kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

やはり安倍晋三は昨年11月から「イスラム国」の身代金要求を知っていた

週刊ポスト2月6日号の記事 安倍首相中東訪問 外務省は時期悪いと指摘も首相の反応は逆│NEWSポストセブン は、Yahoo!ニュース版のはてなブックマークを見ると、「週刊ポストだから話半分だけど、安倍晋三ならありそうな話」という反応が多い。「こんな『官邸関係者』が実在したら大問題だ」というのもあったが、「政府(官邸)関係者」のリークはバカにならない。

疑問2つ - Living, Loving, Thinking, Again(2015年1月24日)より

イスラム国邦人人質:後藤さん家族に身代金10億円メール

毎日新聞 2015年01月21日 00時04分(最終更新 01月21日 19時00分)

◇昨年11月に「イスラム国」側から届く

 イスラムスンニ派の過激派組織「イスラム国」とみられるグループが、昨年シリア入りして行方不明になった千葉市の湯川遥菜さん(42)とジャーナリストの後藤健二さん(47)とみられる2人を拘束している映像がインターネット上で公開された問題に絡み、昨年11月に「イスラム国」側から後藤さんの家族に約10億円の身代金を要求するメールが届いていたことが分かった。政府関係者が明らかにした。

http://mainichi.jp/select/news/20150121k0000m040149000c.html


疑問なのは、その「政府関係者」が「約10億円の身代金を要求するメール」を何時知ったのかということ。さらに、政府トップである安倍晋三が知ったのは何時のことなのか。今回の事件における日本政府の責任を測定する上で、知った日付は重要な意味を持つと思うのだが、そういう重要な情報を訊かなかった毎日記者の頓馬ぶりって何? 或いは、寿司を奢ってもらったから?*1


毎日の記者は頓馬というより、それを訊いて知っても書かないことで情報提供者と手打ちして、当該の記者と外務省の役人とが、win-winの奸計もとい関係を築いているのだろうと想像するのだけれど(毎日には署名記事が多いけれどこの記事は無署名だよね)*2、この件は週刊ポストも早い時期につかんでいたらしい。

外務省関係者 後藤健二氏めぐりISと解放交渉を行なっていた│NEWSポストセブン

外務省関係者 後藤健二氏めぐりISと解放交渉を行なっていた

2015.01.26 07:00


 1月20日イスラム国(IS)は拘束しているジャーナリスト・後藤健二氏と民間軍事会社代表・湯川遥菜氏の殺害予告ビデオをネットに公開。日本政府に対し、72時間以内に2億ドルの身代金を支払うことを要求した(24日には湯川氏が殺害されたとする映像が公開された)。

 湯川氏がイスラム国に拘束されたことが明らかになったのは昨年8月、後藤氏についても政府は昨年11月の時点で拘束されたという情報を掴んでいた。これまでの数か月でできることは山のようにあったはずである。

 たしかに何もしなかったわけではなかった。後藤氏がシリアに向けて日本を出国したのは昨年10月22日。後藤氏の妻の携帯電話に約10億円の身代金を要求するメールがあったのは昨年11月初旬だった。本誌は11月中旬にいち早く、「後藤氏失踪」の情報を入手し、取材に動いた。当時、外務省関係者に接触すると、身代金交渉を行なっていることをはっきりと認めた。

「後藤さんがイスラム国を名乗る武装集団に拘束されているのは間違いない。現地には身代金目的の小規模な集団も多く、本当にイスラム国なのかどうかはまだ確認が取れないが、いずれにせよ、現在、現地のあるシリア人を仲介役に解放交渉中だ。ただし、武装集団は『後藤の名前を公表すれば首を切り落とす』といってきている。人命のために報道しないでほしい」


 本誌は「生命に危険が及ぶ可能性がある」という判断で取材を続けながら記事化を見送ってきたが、その後11月下旬になると、本誌に続いて民放キー局の1社もこの情報を掴み、報道する構えをみせた。

 本誌は引き続き人命優先で報道を控えることとしつつも、情報が公になった場合に備えて昨年12月1日、外務省に公式に事実確認を求めた。邦人テロ対策室の担当者はこう回答した。

「人命に関わる特殊な事案であるため、こうしたケースでは事実関係の有無を含めて対外的に話すことはないというのが当省の方針だ」


 そして今回の最悪の事態に至った。なぜ交渉はまとまらなかったのか。前出の外務省関係者によれば、イスラム国を名乗る集団は当初、後藤氏1人について身代金を要求してきた。ところが、交渉が長引くと、途中から条件が変わったという。

「交渉窓口が別のチャンネルになり、途中から『湯川さんを含めた2人を一緒でなければ返さない』というメッセージが届き、身代金を大きく吊り上げてきた。2人一緒の交渉になれば、たとえ身代金を払ったとしても1人しか返さない可能性が高くなるなど、交渉は相手が断然有利になり、暗礁に乗り上げた」


 要は足元を見られて失敗したのだ。そもそも外務省は誰一人、現地に入り込んで邦人救出に動いておらず、外国の仲介者に任せていたのだから、その本気度は疑わしい。

週刊ポスト2015年2月6日号


安倍晋三が「中東に行けてオレはついている」と言ったと書かれると、私でさえ「ほんまかいな」と思うが、上記の引用文は真に迫っており、信憑性を感じる。週刊誌も捨てたものではないと見直した。今は野党も朝日・毎日・中日(東京)も安倍政権批判を控えているだけになおさらだ。だが朝日新聞本体は書かないけれども週刊朝日は書いている。

首相のうっかり発言が致命傷に 安倍外交慢心と誤算 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

首相のうっかり発言が致命傷に 安倍外交慢心と誤算

(更新 2015/1/28 07:00)


