kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

『争点がカタカナの「アベシンゾウ」問題になっちゃったな』と朝日新聞・早野透編集委員

asahi.com:「安倍政治」審判は 編集委員座談会 - 朝日新聞 2007参院選:ニュース

以下引用する。

「安倍政治」審判は 編集委員座談会

2007年07月28日

 有権者は「安倍政治」をどう審判するのか。小沢民主党に政権への足がかりを与えるのか。参院選の投開票は29日に迫った。直前の情勢や今回の選挙の意味、選挙後の展開について、政治担当編集委員早野透星浩、根本清樹が話し合った。

 早野 小沢民主党代表の「1人区作戦」が功を奏している。熊本県阿蘇山のふもとの村で遊説を聞くと、はじめは拍手パラパラ、しかし最後は農業の「戸別所得補償制度」を訴えて万雷の拍手を浴びた。「私は自民党支持だが、農民はいじめられすぎた」と、多くの人が小沢演説に共感しているようだった。勢いを感じたね。

  22日の日曜日、東京の新宿、銀座で安倍首相の遊説を聞いたが、途中で帰る人も目についた。改革や成長戦略を訴えるのだが、同行した衆院議員は「新宿や銀座ならこれでもいいが、下町では聴衆がしらける」という。都会の勝ち組でない人に切実なのは格差問題だ。その点、安倍氏の主張は広がりがない。年金問題への反発も強い。有権者に電話作戦をしても「ふざけるな」と切られてしまうケースがあるという。

 根本 05年の郵政総選挙での小泉前首相に対する熱狂と、今回の雰囲気には雲泥の差を感じる。大津市での首相遊説を聞いたが、首相は候補者名を連呼し、「あと一歩です」と絶叫を繰り返す。相当な危機感と見えた。

 早野 22日、グッドウィルの本社がある六本木で非正規雇用スポット派遣の若者らが「折口(会長)ちょっと来い」「違法営業体質を改めろ」と気勢をあげ、福島社民党党首がかけつけた。ヒルズやミッドタウンという勝ち組の牙城(がじょう)での光景は、この選挙の一面を象徴していた。

 ■1人区作戦奏功 早野

 ■首相に失望の声 星

  当初は格差が焦点のはずだったが、年金問題に紛れてしまった。

 早野 争点はカタカナの「アベシンゾウ」問題になっちゃったな。行きつく先が赤城農水相ばんそうこう騒ぎ。安倍氏の政治姿勢、未熟さへの不信感だね。「戦後レジームからの脱却」とか「美しい国」とか、「何言ってんの」という反応だ。安倍氏イデオロギー性は有権者に届かない。

  自民党の地方議員と話すと、首相が年金問題を当初、民主党菅直人氏のせいにしたことに失望している。政敵とドンパチやるのもいいが、首相ならもっと大所高所から国の将来を考え、国民の信頼を得て欲しいという思いがあるようだ。

 根本 選挙戦に入っても失言や不祥事が止まらない。有権者は安倍政権に対し「だめだこりゃ」という感じだと思う。

 早野 小沢氏は元々市場原理派に近かったが、今は「弱者を守れ」だ。昔の自民党の日本型社会主義みたいなことを言ってる。彼の目標は与野党逆転政権交代であって、政策はその時次第、権力闘争の人なんだな。1人区作戦は自民党の本丸を奪うという話だ。

  ただ、小沢氏は過去を背負いすぎている。旧田中派という自民党の権力中枢で育ったこと。政策面でも小さな政府や規制緩和を唱えてきたこと。これは重荷になる。

 ■「生存」真の争点 早野

 憲法改正、後景に 根本

 早野 本当の争点は別のところにあるんじゃないか。自民、民主の交代でほんとに政治が変わるのか。憲法改正の方向は同じだろう。護憲の共産、社民との対立軸だ。国民新党は株主と役員による利益の山分けを批判、大企業増税を打ち出し、自民党とくっきり違う。もう一つ、薬害エイズや在日、障害者、性的マイノリティーといった人々が声をあげているのも今回の特徴だ。自分たちに決めさせろと「当事者主権」を訴えている。

