kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

読売新聞の異常な社説

5月29日付の読売新聞社説は異常だ。安倍晋三首相の責任を全く問わず、3人の自殺者を出した「緑資源機構」の談合疑惑にも触れず、しまいには民主党議員への朝鮮総連系団体の献金問題に話をすり替えている。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070528ig90.htm

以下引用。

松岡農相自殺 悲惨な死が促す政治の信頼回復(5月29日付・読売社説)

 戦後、例のない現職閣僚の自殺である。

 松岡農相が、都内の衆院議員宿舎の自室で自殺を図り、死亡した。理由は不明だが、何とも痛ましい、悲惨な出来事だ。

 世界貿易機関WTO)や自由貿易協定(FTA)の農業交渉の推進に当たって、国内の農業改革など農業政策が重要な課題となっている。

 安倍首相が、農水省出身の松岡氏を農相に起用したのは、農業問題に精通する力量を買ってのことだ。自由化を進める際、松岡農相なら国内の抵抗を抑えられるという判断もあったという。

 先の豪州との経済連携協定(EPA)交渉開始の合意も、農相の力があったと評価している。

 グローバリゼーションの中で、日本の農業はどうあるべきか。これからが正念場という局面での死だった。

 松岡農相は、政治とカネをめぐって、今国会で厳しい追及を受けていた。

 光熱費などが無料の国会議員会館内に自らの資金管理団体の事務所を置き、多額の光熱水費や事務所費を計上していた。野党の追及には、一貫して「法律上、適切に処理している」と繰り返し、具体的な説明をすることはなかった。

 最近は、官製談合事件で東京地検強制捜査を受けた農水省所管の緑資源機構発注事業の受注業者などから、献金を受けていた事実も明らかになっていた。

 参院選を間近に控え、自民党内からさえ、国会終了後に閣僚を辞任すべきだとする声が出ていた。

 軽々な推測は避けねばならないが、こうした一連の問題が、精神的な重圧となって追い詰められたのだろうか。

 考えるべきは、同じ悲劇が二度と起きないよう政治は何をすべきかだろう。

 松岡農相の事務所費問題を契機に、政治資金規正法改正が焦点となっている。経常経費支出の公開基準は5万円以上か、1万円超か、資金管理団体に限るか、すべての政治団体とするか。与党案と民主党案の内容は異なる。

 だが、政治とカネをめぐる問題は、何よりも、党派を超えて政治が身を正し、有権者の信頼を確保するという視点から考えるべきである。参院選を念頭に置いた政争の具などにしてはなるまい。

 今国会は、事務所費ばかりが問題になっているが、民主党角田義一参院副議長が北朝鮮と密接な関係のある団体から献金を受けていた事実は、はるかに重大だ。こうした問題の究明が、きちんとなされていないのは解せない。

 松岡農相の死をどう受け止めるか。政治が取り組むべき課題は多い。

(2007年5月29日1時58分 読売新聞)

読売よりはるかにマトモな産経新聞の社説

5月29日の産経新聞社説は、読売新聞の同日付社説よりはるかにマトモだ。

http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/shucho/070529/shc070529001.htm

以下引用。

【主張】松岡農水相自殺 政治とカネに蓋をするな

 松岡利勝農水相の自殺は痛ましい出来事である。詳しい動機などはまだ分からないが、政治とカネの問題を厳しく追及されているさなか、十分な説明を果たさないまま、自ら命を絶つ結果となったのは残念である。

 松岡氏を閣僚に起用し、疑惑を追及されても擁護してきた安倍晋三首相の責任も小さくない。参院選を控え政権にとって大きなダメージだ。

 資金管理団体の光熱水費をめぐる不透明な処理について、松岡氏が「なんとか還元水」の費用だという不自然な答弁を繰り返していた時期から、首相は「法令にのっとって処理している」と問題視してこなかった。

 5月23日の衆院予算委員会での集中審議では、民主党岡田克也副代表から繰り返し松岡氏の説明責任を問われたが、首相は「説明を果たした」という立場を崩さなかった。

 しかし、農水省所管の緑資源機構による談合事件に、松岡氏の有力支援者がかかわっていた疑惑などが浮上するに至り、参院選への悪影響などを懸念して、自民党内にも松岡氏の閣僚辞任を求める声が上がりだした。

 昨年末、事務所費の不適切処理問題が表面化した佐田玄一郎前行革担当相については、首相は辞任を認めた。

 一方、今年に入って女性を「子供を産む機械」に例えた柳沢伯夫厚労相と松岡氏には、職責を続行させた。

 閣僚を更迭した場合のメリットとデメリットを計算し、批判を受けることも承知の上で、あえて政治的判断をしたのだろう。結果的には政権運営上の失策といわれても仕方ない。

 政権のダメージを回復するのは簡単ではなかろうが、政府・与党が政治とカネに蓋(ふた)をするのは許されない。

 事務所費問題を契機に、与党は5万円以上の経費の領収書添付を義務付ける、政治資金規正法改正を実現することで合意している。

 これで政治資金の透明化が一気に進むとは言い難いが、現段階では最低限の改善措置として、改正案の早期成立を図ることが不可欠である。

 国会終盤を迎えて急浮上した年金記録の紛失問題もある。年金請求権の時効を撤廃する特別立法などにより、不利益を被る受給者の救済に政府は全力を挙げなくてはならない。

(産経新聞 2007/05/29 05:02)