 1月20日午後2時50分――。衝撃的な動画がインターネットを通じ、全世界にばらまかれ、蜂の巣をつついたような騒ぎになったが、NSC国家安全保障会議)の主要メンバーである安倍晋三首相は中東歴訪中、岸田文雄外相、中谷元防衛相も外遊中で不在。

 イスラエルエルサレムを訪問中だった安倍首相は慌てて会見を開き、人質の釈放を求めたが、このパフォーマンスは「外務省の大失態」とされている。日本女子大臼杵陽教授(中東現代史)がこう指摘する。

「安倍さんが一番まずかったのは、イスラエルで会見をやったこと。安倍さんの会見はユーチューブにアップされ、全世界にばらまかれたわけですが、日本の旗とイスラエルの旗(ユダヤ民族の象徴のダビデの星)がバックだった。『人道的な支援で軍事的に加担しているわけではない』と釈明しましたが、アラブ人が見れば、『何だ、イスラエルと日本は同盟を組んだのか』と誤解をされる。政治的に最悪でした」

 イスラム国が身代金を「2億ドル」と吹っかけてきた要因とされているのが、安倍首相が同17日、エジプトのカイロで行った演説だ。イスラム国との“戦争”が原因でイラクやシリアなどで難民・避難民が大量に発生していることを憂慮し、その支援のため2億ドルの無償資金協力を発表した。

 だが、三谷英弘衆院議員は、首相の演説の英訳版に「違和感を覚えました」と首を傾げた。

 日本語では「地道な人材開発、インフラ整備」が支援に含まれるとした演説部分だ。

「英語では『地道な』という大事な言葉は省かれ、インフラも直訳。英語のインフラには『軍事施設』の意味もあります。日本語では感じられる人道的援助というニュアンスが切り落とされているため、兵士教育と基地建設のため資金を援助します、とイスラム国側に誤解された可能性がある」(三谷氏)

 内閣官房副長官補として安全保障を担当した柳澤協二氏は「日本語でも演説は強すぎます」と言う。

「どこか『闘い』のニュアンスがある。演説には『ISIL(イスラム国)がもたらす脅威を少しでも食い止めるため』や『ISILと闘う周辺各国に』支援を約束する、などの文言がありました」

 脅迫された後に「人道的な支援」と強調するのであれば、削ってもよかったのではないか、というのだ。

 元外交官で外交評論家の小池政行氏も「首相には油断があったのではないでしょうか」と指摘する。

 元在シリア特命全権大使で『イスラム国の正体』(朝日新書)の著作がある国枝昌樹氏がこう話す。

「湯川さんは昨年7月、後藤さんは10月下旬から行方がわからなくなっています。イスラム国は2人を安易に処刑せず、彼らにとって最も効果的な“脅迫カード”となるタイミングを待っていたわけです」 

 後藤さんの妻あてにイスラム国から最初の脅迫メールが届いたのは、昨年11月。

「メールのやり取りは首相の中東歴訪前まで断続的に続き、イスラム国は約20億円の身代金を要求していた。外務省も内容を把握し、官邸に逐一、報告していたが、ズルズルと判断を引き延ばしたまま、首相が企業を引き連れ、中東に出かけ、“飛んで火にいる夏の虫”となり、身代金も10倍以上も吹っかけられてしまった」(外務省関係者)

(本誌取材班=古田真梨子、原山擁平、福田雄一、横山 健、小倉宏弥)

週刊朝日 2015年2月6日号より抜粋


外務省は「イスラム国」から後藤健二氏の妻に送られた脅迫メールの内容を官邸に逐一報告していた。つまり安倍晋三は(衆議院を解散する前の)昨年11月初めには、イスラム国から身代金の要求があることを知っていたことになる。事実、安倍内閣官房長官である菅義偉は、27日午後の記者会見で、湯川氏拘束後の昨年8月16日に現地対策本部、翌17日に首相官邸の情報連絡室、外務省の対策室をそれぞれ設置し、11月1日に、後藤氏の行方不明事案も加えたと発表した*3

イスラム国事件「自己責任論」噴出の裏で安倍政権が日本人拘束を隠蔽していた!?|LITERA/リテラ(2015年1月22日)より

(前略)今回の事件の対応をめぐっては、冒頭で述べた安倍首相のイスラム国への挑発的発言以外にも、政府は決定的な失態を犯しているからだ。

 それは、拘束事件そのものを放置・隠蔽してきたことだ。湯川氏の拘束が判明したのは昨年8月、さらに後藤氏も昨年11月には消息不明となり、同時期に妻への身代金要求もあった。しかし日本政府は本格的な交渉には動かず、後藤氏の拘束や身代金要求をひた隠しにした。一説には「後藤氏のイスラム国拘束の可能性を公表すると衆院選に不利」との思惑さえあったといわれている。そして、水面下でこうした事態が進行していたにもかかわらず、安倍首相は中東の地で「イスラム国がもたらす脅威を食い止めるために2億ドルを支援する」という挑発的な演説をぶったのである。この責任はきわめて重大だろう。
 
 もちろん今回の問題の根源はイスラム国の卑劣なテロ行為にあり、それに対してきちんと非難をするのは大前提だ。しかし同時に、事件の背景には、国家と自らの政権のためには国民の生命など一顧だにしない、安倍政権の体質がある。マスコミやネットが流す浅薄な自己責任論に踊らされてそのことを忘れてはならないだろう。
(伊勢崎馨)


その通りだと思う。

*1:野尻民夫「山本太郎が安倍首相とマスコミ幹部の「接待会食」を追及! 政府と報道各社の対応は?」http://lite-ra.com/2015/01/post-797.html

*2:ふと外務省の安川壮審議官に食い込んだ毎日新聞西山太吉元記者を思い出したのだった。

*3:http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150128-OYT1T50023.html