  そこは少数意見をすくえない自民、民主両党の至らなさだ。ただシングルイシュー(単一争点)だけでは大政党はもたない。

 早野 自民が「成長実感」を掲げるのは、そこから生活がこぼれ落ちていたということだろう。だから民主は「生活第一」だ。しかし、そこからもこぼれるものが「生存」であり、「いのち」だ。共産、社民が訴えるのはそこだ。

  民主党の年金構想の考え方は「お金持ちになると基礎年金はもらえませんよ」だ。基礎年金はいらない、国の世話にならないのが名誉なことなのだという発想に結びついていくと、おもしろい議論になる。

 根本 首相が意気込んでいた憲法改正は後景に退いた。前のめりで議論を進めるよりはましだ。

 ■負けても辞めず 早野

 衆院解散へ動き 星

 早野 自民はおそらく負ける。しかし、40議席を超したらもちろん、30台でも首相は辞めないんじゃないか。2期6年で憲法改正をめざす人が、「政権選択でない」選挙なのにへこたれてたまるか、ということでは。

  いや、40議席台前半以下なら、辞める可能性はある。安倍氏には憲法改正など中長期的にやりたい課題が多い。政治生命に傷がつく前にいったん兵を引き、勢力を再結集して他日を期そうと考えるのではないか。

 早野 勝敗ラインを明言しないということは、辞めないぞということでしょう。誰が辞めろと言うのか。森元首相? 青木幹雄参院議員会長? 加藤紘一元幹事長? 麻生外相が「あとはおれに任せろ」と言う?

  しかし辞めないと党内抗争になりますよ。「次の総選挙も安倍でやるのか」と、主流派も小泉チルドレンも浮足だつ。けじめ論が強まる。

 根本 どんなに負けても安倍氏はすぐには辞めるべきではない。あえてそう言ってみたい。後継レースが実質的に始まるかも知れないが、しかたない。しかるべき時に公正に党総裁選を実施し、そこで選ばれた人物を首相候補として衆院解散、総選挙に臨むというシナリオが望ましい。そうなれば総選挙がまさに「政権選択選挙」となるし、参院選は「中間選挙」と位置づける政治慣行の確立にもつながる。

  そううまくいくかな。抗争激化のなかで、安倍氏が反安倍勢力排除という党内向けの思惑から衆院を解散するということもありうる。これは自民党にとって最悪の展開だ。

 早野 国会のことも考えないと。与野党が逆転して民主党参院議長をとると、今までにない状況になる。重要法案は一切成立せず、首相問責決議も可決されかねない。立ち往生だ。国民の信を問う形での解散総選挙はありうる。与党は衆院の3分の2を減らすのはいやだろうが。

 根本 その場合、与党はかなりの確率で議席を減らすだけでなく、参院の逆転状況は変わらない。活路は開けにくい。

  与党が衆院で次々重要法案を通し、参院で野党の対応を試す手はある。野党は国政を停滞させるのかと迫り、衆院解散へというシナリオだ。

 早野 そこで与党が信任されたとなれば、野党を切り崩しにかかると。

     

 早野 残りわずかだが、自民党の巻き返しはないのかね。

  民主優位という情勢が自民を利するアナウンス効果もありうるが、あまり期待できない。

 根本 プラスからマイナスへは一瞬で転落する。98年参院選の橋本自民党の惨敗が典型だ。しかし、その逆は時間がかかる。今回は間に合わないだろう。

asahi.comより)

私としては、社民党辻元清美議員に倣って「アベシンゾー」と表記してほしかったところだが、天下の朝日新聞のコケンにかかわるのだろう。

[参考]
きまぐれな日々 参院選の争点は 「アベシンゾー」 だ