の分断が激しくなっていずれ分裂する。その時、多少はマシな東京維新は立憲に受け入れてやっても良い。文句を言っている奴は支持率を見ろ。立憲は上がり、維新は下がっているではないか。大成功だ。こんな巧みな戦略を主導する安住さんはやはり天才だ。共産党野党共闘?知らん。いずれにせよ立維の接近で一番困っているのは自民党である。どんどん進めるべきだ」

この種のことを大真面目に言っていたのだ。こちらのブログや、ブログで紹介されていた三春氏その他のように、立維共闘への批判も根強かったのは確かだが、ツイッター左派ではそういう意見を時代遅れみたいにみなす雰囲気があったように思う。

しかし、上記の立憲執行部支持者達のほとんどは、2022年7月以前は維新を厳しく批判していたし、2021年10月以前は熱心な野党共闘支持者だったのだ。いったいどうしてこうも激しく主張を転回させられるのかと思う。しかも「揃って」というところが気持ち悪い。

維新との共闘が破綻した今、彼らはどんなことを言ってるのか、見るとまた不快になりそうなので余り見ていないが、多分なんとなく誤魔化してやり過ごしているのだろう。「維新との共闘は続けないとダメだ」みたいなことは言ってないんじゃないかな。何しろ「執行部支持者」だから。(長くなってすみません)。

 

 「こちらのブログや、ブログで紹介されていた三春氏その他のように、立維共闘への批判も根強かったのは確かだが、ツイッター左派ではそういう意見を時代遅れみたいにみなす雰囲気があった」というのは本当に私の実感するところであり、一昨年の衆院選後以来ずっと冷飯を食わされ続けたような気分でいる。特に腹が立つのは「限界系」なるレッテル貼り用語だ。

 しかし彼らは自らの言説が「エコーチェンバー」現象を起こしていることに気づかなかった。この「エコーチェンバー」は某「軍師」氏が愛用する言葉だが、彼自身がエコーチェンバー現象を自覚していなかったようにしか私にはみえない。

 2004年の京都市長選に共産党推薦で立候補し、現在は同党の志位執行部に対する批判を強めている広原盛昭氏が、泉の地盤である京都の共産党系左派からの観点で泉立民を痛烈に批判する下記ブログ記事を公開した。

 

hiroharablog.hatenablog.com

 

 以下、立民について書かれた部分を引用する。

 

 立憲民主党の岡田幹事長は5月13日、千葉県柏市の街頭演説で「6月解散、7月投票の可能性は十分にある」と述べたという。岸田首相が6月21日の通常国会会期末までに衆院を解散して「勝負に出る」可能性が大きい――、というのがその理由だ。また、昨年から国会共闘を組んでいた日本維新の会に関しては、一転して「基本政策が自民党保守派に近く、立憲との隔たりが大きい」と強調し、「保守2党による政治か、リベラルから中道までを束ねる野党をつくり、与党と対峙するのか。それを選択するのが次の衆院選だ」と訴えた(共同通信5月13日)。

 

 一方、立憲泉代表はそれに先立つ5月10日、党両院議員懇談会で衆参補選全敗の責任を追及され、「次期衆院選議席目標を示し、達成できなければ代表辞任の覚悟をみせるべきだ」との声に対して、次期衆院選で150議席に達しなければ辞任する意向を表明したという(朝日新聞5月13日)。このことは、立憲が維新との国会共闘の延長線上に描いていた次期衆院選での選挙協力がすべてパーになったことを意味する。この瞬間から自公与党に対抗するため、立憲が「野党第1党」の座を維持しながら、維新を「目下のパートナー」として利用しようとする「第2保守党化路線」は崩壊した。統一地方選で躍進した維新が、「目下のパートナー」から野党第1党争いを巡る「ライバル」になったからである。

 

立憲が泉健太氏を代表に担いで「市民と野党共闘」から離脱した背景には、泉氏の政治理念である「非自民・非共産=第2保守党化路線」を実現しようとする企てがあったとされる。泉氏は長年、前原国民民主党代表代行と政治信条も政治行動も共にしてきた仲であり、前原氏が小池都知事や神津連合会長らと結託して民進党を「希望の党=第2保守党」に変質させようとしたときも一貫して前原氏と行動を共にしている。その泉氏があろうことか立憲民主党に鞍替えしたときは、国民民主党の「トロイの木馬」として送り込まれた――、というのが京都でのもっぱらの評判だった。

