ついに安倍晋三内閣が「エネルギー基本計画」を閣議決定し、民主党政権が掲げた「原発ゼロ」政策を転換した。安倍晋三は原発の再稼働のみならず、原発の新増設への道も開いたが、それに対する「脱原発」側の反応はさっぱり鈍い。昨日もある「リベラル」系ブログを見ていたら、ちょっと前に 原発輸出を可能にするトルコやアラブ首長国連邦(UAE)との原子力協定に民主党が賛成したことに「disappontedした」と書いていたはずだと思うのに、そんなことはさっぱり忘れたかのように、「超保守に対抗する海江田代表を応援しよう」ってな調子の記事が載っていた。玄海原発の再稼働を菅直人に阻止されて国会で悔し涙を流した海江田万里も、「原発ゼロ」を足蹴にした今回の安倍内閣の閣議決定には愁眉を開いたことであろう。
御用マスメディアもひどいもので、数日前に日経が載せたバカ記事*1を、STAP細胞よりすごい!? 三菱重工が「世紀の大発見」か(笑) - kojitakenの日記(2014年4月8日)で揶揄したが、三菱重工の「錬金術」に関する「特許」とやらについてちょっと調べてみた。
三菱重工は、錬金術に関する十数件の特許出願を行っているが、調べがついた限り最初の特許出願は2000年だった。これは、最初拒絶査定を受けたものの、三菱重工がこれを不服として審判を起こし、結局数件が特許として成立した。さらに、同社の2009年1月の出願が昨年(2013年)特許査定を受けていた(特許第5336860号)。日経が記事中で言及した「特許」とは、おそらくこれのことだろう。これは、三菱重工自身が2000年に出願した技術を改良したもので、実施例を見ると、セシウム(原子番号55)からプラセオジム(原子番号60)への核種変換が確認されたと書かれている。
三菱重工がこんな「現代の錬金術」の研究に費用をかけ、特許出願が拒絶査定を受けると不服審判まで起こすとは酔狂としか言いようがない。もっとも、途中特許出願が中断している期間が長く、特許出願数もごくわずかだから、三菱重工が社を挙げて取り組んでいるプロジェクトでも何でもなく、単なる「技術的宝くじ狙い」の研究ではないかと思われる。そんなものをさも大発明であるかのように報じる日経は、程度の低い「御用ジャーナリズム」というほかない。