一昨日(11/22)早朝のあと2日間ブログの管理から離れていたので、折田楓という兵庫県西宮市に広告会社(といっても正社員は4人らしい)を持つ女性と兵庫県知事・斎藤元彦の買収による公職選挙法違反疑惑の話題がどのくらい広がってるかはよくわからないが、XなどのSNSでは既にお祭り騒ぎ、マスメディアも地元の関西テレビが取り上げ、共同通信が全国に配信したくらいの動きにはなっているようだ。
今回の疑惑の焦点は簡単で、斎藤が選挙区内にある折田のメルチュとかいう広告会社*1に報酬を支払っていれば一発アウトという構造だ。これは基本的に2023年4月の東京都江東区長選と同じ構図だが買収の首謀者と候補者の力関係は対照的で、江東前区長の木村弥生は事件前には江東区民と京都3区の有権者くらいしか知らなかっただろうが柿沢未途はみんなの党その他の国会議員としてある程度の知名度があり、区長選でも柿沢が木村を引っ張り込んで出馬させたようなものだった。一方、兵庫県知事選では折田は零細業者に過ぎず、柿沢未途はおろか木村弥生とも比較にならない全くの無名の人だったのに対し、斎藤は「おねだり」の件などでワイドショーで騒がれ、知らない人などほとんどいない有名人(但し高かったのは悪名)だった。斎藤がこの疑惑から免れるためには報酬の支払いを否認して折田とその会社を切り捨てるしかない。ところが斎藤陣営から「報酬は支払われた」と言った人がいたらしい。
以下関西テレビの報道より。
以下引用する。
【速報】斎藤知事のSNS選挙「広告会社に金銭支払い」と陣営「法に抵触する事実はない」と斎藤知事代理人
11/22(金) 19:04配信
■「公職選挙法に抵触するようなことはしていないと認識」と斎藤知事
兵庫県の斎藤知事は22日午後、代理人を通して、SNSの選挙運動に関して、「法に抵触する事実はない」とコメントを発表しました。
【兵庫県・斎藤元彦知事】「基本的には主体的には私、それから斎藤元彦後援会でSNSをどうするか考えていました」
「公職選挙法に抵触するようなことはしていないと認識していますので後ほど、代理人通じてコメントを出させて頂く」
■「監修者として、運用戦略立案やアカウントの立ち上げ」広告会社代表がコラム公開
再選を果たした兵庫県の斎藤知事が22日釈明に追われたのは、インターネットでの選挙運動についてです。
20日、兵庫県知事選挙で、斎藤知事の公式SNSの運営に携わったという広告会社の代表が、ネット上にコラムを公開。
■「広告会社に金銭の支払いはある」斎藤陣営の1人
そこには、Xやインスタグラムなどを「監修者として、運用戦略立案やアカウントの立ち上げ、ファクトチェック体制の強化などを責任を持って行った」と記されています。
22日午前、斎藤陣営の1人に、関西テレビが取材すると、「広告会社に金銭の支払いはある」と話しました。
■「報酬の支払いは買収となる恐れが高い」総務省HP
ただ、総務省のHPでは「業者に、選挙運動用ウェブサイトに掲載する文案を主体的に企画作成させる場合、報酬を支払うことは買収となるか」というQ&Aで、「一般論としては、選挙運動の主体であると解されることから、報酬の支払いは買収となる恐れが高いものと考えられる」と回答しています。
■「SNS戦略の企画立案などについて依頼をしたというのは事実ではありません」代理人弁護士
斎藤知事の代理人弁護士は「SNS戦略の企画立案などについて依頼をしたというのは事実ではありません。あくまでポスター制作等法で認められたものであり相当な対価をお支払いしております。公職選挙法に抵触する事実はございません」とコメントしました。
(関西テレビより)
URL: https://news.yahoo.co.jp/articles/8b1cc39e8658412bb27bb1449eed76c4a63820bf
上記の報道を見れば、折田と斎藤は東京都江東区(衆議院東京15区)の柿沢未途と木村弥生と同じで一発アウトと考えるのが普通だ。
権力が斎藤を守ってくれるさ、とか、仮に買収で失職してももう一回選挙をやればまた斎藤が当選するさ、などと斜に構えたような意見も散見されるが、いずれも合理的な考えではない。仮に斎藤が買収で起訴され、有罪が確定すると公民権が停止されるので斎藤は失職する。江東区では早々と木村前区長が白旗を掲げて辞任、裁判では罪状を認めて現在公民権停止中だ。また柿沢も衆院議員を辞職して有罪が確定し、木村同様公民権停止中だ。斎藤に公民権停止の可能性が出てくれば、普通に考えれば再選挙が行われても今度こそ勝ち目がほとんどないので立候補できない。
また「権力が斎藤を守ってくれる」かどうかも大いに疑わしい。斎藤は自民にも維新にも一度は見捨てられた人間だからだ。今回の兵庫県知事選での斎藤再選を支えたのは、前にも見た通り芦屋をピークとして東は西宮から西は神戸市中央区に広がる富裕層であって、「富裕層が主導した反乱」だったと私は見ている*2。その意味で、芦屋に近い西宮のお嬢さんである折田楓はそれを象徴する人だ。その動きと立花孝志の陰謀論流布とが結合した、世にも醜悪な選挙だった。
普通に考えれば、年内には無理だろうが来年前半にも「やり直し兵庫県知事選」が行われるのではないか。江東区ではやり直し区長選まで8か月かかったが、当初は昨年4月の区長選の保守分裂の対立構図など、区民である私も「めんどくさいことやってるなあ」としか思えない選挙だった。木村区長(当時)の辞意表明を知った時でさえ、あんたが辞めたら山崎孝明のドラ息子の山﨑一輝が区長になってしまうじゃないか、迷惑だなあと思ったものだ(幸いそうはならなかったが)。それに対し、今回の兵庫県知事選は大いに注目された。斎藤が再選されたからといって斎藤のパワハラ疑惑まで払拭されたわけでもなんでもない。そんな時期に、(私もほとんど知らないが)公職選挙法について全くの無知だったに違いないお嬢さん育ちの折田楓が壮絶な自爆をやらかした。これらの経緯から、今後の事態の進展は昨年の江東区よりもずっと早くなるのではないかと推測する次第。
兵庫県民も県外の世論も、今回の知事選の結果がミステイク以外の何物でもなかったことを一日も早く共通認識とすべきだ。そして斎藤も余計な証拠隠滅などやらかさずに、木村弥生を見習って潔く疑惑を認めるべきだ。上記関テレのニュースに接して、斎藤が潔白だと思う人など誰もいないと思うからだ。
*1:西宮の会社というから西宮のどのあたりだろうか、まさか夙川沿いじゃなかろうなと思ったらその通りで、夙川の西にあって少し西に行けば苦楽園という立地。西宮といっても芦屋寄りの富裕層の多い地域のようだ。折田の経歴も少し調べたが、お嬢さん育ちそのものの人との印象を受けた。そんな折田が、少年時代には六甲学院中学校の受験に失敗して愛媛県の愛光中学・高校という灘やラ・サールとともに「西の御三家」と称されるという名門進学校に進んで、愛光の学園祭で自らが落ちた六甲学院恒例のふんどし姿で踊ったという上昇志向の強い斎藤を熱心に応援したもののようだ。
*2:私が連想したのは、1978年頃にアメリカで起きた「納税者の反乱」だった。その意味では、先月の衆院選における国民民主党(民民)の躍進とも通底している。