kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「名前を奪われる」ということ

67件の「はてなブックマーク」をいただいた、731部隊元隊員の証言の記事だが、読売新聞に載っていた記事のうち、終わりの方が「Yomiuri Online」から削除されているのは、どうにも納得できない。
731部隊元隊員が証言 「子持ちの慰安婦を生体解剖したこともあった」(増補版) - kojitakenの日記

証言者が国に口止めされていたという部分もそうだが、以下の記述にも注目したい。

『実験の対象は名前ではなく、番号で呼ばれていた』

漫画家・浦沢直樹のファンである私は、この記述を呼んで浦沢の漫画「MONSTER」を思い出した。旧東独で、子供の人格を改造する実験を行っていた、というこの漫画の設定で、孤児院「511キンダーハイム」に収容された子供たちは、「名前を奪われた」のだ。この漫画においては、作中作である絵本「なまえのないかいぶつ」が重要なモチーフになっている。

人間にとって、「名前を奪われる」ことほど屈辱的なことはないだろう。それは、アイデンティティを否定されることだ。日本が朝鮮半島で行った「創氏改名」も、その一つだ。
しかし、呆れたことに「自由主義史観」の信奉者は、「創氏改名とは日本式の名前を持ちたいという要望に応えるためのものでした」などと、ぬけぬけと書いている。
http://www.jiyuu-shikan.org/faq/chousen/soushi.html

「実験の対象を名前ではなく、番号で呼ぶ」というのは、「創氏改名」以上にひどい。それは、誰もが持っている個性を完全に否定するものだからだ。「人間を人間として見ない」姿勢をとらない限り、こんなことはできない。

ところで残念だったのは、都知事選で浅野史郎氏を支援した「Save the 下北沢」に名を連ねている浦沢氏には、もっとはっきりと、石原慎太郎に対して、「ノー」の意思表示をしてほしかったということだ。