 

 それ以降、泉代表はまさにそれにふさわしい働きをしてきたと言える。「提案路線」と称して与党批判を極力回避し、野党としての役割を放棄して与党に終始追随する有様だ。その結果、国会運営もすべて与党ペースで進められるようになり、国会審議における野党の影が見えなくなった。各種の世論調査で立憲の政党支持率が維新を下回るようになったのは、第2保守党化した立憲の存在意義が薄れているためであり、もはや「野党第1党」とは見なされなくなった政治状況を反映している。維新を利用しようとして、逆に利用された立憲の姿は実に見苦しい。維新に袖にされた泉代表は、苦し紛れに「150議席」という異様に高い目標を掲げたが、党外はもちろん党内の誰も実現できるとは思っていない。

 

 それでいて岡田幹事長は、これまでの維新との協調を(まるでなかったように)棚に上げ、次期衆院選は「保守2党による政治か、リベラルから中道までを束ねる野党をつくり、与党と対峙するのか。それを選択するのが次の衆院選だ」と平然と言うのだから開いた口が塞がらない。昨日までは維新を「野党」の一員として位置づけながら、今日からは「保守2党」の一員と言うのでは、ご都合主義もここに極まれりというべきだろう。これでは、立憲もまた「保守2党」の同類ということになり、有権者から「同じ穴の狢(むじな)」と見られるだけだ。

 

 同時に、「市民と野党共闘」から離脱した立憲を、再び「リベラルから中道までを束ねる野党つくり」の中核に据えようという岡田氏の手前勝手な魂胆も見過ごせない。「第2保守党化路線」を実現するため「市民と野党共闘」の戦列から勝手に離れていった立憲が、今度が維新に「袖にされた」からといって復帰するというのではまったく筋が通らない。こんな手前勝手な理屈で仮に「野党共闘」が出来たとしても、それは「野合そのもの」だとして誰にも相手されず、見向きもされないだろう。

 

 立憲が取るべき態度はただ一つ、泉代表や岡田幹事長をはじめ党執行部が総辞任し、この間の行動についての責任を明確にすることだ。「150議席」といったありもしない(出来もしない)架空の目標を掲げて執行部にとどまるときは、次期衆院選で大敗を喫すること疑いなしだ。「言うことがコロコロ変わる」執行部の下で選挙戦をたたかうことなどおよそ考えられないし、戦ったとしても有権者の信を得ることはできない。多くの有権者が大量に棄権するという低投票率のなかで、立憲は空前の敗北をすること間違いなしだ。今からでも遅くはない。立憲は臨時執行部を作ってメンバーを一新し、総選挙が終わってから態勢を立て直せばいいのである。

 

(『広原盛明のつれづれ日記』2023年5月14日)

 

URL: https://hiroharablog.hatenablog.com/entry/20230514/1684052688

 

 泉健太が「国民民主党トロイの木馬」とのことだが、泉は立民代表就任当初には玉木雄一郎ばりの自民党への抱きつき路線をとって参院選に惨敗して「対案路線が敗因」との総括を党に突きつけられると、それを「承認」したにもかかわらず「全員野球」だのなんだのと屁理屈を捏ねて代表の座に居座り、今度は前原誠司ばりの維新との共闘路線に転じた。しかしそれも統一地方選で維新に共闘を足蹴にされた挙句に立民公認ないし立民系無所属の候補を立てた衆参4補選に全敗し、泉が党内権力工作で固めたはずの国会議員の一部も離反して今回の党内政局につながったとみるほかない。

 なお、弊ブログも過去に泉を「トロイの木馬」呼ばわりした記事をいくつか公開している。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

とぶとかげズ氏は下記ツイートで泉を「トロイの木馬」と評したが、言い得て妙だと思った。

 

 

URL: https://kojitaken.hatenablog.com/entry/2023/01/09/081903

 

kojitaken.hatenablog.com

 

www.jiji.com

 

 「武士の情け」で時事通信記事の引用は省略するが、読めば読むほど泉の愚かさに呆れるほかない記事だ。泉という人には変わった特徴があり、それは党内の権力工作に関してはとびきりの高い能力を持つのに、外部に対する発信力を著しく欠くばかりか(この点については蓮舫が指摘する通りだ)、事実を直視するという政治家にとって必要不可欠な能力を欠いている。おそらく昨年立民が独自に行った世論調査とやらは、調査する側が泉に忖度して質問文を作るなどの作為を行ったために誤った結論を出してしまったものに相違ない。泉は立民にとってまさしく「トロイの木馬」だ。

