kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

産経、ネットのデマを根拠に沖縄2紙をバッシングして「ブーメラン」

いわゆる「沖縄2紙」は、沖縄タイムスが朝日と、琉球新報が毎日とそれぞれ業務提携しているらしく、この件は毎日経由で知ったが、それにしても産経の酷さには言葉もない。私は産経なんかを読む人間には知性の欠片も持ち合わせがないと堅く信じているが、その確信をますます強める一件だ。

産経報道「米兵が救助」米軍が否定 昨年12月沖縄自動車道多重事故 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

産経報道「米兵が救助」米軍が否定 昨年12月沖縄自動車道多重事故
2018年1月30日 11:56

 昨年12月1日に沖縄自動車道を走行中の米海兵隊曹長の男性が、意識不明の重体となった人身事故で、産経新聞が「曹長は日本人運転手を救出した後に事故に遭った」という内容の記事を掲載し、救出を報じない沖縄メディアを「報道機関を名乗る資格はない」などと批判した。しかし、米海兵隊は29日までに「(曹長は)救助行為はしていない」と本紙取材に回答し、県警も「救助の事実は確認されていない」としている。産経記事の内容は米軍から否定された格好だ。県警交通機動隊によると、産経新聞は事故後一度も同隊に取材していないという。産経新聞は事実確認が不十分なまま、誤った情報に基づいて沖縄メディアを批判した可能性が高い。産経新聞の高木桂一那覇支局長は「当時のしかるべき取材で得た情報に基づいて書いた」と答えた。

 昨年12月9日に産経新聞の高木支局長は、インターネットの「産経ニュース」で「沖縄2紙が報じないニュース」として、この事故を3千字を超える長文の署名記事で取り上げた。「日本人運転手が軽傷で済んだのは曹長の勇気ある行動があったからだ」と紹介し、沖縄メディアに対し「これからも無視を続けるようなら、メディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」と断じた。

 同12日には産経新聞本紙でも「日本人救った米兵 沖縄2紙は黙殺」という見出しで、曹長の回復を祈る県民の運動と共に報じている。ネットでは県内メディアへの批判が集中し、本紙にも抗議の電話やメールが多数寄せられた。

 しかし海兵隊は現場で目撃した隊員の証言などから1月中旬、「(曹長は)他の車両の運転手の安否を確認したが、救助行為はしていない」と回答。県警交通機動隊によると、事故で最初に横転した車の運転手は当初「2人の日本人に救助された」と話していたという。

 海兵隊によると、曹長は意識を回復しリハビリに励んでいるという。産経ニュースはその後、曹長の回復や事実誤認については報じていない。

 批判を受けて琉球新報は高木支局長に(1)どのように事実確認をしたのか(2)県警に取材しなかったのはなぜか(3)沖縄メディアには取材したのか―の3点を質問した。高木支局長は23日に取材に応じ「当時のしかるべき取材で得た情報に基づいて書いた」と答えた。

海兵隊、投稿を訂正/「誤った情報の結果」

 事故は昨年12月1日午前4時50分ごろ、沖縄市知花の沖縄自動車道北向け車線で発生した。最初に左側の車線で追突事故が発生し軽自動車が横転した。追突現場の後方で停車した別の車に曹長の運転する車が接触し、さらに後ろから米軍の貨物車が衝突した。その後、後方から追い越し車線を走ってきた米海兵隊員の運転する乗用車に、路上にいた曹長がはねられた。

 米海兵隊第3海兵兵站(たん)群の英語ホームページ記事によると、曹長接触事故後に現場にいた別の隊員に近づき無事を確認した後「自分の車を動かすよ」と言って離れた直後にはねられたという。

 在日米海兵隊ツイッターでは12月、曹長へ回復を祈るメッセージを送る県民の運動について発信する際に「多重事故で横転した車から県民を救出した直後に車にひかれ」と、救助したと断定した書き方をしていた。その後、このツイートは「多重事故で車にひかれ意識不明の重体になった」と訂正された。

 海兵隊は取材に対し「事故に関わった人から誤った情報が寄せられた結果(誤りが)起こった」と説明している。

<視点>事実確認を最重視

 本紙は12月2日付朝刊で事故の発生と曹長の男性が意識不明の重体で搬送されたことを報じた。インターネットの産経ニュースの報道後「なぜ救助を伝えないのか」という意見が本紙に多く寄せられた。

 続報を書かなかった最大の理由は、県警や米海兵隊から救助の事実確認ができなかったからだ。一方で救助していないという断定もできなかった。海兵隊は、現場にいた隊員の証言から「他の車の運転手の状況を確認はしたが救助行為はしていない」と回答したが、曹長が誰かを助けようとしてひかれた可能性は現時点でも否定できない。

 曹長自身も接触事故を起こしてはいるが、あくまでも人身事故の被害者であり、一時は意識不明に陥った。救助を否定することでいわれのない不名誉とならないか危惧した。

 それでも今回報道に至ったのは、産経新聞が不確かな「救助」情報を前提に、沖縄メディアに対して「これからも無視を続けるようなら、メディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」と書いたことが大きい。産経新聞の報道が純粋に曹長をたたえるだけの記事なら、事実誤認があっても曹長個人の名誉に配慮して私たちが記事内容をただすことはなかったかもしれないが、沖縄メディア全体を批判する情報の拡散をこのまま放置すれば読者の信頼を失いかねない。

 曹長の回復を願う家族の思いや県民の活動は尊いものだ。しかし、報道機関が報道する際は、当然ながら事実確認が求められる。最初に米軍側が説明を誤った可能性を差し引いても、少なくとも県警に取材せずに書ける内容ではなかったと考える。

 産経新聞は、自らの胸に手を当てて「報道機関を名乗る資格があるか」を問うてほしい。(本紙社会部・沖田 有吾)

琉球新報より)


この件について、『BUZZAP!』からも引用しておく。

「米兵の日本人救助を報じない沖縄2紙は報道機関を名乗る資格がない」と断言した産経新聞の報道そのものがデマという悪夢 | BUZZAP!(バザップ!)

