kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

再論・今後の日本の政治に求められるのは左派的な政策と組織内権力格差の小さい政党だ

 弊ブログが「組織内権力」という言葉を初めて使ったのはいつだったかと思ってブログ内検索をかけたら、異なる意味合いでこの文字列を使った記事を除けば、2023年5月21日付の下記記事だった。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 上記記事のタイトルが「今後の日本政治に求められるのは左派的な政策と組織内権力格差の小さい政党だ」となっている。このタイトルに「組織内権力」を用いている。本文中にはこの文字列はない。

 自分で書いた記事だが読み返すと、著作家にして経営コンサルタントの山口周が書いた文章を引用して、文字通り命懸けの行為であるエベレスト登山の場合、権力格差の大きい文化圏の登山隊の方が、他方の(=権力格差の小さい)登山隊と比較して死者が出る確率が著しく高いとある。これは、組織心理学研究者、エリック・アニシックの研究結果だという。

 アニシックの研究においてはまた、予想外のことが起きないような安定的な状況においては、権力格差の大きさは、むしろチームのパフォーマンスを高める。そのような状況では、リーダーの意思決定が上意下達され、一糸乱れず実施される組織の方がパフォーマンスが高いことが示されているという。これはつまり、リーダーの認知能力や知識・経験の範囲内で対処が可能な状況においては、権力格差の大きさはチームのパフォーマンスにプラスの影響を与えるということだと山口はいう。

 これらは、実は本多勝一著『アムンセンとスコット』の朝日文庫版解説文からの引用だ。私が最初にそれを引用したのは、弊ブログではなく、たまに更新する読書・音楽ブログで、これまでにもっとも大きな反響があった2022年6月6日付の下記記事においてだった。前記昨年5月の記事は、そこから山口の文章を再録したものだ。

 

kj-books-and-music.hatenablog.com

 

 前記昨年5月の弊ブログ記事においては、そこから「今後の日本政治に求められるのは左派的な政策と組織内権力格差の小さい政党だ」と立論した。その記事で私が槍玉に挙げたのは日本維新の会元号新選組である。当時維新の勢いは絶頂期にあって、野党第一党の座を立憲民主党(立民)から奪取することはほぼ確実と見られていたが、その後党勢は下降へと転じ、今回の衆院選では野党第二党の座は守ったものの、得票率においては国民民主党(民民)に抜かれた。しかし嘆かわしいことに、この民民も私としては全く感心できない、玉木雄一郎が独裁する権威主義的政党である。

 新選組については、同党系の人である広島のさとうしゅういちさんが組織の分権化を求めている。

 

hiroseto.exblog.jp

 

 以下引用する。

 

山本太郎の大石あきこ応援動画が炎上し、削除となった事件について

 

本人に差別的な意図がなかったとしても、危機管理としてどう考えるか、というのはある。

 

だから一人で色々やりすぎなんですよね。そういう中で、かならず抜けが出てくるとあれほど言ったのだが。無理なパフォーマンスは止めて、普通に真面目に政策だけ語ってればいい。その面が最近、地方の年配者にも浸透してきているのに。パフォーマンスならどうせ、石丸さんあたりに勝てっこないのだから。

 

わたしも国政地方含めて何度か候補者経験があるからわかりますが、ああいうパフォーマンスというのは難しいのですよ。特に疲れ切っているときにウケ狙いしたら、逆に大変なことになることもある。真面目に政策を語るだけの方がリスクは少ない。わたしならそうする。見ていて最近の山本太郎は疲れすぎだ。実は、地方のボランティアに応援演説をさせるな、というお達しが本部から出ていましたが、党首本人がやらかしたのでは最悪です。もっと、地方分権して、地元の人間に任せるべき。自分一人で抱え込んで失敗と言うのは・・。わたしは、太郎が結婚祝いに来てくれた唯一の国会議員ですので、それだけに心配している。それとともに、党の活動の在り方を地方分権型にしていくべき時が来たと思います。

 

もちろん、議員が増えてくれば、地方で変な議員とかいて、迷惑をかける恐れもありますよ。しかし、それはそれで、そのとき、きちんと民主的な手続きをしたうえで処分をするということで。太郎一人で抱え込んでたら持たない。これを機会にありかたを見直すべき。

 

これを機会に一度、次の党首選挙のタイミングで党首を外れてもいいかもしれない。個人商店的な在り方を見直すために創業者が敢えて外れるというのはありです。

 

(『広島瀬戸内新聞ニュース』 2024年10月27日)

 

URL: https://hiroseto.exblog.jp/33280116/

 