 

URL: https://kojitaken.hatenablog.com/entry/2023/02/16/072836

 

 前期広原盛明氏のブログ記事は、2月初めの松竹伸幸氏の除名以来自壊を続ける共産党の現状も合わせて批判し、下記のように結ばれている。

 

 一方、野党共闘の一員だった共産などの各党はどうするのだろうか。共産は赤旗(5月13日)で、5月21、22両日に開催予定だった第8回中央委員会総会を6月中旬以降に延期すると発表した。理由は「国会日程との関係で総会開催が困難になった」というものだが、国家日程は予め決まっているのだから、こんなことは理由にならない。おそらく統一地方選の結果を巡っての総活や今後の方針について意見がまとまらず、総会開催ができない状況に陥っているのであろう。加えて、次期衆院選が間近に迫っていることもあって、選挙態勢の立て直しに忙殺されているという事情もあるのではないか。

 

 いずれにしても、岸田首相がウクライナ訪問を皮切りに一連の外交日程をこなして支持率を回復させつつある現在、G7広島サミットを成功裏に終えれば、解散・総選挙をためらう理由は何もない。実質的な保守勢力の共闘体制が「自公維国」という形で形成され、その一方、野党共闘が崩壊状態にあるいまこそ岸田首相にとっては〝千載一遇〟のチャンスだと言っていい。「嵐の前の静けさ」はとっくに去り、「嵐の予兆」は刻々と激しさを増している。

 

(『広原盛明のつれづれ日記』2023年5月14日)

 

URL: https://hiroharablog.hatenablog.com/entry/20230514/1684052688

 

 「次期衆院選が間近に迫っていることもあって、選挙態勢の立て直しに忙殺されている」のは立民も同じだろう。それは、1月に弊ブログが泉を「トロイの木馬」呼ばわりした記事からリンクを張った、同党の衆院大阪選挙区及び岐阜選挙区の総支部長が全然決まっていないことを指摘した下記「立憲ナビ」のツイートから容易に推測できる。

 

 

 

 今確認してみたら、衆議院議員97人を除く立民の総支部長はまだ54人しかいなかった。足し算したら151人にしかならない。小選挙区の総数は295で、立民は200人以上の候補者を立てると言っているのにこのありさまだ。

 

 大阪は相変わらず3区と16区以外誰もいないし、岐阜は今井某が自民党県議に転じたために誰もいなくなった。私が住む東京15区も決まっていない。年初にnaoko氏がツイートで泉健太に懇願した井戸まさえ氏の支部長再任はまだ実現していないのだ。

 大阪に総支部長がほとんどいないのは維新との選挙協力で選挙区のほぼ全部を維新に譲るためだったことは想像に難くない。昨年の辻元清美参院転出もその構想の一環だったのかもしれない。しかし現実には立民と維新との共闘は完全に終わりつつある。こんな状況であり、立民の総選挙の態勢など全然進んでいない。何より、これは共産も同じだろうけれども、こんなに早く衆院選への流れができあがってしまうとは両党の執行部は想像もしていなかったに違いない。しかしそれは両党の自滅によって作られた流れだった。本当は両党とももっと早く変わらなければならなかったが、それができなかった。支持者たちも、少なくともTwitter民を見る限り、両党支持層とも組織防衛のことばかり考えているようにしか私には思われない。最初に引用したshinonome0000さんのコメントが指摘する通り「執行部支持者」ばかりなのだ。だからたとえば共産党の地方の組織でパワハラ問題が起きても彼らは声を上げない。こんなありさまでは無党派層の心をつかめるはずもなかろう。

 このように、立民と共産がともに自滅している状態で、かつ今後の数年間は時期が遅くなればなるほど政治への不信が強まって内閣支持率自民党支持率も再び低下に転じる可能性が非常に高く、そうなれば今後はなかなか上昇することはほとんど望めない、というのが現在の日本社会の状態だと私はみている。

 広原盛明氏が書く通り、現在は岸田文雄自民党にとって千載一遇のチャンスなのである。岸田文雄が早期の解散総選挙をやらないほうが考えられないくらいだ。