「米兵の日本人救助を報じない沖縄2紙は報道機関を名乗る資格がない」と断言した産経新聞の報道そのものがデマでした
2018年1月30日15:14 by 深海 | カテゴリー 社会 | タグ デマ, 政治, 産経新聞

やはり産経新聞のレベルはまとめサイトを1mmたりとも超えるものではありませんでした。フェイクニュースで沖縄2紙を攻撃したものの大ブーメランが後頭部に突き刺さっています。詳細は以下から。

◆「美談」を取材もなしに政治利用

12月1日に昨年沖縄自動車道を走行中の米海兵隊曹長の男性が、意識不明の重体となった人身事故に関し、産経新聞は「曹長は日本人運転手を救出した後に事故に遭った」という内容の記事を掲載、この記事内で米兵による救出を報じない沖縄メディアに対して「報道機関を名乗る資格はない」などと批判していました。

しかし、米海兵隊は1月29日までに「(曹長は)救助行為はしていない」と琉球新報の取材に回答。沖縄県警も「救助の事実は確認されていない」としてることが琉球新報の記事によって明らかにされました。さらに県警交通機動隊によると、産経新聞は事故後一度も同隊に取材していません。

つまり、産経新聞は根も葉もない「美談」を鵜呑みにし、取材して検証したわけでもないにも関わらず、鬼の首を取ったように沖縄2紙へのバッシングネタとして用いたということになります。

産経新聞の長大なフェイクニュースとバッシング

産経新聞の高木桂一那覇支局長はネット上の「産経ニュース」で3000字に渡る署名記事で以下のように米軍曹長(編集部注:文中では「トルヒーヨさん」と本名で呼ばれています)を褒め称える一方で激しく沖縄2紙を攻撃。

「誰も置き去りにしない」。そんな米海兵隊の規範を、危険を顧みずに貫いた隊員の勇敢な行動。県内外の心ある人々から称賛や早期回復を願う声がわき上がっている。ところが「米軍=悪」なる思想に凝り固まる沖縄メディアは冷淡を決め込み、その真実に触れようとはしないようだ。

(中略)

トルヒーヨさんはなぜ、路上で後続車にはねられるという二次事故に見舞われたのか。地元2紙の記事のどこにも書かれていない。

実はトルヒーヨさんは、自身の車から飛び出し「横転車両の50代男性運転手」を車から脱出させた後、後方から走ってきた「米軍キャンプ・ハンセン所属の男性二等軍曹」の車にはねられたのだ。50代男性運転手は日本人である。

沖縄自動車道といえば、時速100キロ前後の猛スピードで車が走る高速道路だ。路上に降り立つことが、どれだけ危険だったか。トルヒーヨさんは、自身を犠牲にしてまで日本人の命を救った。男性運転手が幸いにも軽傷で済んだのも、トルヒーヨさんの勇気ある行動があったからだ。

(中略)

翻って沖縄県のメディアはなぜ、こうも薄情なのだろうか。それでも事故後、この「報道されない真実」がネット上でも日増しに拡散されている。「続報」として伝えることは十分可能だが、目をつぶり続けているのである。

(中略)

「報道しない自由」を盾にこれからも無視を続けるようなら、メディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ。

【沖縄2紙が報じないニュース】危険顧みず日本人救出し意識不明の米海兵隊員 元米軍属判決の陰で勇敢な行動スルー – 産経ニュースより引用)


◆「美談」の拡散と「報道機関を名乗る資格」

この「美談」が無根拠のままに拡散した理由として、琉球新報は在日米海兵隊ツイッターがこの事故に関して「多重事故で横転した車から県民を救出した直後に車にひかれ」と、救助したと断定した書き方をしていた事を挙げていますが、内容はその後「多重事故で車にひかれ意識不明の重体になった」と訂正されました。

海兵隊琉球新報の取材に対して「事故に関わった人から誤った情報が寄せられた結果(誤りが)起こった」と認めています。

この最初の情報から「美談」はネット上で拡散していったとされていますが、琉球新報産経新聞がこの「美談」を無根拠に拡散したことではなく、それをネタとして沖縄2紙をバッシングするために用いたことに対してのみ反論を行っていることに十分注意すべきでしょう。琉球新報産経新聞の高木支局長に

  • どのように事実確認をしたのか
  • 県警に取材しなかったのはなぜか
  • 沖縄メディアには取材したのか

について質問をしたとしていますが、これに対して高木支局長は「当時のしかるべき取材で得た情報に基づいて書いた」という唖然とする回答を寄せています。

つまり、産経新聞にとっては事故処理に当たった沖縄県警への取材もなく、沖縄2紙への確認もなくネット上の情報だけで「美談」を事実と断定した上で、バッシングのネタとして利用にすることは「しかるべき取材」の範疇であると認識している事が明確に示された形になります。

琉球新報は記事の最後を「産経新聞は、自らの胸に手を当てて『報道機関を名乗る資格があるか』を問うてほしい」と結んでいますが、まとめサイト産経新聞に自らの胸に手を当てて「報道機関を名乗る資格があるか」を問うだけの誠実さがあればとっくの昔に自ら恥じ入って廃刊しているでしょう。

これまでもBUZZAP!では産経新聞まとめサイトのレベルでしかないという事例を(その全貌から見ればほんの一部でしかありませんが)繰り返し報じてきましたが、改めて産経新聞が報道機関として信用するに足る媒体であるか、読む側がしっかり見極めなければならないのではないでしょうか?