 私は当該の動画を見ていないが、「もろ差別だ」「ド差別だ」との批判の意見をよく目にする。私は、山本太郎という人は自分の芸能人としての才能に自信を持っていて、そのため若干人を見下す傾向があるとの心証を持っている。同党の主張も再分配を目指すのかひたすら減税を叫び続けるのかよくわからないので支持できない。それはそれとして、新選組地方分権を求めるさとうさんの意見発信には引き続き注目していきたい。

 維新とともに今回の衆院選に負けた共産党は、幹部や国会議員たちが利用する、安くて美味しい料理を出す食堂は、党の一般職員には利用できないとの話を前に聞いた。組織内権力格差が極めて大きな政党であることはほぼ間違いないだろう。

 また私が比例ブロックで投票した社民党も負けた。福島瑞穂が非改選の回である来年の参院選が、またしても政党要件存続をかけた戦いになる。この党については、党員のまことん氏のXを以下にリンクする。

 

 

 

 

 社民党に関してはレバ子氏のXも応答も含めて何件か挙げておく。

 

 

 

 

 

 最後に東京都江東区にたった2人しかいない立民の議員である酒井菜摘衆院議員と高野勇斗江東区議の話をする。これは私としては絶対に避けて通るわけにはいかない。私自身、昨年12月の江東区長選、今年4月の衆院補選、それに先日の衆院選の3度、投票用紙に「酒井なつみ」の5文字を書いた。

 区長選には負けたが、衆院補選と同本選に勝った。しかしその直後に高野区議が書いたnoteが酒井衆院議員に対する批判を一般化した文章としか読みようがなかったため、どうやら神奈川5区で立民の山崎誠衆院議員(小選挙区で負けたため比例南ブロック選出)と話ができる立場におられるらしいsaori kono(河野さおり)さんなどは激怒してしまわれた。

 

 

 しかし私は、ああ、やはり懸念していたようなことは実際にあるのかもしれないな、と思ったのだった。一昨日の記事で私が引っかかったと書いた毎日新聞の有料記事を再び下記にリンクする。

 

mainichi.jp

 

 半年前の補選と今回の本選でともに酒井陣営の選挙事務所になったプレハブの建屋は私のよく通る道にあるので、通りがかる度に建屋を一瞥していた。4月の補選の時には扉はいつも閉まっていたが、今回の本選では事務所が稼働している時間帯には常に扉が少し開いていて、中でスタッフの人たちが主に事務仕事をしているのが見えた。

 上記毎日新聞記事を読んで、今回の選挙は前の補選よりもずっと厳しい戦いだったはずだが、候補者の時短のしわ寄せがスタッフの人たちに及んでいないだろうかと心配したのだ。

 例えば官庁の「働き方改革」を享受できるのは本省のキャリア官僚だけで、省庁の中心から外れれば外れるほど「時短」のメリットを享受できないとの話も聞いたことがある。こういう「権力格差社会」が問題なのだ。

 私が常に念頭に置くのは、「組織内格差が小さいかどうか」「組織内権力の濫用が行われていないかどうか」である。仮にそれができていないのであれば、たとえ支持して投票した政治家であっても批判しないわけにはいかない。

 そういう意味で、酒井議員の当選直後に高野区議があのような文章を公開したことには十分な意味があったと思うのである。

 私は半年前の補選と今回の本選での酒井候補の当選は、「不思議な浸透力」を持つ酒井衆院議員の個性と、理念と信念と情熱、それに何より企画力を持つ高野区議の名コンビにして初めて出せたものであって、どちらが欠けてもこのような結果は出せなかったと確信している。

 高野区議の下記noteにも注目した。

 

note.com

 

自分が成功して上り坂で調子が良い時は、黙っていても人が集まってくる。だから傲慢になったり勘違いもする。でも、本当に自分が大切にすべきは、失敗して苦しんでどうしようもない時に寄り添ってくれる人です。その時に、助けてくれた人を決して忘れず、逆の立場になったら真っ先に駆けつけ寄り添う。

 

根底には、この考えがあるから、人間関係でもまったく悩まない。ブレない。恩送り。本質を捉えれば、目先のことにも一喜一憂なんてしない。すぐ見抜ける。

 

高野はやと@江東区

 

URL: https://note.com/takano_hayato38/n/nd0892f8e9809

 

 江東区出身の歌手・岩崎宏美が事務所から独立した時(それはたぶん前世紀の話だと思う)、それまでチヤホヤしていた人たちがいっせいに離反し、味方は妹(歌手の岩崎良美)しか残らなかったという話を聞いたことがある。

 世の中そういうものだ。

 成功したと思ったその時にこそ大きな落とし穴がある。

 酒井菜摘衆院議員と高野勇斗江東区議の今後に、引き続き大いに注目していきたい。